br> (市村自然塾 関東 OB会)
前回までに全体の3分の1ステージを終えたことから、今ステージではまず今までの共同生活の目標をふりかえり、それぞれ一番出来ていなかったと思う目標を今ステージの目標としてもらいました。農作業では、第1ステージに植え付けたジャガイモ、前回まだ時期が早かったコムギを収穫することができました。生きるために必要な食べ物を大切に扱うことを心がけてもらいました。
第7ステージを始めるにあたり、木全塾頭からお話がありました。
「塾での生活を通して学んで欲しいことが4つあります。
1.自分勝手やわがままは許されない。やっていいことといけないことを理解しましょう。
2.仲間を大切にする。
3.時間やルールを守る、など人間として当り前のことができるようになる。
4.自分から進んでやる。実際にやってみないと難しさが分かりません。
これらを自分で気付くことによって信用され、信頼される人間になって欲しいと思います。ケンカが強いというのではなく、意思が強い・頑張れる人間になってください。」
また、今までのステージをふりかえって、布団の敷き方やしまい方・掃除の仕方など生活に関わることから、種まきや植え付け・農機具の使い方など農作業に関わることまで、どんなことが身についたかを確認しました。 まだ分からないことはしっかり覚えましょう。
4ステージごとに1回、チームごとに回ってくる朝食準備。かまどで火を起こしご飯を炊くのは、昔から行われてきた基本的なことですが、実際にやってみると特に難しさを実感することではないでしょうか。
第1ステージで植え付けをしてから約3ヶ月、収穫の時期を迎えました。
作業を始める前に、植え付けた時に約60gだった種イモが何gのイモとして収穫できるのかを予想し、男爵1株に付いていたイモの重さを量ってみると、200gとなっていました。他の株ではもっとたくさんついていたものもあり、今回3?6倍のイモとして収穫できたことになります。
3ヶ月間、大地・自然からの恵みを受けて育ったこのジャガイモを、大切な食材として丁寧に、心をこめて収穫を行いました。
まずは、地上部にある茎や花を取り除きました。勢いよく抜くと大きく実ったイモが付いてくることもありますが、付いてきたイモはそっと畝の上に転がしました。
そして地上部は「疫病」という病気にかかっている恐れがあるため、次々に畑の外に運び出しました。「疫病」がイモに伝染すると、腐りやすくなってしまいます。
軍手を取替え、いよいよイモを掘り出します。
畝の中にイモが残ってしまわないように、しっかり土をすくって探し出しました。土の中で湿っていたイモを乱暴に扱うと傷が付きやすいため、優しく丁寧に土を掘りました。
掘り上げたイモはすぐに持ち帰らず、畝の上に転がしたまま日光を当てて乾燥させました。乾燥させると表面が丈夫になり、傷が付きにくくなります。
おやつを食べた後、それぞれチーム農園の作物に必要な世話を行いました。前もって作業を分担していたチームはスムーズに作業を行えたようです。
また、自分たちで調べてきた方法で作物の病気対策をしているチームもありました。メロンなどウリ科の作物のウドン粉病に、米のとぎ汁に砂糖を溶かしたものが効くそうです。
作物を立派に育てるため、調査をしたり知恵を出したり、仲間と協力したりすることが大切であるということを実感する場となっています。
チーム農園作業をする時間が足りなかったチームは、積極的に昼休みを使って作業を行っていました。「自分たちが世話をしないと作物が育たない!」と意識が高まってきた塾生が多いようです。
また、各チームから2名以上を募って全員分のお土産用レタスの収穫を行いました。
しっかり乾燥させたジャガイモを品種ごとにトレーに回収しました。5種類のイモはそれぞれ形や色が違っていましたね。
見た目が異なるだけでなくそれぞれに向いている調理方法があるため、夕食のコロッケには男爵を使用しました。
回収したジャガイモは、自分の手で倉庫前まで運んでいきました。多い人で5kgくらいのジャガイモを一生懸命運びました。
トレーの上でジャガイモがコロコロと転がってしまうと傷が付いてしまうのでここでも注意が必要です。
倉庫前では、小イモ・いたみイモ・緑化イモを別のトレーに分けていきました。
小イモ・いたみイモは長期保存に向いておらず、緑化イモは緑色の部分にソラニンという有毒物質を含むため調理時に取り除く必要があるからです。
