br> (市村自然塾 関東 OB会)
塾の食事では毎ステージ味噌汁が出ています。日本人は昔から味噌を好んで食生活に取り入れてきました。今回はその日本の伝統的な発酵食品の1つである味噌づくりに挑戦してもらいました。作業を心を込めて行ったかどうかは秋の味噌開封式にわかります。豆1粒・麹(こうじ)1粒も無駄にしないように心を込めて作業してもらいました。
共同生活の目標は「整理・整頓・清掃・清潔を心がける」でした。物をきれいに整理・整頓してあれば、とても気持ちがよく、取り出すときにもすぐに取り出せます。逆にそうしてないと、嫌な気持ちになったり、物をさがす手間がかかったり、危険にもなります。ここ自然塾では28人が共同生活をしています。みんなで安全に気持ちよくすごせるよう、衣装ケースや塾生室のみならず、共同で使う場所や物を、さらには心や行動の整理・整頓・清掃・清潔を心がけるように呼びかけました。
ステージを始めるにあたって塾頭さんからお話をいただきました。
「今日はみなさんと一緒に新宿から電車に乗り、様子を見せてもらいました。マナーは良かったが電車の中で大きな声では話さないようにしてください。
今日はみなさんにマスクをしてもらいました。豚インフルエンザが関東でも発生しています。密閉された空間や体が弱っているときにかかりやすいので気をつけてください。
第5ステージになり、掃除場所も食事当番もすべて一周回りました。だいぶ塾の生活に慣れてきたと思います。今まではチーム担当の人から指示をもらっていましたが、これからは人に頼らず自主的に行動してください。自然塾で皆さんに身につけてもらいたいことの1つに『自主・自立・自律」』があります。自主は自分から進んでやること、自立は自分で考えて行動すること、自律は悪い心を抑えて正しい行動をすることです。共同生活ではとても大切です。これからこの3つ意識して行動してください。
共同生活の目標は『整理・整頓・清掃・清潔を心がける』です。整理は種類ごとに分ける、整頓はいつでも取り出せるように整えておくという意味があります。これらをいつも心がけていると良いことがあります。それは何か考えながらこのステージを過ごしてください。」
塾頭さんの話が終わった後、ステージ担当の方から、整理・整頓・清掃・清潔をしていない衣装ケースを見せ、その中身を整理・整頓・清掃しながら、整理・整頓・清掃・清潔の意味を説明しました。汚い、ひどい、と言っていた塾生もすっきりおさまった衣装ケースに納得した様子でした。
その後、物の整理・整頓・清掃・清潔だけでなく、心や行動の整理・整頓・清掃・清掃も大切であることを説明し、今ステージはそれらを特に意識して過ごしてくださいと訴えました。
日曜日が雨の予報になっていたので、予定を変更して土曜日の午前中はしっかりとチーム農園作業を行ってもらいました。
まずは作物の様子を見て、行うことや作業の分担を決めました。チーム農園ファイルにそれを記入しました。前回のステージよりも作物の様子はかなり違っていたり、新たに植えるものがあったりと、塾生たちは計画作りに真剣に取り組んでいました。
しっかりとしたトンネルを作って雨から守り、敷きわらもしてあったおかげで、育てるのが難しいといわれるメロンも今のところは順調です。このまま育っておいしい実をつけてくれるように願って世話をしていました。
新たにポット播種(はしゅ)をしたチームもありました。作業のためにポット播種用の土をプラみに移していましたが、とても重たい土を頑張って持ち上げていました。
チーム農園のまわりにも、だいぶ雑草がはえてきました。チーム農園の作物が雑草に負けないよう、一生懸命雑草を刈っていました。これからの季節は草刈りがとても大切な作業になります。がんばりましょう。
ポット播種したトウモロコシがだいぶ大きくなって、植えどきです。色とりどりのポットに育った苗を畝に並べて植えつけようとしています。作物が目に見えて育ってきて、作業の真剣さもましてきました。
早くもカブが収穫できました。ちょっと小さめですが、最初の収穫にとてもうれしそうでした。
いよいよ今回のステージテーマにもなっている味噌作りです。みそ作りを通して、先人の知恵やものを大切にあつかう心を身につけましょう。
最初に味噌作りを教えてくださる箕輪前塾頭ご夫妻から、味噌についての話をいただきました。
「皆さんが塾の食事でのんでいる味噌汁の味噌は去年の塾生が作ったものです。皆さんが今日作る味噌は秋の収穫祭以降、来年の塾生がのむ味噌汁になります。噌という字は、味噌汁のためにだけ作られた字です。
味噌は他の野菜のいいところを引き出してくれます。皆さんも他の人のいいところを引き出す味噌のような人になってください。
また、味噌の原料になる、麹(こうじ)、ダイズなどはたくさんの人の手のかかったものです。そうした人たちに感謝して、一粒も無駄にしないよう、心を込めて丁寧(ていねい)に作業してください。」
まずは、ダイズの煮汁をダイズに混ぜ、さらに麹(こうじ)とダイズをよく混ぜ合わせました。食品をあつかうので、髪の毛が入ったりしないよう頭にバンダナをまき、手もあらためてきれいに洗って行いました。
中には麹(こうじ)にまぜてある塩が手にしみて痛がる塾生もいましたが、最後まで頑張りました。
