br> (市村自然塾 関東 OB会)
今回のステージでは、第2ステージで種まきをしたゴボウの収穫を予定しています。長く伸びたゴボウを収穫するためには大きな穴を掘り、丁寧に取り出す必要があります。そこで、収穫する作業そのものの苦労を味わい汗を流すことで、一粒の種が大きく成長するまでに受けてきた自然の恵みとその喜びを体で感じてもらいたいとの想いからこのようなテーマで活動を行いました。
台風13号の接近により、直前までステージ開催が危ぶまれましたが、当初予想より台風が早くかつ沖よりを進んだため、影響は少ないと判断し、晴耕雨読のステージを行うことになりました。
また共同生活の目標には、今までのステージをふりかえり、自分たちがあまりできていなかった目標、を選んでもらいました。チーム目標を決めるのは今回が最後です。また、前回同様ただ意識するだけではなく、具体的にどのように工夫することで目標を達成するのかも考えてもらいました。
活動を始めるにあたり、木全塾頭よりお話がありました。
「前回までで全体の3分の2ステージが終わり、残り3分の1ステージを残すのみとなりました。活動を通して行っていることには意味があります。それは、『身につく』ということです。挨拶でも、食事の配膳でも、まだ皆さんは身についていません。身につけるためには、真剣に覚えようとする努力や気持ちと、覚えたことを学校や家などさまざまな場面で使っていくことで自分のものになっていきます。
残りのステージでは、これらのことを心がけ、いろいろなことが身につくと人間性(感性・心の広さなど)が高まります。
面倒なことを避けていては成長できません。そのようなことこそ、頑張ってください。
今回は、チームで目標を決める最終回です。各チームごと、今までの共同生活目標を振り返って一番出来ていなかった目標を共同生活目標に掲げてもらいました。
4チーム中、3チームが人の話を聴く?という結果になりました。そんなに人の話が聴けていないのでしょうか?努力して聴くようにしましょう。
台風13号の直撃は逃れたものの、夜の間にかなりの雨が降り、畑で農作業を出来るコンディションではありませんでした。そこで、まずはいつも農作業に行く前に行っている準備体操の意味をしっかり理解し、意識して行ってやってもらうため、まず簡単にストレッチングの要点を説明し、じっくり体を伸ばしました。
おやつをはさみ、共同農園やチーム農園で育てられている作物が加工されたり保存されたりしている実例が資料でいくつか紹介されました。
また、収穫された作物がどうして鮮度が落ちていくのかの話がありました。
食品加工の話が終わった後、昼食までの間は、晴耕雨読ということで読書タイムとしました。
普段は、賑やかな塾生たちもしんと静まりかえって読書に没頭していました。
午前中は雨もやみ、塾頭さん自ら試し掘りもしてみた結果、午後にはゴボウ掘りに挑戦することになりました。
第2ステージで1m近い穴を掘って種を播いたゴボウですが、どのくらいのゴボウが収穫できるでしょうか?
まずは、スタッフからゴボウを掘る際の注意点を聴き、実際にどのように掘るかを見ました。
まず、スコップをほかの人にぶつけないなど、道具を安全に使うことが何よりも大切です。
その上でゴボウをいかに切らずに、傷めずに、長く、掘るかのポイントを聴きました。
いよいよゴボウ掘りのスタートです。ゴボウの根を切らないように、少し離れたところから土を掘っていきました。
隣り合ったゴボウの根や時には枝分かれした根もありました。
そうした根を傷つけないように、慎重に慎重に土を掘り下げていきました。
また、穴の底にたまった土を穴の外に上げるのが重いんです。
第2ステージで頑張って土を掘り下げたかいあって、長さ1m近い立派なゴボウがあちらでもこちらでも収穫できました。いっぱい汗もかきました。
ゴボウを掘り上げたあとの穴はしっかりと埋め戻しました。
ゴボウ掘りが一段落ついて、おやつの時間、この日はヤマモモのアイスでした。
いっぱい汗をかいた体においしさがしみました。
自分が掘り上げたゴボウと、同じ畑からニンジンを取ってお土産として包んで持ち帰りました。
いろいろな収穫物をお土産として包んでいるので、塾生は卒塾までには包装の達人?になっているはずです。
塾生たちの頑張りで、ゴボウ掘りはおやつ前に終わりました。
おやつを食べてお土産を包装したあと、塾生たちにはトマト畝周辺の雑草刈りを行ってもらいました。
大変な一仕事が終わったあとの作業で、集中力の切れる塾生も中には見られましたが、雑草に覆われた畝はみんなの力できれいになりました。
入塾から3分の2ステージが過ぎ、スタッフの送迎体制も変わってきました。市村自然塾の、自主・自立・自律の精神からいっても、公共のマナーを守り、お互いの様子に気を配って助け合うことが大切です。
塾生は5つのグループに分かれてもらい、それぞれ5つのケースごとに、どうしたらよいか話し合ってもらいました。
迎えのスタッフが来なかったら?仲間の塾生がいなかったら?自分たちだけで通塾しなければならなくなったら?途中乗車の塾生が乗ってこなかったら?
