br> (市村自然塾 関東 OB会)
今年もいろいろな地域から、第8期生の男子28名が集まりました。これから8ヶ月間に渡り、一緒に畑仕事や共同生活をする仲間です。
今ステージは、早く自然塾に慣れ、楽しく塾生活を送れるように、「友達と早く仲良くなり、自然塾になれよう」というテーマを掲げました。また「あいさつ」を積極的にすることでお互いに声を掛け合い、コミュニケーションを円滑にできるよう、共同生活の目標は、「あいさつをする」として、第1ステージを過ごしました。
第1ステージを始めるにあたり、塾頭さんからお話がありました。
「これから8ヶ月間、元気に安全に楽しく過ごして行きましょう。これから、塾生活でみなさんはいろいろなことを体験するでしょう。今日はまだ始まったばかりで、不安なこともあるとは思いますが、自分のことは自分でやり、積極的に活動に参加して下さい。テーマにもありますがこの塾に集まっているメンバーと早く友達になって塾生活を楽しいものにして下さい。」
塾生たちは、塾頭さんのお話を聞いて塾生手帳にメモを取っていました。
ステージ担当から塾での基本スケジュールの説明がありました。
この塾では、1回1回の活動のこと「ステージ」と呼びます。これは塾生ひとりひとりが舞台に立つ主人公であってほしいという思いを込めてそう呼びます。はじめのうちは仕方ありませんが、早く塾生活に慣れて、自ら行動できるようにいろいろなことを身につけて下さい。
家から送られてきた荷物を、自分の衣装ケースに詰めていきました。きれいに整理ができる塾生とそうでない塾生といましたが、とりあえず衣装ケースの中におさまりました。これから塾生活が進むにつれて、この衣装ケースの中が常に整理されているように心がけてもらいたいです。
スタッフに教えてもらいながら、全員で布団を敷きました。ふかふかの布団を部屋一面に敷き詰められ、遊びたくなる気持ちもわかりますが、基本を押さえてチームで協力してしっかりと敷いてもらいました。シーツも自分たちでちゃんとかけられ、寝る準備は万全になったのでしょうか?
土曜日、とても寒い朝を迎えました。気温は0度。数日前とは異なり3月らしい寒さが戻りました。
朝6:30起床。「おはようございます。」寒くて布団が恋しいですが、自然塾の朝はいろいろやることがあり寝ぼけている暇はありません。
まず自分たちの部屋、「塾生室」の掃除です。ロフトとベランダも隅々まで拭き掃除。この日のベランダはとても冷たく、気合いを入れて裸足で掃除しました。
「塾生室」の掃除を終え、次にみんなが使う場所「共同場所」の掃除です。お風呂やトイレ、廊下や階段を、しっかり掃除しました。今朝はひとつひとつスタッフに教わりながら行いましたが、慣れると自分たちだけで役割を決めて、進んで掃除します。
みんなが共同場所の掃除をしている間、食事当番のAチームは、約40人分の朝食作りの手伝いをします。包丁の使い方を調理師さんに教わって、みそ汁の材料を切りました。
かまどでご飯を炊くことも食事当番の仕事です。薪に火をつけるのにも苦戦しましたが、おいしいご飯が炊き上がりました。
朝は冷え込みましたが、太陽も出て気温も上がり過ごしやすくなりました。午前中にこれから8ヶ月間使うチーム農園の場所決めチームごとに何を育てるか相談をしました。
男子塾生が使う畑は梅林に近い畑です。方角や塾舎からの距離も考えて畑を選びました。(左写真)
自分達が使う畑が決まったら、どこに何を植えつけるか考えるために測量をしっかりと行いました。(右写真)
チーム農園から引き上げる時にきれいに長靴を洗いました。これは畑の土を他の畑に持ち出してしまうと病気が広がってしまう恐れがあること、そして、道具を大切に扱うこと、2つ意味があります。共にとても大事なことです。
食堂に再集合して、チームごとに分かれて、作付け計画の検討に入りました。
何を育てるかは各チームで話し合い、決めてもらいます。塾生たちには、頭をつき合わせて、何を育てたいか相談をしました。選んだ理由とどのように育てるか目標を考えながら話し合ってもらいました。
昼食後、8期生初めての農作業を行いました。ほとんどの塾生はクワを握るのも初めてです。説明をするスタッフを真剣に見ていました。
農作業を行う前に、ボランティアの農業指導の先生から、『畑を始めるにあたっての心構え』のお話がありました。「作物は言葉がしゃべれません。でもしっかりとしたメッセージを我々に送ってくれています。葉っぱの角度、緑の濃さ、花の付き方、など...。皆さんをそれらをしっかりと観察して、作物が必要としていることを感じ取らなければ、おいしい野菜は作れません。」
