2012.03.23~25
第01ステージ ~女子~
ステージテーマ:「友達と仲良くなって自然塾に慣れよう!」
共同生活の目標:あいさつをする
いよいよ女子も第1ステージが始まりました。市村自然塾関東では、毎回ステージテーマと共同生活の目標を掲(かか)げて活動します。1回目の今回は、学校も地域も違う仲間で戸惑うこともあると思いますが、早く仲良くなって、楽しい塾生活を送れるように「友達と仲良くなって自然塾に慣れよう!」というテーマを掲げました。
また、さまざまな仲間と一緒に気持ちよく生活するには、まず、あいさつをすることが欠かせません。そこで、今ステージでは「あいさつをする」を共同生活の目標として掲げ、特に「はい・いいえ(返事)」「おはようございます(朝晩のあいさつ)」「ありがとうございます(感謝の言葉)」「失礼します(相手を気づかうあいさつ)」「すいません(あやまりの言葉)」の5つのポイントを「ハイ、オアシス」とまとめ、意識して過ごしてもらいました。
■ 03月23日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたり、塾頭からお話がありました。
「いよいよ今日からスタートです。
これからの8ヶ月間を楽しく思い出深いものにしてください。ここではみんなひとつの家族です。私がお父さん、スタッフがお兄さん・お姉さんだと思って、みんな仲良く、楽しく過ごしましょう。これからここで、いろいろな活動をしてもらいますが、思い出深いものするためには、自分から何でも進んでやるようにしてください。そして、自分のことが自分でできるようになってもらいたいと思います。また、初めて経験することが多いと思いますが、スタッフやボランティアの方の言うことを最後まできいて、行動を起こすようにしてください。
この塾では目標というものを大切にしています。人生において目標をもつことはとても大事です。目標があると、目標に向かって一所懸命頑張ろうとし、だらだらしなくなります。今回の共同生活の目標は「あいさつをする」ですが、これを達成するようにみんなで頑張りましょう。
今日から28名の新しいお友達、スタッフ、ボランティアの人たちみんなで農作業やお掃除など一緒になってやります。みんなで協力して助け合いながら、ケガのないようにやってほしいと思います。
■ 03日23日(金) 荷物整理
塾生には1人ひとつ衣装ケースが貸し出され、18ステージまで自分の荷物はその中に入れて管理します。夜の集いが終わった後は、自分で持ってきた、もしくは宅急便で送った大きな荷物の中身を衣装ケースにしまいました。
今回は初めてなので、何をどうやってしまおうか迷いながら荷物を移していましたが、ステージを重ねるうちに自然と使いやすいように工夫してしまえるようになってきます。
みんなの荷物が入れ終わり、塾生室の中もすっきりしました。
荷物整理が終わったら、自分の長靴に名前を書き、地下倉庫ある長靴棚(だな)に置きに行きました。これから18ステージの間、農作業を共にする道具のひとつです。大切にしましょう。
■ 03日23日(金) 布団敷き
その後塾生室に戻り、チーム担当より布団の敷き方の説明がありました。自然塾では布団のあげおろし、シーツカバーのかけはずしもすべて自分たちで行います。
説明の後、自分たちで布団を敷きました。何種類かあるシーツに迷う場面もありましたが、チームで協力して、テキパキ動けていました。
■ 03日24日(土) 朝の掃除
起床後に布団をたたんだあとは、塾生室を清掃する時間です。掃除機をかけたり、ベランダを雑巾がけしたり、分担して作業します。
■ 03日24日(土)  農業を始めるにあたっての心構え
初めて作物を育てる塾生も多いため、農業指導の先生から「農業を始めるにあたっての心構え」を話していただきました。
「これからクワを使って畑を耕してもらうと思いますが、作物を育てるところを人間が歩いてしまうとうまく育ちません。作物の様子を見るときは少し離れたところから見るようにするなどして、せっかく耕したところを固めないようにしてください。
それから、みなさんは友達の顔色をみて、元気かどうかわかりますよね。野菜も同じで顔色があります。野菜も色や葉っぱの状態でメッセージをだしてきます。野菜の出すメッセージを良く読み取って管理するようにしてください。」
■ 03日24日(土) ジャガイモの種芋準備
ジャガイモは種をまいたり、苗を植えつけるのではなくジャガイモの芋そのものを植え付け、植えつける芋を種芋と呼びます。ひとつの種芋からいくつも芽が出て、葉が伸びていくのですが、種芋の重さが50g以上あれば、ひとつの種芋から収穫できるイモの量は変わりません。そのため、午前中の最初の作業は植えつける前の準備として、種芋の重さを量り、100g以上ある種芋はふたつに切る作業をしました。
