2015.10.30~11.01
第17ステージ ~男子~
ステージテーマ:
「自然の恵みとお世話になった人に感謝の気持ちを表そう!」
共同生活の目標:
「全体で1つ決める(3回目)」
いよいよ残り2ステージとなった14期生の活動。今回のステージではいままでの活動でお世話になってきた方や、たくさんの恵みをいただいている自然に感謝する収穫祭を行いました。自分たちが育ててきた野菜を収穫し、協力して調理を行い、開封したばかりの味噌で味付けをしたごった煮汁を、みんなで楽しくおいしくいただきました。
■ 10月30日(金) 夜の集い ~塾頭の話~
活動のはじめに塾頭よりお話をいただきました。
「今回はいよいよ収穫祭です。みんなが一生懸命世話してきた秋野菜がよく育っています。いままでみんなはいろいろな人に支えられて活動してきました。明日はこれまでお世話になったたくさんのお客様が来ます。ぜひ感謝の気持ちを持って接してください。そして、たくさんの野菜を育ててくれた大地、自然にも感謝しましょう。前回はここ寄(やどりき)の地域の人に感謝の気持ちを込めてボランティア清掃をしました。明日は自然と人に対して『おかげさまの心』を持って、行動してください。
また収穫祭では味噌の開封をして、その味噌を使って調理を行います。第3ステージに仕込んだ味噌がどうできあがっているのか楽しみですね。午後は奉納相撲(ほうのうずもう)をします。ここまで事故や怪我をすることなく活動できたこと、一緒に活動してきた仲間に感謝して一生懸命取り組んで欲しいと思います。残りは2ステージですが、入塾したときの目標は達成できましたか。『3つの心と2つの力』は身につきましたか。自分でよく振り返ってみてください。」
■ 10月30日(金) 夜の集い ~共同生活目標決め~
前回に引き続き、リーダーたちが司会進行をつとめ、話し合いました。「収穫祭でやることがたくさんあるから、一つ一つ時間を守れるようにしたい」「話をよく聴いていないと、次の行動が遅くなってしまうから『人の話を聴く』にしたい」「今ステージではコムギの種まきを行うから、小さい種を丁寧にまけるように『心を込めて丁寧にする』がいいと思う」などの意見がでました。時間内に決まらなかったので、解散後に出た意見を参考にリーダーたちが目標を決めました。
その結果、全員で取り組むためには、みんなが守れるように賛同が多いものにしよう、多くのお客様に自分たちの成長した姿をみてもらおうとの理由で「何事も心を込めてきちんと丁寧に作業する」に決定しました。
■ 10月31日(土) 収穫祭 ~会場準備~
朝食後、収穫祭で使うテーブルとイスをみんなで協力して塾舎から塾庭へ運び、セッティングをしました。
「テーブルなんて軽い、軽い!」
「あっちに並べよう。」
■ 10月31日(土) 収穫祭~味噌の開封~
会場準備を終え、土間に集合し、塾頭の開会宣言より収穫祭が始まりました。
最初は味噌の開封を行いました。味噌作りでもご指導いただいた箕輪ご夫妻より、開封にあたっての説明がありました。「味噌は生きています。丁寧に作業しましょう。」
さぁ、待ちに待った開封の瞬間。
塾生たちは早く中を見たくてたまらないといった様子でした。
「わぁ!」「おぉ!」
各チームからいろいろな声が上がりました。表面に生えたカビを取り除き、収穫祭の調理で使う分と、お土産用を取り分けました。残った味噌は、表面を平らにし、ラップをかけて来年度の食材として再び保管しました。
作業の合間には味見をしているチームもありました。
「いつも家で食べているものと味が違う。」
「売っているものより白いね。」
「うまい!」
味噌開封のまとめとして箕輪ご夫妻にお話をいただきました。「みなさん、味噌の味はどうでしたか。第3ステージで作った時に味見をしたものと印象が違ったでしょう。これが7ヶ月間、熟成(じゅくせい)させた結果です。みなさんは7ヶ月経って何か変わりましたか?味噌作りの時に『味噌のような人になって欲しい』と話しました。味噌は料理の主役にはなりませんが、味噌汁の中でどんな素材の味もうまく引き立てます。みなさんも周りの人の良いところをどんどん見つけて認めてあげられる人になってください。そして謙虚(けんきょ)な気持ちを持ち続けて欲しいと思います。」
■ 10月31日(土) 収穫祭 ~野菜の収穫~
つぎに、各チームに分かれてこのあとの野外調理で使う野菜と、活動中の食材となる野菜を収穫に、はりきってでかけました。
第12ステージに植えつけた秋野菜。植えつけた当初は悪天候が続いて生育状態が良くありませんでしたが、ここ最近の晴天でこんなに立派になりました。
「緑のブーケ!」「顔より大きいかも!?」
たくさんの収穫物をいくつかのチームでお互いに協力して運んでいる姿もありました。
■ 10月31日(土) 収穫祭 ~野菜の洗浄・奉納~
塾舎に戻り、収穫した野菜をきれいに洗いました。なかには土だけでなく、小さな虫がついている野菜もありましたが、食べる人のことを考え、丁寧に洗っていました。
洗った野菜を奉納台に並べていきます。
「ダイコンは立てて、このサトイモはまとめて・・・」
いろどりやバランスを考えて並べていました。
■ 10月31日(日) 収穫祭~お礼の言葉~
奉納台にはハクサイ・ダイコン・ニンジン・サトイモ・キャベツ・レタスなど自分たちで育て、収穫した野菜が所狭(ところせま)しと並びました。
ステージ担当より奉納について話がありました。「昔の人たちは無事にお米や野菜を収穫できたことを山の神様に感謝していました。年によっては天気や災害で十分な収穫ができないときもあります。だからこそ、昔の人たちは恵みに感謝し自然を大切にしてきました。みんなも3月から活動してきて、こうしてたくさんの恵みをいただきました。自然に対して『感謝する気持ち』と『大切にする気持ち』を持って欲しいです。」
続いて、いつもお世話になっている調理師さんに塾生の代表者がお礼の言葉を伝えました。
「僕は苦手な野菜があったけれど、塾の食事で毎回いろんな味付けで出てきて、少しずつ食べられるようになりました。」
最後に全員で感謝の言葉を言いました。「いつもありがとうございます。残り少ないけれど、これからもよろしくお願いします。」
■ 10月31日(土) 収穫祭~野外調理~
その後、昼食作りに移りました。みんなで収穫した野菜と、開封したばかりの味噌を使って『ごった煮汁』を作ります。
