2012.04.27~04.29
第04ステージ ~男子~
ステージテーマ:「思いやりをもって夏野菜の植え付けをしよう!」
共同生活の目標:「ルールを守る」
 今回は農作業中心のステージでした。その中でもメインの活動は「夏野菜の植え付け」でした。これから夏の終わりまで世話をし、食卓にも長く出てくる作物ばかりなので思いやりをもって植え付けてほしいと、このテーマを掲げ活動に取り組みました。
 また共同生活の目標は「ルールを守る」でした。一言でルールといっても様々な場面でのルールがありますが、今回は自然塾での 1.食事 2.入浴 3.洗濯 4.農作業 の4つの場面でのルールを意識して生活しました。
■ 04月27日(金) 夜の集い
 ステージを始めるにあたって塾頭からお話がありました。
  「みんなが第1ステージ、第2ステージに植えつけてくれたジャガイモ・ゴボウの芽が出ました。これから、晴天が続きますが、野菜は一所懸命(いっしょけんめい)面倒をみないと大きくなりません。思いやりを持って野菜を育ててほしいと思います。それから、今回も畝たてや植え付けなどいろんな作業をしますが、ひとつひとつ丁寧(ていねい)に作業してください。
 いよいよ第4ステージが始まりますが、今までのステージを見て感じたことがあります。
新しいことを覚えようとしたり、いろんなことを一所懸命やろうとしている姿が見受けられ、あいさつができるようになったり、時間が守れるようになってきたりしていることはとても良いと思います。ただ、一所懸命やろうとしている人と、ちょっとやりきれていない人がいるなあと感じました。人として、基本的なこと、当たり前のことがきちんとできるようになってほしいと思います。今回の共同生活の目標は『ルールを守る』です。交通ルール、学校の規則などいろんなルールがありますが、みんなで決めて守るべきことです。友達同士の約束もルールのひとつです。ルールを守れると人から信頼されます。反対にルールを守らないと危険ですし、ケガをしてしまうかもしれません。ルールを守り、安全で快適な共同生活をおくってほしいと思います。このステージでもう一度『なんでルールを守らないといけないのか』『ルールを守ることの大切さ』を考えてもらいたいと思います。そして人に対しても、野菜に対しても思いやりの心をもって接してほしいと思います。」
■ 04月27日(金) オカボの種準備
 スタッフが土曜日に使うオカボの種を1人分ずつに分けていたところ、3名の塾生が手伝ってくれました。はかりを使って正確に量り、袋に分けました。最初はなかなか目安の重さにならず種を増やしたり、減らしたりを繰り返していましたが、後半は1回で目安の重さにできるほど慣れていました。手伝いのおかげであっという間に準備が終わりました。
■ 04月28日(土) チーム農園~鹿よけネット張りとポット播種~
 前日の雨で土の状態が良くなかったので、土曜日の最初の作業は畑に入らなくてもできる作業をしました。以前より計画をしていたチーム農園の「鹿よけのネット張り」と、同じくチーム農園作業で「ポットへの種まき」の2つに分かれて作業しました。
 ボランティアスタッフの方に杭(くい)を打ってもらい、そこへ竹の支柱をひもでしばりつけました。ぐらぐらしないようにしっかりと固定しなければいけませんが、ひもを結ぶことに慣れていない塾生も多く、苦戦(くせん)している様子でした。みんなで協力しネットを完成させました。
 今回のステージでは全チームがトウモロコシの種をまきました。スタッフからポットの使い方や種のまき方について説明があり、その後チームごとに種まきをしました。一粒一粒丁寧にまいていました。
■ 04月28日(土) 共同農園作業
~ジャガイモの芽欠き・草取り・追肥・土寄せ~
 午前中の後半は、第1ステージに植え付けをしたジャガイモの世話をしました。今回の世話は『芽欠き』といい、ジャガイモを育てる上で大切な世話です。たくさんの芽が大きくなってしまうと、作物どうしが栄養や光を取り合ってしまい、食べる部分の生長が悪くなったり、風通しが悪く病害虫の被害(ひがい)が出たりしてしまいます。そのため元気が良い芽を2本だけ残し、あとは抜いてしまいます。塾生は「これを残すのでいいかなぁ」とスタッフに確認しながら作業をしていました。
