br> (市村自然塾 関東 OB会)
今回のステージでは、第2ステージで種まきをしたゴボウの収穫時期を迎えました。長く伸びたゴボウを収穫するためには大きな穴を掘り丁寧に取り出す必要があります。そこで、収穫する作業そのものの苦労を味わい汗を流すことで、一粒の種が大きく成長するまでに受けてきた自然の恵みとその喜びを体で感じてもらいたいとの想いからこのようなテーマで活動を行いました。共同生活の目標では、今までのステージをふりかえり、自分たちがあまりできていなかった目標、または「こういう風になりたい」と思うことを目標として設定してもらいました。また、前回同様ただ意識するだけではなく、具体的にどのように工夫することで目標を達成するのかも考えてもらいました。
活動を始めるにあたり、木全塾頭よりお話がありました。
「前回までで全体の3分の2ステージが終わりました。活動を通して色々なことが身に付いてきたと思いますが、まだまだ甘い部分があります。塾に到着した時に『こんばんは』と挨拶することができても、何気ない会話の中ではどうでしょうか。
身に付くというのは、どんなことでも真剣に取り組んでいく努力と、家や学校など他の場所でも継続して行うことが大切です。本当の意味で身に付けられるよう頑張っていきましょう。」
また、マナー講座の時に積極的に守っていくと約束し手形を押したものを普段から意識できているか、守れているかをふりかえりました。忘れてしまっていた塾生もいたようです。
残り3分の1ステージの活動を通して「こうなりたい」「このように活動していきたい」という抱負を一人一つずつ考えて塾生手帳に書き留めてもらいました。
「嫌いな野菜を食べられるようになる」
「言われてからやるのではなく、何事も自分から進んで動く」などさまざまな抱負が掲げられました。
種まきをしてから約5ヶ月が経ち、生育状況の良いムギワラボウシ畑のゴボウを収穫しました。
まず、ステージ担当から収穫作業をする時の注意事項
1. 安全のためスコップや土を隣の人に当てないようにすること
2. ゴボウを傷つけないようにするため近くの土は移植ゴテを使って慎重に掘ること
3. たくさんの土に埋もれてしまいやすい移植ゴテを責任を持って管理すること
の説明を聞いた後に、先生からゴボウの掘り方の見本を見せていただきました。あっという間に堀り上げる様子を見て、塾生たちも気合が入ったようです。
早速掘り始めます。一生懸命掘り進め、塾生がすっぽり隠れることができそうなほど大きな穴が次々に見られました。
掘り上げる作業に夢中になり、おやつの時間になってもまだ掘り続けようとする塾生もいましたが、後半の掘り上げ作業に向けて一旦休憩を取りました。
汗だくになった中でのおやつはまた格別です。ヤマモモのアイスをいただきました。
おやつをいただいて後半も気合たっぷりでスタートしました。
ゴボウの根が成長する時に硬い土に当たってしまい、二股(多いものでは5つくらい)に分かれてしまったり斜め奥の方向に伸びているものもありました。このように掘るのが難しいゴボウは、塾生同士協力し合って掘り進めていました。
汗を流してゴボウを掘り上げ、収穫の喜びを実感することができたようです。それぞれに長さや太さ、形など色々なゴボウを収穫することができました。
今回のチーム農園作業では、夏までの作物の片付けと秋からの野菜の植え付け・種まきを行いました。こういった色々な作業を行う予定であることを各チームしっかりと自覚しており、ほとんどのチームが集合時間前から作業を開始するなど積極的に作業を進めていました。
雑草と収穫時期を終えた作物を刈り取っていました。この場所には黒い色をした辛いダイコンの種をまいたようです。
クワの使い方も慣れたものです。クワの重みをうまく利用して土を耕していました。
このチームはジャガイモを植えつけるための準備をしていました。第1ステージの共同農園作業で行ったことを思い出しながら、種イモを切って切り口に灰を付けていました。
苗の植え付け、種まきをしているチームもありました。苗の扱い方や植える深さなど、お互いに確認しあいながら進めていました。ホウレンソウの種は前の晩から水につけて準備していたようです。このように前もって準備するかが、うまく成長するかどうかの分かれ道になってしまいます。
