2009年度・第8期 入塾式
2009年度・第8期 卒塾式
自然塾での食事
    自然塾レシピ集

    2009.10.09~11

    第15ステージ~男子~

    ステージテーマ:「収穫に汗を流し、喜びを体感しよう」

    共同生活の目標:「何事も心を込めてきちんと丁寧に作業する」



    今回のステージは、今まで育てきたゴボウやオカボの収穫をしました。特にゴボウは、一生懸命大きな穴を掘ってから種をまいたり、雨の中草取りをしたりと、苦労した分とても思い入れの強い作物です。そのため、今回のステージは「収穫に汗を流し、喜びを体感しよう」をテーマにかかげ取り組んでもらいました。
    共同生活の目標は今まで、「個人でひとつ」から「チームでひとつ」へと進んできましたが、今回のステージから塾生全員で話し合って、ひとつの目標を決めてもらいました。

    ■ 10月09日(金):夜の集い

    ステージを始めるにあたって塾頭からお話がありました。

    15st_b1.jpg「昨日は台風がすごかったですね。久しぶりに大陸縦断の台風でしたが、改めて自然のすごさや恐ろしさを感じました。さまざまなところで被害が出ましたが、台風がくると悪いことだけでなくいいこともあります。恵みの雨をもたらしてくれたり、大昔は川が氾らんすることで栄養のある土が運ばれ田畑がこえたりしました。人間は自然と共に生きていることを忘れないでください。
    いよいよ15ステージが始まります。今回を入れて残り4ステージとなりました。今までいろんなことを学んできましたが、身についたでしょうか。身につくとはどういうことですか?教わってできることの次の段階で、自分で自然にできるようになるということです。あいさつや食事当番などを見ていて、まだ身についていないのではと思う時があります。あいさつにしろ、掃除にしろ最後までやりきる努力が大切です。自然塾は社会に出るために必要なことを身につけてもらうところです。みんな最初の頃に比べて、ずいぶんとできるようにはなりましたが、自然とできるようになって欲しいと思います。残り4ステージ、意識して生活してください。
    明日はゴボウ掘りです。第2ステージにまきましたが、長かったですね。心を込めて収穫しましょう。」

     

    15st_b2.jpgその後、共同生活の目標を決めました。このステージから全体で1つの目標を選びますが、今回はステージ担当が司会進行を務めました。まず、ステージ担当から、
    ・全員が参加すること
    ・他の人の意見を良く聴くこと
    ・他の人の意見を批判(ひはん)しないこと
    の3点の守って欲しいことの説明をしたあと、全員で話し合いました。最初はみんな緊張した様子でしたが、次第に緊張がほぐれ、リーダークラスの人から、普段はあまり意見を発表しない人も積極的に意見を出し合えていました。
    「翌日はゴボウの収穫やオカボの収穫があり、せっかく苦労して育てた野菜なのだから丁寧に作業しなくてはいけない」という意見や、「コムギの収穫では丁寧にできなかったという反省を活かして、今回は最後まで丁寧に作業したい」という意見から今回のステージの共同生活の目標は
    『何事も心を込めてきちんと丁寧に作業する』
    に決まりました。

    ■ 10月10日(土):共同農園作業 ~ゴボウの収穫~

    第2ステージで種をまいたゴボウをいよいよ収穫するときが来ました。苦労して大きな穴を掘ってから種をまいたので、どんなゴボウに育っているか楽しみにしながらムギワラボウシへ向かいました。午前中は雨が降ったりやんだりの悪いコンディションでしたが、どの塾生も頑張っていました。

    15st_b3.jpgまずはステージ担当からゴボウの掘り方や注意点の説明があり、その後農業指導の先生が掘り方の見本を見せてくださいました。先生は長いゴボウをあっという間に掘り上げてしまい、あまりの速さに塾生たちはびっくりしていました。

     

     

     

     

     

     

    15st_b4.jpgいよいよ、塾生が掘る番です。十分に間隔を取ってから、スコップでいっせいに掘り始めました。表面の土が湿っていたため、土が重くて大変かなと心配していましたが、思ったよりも状態は良く、どんどん掘り下げて行きました。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    15st_b5.jpg途中、まさという土の硬い層に苦戦したり、ゴボウがまっすぐではなく、なかなか掘り上げられなかったりという状況でも塾生はあきらめず最後まで掘り続けました。中には自分がすっぽり入るほどの穴を掘って頑張っている塾生もいました。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    15st_b6.jpgどうですか、この太いゴボウ!そして、みんないい顔していますね。自分たちで育て、収穫する自然塾だからこそ味わえる、喜び・達成感ですね。