一般的に、野菜を保存する時は畑に植わっていた時と近い状態にすると長持ちすると言われていますが、ジャガイモは日光に当たって緑化や萌芽(芽が出ようとすること)が進むことを避けるため、寒冷紗(かんれいしゃ)という黒く風通しの良い布をかけて保存しました。
第11ステージで実施する親子大会では、参加する保護者や兄弟などに楽しんでもらうための塾生企画を実施します。そのための話し合いを行いました。
まず、普段のチームの枠を越えたメンバーで企画グループを作り塾生たち自ら企画・運営をしてもらうため、あらかじめ考えてきてもらった「塾生企画でやってみたいこと」を発表してもらいました。
出てきたアイディアが時間内に行えるか、危険を伴わないか、などを話し合った後に、自分たちのやりたい企画ごとにグループを作りました。今のところ4グループですが、アイディアがたくさん出たらグループを分けて企画していっても面白いかもしれませんね。
できた企画グループごとに企画内容のアイディアを出し合い、シートに記入していきました。色々なアイディアが出てきて、本番がとても楽しみですね。自由時間に下見をかねて塾舎周辺を周っているチームもありました。
6月11日、七十二候の暦でも「腐草為蛍=ふそうほたるとなる」となり、蛍が飛び始める時期になりました。昔から自然塾近くの中津川で見られるホタルを、みんなで観察しに行きました。
まず出発前に、ホタルの生態に関するクイズを出しました。日本にいるホタルの種類は?ホタルは幼虫や卵でも光るのか?など。クイズの答え合わせをして観察する時の参考にしてもらった後、中津川へ出発しました。
観察場所に到着してから、約30分間チームごとに観察を行いました。何匹くらい見ることができたでしょうか。
「思っていたより少なかった」と言っていた塾生も多かったですが、20年ほど前にはホタルを全く見られなくなってしまった時期もあったそうです。農薬などで周囲の水環境が汚染され、エサとなるカワニナが生きられなくなってしまったそうです。色々な生き物がつながっているんですね。
日曜日は、前回のステージでは時期がまだ早く収穫できなかったコムギを収穫しました。6期生が昨年の11月に種を撒いたものなので約7ヶ月でやっと収穫です。一粒ひとつぶを無駄にしないよう、大切に収穫を行いました。
刈り取りには初めて「ノコギリ鎌」を使用しました。ノコギリ鎌の使い方、刈り取ったコムギの束ね方の説明の後に実際に作業をしてもらいました。
端をしっかり揃えてきつくしばらないとバラバラになってしまうので、作業がスムーズにできなくなるだけでなく実った穂が落ちて無駄になってしまいますが、束ね方に苦戦していた塾生も多いようでした。
束ねたコムギは、一輪車を使って塾舎まで運びました。しかし思ったよりも運ぶのは難しく穂が落ちてしまったため、後半は手でしっかり抱えて少しずつ運びました。
塾舎に到着したコムギは、リレーをしてベランダまで運びました。渡し方、受け取り方など、お互いに声をかけあって工夫する様子も見られました。
干し場に到着したコムギの束を、逆さにして棒にかけていきました。結ぶ場所がずれてしまうと、ひっくり返ってしまいそうになるのがイメージできるでしょうか。
?落ちてしまった穂も大切な命。刈り終わった畑や塾舎までの道、干し場に落ちた穂もしっかり拾い作業を終了しました。
ステージの締めくくりに木全塾頭からお話がありました。
「今ステージでは、ジャガイモ・コムギを収穫することができました。このように色々な食べ物を食べることができるのは大地・自然のおかげです。そして元気でいられるのは生きていた命をいただいているからですね。
『命をいただく』ということ意識して食物を粗末にせず、作ってくれる人に感謝できるようになってほしいと思います。」
今ステージは、梅雨の合間の晴れ間、暑い中での作業でしたが、予定通りジャガイモとコムギの収穫をすることができました。収穫を通して食べ物を大切に扱うことを意識してもらいましたが、しっかり意識できたでしょうか?食べ物を大切にするのはもちろんのこと、人と接する時も是非丁寧に向き合ってほしいと思います。また、いよいよ親子大会の塾生企画の話し合いも始まり、塾生のワクワクした表情が印象的です。「ワクワクを形にする=やってみたいことを進めていく」ためにもしっかり話し合うことが大切ですね。チーム以外のメンバーと交流を深めるチャンスでもあるので、もっともっと色々な塾生と交流して、色々な塾生の"魅力"を発見してもらいたいと思います。「もっとあぁしとけば良かった?」と後悔しないように、是非色々なことに積極的にチャレンジしてみましょう。
Y.S.
ほかにもイロイロあんなこと、こんなこと。自然塾豆知識コーナー