br> (市村自然塾 関東 OB会)
今ステージでは、第5ステージで植えつけたコンニャクイモを収穫し、コンニャク作りを行いました。コンニャクイモのようにそのままでは食べられないものでも、昔の人々が工夫を重ねてくれたおかげで、加工して食べられるようになりました。
コンニャク作りを通して昔の人々の知恵を学び、普段私たちの生活に隠れている色々な知恵に注目してもらいたいと思いこのテーマを掲げ、活動を行いました。
共同生活の目標は、前回のステージと同様、塾生の中から代表者に出てもらって話し合った結果、食品加工をしっかり学ぶためにも丁寧に作業をした方が良いとの理由から「何事もきちんと丁寧に作業する」が今ステージの目標となりました。
ステージテーマである食品加工に関連して、塾頭よりお話がありました。
「嫌いなものをお茶で流し込んだり、おかわりを食べるために勢いよくかき込んで食べたりしている人もいますが、浜田総合塾長の教えにある『好き嫌いなくよく噛んで食べる』ことはとても大切です。
よく噛むことは胃に優しい・骨格が発達するなど体に良いし、私たちは元気に暮らすために肉や魚・野菜などの命をいただいていることに感謝して好き嫌いせず食べ物を粗末にしないようにしましょう。」
この時間は、塾生は3つのグループに分かれてそれぞれ作業を行いました。
1つめのグループは、A・Bチームが親子大会の時に植え付けをしたネギに追肥と土寄せをしました。緑色の葉の付け根までしっかり土をかぶせました。
土寄せをする理由はいくつかありますが、主な目的は太い部分に日が当たって緑化し味が落ちることを防ぐためです。作物によって、より美味しい状態で収穫する工夫が必要ですね。
2つめのグループは、ダイズの片付けを行いました。
本来ならこの時期に収穫・選別などをする予定でしたが、暑い日が続いたことなど、天候の影響で実入りが悪く収穫できるものがなかったため、片付けとなりました。
3つめのグループは、収穫時期を終えたナスの片付けを行いました。
大きく枝が伸びていたものもあり、塾舎に持ち帰って処分をするために運びやすくまとめていきました。
ネギの追肥・土寄せ、ダイズやナスの片付けそれぞれの作業で、丁寧かつてきぱきと行うことができたため早めに終わりました。
次の作業に向けて畑を移動し、おやつにさつまいもドーナッツをいただきました。
午後から行うコンニャク作りに使用するコンニャクイモ・そして次の年に種芋となるコンニャクイモを収穫しました。
まず、収穫するイモを移植ゴテで傷つけないように、丁寧に掘り上げていきました。
コンニャクイモは「生子(きご)」という小さなイモを作って子孫を残していきます。この生子は3年ほどかけてコンニャクの材料となるため、無駄にしないよう周りの土の中もしっかり探しました。
大きいものは直径10cm以上ありました。掘り上げることができてとても満足そうです。
この後、コンニャク作りに使用するイモをチームごとに量りとり洗って泥を落としました。材料として500g必要なので、後で取り除く皮や芽の部分を考慮して多めに量りとりました。また、種芋になるコンニャクイモは、痛まないように新聞紙をかけ温度が低くなりすぎない地下倉庫に保存しました。
昼食の時この日に来ていたお客様が紹介されましたが、そのうちの1名は手話を使って自己紹介をしてくれました。そして、自己紹介の様子を見て手話に興味を持った塾生たちに、お昼後の休憩時間を使って手話を教えてくれました。
自分の名前を手話でどうやって表現するのかや、動物や野菜の名前をどうやって表すのかなど色々なことを教えてくれました。
塾生たちは表現の仕方が色々あることを感じられたようです。
午後は、いよいよコンニャク作りを行いました。まずステージ担当の説明を聴いてコンニャクの作り方を確認し、各チーム内で役割分担をしました。その後、2チームずつに分かれ、交互にコンニャク作りと食品加工の勉強をしました。
まず、金ダワシを使ってコンニャクイモの皮を剥きました。コンニャクイモがすべりやすいため結構苦戦していました。
もともと、コンニャクが黒っぽい色なのは皮が混ざったりするためでしたが、最近のコンニャクにはわざとヒジキなどの海藻を入れて黒くしています。
皮が剥けたら、コンニャクイモを包丁で2?3cm角の大きさに切り、ミキサーにかけてドロドロにしました。
次はドロドロになったイモを鍋に移して火にかけ、焦がさないように弱火で20分程度かき混ぜながら煮詰めました。
ドロドロしていたイモが水と一緒に加熱されたことで糊化し、水分が減っていきます。
コンニャクイモがモッタリとし、薄いピンク色から灰色に変化したら火から下ろし、温かいうちにソーダ(炭酸ナトリウム)の溶液を少しずつ加えて手早く混ぜました。
この時、均一に混ざらないとダマが出来てしまいます。