種芋の重さをはかりで量る役割、100g以上の種芋を2つに切る役割、芋の切り口に消毒用の灰をつける役割に分かれ作業しました。
ひとつの芋の中にも向きがあり、芽がたくさん出るところと出ないところがあります。ステージ担当から説明を受けた“見分け方”を思い出し、芋の芽の位置を確認しながら切りました。また、まだ包丁を使い慣れていない塾生も多く、おそるおそる包丁を使っている塾生もいましたが、ケガをしないように真剣に作業していました。
■ 03日24日(土) チーム活動 ~チーム農園春の作付け計画の検討~
自然塾には共同農園とチーム農園があります。共同農園は主に食材となるものを育てており、塾生もスタッフも植え付けや世話をします。チーム農園は塾生が計画し、植え付けから収穫まですべてを自分たちで行います。
ジャガイモの作業の後は、全員いったん外に出てチーム農園の割り振りをしました。4つの畑を見てどの畑が良いかチームで話し合い、畑の場所を決定しました。
自分たちの畑が決まったら、室内に戻り、育てる作物について検討しました。「どんな作物を育てたいのか」「その作物を収穫したら、どうしたいのか」などをチームごとに話し合いました。
「ダイコンを育てておでんにして食べたい」「エダマメを育てて持ち帰り、お父さんのビールのおつまみにしたい」などいろいろな意見がでていました。
このチームは、自分のつくりたい作物についてチームのみんなにプレゼンをして、作物を選んでいました。
希望した作物が自然塾の環境で育てられるのかや、どれくらい収穫できるのかについて農業指導の先生に相談しているチームもありました。先生の話を真剣に聴いていました。
■ 03日24日(土) 昼食~卒塾生の紹介~
今回のステージは雨の中、10期生女子の卒塾生4名が活動のお手伝いにきてくれました。道具の準備や片付けなどを手伝ってくれました。「さすが、卒塾生。」と言ってしまうくらいテキパキと動き、頼んだ作業を手際よくこなしてくれました。
昼食時に一言ずつ、今の塾生へメッセージをもらいました。
■ 03日24日(土) チーム活動 ~チーム農園計画続き~
午後最初の作業は「クワの練習」をする予定でしたが、雨が降ってきてしまったので引き続き室内でチーム農園の計画をしました。
午前中に決めた育てる作物について、「いつ植えつけていつ収穫なのか」や「どれくらいの間隔(かんかく)で植え付けをするのか」などを本を使って調べたり、チーム担当と相談したりしました。そして、それをもとにどの作物を、畑のどこで育てるのかを決定しました。
また、ステージ担当からチームについての説明があり、リーダー・サブリーダーの候補者を立候補もしくは推薦(すいせん)により選びました。
■ 03日24日(土) 自分に合ったクワの選び方・クワの使い方練習
雨がやんだので、後半は合羽を着て塾庭に集合し、クワの使い方の説明と練習をしました。自然塾の農作業で一番使うことが多い道具はクワです。便利な道具も使い方を間違ってしまうと大きなケガをする可能性があります。畑で作業をする前に、塾生全員でクワの使い方を確認し、練習をしました。
まず最初に、ステージ担当より自分に合ったクワの選び方、正しい運び方、置き時の注意点について説明がありました。
次に、長さや重さが違う3種類のクワの中から自分に合うクワを選び、モロコシ畑へ移動し、クワの使い方の練習をしました。最初に農業指導の先生から「振り上げる時は頭より上に上げないこと」「畑の下側から上側に土を上げること」など説明・注意を受けてから3列に広がって練習しました。初めてクワを扱う塾生がほとんどだったのと、雨上がりで土が重かったこともあり、すぐに疲れてしまう塾生が多かったのですが、練習を終える頃にはだいぶ上達していました。
最後に、道具と長靴の洗い方について説明を受け、自分で使ったクワと長靴を洗いました。土が残っていないか、裏表を良く確認しながら丁寧に洗っていました。自然塾では「自分で使った道具は、きれいにして次の人が使いやすいようにもどす」というのが基本です。これからいろんな道具を使いますが、大切に扱っていきましょう。
■ 03日24日(土) 夜の塾活動
夕食の後は塾活動としてまず塾頭から「活動の目的と共同生活の基本ルール」について、自然塾で身につけてほしいこと、共同生活をする上で守ってほしいことなどのお話がありました。
続いて、事務局長から「通塾についての諸注意」として、新松田からの電車の乗り方や、電車内外でのマナーについてのお話がありました。
お話の後は、共同生活の目標の振り返りをしました。金曜日の夜から、土曜日の夜までの時間「ハイ、オアシス」ができていたかどうか自分自身を10点満点で評価しました。