 また、ここ数日の雨と暖かさでいっきに雑草が生えてしまったので、全員で協力して草取りをしました。特にスギナという雑草の勢いがすごく大変な作業でしたが、真剣に取り組んでいました。
 雑草がきれいになったら、「追肥・土寄せ」の作業をしました。「追肥」とは、作物がこれから大きくなるために栄養となる肥料をあげること、「土寄せ」とは肥料や作物の根元に土をかけてあげる作業のことです。ジャガイモは今、土の中に新しい芋が育っていますが、その芋に日光が当たってしまうと芋が食べられなくなったり、病気になったりするのでしっかり土寄せが必要です。ジャガイモの葉にかからないように丁寧に肥料をまき、土寄せをしました。蒸し暑かったせいか、後半はバテぎみの塾生が何人かいました。これからますます暑くなっていきますが、少しずつ体力をつけていきましょう。
■ 04月28日(土) 共同農園作業 ~夏野菜の植え付け~
 お昼過ぎはからっと晴れて暑いくらいの陽気でした。夏野菜の植付けとしてナス、トマト、ピーマンの苗をムギワラボウシ畑に植えつけました。最初の作業が肝心です。心を込めて丁寧に作業するように心がけてもらいました。
 まずは畝たてです。前回のステージを思い出しながら作業を進めました。「どこの土をけずるんだっけ?」と2週間経ちすっかり忘れてしまった塾生もいましたが、体を動かしながら徐々に思い出してきたようで、畝が出来上がる頃にはだいぶクワ使いもうまくなっていました。
 次に畝の上に等間隔にまっすぐ苗を並べ、植付けをしました。苗を傷つけないように丁寧に扱いました。
 夏野菜は背が高くなるので倒れないように、1株1株に支柱を立てました。苗に近すぎると根をいためてしまい、逆に遠すぎると支えとして役割を果たしません。ちょうど良い距離(きょり)に支柱を立てて、苗と支柱とをヒモで結ぶ誘引(ゆういん)という作業をしました。ここでも丁寧な作業が必要で、苗が大きくなることを考えて苗側はゆるく輪を作り、支柱側ははずれないようにしっかりと結び付けなければなりません。その力加減に塾生たちは苦労していました。また、蝶(ちょう)結びにも苦労をした塾生もいました。
 誘引が終わり、株元にワラを敷きました。これは、夏の暑い日差しから土表面の水分の蒸発を防ぎ畑が乾燥しないような役割を果たします。また、雨の時に泥の跳ね返りを防ぎ、病気から作物を守ります。そして、畑に雑草をはやさないようにする役割もあります。
苗の上にワラがのってしまわないように気をつけて作業しました。
 「八十八夜の別れ霜」という言葉がありますが、この時期はまだ霜が心配なため、男子塾生は寒さに弱いキュウリの苗の植付けはしませんでした。その代わり、ステージ担当より必要な世話について説明と実演があり、全員で確認しました。ウリ科の作物の苗には、植え付けてすぐに周りにビニールをかけます。寒さや強風、害虫から苗を守ってくれます。
全チーム、チーム農園でウリ科を育てるということもあり、みんな真剣に話を聴いていました。
 その後、今回は時間がなかったのでスタッフが代わりにたっぷり水やりをしました。
これから約1ヵ月間、ちゃんと世話をしてはじめて立派な夏野菜が収穫できます。おいしい夏野菜を食べられるようにこれからも世話を続けましょう。
■ 04月28日(土) 共同農園作業 ~オカボの種まき~
 続いて、モロコシジロウ畑でオカボの種まきをしました。オカボは漢字で書くと「陸稲」と書き、水田の作れない山間の地域などで昔からつくられてきたお米です。無事に育てば、収穫したオカボは、最終ステージでおもちつきをしていただきます。
 底が平らになるように溝をきって、種まきをしました。一粒一粒心をこめて丁寧にまきました。
■ 04月28日(土) 夜の塾活動 ~危険生物の話~
 夜の時間は自然塾周辺で出会う可能性のある危険な生物についての話がありました。ヘビやハチ、ブユなどの生き物の危険度と遭遇率(そうぐうりつ)や、出会った時の対処の仕方などの説明がありました。塾生は知っている生き物が出てくると意見を言ったり、大切なことを塾生手帳にメモしたりしていました。