まずはチームでなんの野菜をどのくらい入れるかチームで相談。それから「火起こし」「仕込み調理」「おにぎり」「焼き芋」と役割分担をして、準備を開始しました。
「火起こしなら任せてよ!」
ダッチオーブンの三脚をセットし、かまども準備ばっちり。釜飯当番で学んだ薪の組み方を実践していました。
ダッチオーブンの中に入れる具材をどんどん切っていきます。
「家ではあまり手伝わないけれど、食事当番をやるうちに包丁を使うのが好きになった。」
材料が切れたら、煮えにくいものから順番に中へ入れて火にかけました。
具材に火が通ったら、自分たちの味噌で味をつけて完成です!
焼き芋係はサツマイモを洗い、濡らした新聞紙とホイルでくるんでかまどの中へ。
「焦げないよう火の中心でなく横に置くのがポイントだよ。」
おにぎり係は五平餅(ごへいもち)を作りました。
最後に焼き目をつけてできあがり。
「うーん、香(こう)ばしい」
各チームお世話になっている人をテーブルにご招待し、みんなで昼食をいただきました。どのチームのごった煮汁もおいしく仕上がり、6つの鍋にはすぐにおかわりの列ができました。
■ 10月31日(土) 近藤会長のお話
お客様を代表して株式会社リコーの近藤会長より、ご挨拶をいただきました。
「市村自然塾の市村は、リコー創業者の市村清から名前を貰(もら)いました。市村清は戦後、日本が貧しい時にくじけずにリコーを作った努力の人です。『人を愛し、国を愛し、勤めを愛す』という三愛精神(さんあいせいしん)を考え出し、人と人のつながりは大事だと説(と)きました。人間は一人では生きていけません。みなさんにはこの塾で、仲間と一緒に仕事をすることの大切さを学んでもらいたい。そして、その中で自分の力を発揮すること、相手を思いやる心、感謝の心を持ってください。」
■ 10月31日(土) 収穫祭 ~奉納相撲~
収穫祭の締(し)めくくりとして奉納相撲を行いました。これまで健康に過ごせたことに感謝をして、取り組みました。この相撲は勝ち負けではなく、精一杯(せいいっぱい)力を出し切って取り組むことが大切です。
相撲を取っている塾生はもちろん、周りで応援している塾生も熱が入っていました。
「ガンバレー!」
「どっちも負けるな!!」
どの塾生も真剣に向き合い、大いに盛り上がりました。
今年の各学年の優勝者たち。
優勝者には塾頭より【サトイモを掘る権利】としてスコップが授与(じゅよ)されました。
この奉納相撲の表彰を最後に、収穫祭を閉会しました。
■ 10月31日(土) 共同農園作業 ~コムギの種まき~
収穫祭のあとは、コムギの種まきを行いました。
コムギは1期生から毎年育てています。自然塾では前の期の塾生がコムギの種をまいて、次の期の塾生が収穫するというリレーのバトンのようにつなげています。14期生も13期生がまいたコムギを収穫しました。今度は15期生のためにバトンを渡す番です。
18ステージが残っていますが、このコムギの種まきが最後の共同農園作業となります。種が小さく、土と色が似ていて見分けにくい中、一粒一粒心を込めてまいていました。このコムギは冬の間、スタッフが世話をして15期生につなぎます。
■ 10月31日(土) 夜の塾活動 ~歌の練習・作文~
夜の塾活動では卒塾式に歌う「ふるさと」「今日のはさようなら」の練習と作文を行いました。
作文では、いままでの活動を振り返り、自然塾で学んだことをこれからどのように活かしていくかなどを自分なりに考えました。そして自分の思いや気持ちを素直に書き綴(つづ)っていました。
■ 10月31日(土) 共同生活目標の振り返り
金曜日から土曜日のこの時間までの行動を思い返し、塾生全体が目標に対してどのくらい達成できているか振り返ってもらいました。
出来ている事とまだ出来ていない事を話し合い、改善点として「面倒くさがらずにやる」「頼まれたら断らずにやる」などの意見がでました。
■ 11月01日(土) 共同農園作業 ~キャベツの収穫~
日曜日は前半にキャベツの収穫を行いました。共同農園のキャベツは、収穫のタイミングを1ステージ遅らせたかいもあって、とても立派なものになりました。
今回はお土産に1人1株づつ収穫して持ち帰りました。
自分が選んだ大きなキャベツを持って、記念撮影。お家の人と思い切り味わってくださいね。
■ 11月01日(土) チーム農園作業
後半はチーム農園作業の時間でした。
「今ステージ持ち帰るか、次のステージまで取っておくか、どうしよう?」
「まだ小さいなぁ。次のステージまでには大きくなりますように。」
「ラディッシュがたくさん取れた!」
チーム農園も大詰めを迎えます。18ステージには畑を何もない更地(さらち)の状態にして返さなければなりません。どのチームも18ステージの1回では持ち帰れないくらい作物が出来ています。そこで今回から畑にある作物を持ち帰るチームや計画的にネットや支柱を片付けるチームもありました。
■ 11月01日(日) 帰りの集い~塾頭の話~
活動の終わりに塾頭より話がありました。
「昨日の収穫祭では、お客様に対して思いやりや気遣いがあり、頼もしくなったと感じました。味噌の開封はどうでしたか。箕輪さんのお話では『人の良い所をみてあげましょう』とありましたね。人が協力しあうと1+1=2以上の力になります。
入塾して7ヶ月経ちました。みんな少しずつ成長していると思いますが、自分が想像していた姿になりましたか?よく振り返ってみてください。
収穫祭ではいろいろなことに感謝をしました。ありがとうの気持ちを伝えることは感謝するということです。『ありがとう』はシンプルだけど言った人も、言われた人も幸せになるとても大切な言葉です。これからもたくさんのありがとうが聴こえるといいですね。残りはついに1ステージになりました。最後までしっかりがんばりましょう。」
■ 編集後記
塾生たちは感謝の気持ちをどう表して、どう行動してくれるかと期待して今回のステージを過ごしました。お世話になっている人に心を込めて接していた姿や、自分たちの行いをしっかり振り返る姿にうれしくなりました。一方、残念に感じたこともいくつかあります。共同生活目標の話し合いでは、塾生たちは、積極的に堂々と意見を述べる人と押し黙ったままの塾生とに分かれていました。また振り返りの際、できていない部分に気づいても、行動を改めることにはいたらず、思いやりやけじめのない言動がありました。
残りはとうとう1ステージです。14期生の仲間と過ごせる時間はわずかしかありません。自分にも相手にもまっすぐに向き合って欲しいです。
S.D.



