2015.04.10~12
第03ステージ ~男子~
ステージテーマ:「味噌作りに挑戦し、先人の知恵を学ぼう」
共同生活の目標:「時間を守る」
新学期が始まりました。進級、進学おめでとう!また新たな環境でのスタートですね。
今ステージは味噌(みそ)作りを行いました。日本の伝統的な調味料の1つである味噌。その味噌作りを通して先人達の知恵(ちえ)にふれていきます。いくつもの工程の中に含まれている先人の知恵とは、どのようなものなのでしょうか。
共同生活目標は「時間を守る」です。集団生活では欠かすことのできない時間意識をもてるように、①「集合時間を守る」②「就寝時間を守る」③「食事の目安の時間を守る」の3つを特に意識しながら今ステージを過ごしました。
■ 04月10日(金) 夜の集い ~塾頭の話、大豆の観察~
活動を始めるにあたって、塾頭よりお話がありました。
「今ステージでは味噌作りをしますね。味噌作りでは先人の知恵だけでない、いろんなことを教わると思います。楽しみにしていてください。
『時間を守る』が今回の共同生活目標です。1人が遅れるとチームが遅れ、チームが遅れると全体が遅れます。集団生活では1人ひとりの行動が全体に影響(えいきょう)します。しかし、同じ作業をしていても人それぞれバラつきがでてきます。自分の作業が終わったら、終わってない人を助けるようにしてください。人を助け合うことで、信頼関係ができていきます。
今ステージはキャベツとレタスの植え付けもあります。『野菜は人の心に正直です』と言われています。愛情をもって育てると大きく、おいしい野菜が育ちます。思いやりのある優しい心で野菜と、そして人に接してください。」
味噌作りに使う大豆の観察をしました。かたい大豆をそのまま味噌作りには使えません。水でふやかし、やわらかくゆでます。
この時は、水に入れてふやかしている最中の大豆を、じっくり観察していました。
■ 04月11日(土) チーム農園活動
~チーム農園作付け計画・計画発表準備~
第1ステージから取り組んできた、チーム農園作付け計画もいよいよ大詰めです。
畑の図面に作付け図を描いてみたり、夜の計画発表に向けた準備をしたりしました。
何ステージに植え付けをしようか、種は何粒まいたらいいのか、収穫したらどうやって食べようかなどなど、相談しながら計画を進めていく姿が見られました。
農園計画を進めている中、厨房では大鍋で大豆を煮ていました。
この日のために、箕輪(みのわ)さんご夫妻にいらしていただきました。箕輪さんは市村自然塾の初代塾頭です。第1期生の頃から味噌作りに携(たずさ)わっていただいています。
大豆も茹で上がり、さあいよいよ味噌作りです!
■ 04月11日(土) 塾活動 ~味噌作り~
まずは、麹(こうじ)と大豆の煮汁を混ぜ合わせます。
麹をふやかし、ミンチしやすくするためです。
『1つぶを大切にする』を心がけながら、無駄にしないよう丁寧に混ぜていきました。
箕輪さんご夫妻から味噌作りを始めるにあたってのお話をいただきました。。
「味噌には、体に良い効果がたくさんあり、日本の食文化を昔から支えてきました。
今回みなさんには『味噌のような人』になってもらいたいと思います。味噌は、他の食材のうま味をとっても良く引き出してくれます。その味噌のように、みなさんも周りの人の良いところに気付き、そしてそれを引き出していけるようになってください。」
作り方の説明を聞いたあと、作業開始です。
茹でた大豆と、ふやかした麹を混ぜ合わせていきます。
ムラがでないように、そして『1粒を大切に』しながら、鍋のそこからしっかり混ぜていきました。
次からは、役割分担しながら進めていきます。
ミンチ機に混ぜ合わせた材料を入れる人、
ミンチ機に押し込む人、
手のひらサイズに丸めていく人、
樽(たる)に入れていく人、
時折、役割を交代しながら進めていきました。
ミンチ機に材料を入れる時がとてもこぼれやすく、慎重(しんちょう)さが必要です。
真剣な面持ち(おももち)です。
丸めるときは、空気を抜くように丸めていきます。
樽に入れる時にも、空気が入ってはいけません。
空気が入るとそこからカビが繁殖(はんしょく)してしまいます。
空気を抜いて平らにしながら詰めていきました。
ちょっと味見。味噌になる前ってどんな味なんでしょう?