その後の時間を使って、簡単なゲームをしました。みんなでじゃんけんをしたり、好きな季節や教科ごとに集まったりしました。そして、最後にひとつの大きな円をつくり、全員で自己紹介をしました。金曜日に来たときは、全体的に緊張している様子でしたが、ゲームが終わる頃にはすっかり打ち解けているようでした。
■03日25日(日) 瞑想(めいそう)
毎ステージ、日曜日の朝食の前に季節の話と瞑想を行います。季節の話は、ステージ担当から二十四節気という1年を24等分した季節の紹介と解説があります。そして、瞑想は窓をすべて開け、電気を消し、体全体で季節の移り変わりを感じてもらいながら行います。
今回は1分間瞑想をしました。初めてでしたが、姿勢も良く、集中できていました。瞑想が終わった後に何か気付いたことがあるか質問をしたら、「鳥の声が聞こえた」や「風が涼しかった」という答えがありました。
■ 03日25日(日) 共同農園作業 ~ジャガイモの植え付け~
みんなの思いが天に届いたのか、日曜日はすみわたった青空になり、予定していた「ジャガイモの植え付け」をすることができました。
ジャガイモは塾生が初めて植え付けをする作物です。女子はダンシャク・メークイン・キタアカリ・アンデスレッド・シンシアの5種類のジャガイモを植え付けました。
まず、最初の作業はジャガイモを植えつけるための溝(みぞ)を、クワを使ってつくる“溝きり”という作業です。目安のひもに沿ってまっすぐでおなじ深さの溝をつくるのですが、土曜日のクワの練習の時と動きが違うので、最初のうちはみんな苦戦していました。なれてきたら、動きも良くなり、きれいなまっすぐな溝ができました。
“溝きり”の後は土曜日に準備をした種芋を溝に並べ、芋と芋の間に肥料をあげました。ここで置く肥料は芽が出た後に大きくなるための大切な栄養です。しかし、種芋にかかってしまうと病気になってしまうため、肥料がかからないように丁寧に置いていかないといけません。塾生たちは3人で協力しながら、丁寧に作業していました。
最後に種芋を並べた真上に小さな山ができるようにやさしく土をかぶせました。
全員で植え付けの終わった畑を見ながら感想を発表し合いました。「肥料が舞って(まって)しまって大変だった」「溝をつくるのが難しかった」などの感想がでました。
スタッフから見ても、どの作業も、心を込めて丁寧に行えていました。大きく育ち、たくさん収穫ができるとよいですね。
■03日28日(日) まとめ
最後に、ステージのまとめとして塾頭からお話しがありました。
「今回は初めての作業でしたが、みんな一所懸命やってくれたと思います。特に今日は初めての農作業で『ジャガイモの植え付け』をやってもらいました。ジャガイモは約3か月かかって大きくなり、だいたい梅雨のころに収穫できるようになります。みんなが丁寧に一所懸命作業してくれたので、きっとおいしいジャガイモができると思います。それをみんなでコロッケにして食べるので楽しみにしていてください。
その他にも初めてのことを多くの人にやってもらいましたが、一所懸命自分から進んで辛いこと・嫌なことをやってくれた人は、きっといい思い出になったと思います。これからも嫌なこともいとわずに、みんなのためにも自分のためにも一所懸命いろんな作業をやってほしいと思います。
このステージの目標は『あいさつをする』でした。金曜日の来た時に比べだいぶできるようになりました。あいさつができるというのは、気持ちが良いことですね。また、あいさつは人の心を表します。どんな人にもどんな時にもあいさつができる人は、陰日なたのないまっすぐな心を持っている人だと思います。ここだけでなくいろんなところでできるようになってほしいと思います。」
■03日28日(日) 塾舎へむかってあいさつ
「礼に始まり、礼に終わる」という言葉がありますが、塾生たちは塾舎から出て、バスに乗る前に塾舎に向かって一礼し感謝の気持ちを込めて「ありがとうございました」とあいさつをしてから帰ります。
2週間後、また元気な姿を見せてくださいね。
■ 編集後記
今回の共同生活の目標は「あいさつをする」でした。ステージ担当が話をする際に返事をしっかりしてくれたり、休み時間に感謝やあやまりの言葉が聞こえてきたりと、活動や共同生活の中でみんなが意識している様子が伝わってきました。あいさつは短い言葉ですが、あるとなしでは全然違います。あいさつひとつで心が温かくなったり、元気がでたり、やる気が出たりします。今回は意識してあいさつをしてもらいましたが、今後は意識せずとも気持ちの良いあいさつが自然とできるようにり、よりよい人間関係をつくっていってもらいたいと思います。
今回初めて、瞑想をしましたが、普段生活する中では自分自身と向き合う時間や、季節の変化を体で感じる時間というのはなかなかないと思います。ぜひ、ここ寄(やどりき)という自然に恵まれた環境のなか、静かに心を落ち着かせ、「自然のリズムを五感を使って感じる時間」を大切にしてほしいと思います。
<K.T.>