2013.11.15~17
第17ステージ ~女子~
ステージテーマ:「自然の恵みに感謝し、野外調理でチームの味を楽しもう!」
共同生活の目標:「チームでひとつ選ぶ(2回目)」
自然塾の活動も残り2ステージとなりました。今回のステージは自然の恵みに感謝して収穫祭を行いました。自分たちで育ててきた野菜を収穫し、チームで協力して調理し、自分たちの味噌で味付けをした「自然の恵み・チームの味」をおいしくいただきました。また、収穫祭では普段お世話になっている方々をお招きし、各チームで感謝の気持ちを表すにはどうしたらよいか考え、実践しました。
共同生活の目標は前回に引き続きチームで話し合い、自分たちに必要なものをひとつ選びました。
■ 11月15日(金) 夜の集い ~塾頭の話~
ステージを始めるにあたり、塾頭よりお話がありました。
「野菜づくりの総まとめとして収穫祭を行います。野菜を収穫し、調理し、おいしくいただきたいと思います。第3ステージに仕込んだ味噌の開封も行います。野菜は自然の恵みでもあります。自然の恵みに感謝して取り組みましょう。自然塾の活動ができることへ、自然へ、そして自然塾を支えてくれている人々へ感謝の気持ちをこめて過ごしてほしいと思います。
元気に過ごしてこれたことに感謝の気持ちを込め、奉納相撲(ほうのうずもう)も行います。ここで大事なのは勝ち負けではありません。感謝の気持ちをこめ、一所懸命やりましょう。
入塾式にたてた抱負(ほうふ)は達成できていますか?また『3つの心と2つの力』はできるようになりましたか?私からみて、みなさんよくできるようになったと思います。なかには苦手なこともまだあるかもしれませんが、卒塾してからも『3つの心と2つの力』を一生持ち続けてほしいと思います。みんなはその『3つの心と2つの力』を持った人々に支えられているのだと思います。感謝の気持ちを忘れずに過ごしてください。」
■ 11月15日(金) 夜の集い ~共同生活の目標決め~
各チームで課題となっていること、今ステージにみんなで取り組みたいものをチームで話し合って7つの目標の中から1つ選びました。ポイントも自分たちで設定しました。
話し合いの結果
Aチーム:「物を大切にする」
Bチーム:「物を大切にする」
Cチーム:「整理・整頓・清掃・清潔を心がける」
Dチーム:「あいさつをする」
に決まりました。
■ 11月15日(金) 入浴後の休み時間 ~感謝の気持ちを考える~
入浴後の時間に各チームで話し合いの時間を設けました。まず、自然塾の活動で自分たちはどんな方にどんなことでお世話になっているのか考え、感謝の気持ちを自分たちの言葉で書きました。その後、翌日の収穫祭でその感謝の気持ちを行動で表したらどんなことができるか、意見を出し合いました。
■ 11月16日(土) 朝食で ~自然塾九州のお米~
土曜日の朝食は自然塾九州から送っていただいたお米をみんなでおいしくいただきました。
「夢しずく」という品種で、自然塾九州の塾生が心を込めて育ててくれたお米です。食事当番の釜飯炊きの塾生は焦がさず、おいしく炊けるように気を配っていて、炊けたときはうれしそうな様子でした。
朝食ではご飯だけで味わって違いを確かめている塾生がいたり、おいしくておかわりをしている塾生も多くいました。
■11月16日(土) 収穫祭 ~味噌の開封~
塾頭より開催に当たっての話があり収穫祭が始まりました。
「天気がよくすばらしい収穫祭ができると思います。九州のお米おいしかったですね。昔は新嘗祭(にいなめさい)という新米を神様に奉納(ほうのう)する行事が全国で行われていました。お米はお金のように大事なものでした。今日は感謝の気持ちを持って、安全に楽しくやりましょう。」
味噌を開封するにあたり、味噌づくりのときに指導していただいた、初代塾頭の箕輪さんご夫妻よりお話をいただきました。
「前回きた時に“味噌のような人になってほしい”と話をしましたが覚えていますか?また、第6ステージの岩下先生の話のマナーのお話を覚えていますか?自分がやられたら嫌なことは人にはしない、自分がされてうれしいことは人にもしてあげるというお話でした。
味噌の一番力のあるところは一緒に入れた具のうまみを引き出してくれるところだと思います。味噌のような人というのは周りの人のいいところを引き出してくれる人。どんな人にもいいところは必ずあると思います。人に嫌われないようなことをしないだけでなく、人のよいところを引き出してあげるとチームの力はより大きくなると思います。ぜひ、味噌のような人になってください。」
「みなさんが一所懸命仕込んだ味噌が今日どんな結果になっているか、それは自分の努力の結果であり、まわりの温度や気よっても変わってくる。その結果がどうなるかとっても楽しみにきました。ぜひ自分たちの味噌がこういう風になったのはどうしてかなと考えながら開けてみてください。」
いよいよ7ヶ月間熟成させたチームの味噌を開封するときがきました。みんなでどんな味噌になっているかドキドキしながらふたを開けました。ふたを開けると味噌のいい香りがして、塾生たちの歓声が聞こえてきました。今年はどのチームもカビが少ないようでした。仕込みのときに丁寧に作業した賜物(たまもの)ですね。
