2009年度・第8期 入塾式
2009年度・第8期 卒塾式
自然塾での食事
    自然塾レシピ集

    2009.11.13~15

    第17ステージ~女子~

    ステージテーマ:「自然の恵みに感謝し、野外調理で各チームの味を楽しもう!」

    共同生活の目標:「整理・整頓・清掃・清潔を心がける」



    このステージのメインイベントは収穫祭でした。塾生たちが育てている作物も、塾の食事に出てくる野菜も全て土や太陽、雨などの自然がなくては育ちません。私たちにたくさんの恵みを与えてくれる自然の恵みに改めて感謝してほしいと「自然の恵みに感謝し、野外調理で各チームの味を楽しもう!」をテーマに掲げ、取り組んでもらいました。また、野外調理では日ごろからお世話になっているボランティアのみなさんに感謝の気持ちを込めて、自分たちの手料理をふるまってもらいました。

    ■ 11月13日(金):夜の集い

    ステージを始めるにあたって塾頭からお話しがありました。

    17st_g1.jpg「いよいよ残り2ステージ。大詰めになってきました。
    みんなが育てた野菜は、自然の恵みで大きくなっています。明日は育ててくれた自然に感謝して収穫祭を行います。みんなで一生懸命育てた野菜を収穫し、調理して食べます。それに合わせて、味噌の開封式も行います。
    先回は地域に感謝するということで清掃ボランティアをしてもらいました。私たちはいつも何気なく生きていますが、いろんな人に支えられています。人だけでなく自然にも支えられています。目に見えるものから、見えないものまで感謝の気持ちを持って欲しいと思います。『おかげさまの心』を大切にしてください。
    明日は奉納相撲もします。昔から、自分が健康で元気に育ったことの証明として相撲をやり、神様に奉納していました。勝ち負けは重要ではありません。真剣にやることが大切です。精一杯やってください。
    入塾してきたときは、いろんな思いを持って入ってきたと思いますが、最初に立てた目標はほとんどの人が達成できたと思います。塾では「3つの心と2つの力」を大事にしていますが、今までの共同生活の中でとても大切だと感じてもらえたと思います。自然塾で大切にしていることを、これからもずっと大切にしていってください。残り2ステージですが、思い出に残る塾生活を送ってください。」

     

    17st_g2.jpg次に共同生活の目標を決めました。このステージから塾生の代表が司会となって話し合いを進めてもらいました。この日は3人の塾生が司会や書記に立候補してくれました。話し合いでは、「野外調理があるので清潔にする必要がある。整理整頓しておけば手際よく調理できる。」「収穫祭は感謝の気持ちを込めて行うのだから、心を込めてやるべき」といった意見がでました。話し合いの結果"整理・整頓・清掃・清潔を心がける"に決まりました。

     

     

     

    ■ 11月14日(土):収穫祭 ~味噌の開封式~

    17st_g3.jpgまず、収穫祭を始めるにあたって、塾頭からお話しがありました。
    「これから収穫祭を始めます。昔は新嘗祭(にいなめさい)といい、新米がとれた喜びを表して行っていました。いつもお世話になっているボランティアの方々に来ていただきました。感謝の気持ちを込めて作業しましょう。」

     

     

     

     

     

    17st_g4.jpg今回も、味噌づくりの指導にボランティアの方に来ていただきました。
    「仕込んでから5ヶ月くらい経ちました。半年くらいから食べられるようになり、1年くらいまでのものを新みそ、3年以上のものを味噌といいます。つくった時とどれくらい変わっているか、チームごとにどのように違うか良く見てください。
    以前『味噌のような人になって欲しい』というお話しをしました。味噌というのは野菜のうまみを引き出しています。みなさんも友達のよいところを引き出してほしいという願いを込めてお話しました。
    今日は大地からの恵みに感謝しながら作業しましょう。」

     

    17st_g5.jpgいよいよ開封です。チームごとに味噌の入った樽(たる)の周りを囲んでふたをあけました。次々と塾生たちの歓声が聞こえてきました。ほとんどカビが生えずにきれいだったり、カビが生えてしまったり、結果はチームによって違いました。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    17st_g6.jpg次に、表面に生えてしまったカビを取り除きました。カビを残さないように、余分な味噌をけずらないように丁寧に作業しました。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    17st_g7.jpg野外調理で使う味噌をお皿にとってから、自分たちの味噌がどのように変わっているか味見をしました。同じ材料を使っていてもチームによって味が異なり、塾生たちは各チームの味を食べ比べていました。実際に自分たちでつくった味噌を味わってみて、より発酵食品を身近に感じられたのではないでしょうか。

