2013.06.21~23
第07ステージ ~女子~
ステージテーマ:「収穫したジャガイモを使って、
チームで協力してコロッケをつくろう」
共同生活の目標:「何事も心をこめて、きちんと丁寧に作業する」
塾生が初めて携(たずさ)わったジャガイモが収穫時期を迎えました。今回のステージはそのジャガイモを収穫し、コロッケをつくり、収穫の喜びを感じました。
共同生活の目標は「何事も心をこめてきちんと丁寧に作業する」を掲げ、取り組みました。特に「布団のしき・たたみ」「清掃」「食事」「農作業・塾活動」の4つの場面で意識しました。また、それぞれの作業でどんな心をこめたらよいかを考えながら行いました。
■ 06月21日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたり、塾頭よりお話しがありました。
「第7ステージになり、いよいよ2/3ステージが始まります。過去6回のステージでいろいろなことを体験し、学んだと思います。ここでもう一度初心にかえってもらいたいと思います。自然塾へ入ってきたときに持っていた目的をもう一度見つめなおしてほしいと思います。
いよいよ明日はジャガイモを収穫します。どんなふうにジャガイモが土の中で育っているのか良く観察してください。そして、自然の力のすごさや収穫の喜びなどを感じてほしいと思います。
今日はもう一度食事についての話をしたいと思います。この塾には食事について『出されたものは残さず、すべて良くかんで食べる』
というルールがあります。苦手なものがある人も、卒塾までには全て食べられるようになってほしいと思います。そしていろんなものをまんべんなく食べるようにしてほしいと思います。
昔から良くかんで食べることは体に良いことと言われていますが、どんな良いことがありますか?『食べ物がおいしくなる』『あごが強くなり、引きしまった顔になる』『頭のはたらきが良くなる』『胃腸に良い』『ゆったりした心が持てる』などがあります。ぜひとも良くかんで、落ち着いて食事をしてほしいと思います。」
■ 06月22日(土) 共同農園作業 ~ジャガイモの掘りあげ・乾燥~
前日までのどんよりとした天気が一変し、土曜日は青空ものぞく良い天気になりました。ジャガイモは塾生たちが初めて関わった作物でもあり、今回のコロッケ作りの材料になります。塾生たちは「どれくらい大きくなっているかな」と期待を胸に畑へ向かいました。
収穫するにあたり、ジャガイモがどのように育ってきたか、写真を見て振り返りました。
その後、スタッフがジャガイモを土の中にある状態で掘りあげてみせ、どんなふうに育っているのか観察しました。
また、50~100グラムだった1つの種イモからどれだけ収穫できるか予想してもらいました。その場で重さをはかり、なんと1つの種イモから1000グラム収穫でき、10倍以上になっていたことがわかりました。
この時期、茎や葉には疫病(えきびょう)という病気がでやすく、その病気をさわった軍手でイモをさわってしまうと病気がうつり長く保存ができなくなってしまいます。そのため、まずは葉や茎だけ先に集めました。
続いて軍手を新しくし、イモを掘りあげました。土の中にあるジャガイモはまだ皮が柔らかく、指でこすっただけでもすぐに皮がむけてしまいます。皮を傷つけないように気をつけながら収穫をしました。今年は天気が良かったおかげで大きなイモがたくさん収穫でき、あちらこちらから「わぁ、大きい!」「こんなにたくさんとれたよ!」など嬉しそうな声が聞こえてきました。
自分で掘ったご自慢のイモを持ち寄り、見せ合いました。
大きなイモ、ハートの形、だるま型、いろんなイモが見つかりました。
掘ったイモはすぐに回収せず、しばらく畑で乾かします。乾燥すると皮が丈夫になり、保存しやすくなります。
■ 06月22日(土) チーム農園作業
いつもは日曜日に行っているチーム農園作業ですが、この後コロッケ作りやコムギの収穫がひかえているため、土曜日の午前中に行いました。短い時間の中、病気の対策や草取り、トマトの芽欠き、植え付けなどを行いました。作物に必要な世話を考え、集中して取り組んでいました。
キュウリ、ズッキーニなどチーム農園でも収穫できるものが少しずつでてきました。
ポットで育てていた苗が大きくなり、植え付けをしました。
ウリ科の作物が病気になり、対策で灰をまいたり、お酢をかけたりしているチームもありました。
■ 06月22日(土) 休み時間 ~チーム農園作業の続き~
チーム農園の時間が短かかったため、自主的に休み時間を使い、チーム農園の続きをしているチームもありました。
■ 06月22日(土) 共同農園作業 ~ジャガイモの回収・計量・保存~
午後は畑で乾かしていたジャガイモを回収しました。
品種ごとにトレーに分けて入れていきました。ここでもイモを傷つけないように丁寧に作業しました。
持ってきたトレーが足りなくなるほどの大収穫。積んだトレーの高さが背を超えてしまい、塾生たちも驚いていました。
塾舎へもどり、収穫したジャガイモの重さをはかり、「傷がついているイモ」「小さすぎるイモ」「緑色になったイモ」と「保存するイモ」とで分けました。
その後、柳川先生より「野菜の保存の仕方」のお話をきき、ジャガイモを保管しました。
ジャガイモは暗くて涼しいところが適しており、光が当たり続けるとソラニンという有毒物質が増えてしまいます。
風通しの良い小屋へみんなで運び、寒冷紗(かんれいしゃ)という黒い布をかぶせ、光が当たらないようにして保管しました。
全部で203kgものジャガイモが収穫できました。自然の恵みに感謝です。
■ 06月22日(土) おやつ
この日のおやつは「インカのひとみ」という珍しいジャガイモのふかし芋でした。栗のようにホクホクして甘い品種です。初めて食べるという塾生も多く、夢中になって食べていました。
■ 06月22日(土) 塾活動 ~コロッケづくり~
いよいよ、自分たちで収穫したジャガイモを使ってのコロッケづくりです。
まず、チームごとにジャガイモを選びました。全体の半分はダンシャクというコロッケに向いている品種を使い、残り半分はチームごとに好きな品種を選びました。何の料理に適しているのか確認し、チームで相談していました。
きれいな服装に着替え、食堂で調理開始!
「タマネギをみじん切りにする」「ジャガイモの皮をむいてつぶす」「ひき肉をいためる」など役割に分かれて調理しました。それぞれ自分の役割をしっかり行っていました。
いためたタマネギとひき肉、つぶしたジャガイモを混ぜ合わせ、成形しました。12人分が均等になるようにわけ、小判型や俵(たわら)型などチームごとに決めた形に整えました。
仕上げはパン粉づけの作業。小麦粉・どろ(小麦粉と水と卵を混ぜたもの)、パン粉の順につけますが、ここでむらがあるとコロッケが破裂(はれつ)してしまい、うまく揚がりません。むらのないよう丁寧に、手際(てぎわ)よく作業していました。
きれいに成形できました。揚げるのは調理師さんにお願いし、その間におかずを盛り付け、夕食の準備をしました。食事当番でやっているということもあり、素早くきれいに盛り付けられていました。
最後に、全体を見ていただいた調理師さんより総評をいただきました。
「他のチームの選んでいないジャガイモを選んだチームがあったが、色がきれいで良かった」「揚げているうちにコロッケが破裂してしまったチームがあった。今度お家でやるときはパン粉付けをむらなくやりましょう。」

