br> (市村自然塾 関東 OB会)
今回のステージでは避難訓練や危険予知訓練を行います。これからの塾での共同生活や農作業の最中に危険な場面に出くわす可能性があります。ひとつ間違えれば大きな怪我につながりかねないため、塾生には早いうちに自分で危険を察知する力を身につけて欲しいと考え、今回はテーマを「安全(危険)を知る」に設定しました。また、安全に作業・生活するためには注意深く「人の話を聴く」ことが重要だということで共同生活の目標として掲げました。
第2ステージを始めるにあたり、木全塾頭から話がありました。
「前回の活動中、皆さんの部屋の中が乱雑でした。きちんと丁寧に整理整頓しないと危険です。今回のテーマ『安全』にも関わる事なので、整理整頓を心がけましょう。また、今回の目標『人の話を聴く』と自分の力になります。話だけでなく他の人の良い心や行動を真似してみましょう。」
次にステージ担当より、翌日の予定と共にゴボウの種を水につけると発芽しやすくなる話がありました。種を播いて水をやるだけではなく、作物を育てる工夫が必要だということが分かったかな?
明晩のチーム農園計画の発表準備を自由時間に進めています。9時半の消灯時間までは2階塾生室を使用できるため、このチームはロフトに集まって発表用紙へ記入していました。
こちらのチームは完全消灯時間ギリギリまで作業するために1階食堂でチーム農園の作付け計画を検討していました。がんばった分だけ成果が表れると良いですね。
災害時の避難経路を知り、安全に速やかに避難できるようになるために、避難訓練を行いました。塾生が2階の塾生室にいる時に大きな地震が発生し、厨房から火災が発生したという想定で、訓練を実施しました。
塾生たちは直ぐにガラス窓から離れ、柱の多い塾生室入口付近に集まりました。その後、スタッフの指示に従い、スモークマシンの煙が充満した塾舎内から脱出しました。
割合と速やかに塾庭に避難できました。木全塾頭からは「よくできたが少し私語が多い。また、学校や家で避難する時はどうすればよいか考えてみよう」との総評をいただきました。
続いて、消火器の訓練も行いました。「火事だ!」と大きな声を出して周囲に知らせることがポイントです。塾庭に塾生たちの大きな声が響きました。実際に消火器を使う場面に出くわさない事が一番良いのですが、体験として実施しました。
おやつの後は共同生活中の危険を察知するために危険予知訓練を行いました。
まずはスライドでイラストを映写して危険だと思う人物や場所・状況を探してもらいました。そして、その危険箇所がなぜ危険なのかを考えてもらい、その危険を避けるためにどのようなことをすればいいか対策を考えてもらいました。
次に実際に塾舎内外を巡り歩いて、危険だと思われるところを探し出してもらいました。イラストとは異なり、危険箇所が分かりにくいのでしょうか、塾生たちは段々と集中できなくなってきました。最後に、みんな冷静な時は割合と危険を探し出せるものの、遊びに夢中になってしまうと状況が見えなくなるので、気をつけながら遊びましょう!と呼びかけました。
このチームは、昼食後の自由時間を使って、いよいよ当日夜に迫ったチーム農園計画の発表準備を進めていました。非常に熱心な様子が伝わってきます。
塾生たちは塾舎からスコップを持って畑に出かけました。形の良いゴボウを育てるためには、畑を深く柔らかく耕さなければなりません。この日は比較的涼しく、穴掘り日和でした。
目標は1m!土を柔らかくすることで、ゴボウはまっすぐ育ちます。農業指導の先生の話を聞いてから作業を開始しました。みんな勢いよく掘り始めました。
掘り始めて1時間、塾生たちの腿から腰の深さくらいになりました。しかし、このあたりから土が硬くなる「マサ」にぶつかるのです。ここからが大変な作業でした。予定時間を大幅にオーバーして、ようやく休憩になりました。どのくらい掘れたか深さを実感するために塾生がしゃがんでみると、すっぽり穴の中に入ってしまうくらいでした。
おやつ休憩の後は、ゴボウの種を播くために穴(溝)を埋め戻す作業です。「せっかく掘ったのに...」と言う声も聞こえました。この苦労が秋収穫する時に結果として出るのです。長くて立派なゴボウになることを祈って柔らかく土を埋め戻しました。
続いては、スコップを鍬(くわ)に持ち替えて、種をまくためのベッド=畝(うね)を作りました。深かった穴もすっかり元通りになり、きれいな平らな畝になりました。
長かった下準備も終わり、ようやくゴボウの種まきです。このために頑張って深い穴を掘ったのだからと、塾生たちは一粒一粒丁寧に種をまきました。
自然塾では(当然のことですが)使用した道具は全て塾生たち自身の手によって洗ってもらいます。今回は土のこびりついたスコップと鍬(くわ)が人数分ありましたので、トロ舟(たらい)の水が特に茶色く濁って見えました。
この時間は、第1ステージに話し合いをしたチーム農園の作付け計画の発表を行ってもらいました。このために各チームとも自由時間を使って準備を進めてきました。
チーム名と由来、メンバー構成、育てる作物と目的・目標を順々に発表していき、発表が終わるとスタッフや他の塾生から質問やアドバイスが次々と浴びせられます。各チームとも質問によって明らかになった検討すべき点やアドバイスを把握できたのでしょうか?これからのチーム農園活動に反映してもらえることを期待しています。
自然塾では日曜日の朝食前に心を落ち着かせて瞑想する時間を設けていることは以前にも報告しました。その際、二十四節季という昔の暦(こよみ)における季節の区分を紹介しています。今回は「清明」といって、桜など草木の花が咲き始め、万物に晴朗の気が溢れてくる毎年4月5日頃を指す言葉を紹介しました。すがすがしく明るく美しい季節感を五官で感じることができたでしょうか?