     

     

     

     

     

    17st_g8.jpg最後に、ボランティアの方から総評をいただきました。
    「チームごとにカビの生え方など違いがありましたね。仕込みの丁寧さが結果に出ます。味噌がおいしくなるためには環境が大切です。私も家で味噌をつくってていますがこの自然塾は私の住んでいるところより涼しいので、ゆっくりと発酵しておいしくなります。味噌で味付けをするときは、火からおろしてから入れると香りがとばずにおいしくなります。沸騰は絶対にさせないでください。」

     

     

    ■ 11月14日(土):収穫祭 ~収穫~

    17st_g9.jpg野外調理でつくる、ごった煮の材料を収穫しに畑に向かいました。いつもは金曜日にスタッフだけで収穫を行うのですが、今回は各チームでダイコン・カブ・ハクサイなどを収穫してもらいました。

     

     

     

     

     

     

     

    17st_g10.jpg収穫した野菜を塾に持ち帰り、それぞれきれいに洗い、奉納台にそなえました。奉納台に備えるときは美しく見えるよう、工夫していました。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    17st_g12.jpg各チームで使う野菜をとった後、いつもおいしい料理をつくってくださる調理師さんに、塾生の代表がお礼の言葉を言いました。
    「いつもおいしい食事をつくってくださり、本当に感謝しています」
    「おいしく調理してくれたおかげで苦手な野菜も食べられるようになりました」
    その後全体で、
    「いつもありがとうございます。よろしくお願いします。」
    とあいさつをしました。奉納台にそなえられた野菜の前で、ステージ担当から「季節によってとれる野菜が違いますが、自然塾ではこれだけの量の野菜を毎回1ステージで使っています。」と説明があるとみんなおどろいていました。本当に自然の恵みに感謝ですね。

    ■ 11月14日(土):収穫祭 ~野外調理~

    各チームでダッチオーブン担当、調理担当、おにぎりをつくる担当、焼き芋を準備する担当の4つの役割にわかれて調理しました。

    17st_g13.jpg調理担当の塾生は、ダイコン・ゴボウ・ニンジン・ネギなどの材料を切ってダッチオーブンに入れていきました。イチョウ切り、ゴボウのささがきなど、どの野菜にも均等に火が通るように切りました。普段食事当番で包丁使いを練習していることもあり、テキパキと作業することができました。

     

     

     

     

     

    17st_g14.jpg焼き芋を準備する塾生は、サツマイモを洗い、ぬれた新聞紙で包み、その上からアルミホイルで包みました。いもがはみ出さないように丁寧に作業しました。

     

     

     

     

     

     

    17st_g15.jpgおにぎりを作る塾生は、厨房で人数分のおにぎりをつくってくれました。梅・さくら・大根葉など、色とりどりのおむすびができあがりました。

     

     

     

     

     

     

     

    17st_g16.jpgダッチオーブン担当の塾生は、三脚のセットやかまど作り、火起こしをしました。食事当番の釜飯炊きの要領で、新聞紙や牛乳パックなど燃えやすい物を下に、その上にわりばしや栗のイガなど、その上に竹と、火が燃え移りやすいように組み、火をつけました。なべの準備ができたチームからダッチオーブンを火にかけました。火や鍋の様子を見ながら竹をくべ、最後に自分たちの味噌で味付けをしました。

     

     

     

     

    17st_g17.jpgごった煮ができたチームから昼食にしました。自分たちで作った料理は格別ですね。自分のチームの味だけでなく、他のチームの味を楽しむ塾生も数多くいました。それぞれに良さがあり、どのチームもおいしいごった煮をつくることができました。ごちそうさまをする頃には、すべての鍋が空になってしまうほど好評でした。

     

     

     

     

     

    17st_g18.jpg昼食の後は片付けです。ダッチオーブン担当の塾生は、ダッチオーブンを洗い、その他の塾生はテーブル・三脚の片付け、食堂の会場作りをしてもらいました。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    ■ 11月14日(土):収穫祭 ~奉納腕相撲~