「しょっぱい!!」
味見した塾生は口をそろえて言っていました。
麹がゆっくりと発酵(はっこう)していけるように、塩が加えられています。この味が味噌になるなんて不思議ですね。
全ての材料を詰め終わったら、封印(ふういん)をします。
樽の周りやふたをアルコールでしっかりと殺菌します。カビは味噌の大敵です。すき間からの菌を防ぐためにトウガラシも入れ、ラップで閉じました。
最後に塾頭室の地下に運びます。
涼しくて、湿度も調度良く、味噌が熟成(じゅくせい)するには最適な場所です。
味噌作りを終えるにあたって、箕輪さんご夫妻からまとめのお話をいただきました。
「味噌作りをしてみてどうでしたか?最初に『味噌のような人になってほしい』と話しましたね。味噌汁では、味噌は具材のおいしい良いところを引き出しています。
みなさんは人の良いところを認めてあげてください。そうすると相手も自分の良いところを認めてくれます。お互いにその人の良さを引き出しながら、これからの塾生活を送っていってください。」
塾生からの質問にも答えていただきました。
「味噌はもうあのままにしておくだけですか?」
「最後に入れたトウガラシは、どんなものでもいいのですか?」
味噌作りをしてみていろんな疑問が出てきたようでした。

味噌の開封は6ヶ月後。どんな味噌になっているか楽しみですね。
■ 04月11日(土) おまけ ~米粉づくり~
休み時間になにやら「ゴリゴリ・・・ゴリゴリ・・・」と変わった音が響(ひび)いていました。
その音をたどってみると、塾生が石臼(いしうす)で米をひいていました。
米粉を作っているようです。休み時間に代わる代わるひいたその米粉は、おやつの時間に、「おせんべい」となって出てきました。
パリッと固めのおせんべい。美味しかったね。
■ 04月11日(土) 共同農園作業 
~ゴボウとジャガイモの観察~
第1ステージに植えたジャガイモ、第2ステージに植えたゴボウが芽を出していました。それぞれ特徴(とくちょう)の違う芽を、間近で観察しました。
こちらはジャガイモの芽。
「これが芽?」
と、初めてみるジャガイモの芽に興味津々(きょうみしんしん)。
ゴボウの芽の周りには卵の殻(から)をまきました。
「ネキリムシ」という害虫から小さな芽を守るためです。

「(芽が)ちっちゃいなぁ」
とつぶやきながら、そっとまいている塾生がいました。
■ 04月11日(土) チーム農園活動
植え付けを行うチームや夜の発表の準備をするチーム、それぞれ自分たちに必要な作業を考えて過ごしました。
このチームは、ナガイモを植えるための穴を掘っていました。
なんだか第2ステージで行ったゴボウの穴掘りをしているように見えます。
かたい土と格闘(かくとう)していました。
こちらでも以前見たような光景。
ジャガイモの植え付けをしていました。
しかし、ジャガイモをそのまま育てるのではないようです。なんでも、ジャガイモとトマトを掛け合わせて育てる「ポマト」を作るそうです。
いったいどんな作物になるのでしょうか。
室内では夜のチーム農園計画発表の準備が進められていました。
この時間でなんとか計画が終わったようです。
あとは発表の時を待つのみです。
■ 04月11日(土) 夜の活動 ~チーム農園計画発表~
チーム農園発表では、
チーム名・メンバー紹介、
どんなチーム農園にしたいか、
育てたい野菜、
畑の作付け図、
最後に1人ひとりチーム農園を行っていくにあたっての頑張るところ【宣言】を発表しました。
宣言では、
「何事もあきらめないで最後までやりぬく」
「責任をもつ」
「自分ができることを積極的にやる」
「みんなで一致団結してがんばる」

力強く宣言していました。
■ 04月11日(土) チームリーダー会議
塾では土曜日の夜に、チームリーダー、サブリーダー、塾頭、ステージ担当でチームリーダー会議を行います。
チームで起きた嬉しかったことや、今抱えている問題など、塾生活をより良くしていくための意見交換を行っています。
第1回目の今回は、リーダー会議の目的とリーダー、サブリーダーとしての心構えを確認しました。
心構えとしては①自分から進んでやる②自らが手本を示す③人の話に耳をかたむける④チームの方向性を決断する
この4つです。
これからチームを率いていくリーダー、サブリーダーの活躍を期待しています。
■ 04月12日(日) 浜田広さんの言葉、瞑想(めいそう)
日曜日の朝食前はいつも、季節に関する話をしていますが、今回は「浜田さんの言葉」を全員で確認しました。
市村自然塾の創始者である浜田広(ひろし)さんが、塾生に向けての願いの込められた言葉を朗読(ろうどく)しました。
土に触れ 土を耕し
植物を育て 植物に囲まれ
自然の恵みを全身で受ける

身体を動かし 汗をかく
勤労の気持ちよさ
ゆっくり深呼吸をする
よく噛んで 残さずいただく
友達と助け合う
■ 04月12日(日) 共同農園作業
~キャベツ・レタスの植え付け~
第1ステージではジャガイモの種芋を植え付け、第2ステージではゴボウの種をまきました。第3ステージではキャベツ・レタスの植え付けですが、初めて苗を扱(あつか)います。
苗は野菜の赤ちゃん。やさしく扱っていきます。
まずは畝(うね)立てからです。
この畝立ても塾生は初めて取り組みました。
根が伸びやすいふかふかの畝になるように、スタッフからコツを聞きながら進めていきました。
土を盛ったら、平らにならしていきます。
溝が出来てしまうとそこに水が溜(た)まって、野菜が病気になりやすくなります。
キレイな平らな畝になるように、となり同士見ながらならしてしていました。
畝が出来たら、苗を並べていきます。
キャベツとレタス、見た目は似ていますが植え付け方は違います。
キャベツは1列(1条植え)に植えますが、レタスは2列(2条植え)に植えていきます。
作物によって育て方が違うことを体験しながら感じていきました。
レタスの2条植えはなかなか難しいようです。