■ 食事メニュー
※( )内は自然塾で取れた野菜、手作り食品です。

金曜夕食 ・ご飯
・コンソメスープ(タマネギ、ニンジン、ピーマン、ジャガイモ)
・和風おろしハンバーグ(タマネギ、大根)

土曜朝食 ・味噌汁(味噌、ジャガイモ、長ネギ、ヤーコン)
・金平ゴボウ目玉焼きのっけ丼(ゴボウ、ニンジン)
・漬物(大根の葉)
・間引き菜のお浸し(間引き菜)

土曜昼食 【収穫祭】
・野外調理でごった煮(今年の味噌、長ネギ、ゴボウ、里芋、ジャガイモ、サツマイモ、白菜、大根、ニンジン、カブ、わら灰コンニャク)
・野外調理で五平餅(今年の味噌)

おやつ ・焼き芋(サツマイモ)

土曜夕食 ・すまし汁(長ネギ、ニンジン、里芋)
・レタス巻き寿司(サニーレタス、リーフレタス、タマネギ、ピーマン、パプリカ、ニンジン、長ネギ、ショウガ、梅干し)
・ゆで野菜(ブロッコリー、スティックブロッコリー、カリフラワー)

日曜朝食 ・菜飯(大根の葉)
・味噌汁(味噌、大根の葉、白菜、長ネギ)
・里芋の煮物(里芋)
・ヤーコンの金平(ヤーコン)
・ブロッコリーの茎のソテー(ブロッコリーの茎)
・チンゲン菜の炒め物(チンゲン菜)
・小松菜のお浸し(小松菜)
・漬物(カブ)
・だし取り後昆布鰹節の佃煮

日曜昼食 ・ピーマンたっぷりのっけ丼(ピーマン)
・中華スープ(タマネギ、チンゲン菜、ニンジン)
・14期生寄贈の電子レンジで焼いたお菓子(小麦粉、パン、サツマイモ、カボチャ)