br> (市村自然塾 関東 OB会)
いよいよ7期生の活動も最終ステージを迎えました。そこで今ステージでは上記のようなテーマを掲げ、塾舎や塾生室の大掃除をしたりチーム農園を塾に返還してもらったりと、今までの活動・共同生活を支えてくれたものや場所に感謝し片付け、手入れを行いました。また、共同生活の目標は、前回までのステージと同様塾生代表者主導のもと塾生全体で話し合い、「今まで学んだことを活かし、何事も集中して丁寧に作業する」に決定しました。
ステージを始めるにあたり、まず木全塾頭からお話がありました。
「いよいよ今回のステージでめでたく卒塾になりますが、今回行うことにはそれぞれ意味があります。餅つきは昔から物事の節目のお祝いの時に行われてきたもので、餅の白さとねばりは人の心を象徴しています。塾生活をしめくくる大切な行事ですので、真剣に行いましょう。
そして、大掃除。今までの塾生活を支えてくれたのは人だけではありません。色々な『物』があってこそここまで来れたことを感謝し、丁寧に掃除しましょう。今回最後のステージなので、自分自身で考えた抱負は達成できたかをふりかえるなど、有意義なものにし悔いを残さないようにしましょう。」
前回までのステージと同様、塾生全員で今回のステージの共同生活目標を決めてもらいました。
回数を重ねるにつれ、進行役として適切な投げかけをし、書記として分かりやすく意見を書き留めることができるようになってきました。
塾生からも積極的に意見が出て、最後にふさわしいステージとなるよう「今まで学んだことを活かし、何事も集中して丁寧に作業する」に決定しました。
今まで試行錯誤を重ね、チームメンバーで協力して行ってきたチーム農園作業も最後を迎えました。
作物を無駄にせず収穫して丁寧に持ち帰るのはもちろんのこと、使っていた道具をすべて片付ける、畑を耕して更地に戻す、周りの通路の雑草を刈るなど、チーム農園を最初に使い始めた時以上にきれいな状態にして返還してもらいました。
大きく成長した作物から、まだ成長途中の小さめの作物まで一つ一つ残さず丁寧に収穫していました。
また、まだ小さい作物をポットにあげ、家に持ち帰って育てることにしたチームもありました。引き続き心を込めて世話をしましょう。
ポットを塾に置き忘れて帰ってしまった塾生もいたのはとても残念です。
チームごとに作業を進める中、代表者でチーム農園全体を囲っていた鹿よけネットの撤去も行いました。
畑で使っていた道具も一つひとつ丁寧に洗って片付けました。バラバラになったままにせず、そろえて返すのも後で使う人への思いやりですね。
作物や使った道具などを片付けた後、畑をよく耕して平らにならしました。見た目をきれいにする目的だけでなく、今まで作物の根が張っていた畑の土をほぐして休ませます。
メンバーを一人残し、お土産の分配に行ってしまったチームもありました。それを見かねた他のチームの塾生が手伝ってくれたのを知っていましたか?
各チームとも、大小さまざまの作物をうまく分ていました。
最後のステージだけあって、人数分収穫出来なかった作物を譲り合っている姿も見られました。
すべての作業が終了したらチェックリストを見ながら最終確認をし、塾頭のサインをもらって無事チーム農園返還となりました。そして最後は今まで8ヶ月間お世話になったチーム農園にお礼の挨拶をして解散しました。
昼食後の休憩時間を利用して、相撲の勝負で盛り上がっている塾生もいました。前回のステージで行う予定だった奉納相撲は雨天のため中止になってしまいましたが、今回は晴天に恵まれ土俵の上で見合っている姿は真剣そのものです。
また、小刀ややすりなどを使って木の工作に夢中になっている姿も見られました。
午後からは、最終ステージを迎え塾活動をしめくくる節目を祝って餅つきを行いました。
第5ステージで種を撒き、第15ステージで収穫したオカボを脱穀・籾摺り・精米してできたもち米を使って餅つきを行う予定でしたが、天候の影響で実入りが充分でなく収穫量も少なかったため収穫したオカボは来年度の種として使用することになりました。
まずは蒸篭(せいろ)を使ってふかしたもち米を臼に移し、杵を使ってつぶしてこねます。
体重をしっかりのせて行う力仕事なのでスタッフが行いました。
いよいよ塾生の出番です。振り上げた杵をそのまま真下に落とすようにして餅をついていきました。何回かついているうちにコツをつかみ、表情から真剣さが伝わってきました。
もちを返す人の手をつかないようにする、万が一杵が手からすり抜けてしまった時に当たらない場所から見学する、など各自が安全に気を配りながら行いました。
もち米の粒が見えずなめらかになったらつき終わりです。
つき終わったもちをちぎって丸め、味付けなども自分たちで行いました。
餅つき後のおやつには、つきたてのお餅をいただきました。きなこ餅とゴマ醤油をつけたお餅、どちらも人気でした。
塾生たちは2?3人ずつ組みになり、スタッフがマルチ(保温・保湿のためのビニル)を張った畝に、1人が穴を開け、もう1人(2人)がタマネギの苗を植えていきました。
土が乾燥していて穴がすぐ埋まってしまう状態でしたが、根をしっかり土の中に植えられるよう工夫して丁寧に作業を行っていました。
12ステージで植え付け、草取りや追肥、虫取りなどの世話をしてきたキャベツが収穫時期を迎えました。
まだ少し小さいのですが、持ち帰ってもらうチャンスを逃して食べきれずに無駄にしてしまう訳にはいきません。前に収穫した時のことを思い出し、丁寧にキャベツを収穫してもらいました。
のこぎり鎌でとった後、根っこを抜いてひっくり返したのはなぜだか覚えているでしょうか?