「そこ曲がってる」
「ここの間隔(かんかく)せまい」
何度も直しながら並べていました。
苗を並べたらいよいよ植えていきます。
植える深さも大事なポイント。
深すぎず、浅すぎもしない深さを確認していました。
ポットから取り出すときが一番ドキドキするときです。
まだとても細い茎(くき)を折らないように、ゆっくり取り出していました。
植え付けたら、肥料をまきます。
これから大きく生長していくために欠かせない、野菜にとってのお弁当です。
根のどこから一番栄養を吸収するか説明を聞いた後、葉っぱに肥料がかからないよう、慎重にまいていきました。
ゴボウの芽のときと同じように、ネキリムシから守るための卵の殻もまきました。

「殻が葉っぱと重なったら、光合成できないよね」
ゴボウの芽のときのコツを、思い出しながらまいていました。
たっぷりと水やりをしたら、最後にネットを掛けました。キャベツにはチョウチョがすぐに卵を産み付けに来てしまいます。
これから虫が活発に動き始める季節。野菜を守るための大切な作業です。これからのチーム農園の植え付けでも欠かせない作業ですね。
■ 04月12日(日) 帰りの集い ~塾頭の話~
活動を終えるにあたって塾頭よりお話がありました。
「今月はくもりの日がとても多く、異常気象と言われているほどです。これから作物にも影響(えいきょう)出てくるかもしれません。しかし、みなさんには知恵があります。充分に活用していきましょう。
もうひとつみなさんにあるものは、思いやりです。昨日のチーム農園計画発表はどのチームもよくまとまっていて、一所懸命(いっしょけんめい)考えたことが伝わりました。ぜひこれからは、作物をよく観察し、野菜が何をしてほしいか感じ取りながら、必要な作業を思いやりをもって行ってください。
共同生活目標の『時間を守る』はどうでしたか?時間を守ることは信頼を得ることでもあり、時間を守れる自分に強い心をもっている人は、いろんなことができる人です。
味噌作りで聞いた『味噌のような人になる』こと、他の人の良さを引き立てることも思い出しながら、これからも活動に取り組んでいきましょう。」
■ 編集後記
共同生活目標の「時間を守る」に関して、「集合」とは、『話を聞ける体勢、次の作業に移れる体勢になっていること』と最初に確認して取り組みました。なかなかその体勢にはなれなかった塾生たち。それでも最後の最後に自信満々の顔で「集合」していたこと、その姿をとても嬉しく見ていました。続けてその姿が見られることを期待しています。
自然塾にも慣れてきて、これからどんどん楽しくなっていく時ですね。かけがえのない時間を塾生に送っていってほしいと思うのと同時に、心を落ち着かせて目の前の活動取り組むこと、人の話に耳をかたむけることを大切にしてほしいと願っています。
S.O.



■ 食事メニュー
※( )内は自然塾で取れた野菜、手作り食品です。

金曜夕食 ・天津飯(長ネギ、人参、切干大根)
・中華スープ(長ネギ、人参、小松菜)
・春雨サラダ(タマネギ、人参、小松菜)
・中華風漬物(大根、人参)

土曜朝食 ・ご飯
・だんご汁(大根、人参、小松菜、長ネギ)
・里芋団子のおろしあんかけ(里芋、長ネギ、大根)
・切干大根の炒め物(切干大根、人参)
・切干大根の梅マヨ和え(切干大根、人参)
・小松菜のゴマ和え(小松菜)
・漬物(大根)
・だし取り後のかつお節と昆布の佃煮

土曜昼食 【大豆食品18品目を使った献立】
・豆ご飯
・納豆汁(長ネギ)
・大豆食品3種類の煮物
・焼豆腐の湯葉のせ
・おからの炒り煮(人参、小松菜)
・豆もやしの炒め物
・豆乳プリンの黒蜜きな粉かけ
・炒り豆

おやつ 【塾生手作りおやつ】
手焼きせんべい(塾生が自由時間に石臼をひいて作った米粉)

土曜夕食 ・菜飯(大根の葉)
・すまし汁(大根、人参、長ネギ)
・ホイル焼き(キャベツ、人参、ほうれん草、里芋)
・サラダ(キャベツ、人参、プチベール)

日曜朝食 ・ご飯
・味噌汁(味噌、大根、長ネギ、里芋)
・サツマイモの揚げ煮(サツマイモ)
・里芋の照り焼き(里芋)
・切干大根の炒め物(切干大根)
・人参の甘煮(人参)
・ほうれん草のおかか和え(ほうれん草)
・キャベツと人参の炒め物(キャベツ、人参)
・キャベツの浅漬け(キャベツ、人参)
・だし取り後のかつお節と昆布の佃煮

日曜昼食 ・オムライス(タマネギ、人参)
・コンソメスープ(タマネギ、人参、小松菜)
・サラダ(キャベツ、人参、芽キャベツ)