植え付け前にジャガイモの芽の方向を見極め、半分に切って消毒用の草木灰をつける作業を行いました。塾生たちはスタッフの話をよく聞き、方向を間違えずに、ジャガイモを切ることが出来ました。
一輪車の使い方とクワの持ち運び方も教わり、午前中に決めたチーム農園に移動してクワの使い方の練習をました。
隙間なくしっかりと耕して進み、自分の足跡を消す...というとても高度なテクニックを教わりました。クワなど道具の正しい使い方を覚えることは、これから始まる農作業に役に立ちます。コツをつかんで深くやわらかく耕せる塾生もいれば、へっぴり腰であまり耕せていない塾生もいました。そのうち「腰が...いた~い...」という声も...。何事も慣れが必要です。今のうちにしっかりと練習を重ねてもらいました。
おやつを終え、いよいよ種イモを植えつけました。まずはクワで溝を切りました。深さ約10cm、目安のヒモにそってまっすぐに溝を切るのですが、夢中に溝を切っているとだんだんとヒモから離れていってしまいます。
溝がきり終わったら30㎝間隔で種芋を置き、その間に肥料を置いていきます。「いい加減にやらず、丁寧にやるんだぞ~!」スタッフから声がかかりました。
すべての種イモと肥料が並び終え、土をかぶせました。種イモが地中から出ないように手で土を寄せます。ちょうど種イモが植わっているところが他よりも高くするところがコツです。そうすると、その下にイモが植わっていることがわかります。間違って踏まないように気をつけて畑から出ました。
まずは塾頭さんからお話がありました。「みなさんは、目的があってこの塾に来たと思います。好き嫌いをなくすことや農作業をやること。塾生手帳にも書いてありますが『生きる力を大地から学ぶ』農作業を通して学んでもらいたい。それには入塾式でも話しましたが、3つの心と2つの力を身につけてもらいたいです。そのためには自らが進んで行動することが大切です。ジャガイモを植えたけれどもすぐには芽が出ません。人間の都合で作物は育たないのです。自分たちで長い間我慢して収穫する。この、我慢する気持ちを持って下さい。
心の中でいろいろな発見があると新しい世界が広がります。めんどくさがらずにいろいろなことにチャレンジして下さい。
ルールとは約束事、守るべき決まり事です。ルールを守ることによって周囲から信頼を得られることができます。」
「あいさつをしよう」という目標をを持って第1ステージを送ってきましたが、土曜日の夜に一度、目標に対する自分の言動を振り返ってみました。
目標の振り返りの後、コミュニケーションを促すゲームと自己紹介を行いました。
自然塾では日曜日の朝食前に、窓を開けて外の空気や音を感じながら正座をし、精神を集中する時間をとっています。この日はウグイスの声も聴こえ、空気は冷たいのですが春の訪れを感じました。
第1ステージの正座の時間は1分間でしたが、塾生たちはぴしっと姿勢を保ち、驚くほどの集中力を見せてくれました。
土曜日の午前中に行った作付け計画の続きです。各チーム共に作りたい作物が決まってきました。決めた作物をさらに詳しく調べて、畑にレイアウトしていきました。第2ステージにはみんなの前で発表してもらいます。各チーム、発表用紙までとりかかっていました。
今ステージ、初めてのことや慣れないいろいろなことを頑張ってやってくれました。食事のときに 嫌いなものを一所懸命食べている人がいるのを知っていますか?嫌いなものを克服しようと頑張っている姿が見られました。続けていくときっと嫌いなものがなくなるでしょう。友達がたくさんできましたか?自ら積極的に友達にならなければ、なかなかできません。あいさつは人の心を表わすものです。自分の心の窓を開けるということです。そして、相手の人に「私に話しかけてもいいですよ」「あなたに話しかけますよ」という表現なのです。そうすることによって友達や周りの人と仲良くなれるのです。」
今回だけでなく今後も、そして自然塾以外の家や学校でも実行してもらいたいものです。
いよいよ始まりました8期生の活動。今回のステージテーマにもあります『友達と早く仲良くなり、自然塾になれよう』は十分に達成できました。仲良くなりすぎてまじめに作業しなければならない時に、ふざけあってしまいスタッフから注意を受けるほどでした。はじめのうちは自然塾の生活がどのようなものか手探りでいるとは思いますが、基本的には各自がけじめをつけて、作業する時にはまじめに作業する、遊ぶ時には思い切り遊ぶことがとても大事だと思います。
共同生活の目標の『あいさつをする』は、しっかりと意識をしていた塾生が多くいたと思います。今後は意識をせずに自然にあいさつができるように、身につけてほしいと思います。
<K.M.>
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