br> (市村自然塾 関東 OB会)
今回、男子28名女子28名の塾生が無事に卒塾となり、ご家族・スタッフを含め総勢約200名で卒塾を祝いました。雨天となりそうな予報が続いていましたが、前日までの雨は上がりすっきりとした気持ちの良い天気の中で卒塾式はとり行われました。
はじめに、吾妻副代表理事よりお祝いの言葉をいただきました。
「皆さん、卒塾おめでとうございます。また、保護者の皆さん8ヶ月間支えてくださいましてありがとうございます。
私も何度か自然塾へ足を運ばせてもらいましたが、みなさんは農作業を中心として様々な体験をしてきたことと思います。その中で今どのようなことが心に残っているでしょうか?
ここで体験したことは貴重な財産となるでしょう。卒塾してからも、思い出がつまったこの自然塾に是非足を運んでください。そして頑張っている後輩たちを応援してあげてください。
皆さんがこれからも成長し・発展し続けることを願っています。」
続いて、吾妻副代表理事より卒塾記念DVD「生きる力を大地から学ぶ」の目録が授与されました。
続いて、枝村塾頭よりお話をいただきました。
「卒塾おめでとうございます。3月の入塾式では不安そうだったみなさんの顔も、今日は晴れやかで自信に満ちていますね。
ゴボウの種まきでの穴掘り、真夏の暑い中での草取りや早朝の農作業など、辛かったことを乗り越えてきたからこそ、今の皆さんがあるのだと思います。
これらを通し、みなさんは三つのことを学び得ることができました。
まず一つ目は努力。農作業で作物へたくさんの愛情を注ぎ、努力を重ねたことで収穫という結果が得られました。
また、二つ目は思いやりの心。クワやカマ、モップや包丁など様々な道具を使い、その使い方だけでなく道具を大切にすることが身に付き、人への思いやりを持てるようになったのではないでしょうか。わがままを通すのではなく、ゆずり合い協力し合うことで成功できることを感じた人も多いでしょう。
そして三つ目はたくさんの友達。良い友達は将来も必ず皆さんの力になってくれます。ここでできたかけがえのない友達をずっと大切にしてください。これら三つのことはまだ芽が出たばかり。卒塾してからこの小さな芽を大きく育てていってください。」
枝村塾頭のお話の後、塾生全員が一人ずつ前に出て修了証を受け取りました。背筋をぴんと張って修了証を受け取る姿からも、8ヶ月前からの成長ぶりがうかがえました。
続いて、西野顧問よりお話をいただきました。
「皆さんの晴々とした気持ちが天気にも表れているようですね。そこで卒塾を迎えた皆さんの今の気持ちを聞いてみたいと思います。次の三つのうちどれに一番近い気持ちですか?
①もっともっと自然塾に来てみんなと過ごしたい②やっと活動が全て終わってホッとした③どっちかよく分からない
②や③の人も少しいましたが、もっと来たいと思っている人が多いようですね。では保護者の方々の気持ちはいかがでしょうか?
①これからは毎週週末がにぎやかになって大変だ②これからは家族水入らず楽しめる
①の人が多いですが、まぁそう言わずに、成長した子どもたちと是非たくさんコミュニケーションをとっていただきたいと思います。
塾生のみなさん、チーム農園作業では本当によく協力して成果を上げることが出来ました。しかし共同農園作業ではだらけてしまうこともありましたね。
収穫すれば自分たちのものになるので『自分たちさえ良ければ』という気持ちが強かったのではないでしょうか?共同農園作業では、もっと『みんなのために』という気持ちが必要でしたね。
みなさんには成長できる余地(よち)=可能性がいっぱいあります。さらに思いやりの気持ちを持てるようになってほしいと思います。
活動を通して様々な努力をしてきたように是非これからも努力することを忘れないでください。努力をする時には、大切なことが二つあります。まず、何のためにどのくらい行うのか目標を決めること、そしてもう一つは感謝の心を持つこと。周りの人の応援があってこそ、努力することができることを忘れないでください。」
続いて、活動の様子を記録したDVDの上映が行われました。入塾式での緊張した様子、避難訓練や味噌作り、親子大会などのイベント、そして農作業や清掃に真剣に取り組んでいる姿など、色々な場面を映像でふりかえりました。塾生・保護者ともに歓声が上がるほど映像を楽しんでいました。
続いて、自然塾で活動を通して塾生たちが学んだことや感じたことなどを一言ずつ発表してもらいました。
「虫が嫌いだったけれど、軍手の上からならバッタも触れるようになりました」
「お釜でご飯を炊いて、おこげを食べるのがとても楽しみでした」
「何気なく食べている野菜を作ることの大変さが分かりました」
「あきらめずに色々なことをやると気持ちがいいことが分かりました」
「チームの協力があってこそチーム農園作業で美味しい野菜が収穫できました」
「ここで学んだことを一生忘れず、大人になったら夢を叶えたいです」
「農家の人を見かけるとどんな作業をしているのかが気になるなど、知識が増えて視野が広がりました。将来はこの知識を生かして社会貢献していきたいです」
など、8ヶ月の間に多くのことを感じることができたようです。
続いて、世話人角田より言葉が贈られました。
「みなさんは小柴昌俊(こしばまさとし)という人を知っていますか?
