br> (市村自然塾 関東 OB会)
卒塾が近付いてきました。今までの活動を振り返ってみると、ホタルの観察会や川遊び、ハイキングなどのイベントで地域にお世話になってきたほか、毎回行ってきた農作業も地域の畑を貸してもらえるからこそできることですね。そこで今ステージでは、日頃お世話になっている寄地区に感謝の気持ちを表すきっかけとしてボランティア活動を行おうとこのテーマのもと活動を行いました。
共同生活の目標は、前回と同様に今までの活動で達成できていないもの・今回のステージにふさわしいものを話し合い、「何事も心をこめてきちんと丁寧に作業する」に決定しました。
ステージを始めるにあたって、枝村塾頭よりお話がありました。
「皆さんが今回行うコンニャクの作り方にはたくさんの先人の知恵がつまっています。また、野菜は暖かい時期にはたくさん収穫できるけれど、寒くなるとたくさんは収穫できません。そこで昔の人は寒い時期にもたくさん食べられるよう食べ物を長く保存できるように色々な知恵を働かせて来ました。このような知恵は、楽をしたり人に与えてもらってばかりしていたのでは生まれてきません。自分の体を使って色々な苦労、経験を重ねていくことでアイディアが生まれます。
もう一つ、今回は食事について確認したいことがあります。塾では、よくかんで残さず食べるようにしていますね。はじめの頃と比べると苦手な食べ物も食べられるようになってきましたが、食べるのに時間がかかって時間をオーバーしてしまう人もいます。苦手なものを最後に残してしまうのでなく、作物の命をいただいていることを意識してまんべんなく時間内に食べられるようにしましょう。」
また、テーマやスケジュールの説明のあとに塾生全体で話し合い、共同生活の目標を決めました。清掃ボランティアを行うので「整理・整頓・清掃・清潔」がいいのではないか、ボランティアをする時に感謝の気持ちを表すため「何事も心をこめてきちんと丁寧に作業する」がいいのではないか、という2つの意見が出ましたが、他の作業も丁寧に行おうとの理由で「何事も心をこめてきちんと丁寧に作業する」に決定しました。次回のステージからは、塾生代表者に話し合いを進めてもらう予定です。多数決でサッと決めてしまうのではなく、少数の意見も理由などをしっかり聞いて全体が満足できるように決められるといいですね。
午前中の前半は、チームごとに分かれて自然塾周辺の集落のゴミ拾いを行いました。ゴミがたくさん落ちており、予定していた場所を回りきれないチームもありました。
拾ったゴミの中には、中に飲み物が入ったままのペットボトルなどもありました。そのまま落ちていればただのゴミとなってしまいますが、汚れを落とし種類ごとに分別することで大切な資源にもなりますね。
後半は、3つのグループに分かれて畑周辺道路の清掃を行いました。普段農作業をしに行く時に通る道も、今の季節は枯葉がたくさん落ちています。丁寧に掃き掃除をして道路の脇や畑の隅(すみ)に落ち葉を寄せました。
清掃を終えて、たくさん枯葉が落ちていた道路がこんなにキレイになりました。
午後からは、普段よく口にする加工食品のひとつであるコンニャク作りを行いました。2チームずつに分かれて講義と調理を交互(こうご)に行いました。
講義では、コンニャクの作り方やコンニャクはどんな食べ物なのかを確認しました。コンニャクを凍らせて乾燥させる凍(し)みコンニャクは50年も保存できることに驚いていたようです。その他の加工食品の例として、塾でもよく食卓にのぼる梅干の作り方にも興味を持ってメモしている塾生がいましたね。
調理では、まず材料のコンニャクイモをタワシでよくこすって土や皮を落とした後、包丁で細かく切っていきました。この時、コンニャクイモのえぐみの原因となる成分で手がかぶれてかゆくなってしまうこともあるので注意が必要です。今回はゴム手袋を使用しました。
細かくしたコンニャクイモは、水と一緒にミキサーにかけてどろどろにします。普段あまり使わない機械を使い、調理を楽しんでいる様子が見られました。
どろどろになったコンニャクイモを鍋に移し、弱火で煮詰めました。ぷりぷりの食感を出すために糊状(のりじょう)にします。鍋に焦(こ)げ付かないよう一生懸命かき混ぜていました。
