br> (市村自然塾 関東 OB会)
第8期生の塾活動も3分の1が過ぎました。第1ステージで植え付けを行ったジャガイモが収穫時期を迎えています。今回のステージでは全員でジャガイモを収穫をし、収穫したジャガイモを使ってコロッケつくりに挑戦をしました。共同生活の目標は今までのステージで上げた6つの目標の中から各自が1つ、最もできていないものを選んで、重点的に取り組みました。
今期の活動が始まってからもう3ヶ月も経ちました。時間は午後7時です。第1ステージでは真っ暗だった塾舎への坂道も夏至が近いこのステージではまだまだ明るいです。このあと元気に塾舎まで駆け上がってくると思いきや、チーム農園へ直行する塾生がたくさんいました。この2週間の間、自分達の畑が気になっている様子が伺えました。
ステージのはじめに枝村塾頭からお話がありました。
「ジャガイモを植えつけてから3ヶ月が経ちました。ずいぶんと大きくなりました。みんながいろいろな世話をして大きくなったと思います。収穫の喜び、自分達でコロッケを作って食べることで味わいましょう。食事についてお話をします。この塾では、出されたものを残さず、よく噛んで、おいしく食べるという決まりがあります。好きなものばかりを先に食べてしまうと嫌いなものは絶対に食べられない。満遍なく食べるようにしてください。また、よく噛んで食べると5つのよいことがあります。1、消化がよくなって胃腸に負担がない。2、頭がよくなる。3、あごの筋肉を使うので引き締まった顔つきになる。4、ゆっくり落ち着いて食べると、心も落ち着く。5、噛めば噛むほど味が出る。また、15分~20分すると満腹感が出てきて食べ過ぎない。良いこと尽くめです。食事ではよく噛むことを心がけてください。」
次にこれまでの活動、3分の1ステージを振り返ってもらい、共同生活の目標を個人個人で立ててもらいました。この3ヶ月間でさまざまなことに挑戦してきました。各ステージごとで共同生活の目標として、6つあげました。「あいさつをする」、「人の話を聴く」、「時間を守る」、「ルールを守る」、「整理整頓清掃清潔」、「心を込めてきちんと丁寧に作業する」塾生には、これらの中からこれまでの塾生活の中で最も出来ていない目標を立ててもらい、意識しながら塾生活を送ってもらいました。
今回はチーム農園作業が土曜日の午前中にあるために、計画をたてている時間がありません。積極的に翌日の計画を立てて明日に備えているチームがありました。素晴らしいですね。
いよいよ、第1ステージに植えつけたジャガイモを収穫します。まずは地上部の取り払うことから行いました。例年よりは少ないのですが、ジャガイモの葉が疫病(えきびょう)という病気にかかり黒くなっていました。この病気はイモにも伝染してしまうので、まずは病気の原因を取り除くことからはじめました。葉1つ残らず、回収しました。
地上部を取り除いたら、いよいよ堀りあげです。イモを掘りあげるために注意が2つあります。1つはイモに傷をつけないために丁寧にイモの下側に手を入れて掘ること。もう1つは掘り残さないようにすることです。塾生達は夢中になって土の中に深く手を入れ、イモを掘りあげました。午前中はイモをこのまま畑に干して塾舎へ引き上げました。掘りあげてすぐのイモは、皮が柔らかくすぐに傷がついてしまいます。天日に当てて、乾燥させることによって皮が丈夫になり長い間貯蔵が出来るのです。
地上部を回収して畑から引き上げ、塾庭の1番下段へ廃棄しました。このように畑に残渣を残さないようにすることで、病原菌を畑に残さないことや、畑をきれいにしておくことの大切さを感じてくれたことでしょう。
おやつをはさんでチーム農園作業に取り掛かりました。短い時間でしたが、各チーム共にさまざな作業をこなしていきました。
カボチャに人工授粉をしているようです。確実に実をならせる方法です。うまく行ったかどうかは次回、実が膨らんでいるかどうかでわかります。楽しみですね。
畑周りの雑草を刈り取っています。とても重要な仕事です。今のうちに刈り取っておくと、後々畑が雑草まみれにらずにすむでしょう。
スイカの畑一面にワラを敷き詰めました。これも雑草が生えにくくする方法のひとつです。また、これから暑い日差しで土の温度が上がりすぎたり、乾燥しすぎたりすることを防いでくれます。隙間なく丁寧に敷き詰めていました。
午前中に干しておいたジャガイモを回収しました。たくさんのジャガイモを前に笑みがこぼれています。
回収したジャガイモを塾庭に運び、どのくらい収穫できたか計測し、種類、大きさの選別をおこないました。なんと全部で約150kg収穫!今後のステージで食事に出てきます。楽しみですね。
一部のジャガイモはお土産として持ち帰りました。きっと自宅でおいしく調理されて、食べてもらえたと思います。
まずはコロッケに使うジャガイモを量りました。1チームに10人分のコロッケを作ってもらいます。その時に使う品種は各チームにお任せ。どの品種をどのくらいの割合で入れるか、各チーム共に作戦を練ります。
蒸かしあがったジャガイモの皮むき。熱いうちに皮をむきます。あちこちで熱い熱いと声が上がります。その中からおいしそうと...。食べてしまうとコロッケの量が減ってしまいますよ。
ジャガイモの皮むき、ジャガイモつぶしと平行してタマネギのみじん切りをしてもらいました。中には危なっかしい塾生もいましたが、なかなかうまいものです。食事当番で培った技術が生かされているようです。