■ 04月29日(日) チーム農園作業
 日曜日の午前中は全てチーム農園作業の時間でした。第2ステージ、第3ステージ、どちらも雨で土づくりができなかったため、この時間はどのチームもまず土づくりから始めました。重い資材を協力して運び、クワで耕しました。残りの時間は、畝の予定の場所へ竹の目印をさしたり、次回のステージに植付けをする予定のところに畝をたてたりとチームごとに計画的に時間を使っていました。
 堆肥は約10kgあるのでチーム農園まで運ぶだけで一苦労。このチームは体の大きな上級生が頑張って運んでいました。何度か休憩しながらなんとか運びきりました。
 プラミをうまく使って腐葉土と牛糞をまんべんなく畑にまきます。このチームは今回は欠席が多く、人数が4人と少なかったのですが頑張って作業していました。
 畑をきれいにならしたら、作付け図を元に、畝の位置に目印の竹をたてました。チーム協力し、メジャーを持つ人、図面を見て指示を出す人、竹をさすひとなどに分かれて作業していました。
 次のステージにはたくさん苗の植え付けがあるので、それに向けて畝たてをしているチームもありました。クワ使いもだいぶなれてきました。
 このチームは、トマトの植え付けをしました。共同農園作業での世話を思い出しながら作業していました。6種類のトマトを育てるそうです。味比べができそうですね。楽しみです。
■ 04月29日(日) 作付け表シールはり
  各ステージで塾生が世話をした作物には土間にある作付け計画用にシールをはっています。今回はジャガイモ・ナス・ピーマン・トマト・オカボのところに塾生の代表がシールをはりました。
■ 04月29日(日) 活動のまとめ
  ステージの終わりに塾頭より活動のまとめの話をしていただきました。
「2日ともいい天気に恵まれ、たっぷり農作業をすることができよかったと思います。暑いくらいの天気の中、いろいろな作業があり大変だったと思いますが、みんな一所懸命やってくれていたと思います。ただ、残念だったのが『頑張りが少なかったな』と思う人が何人かいたことです。まだ体力がない人も多いかもしれませんが、ずっと休むのではなく体力がない人はないなりに一所懸命やり、メリハリをつけて作業できるようになってほしいと思います。
大変な農作業へ取り組むことで、最後までやり通す強い意志を持ってほしいと思います。つらいから収穫した野菜がおいしくいただけるし、ありがたみがわかるのだと思います。これからもっともっと暑くなりますが、弱い自分に負けないで頑張ってほしいと思います。
 自然塾では『いただきます』『ごちそうさま』は必ず言いますが、なんで言うと思いますか?ひとつは料理をつくってくれた調理師さんや野菜を育ててくれた人に対して感謝するということ。もうひとつは、食材となる野菜や肉や魚はもともとは命があり、その命を絶って私たちに生きる力を与えてくれています。つまり命をいただいるということで、その命に感謝するということです。『命をいただきます』『命をごちそうさま』という意味があります。食べ物を残すということは命を粗末にすることです。食事をするときは命に感謝の気持ちをもち、食べ散らかさずに、残さずに食べましょう。」
■ OBの訪問
 今回のステージは2組のOBたちが塾へ来てくれました。土曜日は10期生女子の2人が活動の手伝いに、日曜日は大地の会の役員の人たちが14名、夏に行われるキャンプについての話合いのために来てくれました。OBたちは以前会った時に比べ、またひとまわり大きく成長したように感じました。
■ 編集後記
 今回は晴天に恵まれ、2日間ともみっちりと農作業を行ったステージでした。そんなステージだったからか、最後まで頑張ることができる人と、途中でねをあげてしまう人とで大きく分かれたように思えます。
自然塾での生活も1ヶ月が経ち、友達ができたり、自然塾の生活に慣れのびのびと過ごせるようになったりと良いこともありますが、「緊張感の薄れ」「わがまま」などの悪いことも少しずつ顔をのぞかせてきました。塾生たちには、ぜひここでもう一度気持ちを引き締めて活動に取り組んでもらいたいと思います、そして、つらいことも最後までやりぬく強い心を育てていってほしいと思います。
K.T.