もったりとしてきたら鍋を火から下ろし、冷めてからソーダを溶かしたお湯を入れて混ぜ込みました。ソーダを入れることでコンニャクが固まると同時に、コンニャクイモのえぐみを取り除くことが出来ます。
バットに入れて平らにならし、コンニャク作り前編は終了です。
コンニャク作りの後は、第15ステージに引き続いて卒塾アルバムのチームページ作りを行いました。前回選んだ写真を実際に切り、どこにレイアウトしようかとイメージを広げていきました。みんなの真剣な表情や楽しそうな表情がいっぱいあり、どの写真を使うか迷ってしまうようでした。
夜の塾活動では、コンニャク作り後編 としてえぐみを取り除く「アク抜き」を行いました。常温で冷ましておいたコンニャクをたっぷりのお湯で煮立て、浮いてきた泡状のアクを取り除いていきました。コンニャク以外にも、ナスやゴボウを調理前に水に浸(ひた)すなどのアク抜きをしてから食べるものがありますが、どれも美味しく味わうための知恵がつまっているんですね。
コンニャク作り後編と並行して、卒塾アルバム作りの続きを行いました。夕食前後の自由時間にも積極的に作業を進め、切った写真を貼り付けたりメンバーの紹介やコメントを書き込んだりと、ほとんど完成しているチームもありました。今回完成していないチームは次のステージで自由時間をうまく利用して、思い出いっぱいのチームページを完成させましょう!
第5ステージで苗を植えてから5ヶ月、サツマイモは収穫時期を迎えました。つるはぐんぐん伸びて隣(となり)の畝のつるとからみ合っていたため、まずは地上に伸びている茎や葉をはがして取り除いていきました。
畝を崩(くず)すと一ヶ所に5~6本ものサツマイモが見えていましたが、嬉しさのあまり見えたサツマイモをすぐに引っ張り出そうとするとイモは簡単に折れてしまいます。そこで、周りの土を丁寧に取り除いてからイモを取り出していきました。
チーム農園では、秋に作付をした野菜が大きくなってきました。残りあと2ステージの間に全て収穫して持ち帰ることが出来るように、計画的に収穫しているチームもありました。
必要ないものを計画的に片付けるのも大切ですね。このチームでは畑の作物を見守ってくれた案山子(かかし)の片付けを行っていました。看板が置いたままになっているチームも計画的に片付けを行いましょう。
追肥と土寄せを行っているチームもありました。収穫するころにはもっと大きくなっているといいですね。
ステージの終わりに、枝村塾頭よりお話がありました。
「今週は天気も良く、活動を予定通り行うことが出来ました。私たちの活動が行えるのは、地域のおかげそして自然のおかげですね。今回、清掃ボランティアを行いましたが感謝の気持ちを表すことができたでしょうか。思っていたよりゴミが多くて大変だったと感想を言ってくれた人もいましたが、こういうゴミは誰かが捨てなければ落ちているはずが無いものですね。ゴミをその辺に捨てないようにするのはもちろん、分別をして回収することで資源として利用することも出来ます。自分が出したゴミは自分で持ち帰るようにしましょう。
また、塾で荷物を置き忘れたままほったらかしにしている人が多いので、誰のものか分からない忘れ物がたくさんあふれています。なぜこうなっていると思いますか?塾で必要なものは自分で用意して、自分の持ち物をしっかり把握(はあく)して大切にするようにしましょう。物を大切に出来る人は、人のことも思いやり大切にすることが出来ます。是非みなさんも物、そして人を大切に出来るようになってください。」
今回、今までお世話になってきた自然塾周辺の地域清掃ボランティアを行いましたが、真剣に掃除をしている塾生たちの姿が見られとても頼もしく思いました。しかし、誰かがだらけ始めた時に一緒になってだらけてしまうことが多かったのは残念でした。目標のふりかえりの時に、塾生たち自身から「清掃ボランティアで少しだらけてしまった」という反省点があがりました。自分たちで気がつくことができるのですから、その場で声を掛け合うなど工夫をして自分たちを律することができるようになってほしいと思います。
残り2ステージ、悔いの残らないよう自分を律して活動に取り組んでいきましょう。
Y.S.
ほかにもイロイロあんなこと、こんなこと。自然塾豆知識コーナー