麹(こうじ)とダイズをよく混ぜ合わせものをミンチ機にかけていきました。このときも麹(こうじ)やダイズをこぼしやすいので注意が必要です。気をつけながらミンチ機に移していきましたが、中にはおたまに盛りすぎてこぼしてしまった塾生もいました。ミンチされたものは、空気を抜くため野球ボール位の大きさにして、樽(たる)に打ち付けます。これも空気を抜くためです。
樽に味噌がいっぱいになりました。ここで味噌の表面をきれいにならしていきました。味噌の表面がでこぼこしているとそこから空気が入り、カビがはえる原因になるからです。平らにするのは意外と難しく、塾生たちは苦労しながらも平らにしていきました。
味噌はまず空気が入らないようラップでおおいました。さらにラップの周囲や味噌の上にのせる中蓋(なかぶた)、樽(たる)の内側外側などを念入りに消毒しました。カビを生やさないように、塾生たちは集中して行っていました。
2チームが味噌作りを行っている時間、残りの2チームはダイズを使った食品の話を聞きました。ダイズをどう加工すると何になるか、食品ごとに隠(かく)してあり、塾生たちは食品当てクイズに熱中していました。
最後に味噌作りの先生から、講評(こうひょう)をいただきました。皆さんがどれだけ心を込めて味噌を作ったかは半年後にわかります。チームごとに、どのような味噌が出来るか楽しみですね。
去年作った1年味噌とその前の年に作った2年味噌を味わってみました。全然違う味噌の風味に塾生たちも驚(おどろ)いた様子でした。味噌は2-3年寝かせると一番風味がまろやかになるようです。
味噌作りの後、サツマイモの苗の植付けを行いました。かまぼこ型の畝(うね)をたて、そこに今までの苗とは違った茎と葉だけの苗を植えつけました。
今回は斜め植えという方法をとりました。土の中に斜めにしっかり植えなければなりませんが、中には土から浮いているような植えかたをしている塾生もいて、スタッフに直されていました。
夜の時間は作物の特徴と育て方の違いの話として、葉菜類・根菜類・果菜類の分類や特徴の復習をし、収穫は作物の生長のどの時点で行うか、果菜類は受粉をして実をならすことが大切という話のほか、作物の原産地の気候の説明をしました。ちょっと話が難しすぎたのか、話にピンと来ず、退屈してしまう塾生もいました。
日曜日は予報どおり雨でした。そこで途中だったチーム農園の看板作りを行ってもらいました。看板作りが終わったチームには、チーム農園に立てる案山子(かかし)作りを行ってもらいました。
チーム農園のキュウリの看板を作っていました。キュウリという文字だけでなく、キュウリの絵やキュウリの花の絵も描(か)いていました。それぞれの塾生がいろいろ工夫していました。
出来上がったカラーピーマンの看板です。とってもカラフルですね。こんなきれいなカラーピーマンがとれるといいですね。看板を持ってうれしそうでした。
チーム農園の看板が全部出来上がったら、チームで記念写真をとりました。どの塾生の顔もとってもうれしそうでした。
看板作りの終わったチームは、案山子(かかし)作りを行いました。竹を組んで骨組みを作り、それに選んだ古着を着せて、思い思いの顔を作りました。この牛の顔は牛糞堆肥(ぎゅうふんたいひ)の入っていた袋です。なかなかユニークな案山子(かかし)になりそうでした。
ステージのまとめとして、塾頭さんからお話をいただきました。
今回は貴重な味噌作りをしました。味噌は野菜の味を引き出してくれます。皆さんも味噌のような人間になってください。相手の良いところを認めてあげると相手も認めてくれます。また、すべてのダイズや麹(こうじ)を大切にあつかうことも学びました。
金曜日の夜にこれからは自分たちの力で、積極的に行う、何にでもチャレンジしていくことを話しました。大人になればなるほどまわりの人の助けはなくなります。今のうちから習慣づけておきましょう。楽することと楽しく生きる事は違います。汗を流して苦労して、はじめて満足感、達成感が得られ、生きる喜びが得られます。
整理・整頓は出来るようになりましたが、一部は出来てないところもありました。整理・整頓すると良いことがあります。気持ちがよくなり、安全にもつながります。整理・整頓は、頭の中や心の整理でもあります。整理・整頓の出来る人は勉強も出来るようになります。大人になっても、整理・整頓の出来る人は仕事もできるといわれます。整理・整頓のアドバイスとして、自分がどこに何を置くか決めておくとよいでしょう。
相変わらず、インフルエンザがはやっています。気をつけて2週間後に元気な姿を見せてください。
今ステージでは、日本人が昔から知恵をしぼって作り上げ、日本人の食生活にすっかり溶け込んでいる味噌を塾生たちの手で作ってもらいました。味噌作りにあたり、物を大切にし、きちんと丁寧に作業を行うよう呼びかけました。塾生たちは作業を一生懸命かつ楽しんで行っていましたが、どれだけ丁寧に行ったか、その結果は半年後に出ます。物はそう簡単には出来ません。物を大切にし、丁寧に作業し、その結果をじっと我慢して待つことを学んで欲しいと思います。
共同生活の目標は「整理・整頓・清掃・清潔」ですが、全体を見回すとよく心がけて行動できていたと思います。しかしまだ苦手な塾生が中には見られました。整理・整頓・清掃・清潔ができることは勉強や仕事の効率を上げること、気持ちよく安全に過ごすことにつながります。家庭や学校でもぜひ心がけるようにしてほしいと思います。
T.K.
ほかにもイロイロあんなこと、こんなこと。自然塾豆知識コーナー