そして「いただきます」の前に、ステージ担当より「いただきます」にこめてほしい『3つの感謝』の話がありました。
「『食材の命をいただくこと』『自然の恵みに』『食事が自分の食卓に並ぶまでに関わってくださった多くの人や働きに』感謝の気持ちを込めていただきますを言いましょう。」
どのチームもおいしそうにほおばっていました。
自分たちで植え付け、世話をして、収穫をして、調理していただくという体験を通して、自然の恵みを体で心で感じることができたのではないでしょうか。
■ 06月22日(土) 休み時間 ~布団ひき~
ホタルの観察で夜の塾活動の時間が少し延びるため、休み時間に布団をひきました。食事当番のチームの分は各チームで代表者がでてひいてくれました。
■ 06月22日(土) 夜の塾活動 ~ホタルの観察~
自然塾から徒歩15分ほどの中津川の近くでは、6月中旬から7月上旬にかけてホタルが舞うのを見ることができます。ホタルは1年間の生涯のうち1週間だけ、次の世代に命をつなぐために光を放って飛び回り、その一生を終えるのです。そうした命の営みを、ホタルや他の見学者の邪魔にならないよう、そーっと覗いてみました。
川へ向かう途中の道でも、きれいな月が見えたり、カエルの鳴き声が聞こえたり、草の匂いがしたり、季節の変化や自然を感じることができました。
この日は観察日和だったようで観察場所では多くのホタルを見ることができました。
ホタルを見つけるたび、塾生たちは目をキラキラさせ、静かに感動を分かち合っていました。
■ 06月23日(日) 瞑想
毎ステージ日曜日の朝に行っている瞑想の時間ですが、5分を目標に毎回少しずつ時間を延ばしています。今回は4分間行いました。
1/3を終えたこともあり、心を落ち着かせることや、季節の変化を体で感じることが自然とできるようになってきました。
■ 06月23日(日) 共同農園作業 ~コムギの収穫~
日曜日はジャイモン畑のコムギを刈り取りました。このコムギは昨年11期生がまいたものです。収穫後、小麦粉にし、うどんやおやつとして塾の食事に使われます。そして11月には12期生も次の塾生のために種まきをし、リレーのバトンのように毎年受け継がれていきます。
一粒も無駄にしないように心をこめて作業しました。
3人組になり、鎌で刈る人、束をそろえる人、しばる人と役割を交代しながら作業しました。
しっかり束ねないと、運んでいる途中や、干しているときに穂が落ちてしまいます。慣れるまでは難しいようでしたが、後半は上手にしばるのが得意な人と刈るのが得意な人とうまく分担して作業していました。
全てのムギが刈り終わったところで、穂が落ちていないか全員で確認をし、拾いました。みんなで協力し、畑一面のムギをきれいに、大切に収穫することができました。
ムギの束を道路にある軽トラックまで協力して運びました。
刈り取ったムギは塾舎のベランダに干しました。ムギを干す人と使った道具を片付ける人とで分かれて作業しました。このムギはこれから約1ヵ月間、天日に干して乾燥させ、第9ステージに脱穀(だっこく)をし製粉所に持っていき小麦粉にしてもらいます。
みんなの口に入るまで、もうひと手間もふた手間もかかるのです。楽しみにしていてください
■ 06月23日(日) まとめ
ステージのまとめとして塾頭よりお話がありました。
「今回は少し暑かったけれど、一所懸命やってくれました。少しずつ体力も気力もついてきたなと感じています。これからもっと暑くなるかもしれませんが、自分の弱い心に負けないように頑張ってほしいなと思います。
昨日はジャガイモを収穫し、おいしくコロッケとしていただきました。やっぱり自然の力はすごいなぁと思います。大地・太陽・雨・風・土の中の微生物(びせいぶつ)などいろんなものが相乗して10倍も育ちました。
『3つの感謝の話』がありましたがいろんなものに感謝しなければいけませんね。野菜だけでなく肉や魚もみんな命があるものをいただいています。『いただきます』は『命をいただきます』ということです。食べ物を残すことは命を無駄にすることになります。
また、自然の恵みに感謝する気持ちがあると自然を大切にできると思います。そして、いろんな人に支えられて生きていることに感謝の気持ちをもってほしいと思います。
今回の共同生活の目標は「何事も心をこめてきちんと丁寧に作業する」でした。この言葉はこの塾を創った初代塾長の浜田さんがとても大事にした言葉です。いい加減な動作が身につくといい加減な心しか生まれない、丁寧にできる人は何でも丁寧にできるように感じます。ぜひとも学校でもお家でもいろいろなことを丁寧にやってほしいと思います。」
■ 編集後記
今回は、ジャガイモの収穫、コムギの収穫、ホタルの観察など、自然の恵みを実感し、命について改めて考えるステージだったと思います。お店にいけばなんでも手に入ってしまうことが当たり前になっている現代、「自分たちで植えつけたジャガイモを収穫し、調理し、いただく」という体験で、塾生たちは様々なことを感じたのではないかなと思います。
感謝の気持ちを忘れずに、命や自然を大切にできる人になってほしいと願っています。
K.T.