きれいに表面のカビを取ったら、お土産用と収穫祭で使う味噌を取り分けました。
自分たちの味噌を味見。各チームでは「しょっぱい!」「仕込んだときと味が変わってる!」などの感想が出ていました。その後、全員で各チームの味噌を味比べしました。日曜日の昼食の味噌ラーメンにどの味噌を使うか選ぶため「どこの味噌がおいしかった?」とステージ担当が質問すると。どのチームも「自分のチームが一番!」と答えていました。そこで話し合いの結果、全チームの合わせ味噌を使うことに決まりました。
残った味噌は、表面を平らに整え、樽の内側を殺菌し、味噌にカビが生えないように丁寧にラップで再びふたをして大切に保管しました。来年の活動の食材として大切に使っていきます。
最後に箕輪さんご夫妻から総評をいただきました。
「みなさん、自分たちの味噌を見てどう思いましたか?カビも少なく、丁寧にやった証拠(しょうこ)だと思います。ピンポン玉くらいで4人分の味噌汁ができます。無駄にしないよう大切に使いましょう。」
「これからみんなの味噌を使って調理しますが、たのしみにしています。」
■ 11月16日(土) 収穫祭 ~野菜の収穫・洗浄・奉納~
その後各チームごとに分かれて、収穫祭で使う野菜や活動中の食事で必要な野菜を収穫しました。塾生たちは、今まで世話をしてきた野菜の生長を間近に見て、重さとして体感することで自然の恵みを実感していたようでした。
収穫した野菜をきれいに洗い、奉納台へきれいに並べました。
並べられた野菜を前にスタッフより奉納についての話がありました。
「作物を作る人たちは山の神様を昔から大事にし、無事に収穫できたことへ感謝の気持ちを込めて、このように野菜やお米をに奉納していました。時には多くの恵みを与えてくれ、時には災害で多くの命を奪ってしまう自然を尊い(とうとい)ものとして神様として大切にしてきました。みんなもこれだけの恵みを与えてくれた自然に感謝の気持ちや、きれいだなと思う気持ち、大切にしたいという気持ちをもっていってもらいたいと思います。」
その後、いつも野菜をおいしく調理してくださる調理師さんに塾生の代表がお礼の言葉を伝えました。
「いつもおいしい料理をありがとうございます。残りのステージもお願いします。」
「食事当番やコロッケづくりのときに教えてくれてありがとうございました。」
■ 11月16日(土) 収穫祭 ~野外調理~
続いてはチームで力を合わせ、昼食作りです。メニューはごった煮汁とおにぎり、おやつに焼き芋です。「火起こし係」「調理係」「おにぎり係」「焼き芋係」と役割分担をして調理開始!それぞれの場面で、チームで考えた「感謝の気持ち」を込めて作業しました。
火起こし・ダッチオーブンの係はまずダッチオーブンを洗い、三脚をセットしました。続いて、いつも食事当番の釜飯炊きでやっていることを思い出しながら火をおこし、かまどの準備をしました。
調理係は、ごった煮汁に必要な野菜を人数分はかり、下準備をしました。全ての野菜に均等に火が通るよう、考えながら切りました。
おにぎり係は、きれいに、おいしく見えるようおにぎりを作ったり、飾りつけをしました。
準備ができたところからダッチオーブンを火にかけました。材料に火が通ったら自分たちの仕込んだ味噌で味付けをして完成!「もうちょっと濃い方がいいかな?」などチームで相談しながら味を決めていました。
■ 11月16日(土) 収穫祭 ~昼食~
いつもお世話になっている方々をテーブルにお招きし、一緒に各チームの味を楽しみました。ごった煮汁をよそったり、お茶をくみにいったり、座席の並びを工夫したり、それぞれが考えるおもてなしを実践(じっせん)していました。
最初の1杯は自分のチームの味、おかわりは他のチームの味を楽しみました。どのチームもおいしくでき、鍋5つあったごった煮がほとんど売り切れてしまいました。
■ 11月16日(土) 収穫祭 ~振り返り・片付け~
ごちそうさまをした後に、各チームでどんなおもてなしをやったか、そのときどんな気持ちでやったのかなどを発表し合いました。また、おもてなしを受けた方から感想を聞き、自分たちがしたことで相手に喜んでもらうということが実感できたようでした。
その後、全員で協力して片づけをしました。おもてなしをする側には片付けも大切な仕事です。ダッチオーブンを洗ったり、テーブルやイスを元の場所に戻したり、役割ごとにテキパキ動き、素早く終わりました。
■ 11月16日(土) 収穫祭 ~奉納相撲~
収穫祭の最後に奉納相撲を行いました。今まで健康に過ごしてこれたことへの感謝の気持ちを込めて神様に自分たちの相撲を奉(ささ)げます。女の子はあまり相撲になじみがないせいか、最初は恥ずかしくて本気を出せない子もいましたが、まわりの応援もあり、試合が進むにつれ、白熱した勝負が増えていきました。決勝戦が終わった後に、もう一度やりたい!という塾生が出てくるほどでした。
各学年のトーナメント戦で試合を行い、3名の優勝者が決定しました。優勝者には景品としてリボンつきのスコップ(サトイモをほる権利)が塾頭より渡されました。
■ 11月16日(土) おやつ
相撲の後はお昼のときに準備をしておいた焼き芋を食べました。安納芋という甘くてねっとりとした食感の焼き芋に向いている品種の芋でした。