ソーダを入れることでコンニャクが固まり、コンニャクイモに含まれていたえぐみが抜けていきます。
ソーダが全体に混ざったら、バットへ移し、表面を平らにして、常温でゆっくり3時間ほど冷まします。
コンニャク作り(前編)はここまで。使った道具などは、自分たちで責任を持って片付けました。
まず、加工してコンニャクを作ることで食べにくいものを食べやすくしていることをふりかえり、その他の加工食品にはどのようなものがあるか、どのような目的で加工されているかを考えました。
そこで塾や家庭でもよく食べられている梅干の作り方にも注目し、加工の工夫などを考えました。
洗った梅を一晩水に浸すのはなぜか、塩に漬ける前になぜ焼酎をまぶすのか、塩漬けにするとなぜ保存がきくようになるのかなど梅干の作り方だけを見ても色々な加工の工夫がされていることが分かりますね。
前回の写真選びから始まった卒塾アルバム作りですが、卒塾アルバムが「自然塾でのチームの活動・思い出をふりかえるためのもの」であることを再確認して作業を始めてもらいました。
できた写真を切り取ったりデザインを考えたりと、各チームのチームらしさが出てきました。
夜は、夕食前の時間に行った卒塾アルバム作りのつづきを行いました。
ほとんどのチームがチームのページを完成させることができました。
卒塾アルバム作りと並行して、1チームずつコンニャク作りの最後の作業「アク抜き」を見学しました。
冷めたコンニャクを使いやすい大きさに切り、たっぷりの水に入れて煮立たせます。30?40分煮込みながら浮いてきたアクを取り除いていきます。
この後、一晩水に漬けてやっとコンニャクの完成です。
一つの食べものに注目しても、コンニャクイモの種芋を植えてからコンニャクになるまで時間と手間ひまがかかっていることを感じられたようです。
まず、畝立てを行いました。
塾生たちが初めてクワを持ってから7ヶ月が経ち、使い方にもすっかり慣れてとても早く畝が完成しました。
種まきも一粒ひとつぶ丁寧に行っていました。
今までに何種類の種をまいたでしょうか。もちろん種まきは作物に合った時期を選んで行うことが大切ですが、もし自然塾の周りがもっと寒かったら、エンドウやソラマメの種は早めにまくのと遅めにまくのとどちらが良いと思いますか?
正解は遅め。芽が出てしまって小さいうちに寒い時期を迎えると寒さで弱ってしまいます。
今回、チーム農園作業では葉もの野菜が収穫時期を迎えているチームがほとんどでした。中には、今までに共同農園作業でも経験したことがない作業をしていたチームもありました。
このチームは、収穫が終わって乾燥させていたバジルから種を取り出していました。
種からも良い香りがしていましたね。是非来年も育ててみましょう。
このチームは、まいてきたハクサイをヒモでしばっていました。
こうしておくと、ハクサイが寒さに負けずに畑で長持ちします。色々な工夫をしていますね。
他の作物でも、長持ちさせる工夫などがあるかどうか調べてみましょう。
ステージを終えるにあたって、塾頭よりお話がありました。
「今回のステージでは、コンニャク作りを行いました。昔の人が色々な苦労を重ねて経験を積んできたからこそ食べられるようになったものですね。これは自分たちの生活についても言えることで、何事も経験が大切です。やってみて苦労して知恵を働かせることで成長があるし、人生が充実したものになります。
残りのステージも何事も積極的に経験して頑張っていきましょう。
また、今回は普段手話でコミュニケーションをとっているお客様がいらっしゃいました。明るく、笑顔もとてもすばらしくて、積極的にみなさんに手話も教えてくれましたね。ハンディキャップを持った人もそれを一つの個性ととらえて明るく生きていることはとてもすばらしいことだと思います。みなさんも自分の気持ちを強く持って前向きに頑張りましょう。」
今ステージでは、コンニャクイモを収穫してコンニャク作りを行いました。コンニャクイモを収穫までに約2ヵ月半、そして収穫したコンニャクイモからコンニャクを作ることも一日がかりでやっと完成しました。このように手間ひまがかかっている食べ物ですが、コンニャクが嫌いな塾生も頑張って食べていました。自分たちで作ったものだから食べられたのかもしれませんが、私たちが口にする食べ物はすべて私たちの目に入らない人たちの手間ひま・苦労が隠れています。是非無駄にせず感謝していただきましょう。
また、卒塾まであと2ステージと近付いてきました。ここでしか経験できないこと、ここだからこそ経験できることもあると思います。あの時やってみて良かった。と思える時が必ず来ると思います。やれば良かった・・・と思わないように色々なことを積極的にやってみましょう。
Y.S.
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