2011.12.04
2011年度 卒塾式
 12月04日、2011年度・市村自然塾関東卒塾式が開催されました。
 男子27名、女子28名の塾生とその保護者の方々が参加して、第10期生の卒塾式が行われました。
■ 塾生到着
 朝、塾生と保護者の方々が到着しました。

 塾のある寄(やどりき)地域は前日まで大雨に見舞われましたが、卒塾式が行われたこの日は、雲一つない素晴らしい晴天となりました。
■ 中村代表理事の挨拶(あいさつ)
 卒塾式が開会し、始めに中村代表理事から挨拶をいただきました。
「今年は本当に大変な1年でした。東北で大震災が起き、混乱が収まらない中で、塾活動をスタートしました。今日こうして無事に卒塾出来ることは大変喜ばしいことです。皆さんの顔を見ると、本当によく成長してくれたと思います。
 塾で自然から学んだことや、思い出に残った体験が色々あると思います。その思い出を書いた作文を、3年後、5年後に、もう一度読み返して見て下さい。出来なかったことに挑戦して、勝ち得たものを思い出せると思います。ここでの思い出や学んだことを大切にして下さい。
 10月に行われた10周年記念の日に、卒塾生たちが集まって、塾で学んだことがどれだけ活かされているか、自分たちがどれだけ成長しているかを、互いに確かめ合いました。卒塾生たちは、塾で学んだことが今とても役に立っていることを教えてくれて、これからも良き社会人として成長することを誓っていました。卒塾生のご父兄も、子どもの驚くほどの変化を口々におっしゃっていました。
 皆さんも、これからは一人ひとりが学校や社会で学んでいくことになります。この8ヶ月の経験を終わりにせず、1つの肥やしにして、塾で学んだことを続けていってもらいたいと思います。皆さんのますますの成長を願っております。」
■ 記念品(10期生の活動記録DVD)授与
 その後、記念品の目録が塾生代表に授与されました。記念品は、塾での8ヶ月間の活動を記録したDVDです。卒塾式の様子を追加で記録したものが、後日塾生のお宅へ送られる予定です。
■ 西野顧問の辞
 次に、西野顧問からお話をいただきました。
「皆さんは、塾の活動から色々なことを学び、それを塾生手帳にメモしてきたと思います。この卒塾式が終わったらもう一度この8ヶ月間を振り返って、体験し学んだことを全部書き出してください。いつでも思い出して、実践出来るようにするためです。
 塾を創立された浜田前総合塾長は、いつも3つのことをおっしゃっていました。
 1つ目は、良い心の親分である『親切な心』を常に持ち続けて、行動して下さい。人は良い心と悪い心を常に持っています。だけど、良い心を前面に出せば、悪い心は後ろへ引っ込んで出てこなくなります。
 先日、小学校5年生のある女の子が『クリスマスに魔法を貰って、それで大震災で被災された人を助けたい。』という作文を書き、表彰されました。そういう風に、常にみんなを思いやる心を持って下さい。この塾を卒塾した人ならば出来ると思います。
 2つ目は、何事もきちんと丁寧に、そして素早く行いましょう。いつも塾頭やスタッフから、心がけるように言われていたはずです。これから社会人になって、仕事をする時にも大切にしてほしいと思います。
 3つ目は、何でも好き嫌いなく、良く噛んで食べることです。
 浜田前総合塾長の思いをぜひ受け継いで、これらの3つを行動して下さい。」
■ 塾頭の辞
 続いて、枝村塾頭からお話をいただきました。
「塾で取り組んだことは、ほとんどが初めての体験だったことでしょう。多くのことを学びましたね。
 1つは野菜の作り方です。農作業は大変でしたが、たくさん愛情を注いで一所懸命世話すれば、美味しくて大きな野菜が育ちました。苦労すれば必ず良い結果が生まれることを学びました。好き嫌いが無くなり、よく食べるようになりました。
 2つ目に、チームワークの大切さです。自分のわがままを通そうとして、友だちとケンカしましたね。でも、それではいけないと分かり、自分の欲望や感情を抑えて我慢出来るようになりました。友だちと協力すると、自分一人では出来ない大きなことを素早く出来ることが分かりました。相手を思いやる心、感謝する心も学びました。
 3つ目は、様々な場所から集まったたくさんの友だちが出来たことです。これはかけがえのない財産です。いい友だちは将来みんなの力になってくれます。これからもずっと大切にして下さい。
 ここで学んだことはまだ小さな芽です。大きな野菜に育てあげられるかどうかは、これからのみんなの努力次第です。塾の終わりが出発のつもりで、時々学んだことを思い出して過ごしてほしいと思います。
 今年は自然災害の多い年でした。でも脅威以上に、自然から得られた恩恵が多かったことを実感したと思います。自然を大切にして、慈しんで下さい。
 お父さんお母さんからもらった体を大切にして下さい。元気な強い心と体を築いて、自分の立てた目標に向かって頑張って下さい。」
■ 修了証授与
 塾生一人ひとりに修了証と記念品が贈られました。友だちと一緒に塾で生活し、雨風や夏の暑さに負けない強い意志と、自然を慈しむ心を身につけた証です。
■ 市村アイデア賞表彰
 市村アイデア賞は、リコー三愛グループの創始者、市村清の「子どもの頃に色々なことを考えることが大人になっても大変役に立つ」という意思を受け継いで設けられた、子どもの発明や工夫の力を育てることを目的とした賞です。塾生にもアイデアを考えてもらい、応募してもらいました。
 今年は全国17000件から応募があり、塾生からは佳作が1件選ばれ、表彰されました。
 佳作に選ばれたのは、「帽子でエコバッグ」というアイデアで、通常は帽子として使い、買い物などの時にはバッグとしても使えるというものです。考え付いたきっかけは、農作業が終わって塾舎へ戻る時に、使った軍手を帽子に入れて持ち帰っていたことがヒントになったそうです。