■ 食事メニュー
※( )内は自然塾で取れた野菜、手作り食品です。

金曜夕食 ・親子重(タマネギ、ミツバ)
・けんちんうどん(自然塾産小麦粉の乾麺うどん、
     大根、ニンジン、ゴボウ、長ネギ、サトイモ)
・漬物(大根))

土曜朝食 ≪大根づくしメニュー≫ 
・菜飯(大根の葉)
・味噌汁(味噌、大根、タマネギ)
・大根のはさみ揚げ(大根、タマネギ)
・大根のベーコン巻き焼き(大根)
・ふろふき大根の田楽(大根、味噌、山椒)
・大根のゴママヨ和え(大根)・お花大根(大根、梅酢)
・大根の和風漬け(大根)・大根の韓国漬け(大根、ニンジン)・大根の中華漬け(大根)
・だし取り後昆布鰹節の佃煮

土曜昼食 ≪キュウリづくしメニュー≫
・ジャージャーうどん
(手打ちうどん、キュウリ、長ネギ、ニンジン、タケノコ、
タマネギ、レッドオニオン)
・キュウリの軍艦巻き(キュウリ、大根の葉、ニンジンの葉)
・かっぱ巻き(キュウリ)
・梅きゅう巻き(キュウリ、梅干し)
・味噌きゅう(キュウリ、味噌)
・漬物(キュウリ)

おやつ ・蒸かし芋(「インカのひとみ」という品種のジャガイモ)

土曜夕食 ・ご飯
・すまし汁(タマネギ、ニンジン)
・コロッケ(ジャガイモ、タマネギ)
・サラダ(リーフレタス)
・ニンジングラッセ(ニンジン)
・スパサラダ(タマネギ、ニンジン、キュウリ)

日曜朝食 ・ご飯
・味噌汁(味噌、タマネギ、ジャガイモ)
・ピーマンの玉子蒸し(ピーマン、タマネギ)
・ニンジンの葉入り玉子焼き(ニンジンの葉)
・ジャガイモのマヨネーズ焼き(ジャガイモ)
・ナスの味噌焼き(ナス、味噌)
・ナスのケチャップ炒め(ナス、タマネギ、ニンジンの葉)
・キュウリの酢の物(キュウリ)・漬物(大根)
・だし取り後昆布鰹節の佃煮

日曜昼食 ・金平ライスバーガー(ゴボウ、リーフレタス)
・フライドポテト(ジャガイモ)
・オニオンリング(タマネギ)
・梅ジュース(梅シロップ)