ニュートリノという宇宙から届くとても小さな物質を観測してノーベル物理学賞を受賞した人なのですが、この小柴さんの言葉を二つ紹介したいと思います。
まず一つ目は、『人生は、卒業した後にどれだけ能動的に(=自分から積極的に)働きかけたかで決まる』という言葉です。
小柴さんの家は貧しく、働きながら大学に通ったせいか成績があまり良くなかったそうです。しかし、卒業してから『やればできる』という信念を持ち続け努力したおかげでノーベル賞を受賞できました。
卒塾するまでは教えてもらうことも多いと思いますが、卒塾してからはどれだけ自分の力で考えたり動いたりできるかで人生が決まってきます。さきほど、塾生からの一言で『ここで学んだことをこれからに生かしていきたい』『将来の夢を叶えたい』と発表してくれた塾生もいました。できることからでいいので、塾で学んだことを日常生活の中で実践してみてください。その行動が自然に身に付き、きっとなりたい自分に近づけることと思います。
そしてもう一つは、小柴さんがノーベル賞を受賞した時に言った言葉『賞をとったありがたみよりも、僕を支えてくれたすばらしい人たちとの出会いが、僕にとってずっと幸運だったと思う』です。みなさんがここまで育ってこれたのも、無事に卒塾式を迎えることが出来たのも、後ろに立っている保護者の方のおかげだし、他にもたくさんの人に支えられてきたと思います。
また、人との出会いは新しい発見があったり自分の成長につながったりします。ここ自然塾で出会った男女28名ずつの仲間をこれからも大切に、そして人との出会い、ふれあいを大切にしていってください。
最後に、卒塾はゴールではなくスタートです。スタートラインに並んだ今、途中で転んでしまってもどんなにゆっくりでも構わないので自分の足で一歩一歩しっかり歩いていってください。」
塾生代表より、塾庭に植樹する柚子(ゆず)の苗木の目録を受け取りました。春、温かくなり苗木を植えるのに適した時期になってから、スタッフが責任を持って植樹させてもらいます。何年か経ち、自然塾の食卓に自然塾産の柚子が並ぶのが楽しみですね。
続いて、保護者の方々より記念に掛け時計を寄贈していただきました。後日、2階の各塾生室に掛けさせていただきました。ありがとうございます。9期生以降の塾生も、しっかり時間を意識して行動できるようになってほしいですね。
卒塾を祝って、「故郷」「今日の日はさようなら」を斉唱しました。自然塾という思い出のいっぱい詰まった故郷に、卒塾してからも是非足を運んでくださいね。また、これらの歌を耳にした時など、自然塾のことを思い出してもらえると嬉しいです。
式典終了後、全員そろって最後の記念写真を撮影しました。8ヶ月間、共に寝起きし、楽しいこと・つらいことを分かち合った仲間をいつまでも大切にしてくださいね。
塾産の野菜をたくさん使い調理師さんが心を込めて作ってくださった豚汁とお弁当を食べ、卒塾式は終了となりました。
卒塾生のみなさん、8ヶ月間自然塾での活動はいかがでしたか?楽しかったことも、つらかったこともあったかと思います。しかし、その中で自分たちが努力したからこそ無事修了できたのだと自信を持ってほしいと思います。また、これからも楽しいことやつらいこと色々なことが待っていると思います。そんな時、色々なことを感じ精いっぱい生きて、成長していってください。
Y.S.
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