 他にも、市村アイデア賞に応募した塾生には参加賞が贈られました。
■ 10期生の活動記録DVD上映
 塾生に記念品として贈られる予定のDVDが上映されました。これは入塾式から第18ステージまでの記録です。

「あったあった!」「この作業やったよね!」 
 塾生たちは大笑いしたり、しんみりと懐かしんだりして、映像を楽しんでいました。
■ 塾生の辞
 その後、自然塾で学んだことや感じたことを、塾生一人ひとりに発表してもらいました。
「夏は暑くて大変だったけど、みんなで農作業を頑張ったから収穫できた。一生懸命やれば何でも出来るということを学んだ。この先、諦めそうになることがあっても、このことを思い出して頑張りたい。」
「自分は多くの人に支えられている、ということを知った。今の自分は、誰かの支えになれているのかな、と思った。これからは、たくさんの人を支えられる人になりたい。」
「リーダーになったけど、学校でやったことがなかったから、出来るか不安だった。実際、あまりチームのみんなをまとめられなかったと思う。でも僕は、みんなをまとめるには『勇気』が必要なんだと気づいた。中学校に入ってリーダーになったら、勇気を出してみんなを注意したい。」
 他には、
「食事を感謝して食べるようになった。」
「友だちを大切にするようになった。」
「好き嫌いが減った。」
「みんなが思い切り注意してくれたおかげで、ケガせずに18ステージ過ごせた。」
「畑の野菜につく害虫をつぶすのが大変だった。」
「仲間と協力することの大切さを学んだ。」
「自分たちで作った野菜を、家族が美味しいと言って食べてくれたのが嬉しかった。」
「嬉しいことも大変なことも経験できた自然塾が大好き。」
などの感想が述べられました。

■ 塾生に贈る言葉
 今度は世話人代表から、塾生に向けて言葉が贈られました。
「卒塾おめでとう。皆さんは塾で色々なことをやりました。その中には初めて取り組んだものがたくさんあったと思います。そしてこれからも、初めて挑戦することがたくさん待ち受けています。その時に、塾で初めての作業に挑戦した時のことを思い出してみて下さい。自分なんか出来ないんじゃないかと考えないで、『ちょっとした勇気』を振り絞ってみて下さい。また、その勇気の出し方を覚えておいて下さい。
 卒塾すると、28人で生活することはほとんどありません。ここで仲間になった友だちを大切にしてほしいと思います。スタッフ全員、皆さんのことを応援しています。これからも頑張って下さい。」
■ 記念品贈呈
 塾生が自分のこづかいから100円ずつ出し合って、クリの苗木を塾に贈呈してくれました。
 また、保護者の代表からベランダにかける掛け時計を贈呈していただきました。
■ 斉唱
 式の最後に、「故郷」と「今日の日はさようなら」を全員で斉唱しました。「故郷」は男子塾生代表が、「今日の日はさようなら」は女子塾生代表が伴奏を務めました。
 歌の詞のように、塾で一緒に過ごした仲間たちと、いつまでも大切な友だちでいてほしいと思います。
■ 記念撮影
式が終わった後、全員で記念撮影をしました。塾庭では、保護者の方々も含めて写真を撮りました。みんな、晴れやかな表情です。
■ 食事
 昼食には、塾でとれた野菜をたっぷり使ったお弁当と豚汁をいただきました。塾生として塾で食べる食事はこれが最後です。チームの仲間たちと同じテーブルを囲み、残さず味わって食べていました。
■ 編集後記
 塾生の皆さん、卒塾おめでとうございます。
 今年は東日本大震災で大変な状況だったにも関わらず、塾生を支えて下さった保護者の皆様、活動を応援していただいた方々に心より御礼申し上げます。
 塾生たちは、農作業や共同生活をやり遂げて、とてもたくましくなりました。この8ヶ月間の経験は、誰にも奪うことの出来ない揺るがぬものです。これからも、塾での思い出を生きる力に変えて、たくましく生きていってほしいと思います。
K.K.