    天気がよければ、モロコシジロウ畑に作った土俵で相撲をする予定でしたが、金曜日から降り続いた雨で土俵の状態が悪いため、室内で腕相撲大会を行いました。

    17st_g19.jpg  17st_g20.jpg

    どの塾生も全力をだして頑張っていました。互角(ごかく)でなかなか決着がつかない組もありました。、戦う人も応援する人も真剣に取り組めた、とてもよい奉納腕相撲大会になりました。各学年の優勝者には賞品として、1人1株サトイモを掘る権利がプレゼントされました。

    最後に、塾頭の終了の言葉で収穫祭が幕を閉じました。
    「愛情を込めてつくった野菜を使い、心を込めてつくったごった煮はおいしかったですね。相撲も真剣に取り組めてよかったと思います。これからも感謝の気持ちを忘れないで過ごしてください。」

    ■ 11月14日(土):おやつ

    17st_g21.jpgこの日のおやつは各チームのかまどで焼いた焼き芋でした。おなかいっぱい昼食を食べたはずなのに、おいしくてみんなぺロりとたいらげてしまいました。

     

     

     

     

     

     

    ■ 11月14日(土):共同農園作業 ~ネギの収穫~

    親子大会の時に植えつけたネギが大きくなったので、収穫してお土産に持って帰ってもらいました。

    17st_g22 .jpgまず、ジャイモン畑で農業指導の先生からネギについてのお話をしていただきました。
    「もともと、日本にはアサツキやノビルといったネギの仲間があり、みんなが良く食べる長ねぎは中国から渡ってきたものです。日本では九条ねぎや深谷ねぎなど地域によっていろんなねぎをつくるようになりました。日本人はそばやうどんなどたくさんネギを食べますがねぎには硫酸(りゅうさん)アリルという成分があり、血液をさらさらにしてくれて、頭の回転を良くする効果があります。太くて丈夫なねぎをとって、たくさん食べてください。」

     

     

    17st_g23.jpgその後、ステージ担当がネギのとり方と注意点の説明したあと、1人1本づつ収穫をしました。みんなおいしそうなネギ持って満足そうでした。

     

     

     

     

     

     

     

    ■ 11月14日(土):夜の塾活動 ~歌の練習・作文~

    17st_g24.jpg卒塾式に、塾生全員で歌を歌います。歌うのは「故郷(ふるさと)」と「今日の日はさようなら」の2曲です。夜の塾活動前半は、卒塾式に向けて歌の練習をしました。「故郷」の歌詞には、今では少なくなった日本の原風景が歌われています。せっかく自然に囲まれたここ市村自然塾でみんなで8ヶ月間過ごしたのですから、ここを第2の故郷と思って自然塾での思い出や、周りの景色などを思い浮かべながら歌って欲しいと思います。卒塾式には塾生最後の思い出として精一杯歌いましょう。

     

     

    17st_g25.jpg後半は、「市村自然塾でいろいろなことを体験してどのように感じ、どんなことを学んだか。将来の夢は。」というテーマで作文を書いてもらいました。ステージを半分終えた時にも作文を書いてもらいましたが、今回は自分の夢や、将来どんな人になりたいかもふまえて考えてもらいました。

     

     

     

     

     

    17st_g26.jpg共同生活目標の振り返りも、塾生が司会進行しました。良かったところでは「衣装ケースの中はきれいだった」「塾生室はきれいだった」「収穫祭で使ったものをきれいに片付けた」悪かったところは「衣装ケースの周りが汚かった」「塾生室が汚かった」などの意見が出ました。良かったところ、悪かったところをふまえて話し合った結果、目標の達成度は6点に決まりました。

     

     

     

     

    ■ 11月15日(日):共同農園作業 ~コムギの種まき~

    日曜日の最初の作業はコムギの種まきです。今8期生がうどんやおやつで食べているコムギは7期生がまいてくれたものです。また、8期生がまいたコムギは次の9期生が収穫し、小麦粉にして食べます。このように作物をバトンのようにして次の年の塾生へと引き継がれていくので自然塾ではリレー作物と呼んでいます。9期生のために心を込めてまきました。

    17st_g27.jpgまずは溝(みぞ)をほる作業です。底が平らではないと土をかけたときに、土の厚さが一定にならないため、芽がでる時期がずれてしまいます。そのため、底が平らになるように溝をほりました。