     

     

     

     

     

     

     

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    ■ 10月10日(土):卒塾アルバムチームのページ作り

    15st_b29.jpg卒塾式に自然塾での思い出を1冊にまとめた"卒塾アルバム"というものが配られます。その中のチームのページを今回と次回で作ってもらいます。今回はチームで必要な写真を選んでもらいました。

     

     

     

     

     

     

    ■ 10月10日(土):オカボの収穫・干し作業

    15st_b10.jpg第4ステージにまいたオカボが収穫時期を迎えました。収穫したオカボは18ステージのお餅つきで使われる予定です。一粒も無駄にしないよう、心を込めて丁寧に刈り取りました。

     

     

     

     

     

     

    15st_b11.jpg  15st_b12.jpg

    コムギの収穫と同様に刈り取る人、束ねる人、トラックへ運ぶ人と3つの役割に分かれて作業しました。一度経験していることもあり、スムーズに作業をこなしていました。最後に穂やひもが落ちていないかみんなで確認しました。

    15st_b13.jpg  15st_b14.jpg

    塾舎にもどり、オカボを干す作業です。地下倉庫の前から2階のベランダまで1列になって、バケツリレーのように束を運びました。ここでも穂を落とさぬように丁寧に作業しました。

    ■ 10月10日(土):塾活動 ~星の観察会~

    楽しみにしていた星の観察会ですが、あいにく雲で星が隠れてしまい、室内で「月の満ち欠けの実験」や「プラネタリウムの鑑賞」をしました。宇宙のことなら何でも知っているボランティアの先生にお越しいただき、解説をしていただきました。

    15st_b15.jpg  15st_b16.jpgまず、月の満ち欠けの実験です。天井からつるされた発砲スチロールの球体を中心にして、1つの大きな円を作ってもらいました。照明を消し、片側から懐中電灯で光を当てると球体が月のように光って見えます。見る場所によって光る部分の形が違うので、その形をそれぞれ事前に配った紙に記入してもらいました。照明をつけてみんなの描いた月の形を順番に並べてみると、月の満ち欠けと同じ移り変わりをしています。楽しみながら、月の満ち欠けの仕組みを学んでもらいました。
    次に、天井にプラネタリウムを写し、みんなでそれを眺めながら解説をしていただきました。プラネタリウムの途中で様々な質問が塾生からなげかけられましたが、どんな質問にも丁寧に答えてくださいました。

     

    15st_b17.jpg最後に、予告でだしたクイズの答え合わせを行いました。塾生たちは、神秘的な宇宙の話を目を輝かせながら聴いていました。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    ■ 10月10日(土):共同生活の目標振り返り

    15st_b19.jpg金曜日の夜同様にステージ担当が司会進行をし、目標の達成度を全員で話し合いました。「ゴボウの収穫は丁寧にできたが、オカボは丁寧にできなかったところがある」「自分の好きなことは真剣にやっているが、嫌なことはやっていない人がいた」といった意見が出て、話し合いの結果10段階中6点に決まりました。明日10点にするために具体的にはどうすればよいのか話し合ったところ、「朝の掃除はいつもねむくて面倒でしっかりできていないことが多い。そういう朝こそしっかり目標を意識して掃除をすれば、一日目標を意識して過ごせるのではないか。」という提案があり、実行することにしました。

     

     

    ■ 10月10日(土):休み時間

    15st_b18.jpg活動では星の観察はできませんでしたが、休み時間には雲の晴れ間から星の観察をすることができました。みんな夢中になって望遠鏡をのぞき、歓声をあげていました。

     

     

     

     

     

     

    ■ 10月10日(金):朝の瞑想

    15st_b20.jpg日曜日の朝は瞑想を行っています。瞑想の時間は季節を感じてもらうために、窓を開けて行っていますが、秋も深まり窓から入ってくる風も、だいぶ肌寒く感じるようになりました。15ステージということもあり、ほとんどの塾生が姿勢を崩すことなく、5分間瞑想することができました。