お昼におなかいっぱい食べたはずなのに、みなペロリと平らげてしまいました。
■ 11月16日(土) 共同農園作業 ~コムギの種まき~
コムギは1期生のときからずっとまいています。前の期の塾生たちがコムギをまいて、次の期の塾生たちが収穫をして食べる。リレーのバトンのようにつなげているので、「リレー作物」と呼んでいます。12期生も11期生がまいたコムギを収穫しました。しかし、今年収穫したコムギは虫がわき、小麦粉にして食べることができませんでした。畑へ向かう前にスタッフよりその話をし、「同じことはもう繰り返さない。13期生へのバトンをつないでほしい。」というスタッフの気持ちを伝えました。塾生たちは快く受け入れてくれ種まきに向かいました。
クワで溝をほり、2cm間隔でまきました。種をまいている間、誰もが集中し、おしゃべりのほとんどない静寂(せいじゃく)な時間が続きました。その雰囲気からも、きれいに並んだコムギからも心を込めてまいたことが伝わってきました。
■ 11月16日(土) 夜の塾活動 ~歌の練習・作文~
夜の塾活動の前半は卒塾式で歌う歌の練習をしました。歌は「今日の日はさようなら」と「ふるさと」です。練習を重ねるうちに大きな声で歌えるようになってきました。
後半は今までの活動を振り返り、作文を書きました。
「市村自然塾でいろいろなことを体験して何を感じ、何を学んだか。そして将来の夢は」というテーマで書きました。下書きをしてきていて、すぐに書き始める塾生もいれば、何を書くか迷いチーム担当と相談しながら書いている塾生もいました。どの塾生も今までの活動を思い出しながら、自分の言葉でまとめていました。
■ 11月16日(土) 夜の塾活動 ~共同生活目標の振り返り~
金曜日にチームでたてた目標を、まず個人で振り返り、その後できたことやできなかったことへのアドバイスをチームで意見を出し合いました。「ものを生き物だと思って大切に扱う」「袋を使って整理する」など具体的なアドバイスがでてきていました。
■ 11月17日(日) 瞑想(めいそう)
毎日曜日行っている瞑想も今回を含めて残り2回。前日のコムギの時間と同様に、集中した心地よい時間を過ごすことができました。自然の中で聞こえる音の種類も少なくなり、静けさのなかから冬が近づいていることを感じました。
■ 11月17日(日) 共同農園作業 ~キャベツの収穫~
共同農園のキャベツがとり頃になったので、収穫し、1人1個お土産として持ち帰りました。採りたてのキャベツを手に持ちみんなうれしそうでした。
相撲の優勝者3人はこの時間に景品のサトイモをほりにいきました。大きなサトイモが20個近く収穫でき、うれしそうに見せてくれました。
■ 11月17日(日) チーム農園作業
チーム農園も残り2回。どのチームも収穫や片付けでめいっぱい時間を使いました。ダイコン、キャベツなど共同農園の作物より立派に育っているものもありました。今まで心を込めて世話してきた成果ですね。
なかには、こんなにたくさんのお土産を持ち帰るチームも!家族もびっくりですね。
■ 11月17日(日) 昼食 ~卒塾生より~
日曜日に11期生の卒塾生が来てくれ、食材で使うゆずの収穫を手伝ってくれました。昼食のときに12期生へひとりひとことずつ先輩としてのメッセージを言ってくれました。
■ 11月17日(日) 活動のまとめ
活動のまとめとして塾頭よりお話がありました。
「昨日は楽しく収穫祭を行うことができました。奉納相撲は最初ちゅうちょしていた人もいましたが、最後は力いっぱい、一所懸命やってくれてよかったと思います。なんでも一所懸命やることは自分にとっても周りの人にとっても感動を与えます。自分のためにだけでなく、周りの人のためにも何事も一所懸命やってほしいと思います。
昨日は箕輪さんが「味噌のような人になってほしい」という話をしてくれましたが、味噌のように相手の良さをひきだしてあげて、これからもいろんな仲間と一緒にやっていってほしいと思います。
もう一つ言ってくれたのが「みんなも7か月間で熟成しましたか?」ということ。なかなか自分では気が付かないが、私はみんな成長していると思います。株主さんが来た時もあいさつがしっかりできていました。また、チーム活動がよくなっていることが何よりみんなが成長しているということだと思います。今日のチーム農園でも立派な野菜が収穫できていましたが、それもチームの協力のおかげだと思います。私たちはいろんな『おかげ様』で生きています。おかげ様の心を持ち、自然に『ありがとう』が言えるようになってほしいと思います。」
■ 編集後記
今回のステージは収穫祭で人と自然に感謝し、感謝の気持ちを行動に表すということを実践しました。収穫祭という行事を通して自分たちは多くの人に支えられていること、気持ちを行動に移す大変さなどを感じることができたのではないでしょうか。また、おもてなしを受けた側の方から直接「とてもうれしかった。ありがとう」という言葉をもらったことで、自分たちのやったことが人に喜んでもらえたという実感といろんな気づき、自信につなっていたようでした。卒塾してもいつまでもおかげ様の気持ちを忘れずに、自分から人のために何かできる人になってほしいと思います。活動も残すところ1ステージ。悔いなく過ごしてほしいと思います
K.T.