並木事務局長より卒塾式の流れの説明を受けた後、卒塾式で歌う「今日の日はさようなら」「故郷」の歌の練習を行いました。また、今回で塾活動が終わりとなるため、荷物もすべて家に持ち帰らなくてはいけません。持ち物をすべて荷造りし、空になった衣装ケースの中の掃除も行ってもらいました。
歌詞の意味を思い浮かべ、気持ちを込めて歌うことはできたでしょうか。本番でも恥ずかしがらず大きな声で歌いましょう。
忘れもののカゴを再確認してもらったところ、無くしたと思っていたものが見つかった塾生も多かったようです。しっかり箱に詰めて今度こそ忘れ物がないようにしましょう。
朝食を食べ終わる目安の時間5分前に、前日のリーダー会議に出席していたリーダー・サブリーダーから塾生全員に向けて提案がありました。
「最後のステージなのに、まだ悪ふざけをしている塾生がいることが残念です。土曜日までの共同生活目標の達成度も低かったので、あらためて気合を入れなおし、最後のステージで悔いが残らないようにしましょう!」
毎ステージ、リーダー会議では出席者から提案事項や相談したいことを出してもらい話し合っていましたが、「塾生全体に呼びかけたい」という意見が出たのは初めてでした。提案を聞いた塾生は、あらためて気を引き締めることができたようです。
第18ステージ最後の活動は大掃除です。前半はまず共同場所をチームごとに分担し、塾舎周辺(玄関前、かまど小屋、ベランダ、地下倉庫など)と農機具の掃除・手入れを行ってもらいました。いつもは掃除をしないような場所も、丁寧かつ真剣に掃除を行っていました。
毎回ご飯を炊く時に使用していたかまどを分解し、手を真っ黒にしながらすすをこすり落としていました。
地下倉庫では、農機具を外に運び出してから窓や床の汚れをしっかり落としていました。
この大掃除では、ほとんどの塾生が今までで1番と言っても良いくらい真剣に掃除を行っていました。感謝の気持ちを込めて掃除することができた証拠ではないでしょうか。しかし、本当に一部の塾生がだらだらと話をしながら農機具の手入れを行っていました。口だけ良い事を言って行動に移さない、やろうとする気持ち・態度が見られなかったことが残念で仕方がありません。
後半は、今までで一番長い時間お世話になってきた場所、塾生室の大掃除を行いました。窓ガラスや網戸、ベランダの床、押入れの中や蛍光灯のカバーなどすみずみまで掃除を行いました。普段使っている場所が予想以上に汚れていることに驚きながらも、きれいになっていく様子を見てすがすがしい気持ちになれたようです。
お気に入りの遊び場所となっていたロフトの窓も汚れが溜まっていました。
掃除はすべて終わっているか、また落ちない汚れや破損しているものはないかを確認して、チェックリストに記入しました。
昼食後、木全塾頭からお話がありました。「大きなケガもせず、災害もなく全てのステージを無事を終えることが出来たこと、とても感謝しています。また、昨日のリーダー会議で、リーダー・サブリーダーが自分たちから塾生みんなに提案したいと言ってくれたこと、本当に嬉しかったです。塾生活をふりかえると楽しいことばかりではなかったと思いますが、これは人生についても同じことが言えます。困難なことがあったら、勇気を持って乗り越えること、そこに達成感や満足感を得ることができます。
勇気と自信を持って、努力を惜しまず、反省・感謝の気持ちを忘れずにこれからも頑張っていってください。卒塾で終わりにするのでなく、ここで学んだことを色々な場所で活かし心の成長につなげていってください。」
最後に、塾生室の清掃が全部終わったことを確かめ、チェックリストに塾頭のサインをもらいました。お世話になった塾生室に別れを告げ、挨拶をして解散となりました。
塾からバスに乗って帰るのもこれで本当に最後です。塾生はいつまでも手を振り、バスは去っていきました。
入塾から8ヶ月が経ち、あっと言う間に全18ステージが終わりましたが、今回のステージで今までの活動を振り返ることはできましたか?入塾式で話した抱負、第13ステージで考えた残り3分の1ステージの抱負などは達成できたでしょうか。
中には、まだ全18ステージが終わったことが実感できず、自分自身まったく成長していないのでは?と感じている塾生もいるかもしれません。もちろんまだ克服できていないこともあるかもしれませんが、努力していけば成長できることを塾で学べたと思います。
そして、自分では気付いていなくても、一人ひとりに成長があったと自信を持っていいと思います。目に見えた成長には気付かなくても心の中には大切な芽が育っています。「自分はやればできるんだ」という自信を持ち、その自信を胸にこれからも頑張っていってもらいたいと思います。
Y.S.
ほかにもイロイロあんなこと、こんなこと。自然塾豆知識コーナー