日曜日の午前中前半の共同農園作業はダイコンの種まきでした。
鍬(くわ)を使って土を削り盛って、かまぼこ型の畝(うね)を作りました。塾生たちはまだ、鍬を使うのに慣れていませんので、最後の仕上げは手で行いました。これから作業を重ねていくにつれて、これらの道具が思うように使えるようになるでしょう。何事も経験です。
出来上がった畝にダイコンの種を播いていきました。野菜の種類によって覆土(ふくど...種を覆う土)の厚さが変わります。ゴボウは光が当たったほうが発芽しやすいので覆土は薄く、逆にダイコンは光が当たらないほうが発芽しやすいので覆土は厚くしました。大きくなるのが楽しみですね。
自然塾ではどのステージにどの野菜にどんな世話をするかを巨大な作付け表にまとめて、土間に貼り出してあります。作業を完了した証として、塾生の代表者数名に野菜シールを貼ってもらいました。
日曜日の午前中後半の作業は、チーム農園作業でした。今回は作物を育てる前の準備作業「土作り」を行いました。この「土作り」は、空気や水を適度に含む作物が育ちやすい環境を作ることで、自然塾では畑に牛糞堆肥と腐葉土を混ぜ込んでいます。
牛糞堆肥は15?20kgもの重さがあります。チームのメンバーと協力して畑まで運びました。チームワークが大事なのです。
プラスチック製の箕(み...写真オレンジ色の道具)に堆肥、腐葉土を乗せて自分達の畑に満遍なく撒きました。腐葉土は一昨年の冬にスタッフが山から集めた落ち葉を昨年一年間寝かせて作った自然塾産です。
次は耕運をしました。チームのメンバーが力をあわせて畑を耕します。みんな力強い姿を見せてくれました。この後、最後の仕上げに畑を平らにならしました。これは畑が平らでないと一箇所に雨水がたまったり、畑の土が外に流れ出てしまうために重要な作業なのです。
第2ステージを終了するに当たり、木全塾頭から話がありました。
「みんな塾生活に慣れてきた反面、怠け心・ズルい心など悪い面が目立ってきました。良い心を発揮して面倒なこと・嫌な事にチャレンジして一生懸命やりましょう。ゴボウの穴を掘りましたが、これで簡単に芽が出るわけではありません。自然は人間の都合に合わせてはくれないのです。また、『人の話を聴く』ことは難しいけれど大切なことです。今後も人の話をよく聴いて他人から学ぶようにしましょう。」
今回は2回目の活動となり、塾生同士がずいぶんと仲が良くなった事で、食事中に大声で話したり、好きなものだけ一杯食べて、嫌いなものは残そうとするるなど、良くないところが見られました。また、共同生活の目標である「話を聴く」ことについても、注意深く聴く塾生と、そうではない塾生とがいました。「聴く」ことと「聞く」ことでは大きく違います。単に「聞こえている」状態から、耳を外に出して「傾聴する」姿勢を身につけて欲しいと願います。
また、危険予知訓練の最後にも振り返りましたが、私たちスタッフが「管理」して塾生たちを危険から遠ざけることもできますが、それでは塾生は危険を察知する能力を身につけることはできません。怪我や事故を起こさないためには、自分を戒めたり、整理整頓をする、といった普段からの心構えが重要です。また、便利な道具も使い方によっては危険になります。塾での生活に慣れて、気持ちが浮ついている今こそ、塾生各人が自らの行動を意識し、習ったこと・覚えたことをきちんと丁寧にやる事を心がけて欲しいものです。
?H.T.
ほかにもイロイロあんなこと、こんなこと。自然塾豆知識コーナー