電車酔いやトイレなどで誰かが途中下車しなければならなくなったら?
それぞれのケースについて、グループごとに話し合ってもらい、発表してもらいました。
何かトラブルが起こった場合には、1. 落ち着いて、2. よく情報を集め、3. 自然塾に連絡する、ことが大切です。
夜の間にまたも雨が降りましたが、土の状態はそれほど悪くなかったので、葉もの野菜(ホウレンソウ・コマツナ・ミズナ・チンゲンサイ)の種まきを行いました。
葉もの野菜の種まきは、自然塾では溝底播種という方法をとっています。まわりより少しくぼませた溝の中に種を播いていけば、いつも湿り気が保たれているので、発芽しやすいという理屈です。
種まき作業は、一粒一粒播かなければならず、とても根気のいる作業ですが、全員で分担して4種類の種を播くことができました。
今日のおやつはスタッフ特製モンブラン!
なぜか、おやつを配っているのは、スタッフではなくて、いつも決まった顔ぶれが決まった場所に陣取っていたりして。
でも、みんなに精一杯笑顔で応対していました。
このチームは、シソの葉と実を収穫していました。どうやって使うのかな?
おいしい使い方がいろいろあるので、大事に使ってね。
ちょっと変わった形になる西洋作物『コールラビ』それも紫の品種です。ポットに播種したものはほとんど芽を出しました。
今回畑に植え付けました。立派なものが収穫でき、おいしく食べられるとよいですね。
このチームでは、葉もの野菜の播種で行った溝底播種の方法をさっそく取り入れていました。
溝を作るのに使っているのは支柱です。何でも使いようによっては、応用が利きますね。
ステージのまとめとして木全塾頭がありました。
「今回、天候が悪い中、ゴボウの収穫をしてもらったことに意義があります。第2ステージに種を播き、さまざまな世話をしてきました。ゴボウの収穫に一心不乱に頑張っている姿を見て感動しました。皆さんはゴボウ掘りのような大変な仕事を頑張れたのだから、これからどのような作業も頑張れると思います。
また、自分で頑張って手に入れたものは、欲しいものを買ってもらって手に入れたときと満足感が違うと思います。2mmぐらいの種があのように長く大きくなったのは自然の力です。自然は、一生懸命やったときの満足感、本当の楽しさを感じさせてくれます。
また、恵みを与えてくれます。自然塾の3つの心に「自然を慈しむ心」があります。ごみを捨てたりせず、いろいろなものを与えてくれる自然に感謝して欲しい。そして、これから皆さんには、何ごとにも努力して欲しい。」
今回のステージは、台風13号が直撃するかもしれないという予報のもと、ステージを行えるかどうかの判断を直前まで待つといった状態で臨まざるを得ませんでした。幸い、台風は当初より早くかつ沖合いを通過する見込みとなったため、ステージは行えると判断し、あとは天候や畑の状況によって、プログラムを行っていこうということになりました。
本来のこのステージの最大のイベントはゴボウ掘りでした。第2ステージで汗水流して深い穴を掘って種を播き、世話してきたゴボウを、再び汗水流して収穫するのです。雨や畑の状況によっては出来なくなる可能性もありました。幸いにして、畑の状況は土曜日の午後には何とかゴボウを掘り上げられるほどになり、塾生たちはゴボウ収穫の汗をかく喜びを全身で味わうことができました。掘り上げたゴボウも1m近い立派なものが多く、みんな嬉しそうにお土産に持ち帰りました。
そのほかの時間帯では、土曜日の午前中だけは、台風余波の雨の影響で畑に出ることが出来ず、晴耕雨読のプログラムとして、普段出来ない、ストレッチングや作物の加工の話、読書タイムなどにあてましたが、そのほかの時間は、何とか農作業を行うことができました。
今回のステージを振り返ってみて、塾生たちには、ゴボウ掘りという一大イベントを経て、たくましくなってくれるとよいと考えています。私自身、台風にしろ何にしろ、自然のなすわざ、恵み、に対しては人間の存在は小さく、感謝の気持ちを持たなければいけないなあと改めて考えさせられたステージでした。
T.K.
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