■ 食事メニュー
※( )内は自然塾で取れた野菜、手作り食品です。

金曜夕食 ・野菜たっぷりポトフ(ジャガイモ、ニンジン、
キャベツ、大根、カブ、柚子こしょう)
・バターピラフ(ニンジン)
・サラダ(サニーレタス、リーフレタス、
ニンジン、カリフラワー)
・タマネギパン
・じゃがいもニョッキのクリームソース(ジャガイモ)

土曜朝食 ・ご飯(自然塾九州からいただいたお米)
【ご飯の友】
①鰤の照り焼き②手作り「ごはんですよ」
③ネギ入り卵焼き(長ネギ)④ネギ味噌(長ネギ、味噌)⑤だし取り後昆布鰹節の佃煮(カブ)⑥漬物(大根)⑦梅干し(梅干し)⑧大根の皮とニンジンの皮の金平(大根とニンジンの皮)
・まめぶ汁(大根、ニンジン、ゴボウ、長ネギ)
※岩手県の郷土料理

土曜昼食 ・ごった煮(味噌、大根、ニンジン、ゴボウ、白菜、長ネギ、里芋、ショウガ)
・おにぎり(梅干し、長ネギ、味噌、大根の葉、ニンジンの葉、大根、ゴボウ)
※各チーム1人ずつの塾生がチーム分のおにぎりを作成・漬物(大根)

おやつ ・安納芋の焼き芋(サツマイモ)

土曜夕食 ・さつまいものカレーピラフ(サツマイモ、ニンジン)・コンソメスープ(ニンジン、大根)
・白菜と鮭のクリーム煮(白菜、ニンジン、ジャガイモ、ブロッコリー、スティックブロッコリー)

日曜朝食 ・松田町産のご飯
※自然塾がある松田町で育てられたお米
・みみ(大根、ニンジン、ゴボウ、長ネギ、里芋)
※山梨県の郷土料理、練った小麦粉を農機具の箕(み)の形にして入れているのが特徴
・コガネセンガンのそぼろあんかけ(コガネセンガンという品種の外側が白いサツマイモ、長ネギ)
・ふろふき大根の柚子こしょうのせ(大根、柚子こしょう)
・ニラの卵とじ(ニラ)
・大根とニンジンのなます(大根、ニンジン、柚子)
・大根の皮とニンジンの皮の金平
(大根とニンジンの皮)
・ネギ味噌(長ネギ、味噌)
・漬物(大根)
・だし取り後昆布鰹節の佃煮(大根の葉)

日曜昼食 ・味噌ラーメン(味噌、手打ち中華麺、キャベツ、ニンジン、小松菜、長ネギ、ニラ)
・レタス炒飯(玉レタス、長ネギ)
・スイートポテト(塾生がチーム農園のサツマイモを使って作ったもの)
・塾生保護者からの差し入れお煎餅