br> (市村自然塾 関東 OB会)
今ステージは第9ステージということで、全18ステージのちょうど半分、折り返し点にあたります。そこで塾生たちには今までの塾活動を振り返って作文を書いてもらい、これをステージテーマに掲げました。このほかに、農作業、仕上げた陶芸皿で食事をいただくこと、麦の脱穀・風選など盛りだくさんの活動を行うステージです。共同生活の目標は前回に引き続き、自分がまだ不十分だと思う目標を各自で決めてもらいました。次回からは他の方法で目標設定を行う予定です。
第9ステージを始めるにあたり、木全塾頭からお話がありました。
第9ステージでもう半分のステージが終わることになります。共同生活の基本的なことは大体覚えたと思います。しかし、それを通して皆さんに身につけてほしい3つの心と2つの力は本当に身につきましたか?
皆さんは言われたことは一生懸命やりますが、進んでやる力がまだ少ないと感じます。役割や責任をやりとおす気持ちがまだ足りません。そうすることで信頼を得ることができます。
基本的なこと、挨拶や時間を守ることや道具の使い方などとしっかりと行うことも必要です。
感謝の気持ちも少し足りないと感じます。失敗を人のせいにしないこと。反省が少し足りないと感じます。
心の面での成長はまだまだのようです。今ステージで塾生活の折り返し点です。これから先、もっともっと自分を磨いてください。
今年はすっきりしない天気が続いているためか、トマト・ナス・ピーマンの育ちが芳しくありません。一方、キュウリはどんどん育って毎日のように実をならせています。トマトは疫病がひどいため、今回塾生にはナス・ピーマン・キュウリの世話をしてもらいました。
最初にとりごろのキュウリを収穫してもらいました。指先で実の付け根を押すときれいに収穫できます。収穫したキュウリは作業の後おやつでいただくために氷水につけました。
ナス・ピーマンはひこばえ取りという、3本や4本で仕立てた主枝より下の脇芽を欠く作業を行いました。こうすることで、地際の風通しも良くなって病気にもかかりにくなり、養分を主枝に集めることが出来ます。
このほか、伸びた枝の誘引作業も行いました。
畝間には雑草もかなり生えていました。雑草は病気や害虫の発生源にもなるのでしっかり刈り取りました。
その後で追肥を行い、収穫で失った分の養分を補い、またこれから実をならせるのに必要な栄養を与えてあげました。
作業が終わった後、畑でとれたての冷やしたキュウリを味わいました。
同じキュウリでもほかでは味わえない格別なおいしさを塾生たちは堪能していました。(塾産の味噌も一緒に味わいました!)
今ステージでは前回のステージで作った陶芸作品の仕上げを行って、そのお皿で昼食をいただきました。
作品の仕上げの前に、女子の作品を焼いた窯を開けるところを見学しました。
熱い窯の中に外の冷たい空気が流れ込むことで、陶芸作品が収縮し、風鈴を鳴らしたような音がします。いつも賑やかな男子塾生たちですが、このときばかりは静かに耳を傾けて音を聴いていました。
各自自分の作品の仕上げをしました。テーブルや手を傷つけないように、ざらざらした面を小物の底などでこすって滑らかにしました。
とがった部分などは、ルーターという機械で削ってもらって仕上げました。
昼食では、自分で作ったお皿に塾野菜のてんぷらを盛っていただきました。いつもとは違い、また格別な気持ちで食事をいただきました。
自分の作品を持って記念撮影をしました。思い通りの作品になった塾生もそうでなかった塾生も嬉しそうです。
マナーについてとても造詣の深い岩下宣子先生が来塾され、昼食後にお話をいただきました。
「マナーとは愛そのものです。愛とは人類愛であり、本当の礼儀とは相手に対する思いやりの気持ちから出るものです。つまり、相手の立場に立って考えることが大切です。」
「挨拶ではなく愛拶(あいさつ)が大切です。笑顔は天に開く花のようなものです。人の心は鏡のようであり、こちらが好意を持っていれば相手も好意を感じるし、こちらが嫌だと思っていると相手も嫌と思っているものです。これからは、笑顔の挨拶を何があろうが、誰であろうが、嫌だ苦手だと思っている人に対してほどいい表情で行いましょう。」
この後、向き合った塾生同士で実際に笑顔の挨拶の練習をしました。
親子大会塾生企画の準備も今回を含め後2回しかありません。各企画グループは本番に向けて準備を進めました。
このチームは企画で使う道具を作っていました。
川で企画を行うこのチームは下見に行きました。
オカボ畑は雑草に覆われ、放っておくと雑草に負けてしまいます。同じ畑の下にあるゴボウの畝とともに草取りを行い、追肥・土寄せを行いました。
草取りを始めたばかりのオカボ畑はこんな感じでした。よく気をつけてみないと雑草と間違えてオカボを抜いてしまいます。姿はオカボに似た雑草もあったため、色で判断してもらってオカボ以外の雑草を取りました。
作業を始めて程なく、雨が降ってきました。日が差しているのに雨の降るいわゆるお天気雨です。ちょっぴり弱音を吐く塾生もいましたが、暑い中の雨だったため、頑張って作業をしました。
雨はしばらく降っていましたが、上がってまた良い天気になりました。肥料をまいて土寄せをしました。元気に育てて18ステージでお餅をつくためのもち米を収穫しましょう。
同じくゴボウの追肥をしているところです。今年はゴボウの育ちが悪く少し心配です(写真のゴボウは大きいものです)。しっかり肥料をやって大きく長く育てて収穫したいですね。