チームごとでタマネギ、ひき肉の順でいためました。なかなか様になっています。ホットプレートの中でこぼさないよう丁寧にいためていました。
だんだん形になってきました。つぶしたジャガイモ、炒めたタマネギ、ひき肉と混ぜ合わせて、均等に分けていきます。きれいな形が出来てきました。
衣付けです。小麦粉、卵、パン粉の順でつけていきます。この作業も丁寧に行わなければせっかくのコロッケがあげる時に爆発してしまいます。
...手がパン粉でコーティングされてしまいました...。
コロッケは調理師さんに揚げてもらっている間に盛り付けです。コロッケを乗せるスペースを空けて盛り付けました。
完成して、夕食!「いただきます!」のあいさつをした直後あちこちでコロッケをがぶり!「おいしい!」とあちこちで感嘆の声が聞こえます。自分達で育てたジャガイモで、自分達の手で作ったコロッケの味は格別においしいでしょう。
株式会社リコーから近藤社長が見えられました。夕食後にお話をいただきました。
「人間は1人では生きていけない。自分1人で生きていると思っているのは大きな間違いです。チームワークを組んで、個人個人が役割を果たすことによって仕事が成り立つのです。私も会社の中で社長という役割を任されているだけです。この塾で、仲間と一緒に仕事をすることの大切さを学んでもらいたい。そして、その中で相手を思いやる心、感謝の心を持ってください。たくさんのサポートがあって自分が生きているということを忘れないで欲しい。みんながこの塾にこられることはお父さんお母さんのおかげです。父母に対して、感謝の気持ちを忘れないように。」
お話に感銘を受けた1人の塾生が握手を求めことをきっかけに近藤社長の前に長蛇の列が出来ました。中にはサインを求める塾生の姿も見られました。近藤社長、快く引き受けてくださってありがとうございました。
塾生企画は今回で2回目の話し合いです。各チームともに内容が詰まってきました。大きく分けて川遊び、肝試し、クイズラリーという企画が誕生しました。本番が楽しみです。早いチームは、当日使う道具を作り始めていました。
このコムギは第7期生が種まきをした物が収穫時期を迎えました。先輩からの贈り物です。あせらずに畑に無駄な穂を1本も残さずに丁寧に刈り取ることが大切です。
切り口を揃えて束ねます。束ねるときに力を入れてきつく結ばなければ、運んでいる途中や干している途中に穂が落ちてしまいます。大半の塾生は苦労して束ねていました。
畑のムギが刈り終り、塾舎のベランダに干しました。地下倉庫入り口から一列に並んでバケツリレーの要領で手際よく運びました。このムギはこれから約1ヵ月間、天日に干して乾燥させ、脱穀をして、製粉所に持っていき小麦粉にしてもらいます。みんなの口に入るまで、もうひと手間かかるのです。楽しみにしていてください。
ステージの終りに枝村塾頭からお話がありました。
「今回は天気にも恵まれて2日間農作業ができました。ジャガイモは最初種イモで植えた時は60gだったものが、約10倍になりました。みんなが一所懸命世話をしてくれたのでとても立派でした。そして、大地、自然の力のおかげでたくさん収穫できました。自然の力は素晴らしいですね。大地自然に感謝しましょう。そして、この塾へ来ることができるのは、送り出してくれているお父さん、お母さんのおかげです。すべてのものに感謝しましょう。そして、土曜日にはリコーの社長がきてお話をしてくれました。人は1人では生きていけない。みんなで支えあって生きていると話していただきました。1人1人が役割を持っているのです。威張らず、みんなに思いやりと感謝の気持ちを持って下さい。」
今回は自然塾九州のスタッフ、黒田さんが3日間一緒に活動してくれました。その黒田さんからもメッセージをいただきました。 br> 「九州にも関東と同じように自然塾があり、みんなと同じ仲間が男女30名ずついます。将来、関東の塾生と九州の塾生が偶然出会うかもしれない。その時は是非、自然塾での思い出を熱く語り合ってもらいたい。場所が違っても、同じ青空の下、同じ"生きる力を大地から学ぶ"体験をした仲間がいることを忘れないでください。そして、塾の活動がたくさんの人に支えられていることを忘れないで下さい。残り3分の2の活動頑張りましょう。」
梅雨入りをしましたが、天候に恵まれてしっかり農作業ができました。ジャガイモの収穫をして、コロッケを作り、塾生たちは存分に収穫の喜びを味わえたと思います。 br> ステージ全体を振り返ってみて、塾生たちは塾の生活に慣れてきて、のびのびと活動するのは良いのですが、少し締まりがないことが気になりました。集合時間には全員が集まらない、掃除したにもかかわらず隅々まできれいになっていないなど、細かいところではありますが、丁寧にできていないことも多々ありました。特にムギ刈りの作業では、真面目に取り組む塾生とそうでない塾生がはっきりと見えました。ステージを重ねるにつれ、その差も大きくなってしまっているように感じます。この3ヶ月間で活動に取り組む姿勢がその差につながっているように感じます。残り3分の2活動が残っています。塾生1人1人が活動に真剣に取り組んでもらいたいです。塾生みんなが良い体験をできるよう支援していきたいと思います。
K.M.
ほかにもイロイロあんなこと、こんなこと。自然塾豆知識コーナー