あまり世話が必要ないとされるサツマイモですが、つるが通路まで伸び雑草もたくさん生えてきていました。そこでサツマイモ特有の世話「つる返し」と草取りを行ってもらいました。
まずは「つる返し」です。通路まで伸びたつるをそっと持ち上げて畝の上にのせていきました。つるや葉を踏まないようにするためという理由もありますが、主な目的は伸びたつるの葉の付け根(不定根)にイモが出来ることを防ぐためです。色んな場所にイモができると大きいイモが収穫できなくなってしまいます。
つる返しの後に、雑草を取りました。つるがたくさん伸びていたため、つるを傷付けないよう草刈りガマを使わずに手で抜いていきました。
作物の状況によって、カマを使わない方が良いこともありますね。
塾生たちが通塾に慣れてきたと同時に、スタッフの送迎体制も少しずつ変わっていきます。そこで、通塾時にトラブルがあった時にどのように対応するべきかをケースごとに考え、意見を出し合ってもらいました。
自分たちの意見だけでなく、他のグループの意見や、ステージ担当からの話などをシートに書き留めていました。
公共のマナーを守り、お互いの様子に気を配って助け合うことが基本です。もしもいつもと違う状況になったら、1. 落ちついて 2. 情報を集めてから 3. 塾に連絡するようにしましょう。
前回第12ステージで植え付けを行った秋野菜に追肥を行いました。
まずは、防虫ネットを外して肥料となる鶏糞をまきました。まく場所は畝の肩の部分。伸びていく根の先端部分から栄養素を吸収します。根が広がっている範囲の目安は、大きくなった葉の先端でしたね。
まいた肥料の上に土寄せをしていきました。土寄せは何のために必要だったか、覚えているでしょうか。
前回、土が湿って状態があまりよくない中で苗を植えつけたため、通路が硬くなっていました。こういう時こそ、腕の力で土をすくうのではなく、クワの重みをうまく使うようにしましょう。
まずは、畝立てを行いました。慣れたもので素早く畝を立てることができました。
次に、畝の上を板で叩いていく「鎮圧」という作業を行いました。土の粒と粒の間のすき間が小さくなることで、種が芽を出す時に必要な水分を保ちやすくするためです。
畝に溝を付け、種を一粒ひとつぶ丁寧にまいていきました。今回種をまいたのはホウレンソウ・ミズナ・チンゲンサイ・コマツナの4種類ですが、それぞれ種はとても小さく、落とさないようににらめっこしていました。
アブラムシなど小さな虫の食害を防ぐため、目が細かくふわふわなベタがけネットをかける予定です。
ステージのまとめとして木全塾頭からお話をいただきました。
「今回、一生懸命に土を掘りゴボウを収穫することができました。協力し合うことができたからこそ最後までやりとげることが出来たのではないでしょうか。小さな種があんなにも大きく成長したのは、ゴボウの生命力・太陽など自然の恵みのおかげです。
また、スーパーで簡単に手に入るようなものでも、自然の恵みそして人々の手間ひまがかかっています。食べ物だけでなく、何でも簡単に手に入るとは思わないようにしましょう。そして私たちが生きるために恩恵を受けている身の回りの自然を大切にするとともに、感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。」
今回、無事ゴボウの収穫作業を行うことができました。汗を流しながらの大変な作業でしたが、いつも以上に真剣な様子が見られました。
どこまで続いているのか分からないものを掘る好奇心や、他の塾生に負けたくないという闘争心など理由は色々あったようですが、諦めずに掘り上げた時の満足そうな顔は印象的でした。
しかし、他の作業では集中力が続かずにだらけてしまう様子も多く見られました。一部の作業だけ頑張るのでなく、どの作業も一生懸命になり、つる返しをした時に根がプチプチッと抜ける感触のように、行ってみて初めて分かるその作業ならではの楽しさ・やりがいなどを見つけられるようになってもらいたいと思います。
また、考えた抱負も今回限りにならないようしっかり意識していきましょう。
Y.S.
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