     

     

     

     

     

     

    17st_g28.jpg  17st_g29.jpg

    次に種をまきました。1粒1粒丁寧にまきました。そしてやさしく土をかけてあげました。細かい作業も最後まで集中して行うことができました。元気に芽を出してくれると良いですね。冬の間スタッフが「麦踏み」という大切な世話をしてあげます。名前の通りムギをふむ作業ですが、ふむことでムギが強くなり冬の寒さにたえたり、春になって成長しやすくなる効果や、霜柱ができてムギが傷むのを防いでくれる効果があります。

    ■ 11月15日(日):チーム農園作業

    17st_g30.jpgこのステージはどのチームも収穫物がたくさんありました。どのチームもおいしそうなお土産がたくさん!包むのにも一苦労していました。帰るときには持ちきれないほどたくさんのお土産を抱え、うれしい悲鳴が聞こえてきました。ここでも自然の恵みに感謝です。

     

     

     

     

     

    17st_g31.jpg  17st_g32.jpg

     

    17st_g33.jpgチーム農園も残り2回ということもあり、片付けも進めなくてはいけません。このチームは使ったネットを洗っていました。最初の頃は洗い方や片付け方もスタッフに聞きながら作業していましたが、今ではスタッフがいなくてもきちんとできるようになりました。短い時間も計画的に使って作業できました。

     

     

     

     

     

    ■ 11月15日(日):まとめ

    ステージのまとめとして塾頭からお話しがありました。

    17st_g34.jpg「昨日はあいにくの雨でしたが、収穫祭ができました。味噌もおいしかったし、ごった煮も良くできました。感謝の気持ちを持って過ごせたのではないでしょうか。味噌の開封式では初代の塾頭の箕輪さんに来ていただきました。味噌の状態はチームによって違いがありましたが、丁寧にやったかどうかは結果に出ます。箕輪さんが『味噌のような人になって欲しい』と話していましたが、良い言葉ですね。本当にそう思います。人間には良いところも悪いところもあります。お互いに相手の良いところを引き出してあげれば、お互い成長できます。
    男子のステージで箕輪さんが塾生に『6ヶ月間でみなさんは成長しましたか?』と聞いていました。みなさんはどうでしょうか。私は成長したと思います。嫌いな野菜を食べることができるようになった人もいれば、人の話を聴くことができるようになった人もいます。何より、17ステージまで1人も脱落者が出ずに頑張ってこれたことが成長の証だと思います。
    今は物が豊富でなんでも手に入る時代です。昔は物がなく、作物を育ててくれるお天道様にとても感謝していました。感謝の気持ちを忘れないでください。私たちはいろんな人に支えられて生きています。感謝の心が身につくと、自然に『ありがとう』と声に出して言えるようになります。
    今回のステージで残念だったのは、土曜日の振り返りのときに、みんなが真剣に取り組んでいるように見えなかったことです。来ステージはまた違う目標になるかもしれませんが、頑張ってください。」

    17st_g35.jpg最後に共同生活の目標の振り返りを行いました。良かった点は「塾生室がきれいだった(2チーム)」「チーム農園では仕事を分担し、片付けもきれいにできた」悪かった点は「塾生室が散らかっていた(2チーム)」「チーム農園が遅くなり、着がえる時間がなく雑になってしまった」というような意見が出ました。部分的にできないところはあったが、土曜日よりできたということで話し合いの結果、目標の達成度は8点に決まりました。

     

     

     

     

    ■ 編集後記

    このステージ中に、1匹のシカが自然塾のシカよけネットに絡まり、命を落としました。今年はこれで2回目で、今までにはなかったことです。自然塾では「いただきます・ごちそうさま」には食事をつくってくれた人に対する感謝の気持ち以外にも、命をいただくという意味があるという話をしています。1匹の動物の死をきっかけに、私たちが生きていく上にはたくさんの命が犠牲になっていること、人間の活動が与える自然への影響の大きさを改めて感じるとともに、現代の子供たちにもっと伝えていきたいと感じました。次回が最後のステージとなりますが、塾生たちには自然塾での体験を通して、「命の大切さ」「自然を慈(いつく)しむ心」「感謝の気持ち」など様々なことを感じ取り、活かしていってほしいと思います。

    K.T.