     

     

     

     

     

    ■ 10月11日(日):共同農園作業 ~夏野菜の片付け~

    今まで、おいしい実を私たちに与えてくれたトマトやナスが終わりの時期を迎えました。感謝の気持ちを込めて、みんなで協力して片付けをしました。

    15st_b21.jpg支柱や誘引ひもを取り除き、トマトやナスの株を根っこごと引き抜きます。みんなで作業するとあっという間に片付きました。

     

     

     

     

     

     

     

    15st_b22.jpg残渣(ざんさ)は塾庭に運ぶため、トラックに積みます。スタッフが指示しなくても、自分たちで動き、役割分担をし、協力して行うことができました。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    ■ 10月11日(日):おやつ

    15st_b23.jpgこの日のおやつは、塾の栗を使ったケーキでした。金曜日が誕生日という塾生がいたので、デコレーションケーキも登場しました。

     

     

     

     

     

     

     

    ■ 10月11日(日):チーム農園作業

    チーム農園作業も今回を入れてあと4回しかありません。どのチームからもやる気が伝わってきました。

    15st_b26.jpgハクサイやダイコンの葉は虫に食べられやすく、どのチームも被害を受けています。その対策のひとつに自然農薬といって、唐辛子とにんにくを漬け込んだ焼酎に木酢液と酢を混ぜ水で薄めたものがあります。虫によってはその臭いや刺激(しげき)を嫌う(きらう)ため、野菜にかけると効果がある場合があります。今回のチーム農園の時間で、何チームかはその自然農薬を使って対策をしていました。

     

     

     

     

     

     

     

     

    15st_b25.jpgポットにまいて育てた苗を畑に植え付けているチームもありました。残り3回しかありませんが、ちゃんと収穫できるよう大切に育ててくださいね。

     

     

     

     

     

     

     

    15st_b24.jpg土曜日のリーダー会議で提案があり、各チームで代表者がでて鹿よけネットの点検・補修を行いました。ネットがたるんでいるところや、くいがゆるんでいるところなどを見つけ、鹿が入れないように補修をしました。

     

     

     

     

     

     

    ■ 10月11日(日):まとめ

    ステージを終えるにあたり、塾頭からお話しがありました。

    15st_b27.jpg「昨日のゴボウの収穫は大変だったと思いますが、一生懸命、そして丁寧にやってくれたので良かったです。今回のテーマは『収穫に汗を流し、喜びを体感しよう』ということで第2ステージにまいたゴボウを収穫し喜びを感じてもらえたと思います。また、苦労するということも感じてもらえたと思います。人は嫌なことや苦労することは避けてしまいがちですが、それを進んでやることで自分自身が進歩します。簡単な事をしても進歩しません。一生懸命やっている人は認めてもらえます。
    ものは簡単には手に入らないということも感じてもらえたと思います。大切なものほど手に入れるのは難しいものです。第2ステージにまいたゴボウの種の大きさを覚えていますか?昨日の星の話でもあったように、太陽がないとこんなにも大きく育たなかったと思います。自然に感謝しましょう。
    『金曜日の夜にあいさつや掃除を自然とやれるようにしよう』とお話ししましたが、みんな意識してできていたと思います。この調子で頑張ってください。」

    最後に全体で土曜日の夜からの目標の達成度を振り返りました。「昨日よりよくできた」「朝の掃除はしっかりできた」「チーム農園は丁寧にできたが、時間を守れなかった」「夏野菜の時に真面目にしていない人がいた」などの意見が出ました。それらの意見をふまえて話し合った結果7点に決まりました。どの塾生も自分の考えをしっかりと発表できていました。

    ■ 編集後記

    今回のステージはゴボウの収穫をしました。みんなの泥だらけになりながらもがんばり、掘り上げた時の笑顔は素晴らしいものでした。きっと自然塾に来なければ、ゴボウ1本収穫するのがこれほどまでに大変なことだとは気づかなかったでしょう。今は何でも簡単に手に入ってしまう時代だからこそ、こういった身をもって感じる体験が必要なのだと思います。自然塾の塾生のみなさんには、頭でわかっている、知っているというだけではなく、もっともっと、からだとこころで学んでいってもらいたいと思っています。

    K.T.