夕立で濡れた体で、肥料袋を担いで畑から帰ってきました。たくましくなりましたね。
第1ステージから今までの自然塾での活動・生活を振り返ってもらい、何を感じ、何を学んだかを作文にまとめてもらいました。
いざ作文にまとめるとなるとなかなか難しいものです。
具体的な例をあげて自分がどう変わったかを書いていた塾生もいた一方、日記風に行ったことを羅列する以上踏み込めない塾生もいました。
朝の共同場所清掃のひとこまです。
入塾当初に較べるとかなりてきぱきと行えるようになってきました。
これからは、より心を込めてきちんと丁寧に、細かいところを行ったり、自分の役割が終わったら他のメンバーの仕事を手伝ったり出来ると良いですね。
とてもよい天気だったので、今日は塾生に布団干しを行ってもらいました。みんなが共同で使う布団ですから、気持ちよく使うようにしたいですね。
第7ステージで収穫して干した麦がだいぶ乾燥したので、次の工程である脱穀・風選作業を行いました。
市村自然塾関東では、昭和26年に作られた脱穀機を使って脱穀を行っています。古い機械ですが、現役で毎年活躍しています。
動力機械なので、勢いがあり、手を巻き込まれたりしたら大怪我をします。塾頭さんの指導の下、塾生一人一人脱穀を行いました。
顔つきもいつも以上に真剣です。
この後、脱穀した麦の束から残った穂をはさみで落とし、束ねて保管しました。
脱穀された麦の粒です。この段階では籾殻やわらのくずなども混ざってくるので、次の風選工程でさらに選り分けます。
風選の工程では、唐箕(とうみ)という道具を使って麦の粒と籾殻などのごみを選り分けます。
風の力を使って重たいものが手前に、軽いものは遠くに飛ぶ仕組みを使った道具で、昔の人の知恵が詰まった道具といえるでしょう。
うまく選り分けるには、麦を均等に落とすと同時に風をムラなく送るといったチームワークが求められます。塾生たちはその仕組みに興味深そうにしながらも、息を合わせて作業を行いました。
麦の脱穀・風選作業は4チーム同時にはできないので、チーム農園作業と交替で行いました。
どのチームも今までの努力のかいあって、メロンの実がなりました。でも、収穫するまでにはまだまだ困難があります。最後まで気を抜かずに頑張ってください。
このチームは、脱穀してできたわらをさっそく伸びたメロンの枝葉の下に敷いていました。
これは何物???
正真正銘のキュウリです。
ちょっと大きくしすぎましたね。
次回はもっと早く収穫しよう!
このチームは毎回のように、作ったトマトの雨よけが壊れてしまっています。
今度こそ、の思いを込めて作り直しました。
ステージの終了時に、木全塾頭からまとめの話がありました。「早いもので全18ステージの半分が終わりました。今回皆さんは脱穀・風選といった新しい作業を経験しました。このことに限らず、知らなかったことを経験・体験することはとても良いことです。あることしか知らなかった人が別のことを経験することによって、一段と大きな視野を持つことができます。ぜひ皆さんもこれからいろいろなことを経験し、いろいろなことにチャレンジしていってください。また、土曜日のお昼、皆さんは岩下先生のお話を聴きました。先生は思いやりは愛だとおっしゃっていましたね。また、人の心は鏡であるともおっしゃっていました。浜田総合塾長の心得の中に最大の美徳は「親切」である。があります。人間にはさまざまな良い心悪い心がありますが、良い心の一番上に立つものが親切な心です。親切な心をもって人と接することがとても大切ですが、すべての人、とりわけ嫌いな人や苦手に感じている人に対しても親切な心をもって接していくことを特に心掛けていってください。」
今ステージでは、暑い中や雨の中の作物の世話、畑でのキュウリまるかじり、陶芸のお皿を仕上げとそのお皿での昼食、岩下先生からの貴重なマナーに関するお話、脱穀・風選作業、作文など、盛りだくさんの活動が詰め込まれたステージでした。農作業においては、天気に恵まれなかったステージが続いてきた中、今ステージは土曜日の夕方を除き、珍しくほとんど雨が降らずに農作業を行えました。しかし、本格的な暑さが始まり、塾生たちの集中力も途切れがちだったのも正直なところです。しかし、自然の厳しさの中で行う農業という営みの上に人々は生きてきたわけですから、塾生たちには今回のステージのような厳しさも受け止め、頑張ってほしいと思います。経験、という面では、脱穀・風選といった作業をはじめ、自分で作ったお皿で食事をすること、畑でとりたての野菜をその場で食べることなど、いくつものほかではできない経験ができたと思います。また、岩下先生のマナーに関するお話からは、目からうろこの落ちるさまざまなお話をいただけ、塾生たちもさっそく実践していました。そうした経験が将来さまざまな場面で生きてくることを願っています。ステージテーマに掲げた作文ですが、内容にはかなり個人差が表れました。具体的な例をあげて自分がどう変わったかを作文に表現した塾生もいた反面、行ってきた活動を日記風に羅列するにとどまった塾生もいました。これは結局のところ、塾生本人が活動や塾生活にどう向き合ってきたかが表れていると思います。自主・自立・自律を旨とする自然塾では、塾生一人一人の心構えが自己の成長に反映されます。今回あまり踏み込んで作文を書けなかった塾生は、残り半分の塾生活により真剣に取り組んで多くのものを得てほしいと思います。
T.K.
ほかにもイロイロあんなこと、こんなこと。自然塾豆知識コーナー