2011.11.11~13
第17ステージ ~女子~
ステージテーマ:「自然の恵みに感謝し、野外調理で各チームの味を楽しもう!」
共同生活の目標:「今までの目標の中から塾生全体で一つを選ぶ」
 今年度の活動も残すところ2ステージとなりました。今回の第17ステージは今までの活動の総集編として、収穫祭を行いました。今までの塾生活で育ててきた作物を自らの手で収穫し、収穫してきた野菜を食事当番で培った技術で下処理し、ご飯炊きで経験した火起こしを駆使して煮込み、ごった煮汁を作りました。農作業は、来年の塾生のためにコムギの種蒔きも行いました。
 共同生活の目標は、最終段階として塾生全体で決めました。個人やチームの目標でなく、10期生女子全体で、6つの目標のうち何がもっとも出来ていないのか考えてもらい、話し合ってもらいました。その結果『整理整頓清掃清潔』に決まりました。
■ 11月11日(金) 夜の集い
 ステージを始めるにあたり塾頭からお話がありました。
 「今日は雨が降って寒かったです。活動中、体調を崩さないようにしましょう。今ステージは収穫祭です。これまで元気にすごせたことへの感謝、収穫できる喜び、豊作に感謝して、収穫祭を行います。合わせて、5ステージに仕込んだ味噌の開封式を行います。楽しみにしていてください。
 第2ステージから今まで元気にこれたことは多くの人の支えがあったからこそです。前回は地域の人に感謝の意を表し清掃ボランティアを行いました。今回は我々を支えてくれている自然や人に感謝をして収穫祭を行いたいと思います。普段何事もなく、当たり前のように過ごしている中、本当に色々な人や物、自然に支えられているということを改めて考えて欲しいと思います。収穫祭の後、奉納相撲を行います。これまで元気に生きてきたことへの感謝の気持ちを表すために行います。勝敗は重要ではありません。一所懸命取り組んで欲しいと思います。
 今まで振り返ってみてどうだったでしょうか?入塾式の目標は達成できましたか?自然塾の活動でみんなに出来て欲しいことは、「3つの心と2つの力」です。出来たこと、出来なかったことあると思いますが、卒塾してからもずっと心の中にしまってもらいたいと思います。みんなもここまでこれたことはこの3つの心と2つの力を持った人に支えられたのだと思います。みんなも3つの心と2つの力を持って生きてもらいたいと思います。」
■ 11月11日(金) 夜の集い ~卒塾式の歌の練習~
 10期生の活動も残り2ステージ。卒塾式に歌う歌の練習をしました。「故郷(ふるさと)」と「今日の日はさよなら」です。市村自然塾の活動が終わってもここを第2の故郷として、いつまでも忘れないように、また、ここでであった友だちをいつまでも忘れないように思いを込めて歌ってもらいたいと思います。
■ 11月11日(金) 夜の集い ~共同生活の目標きめ~
 今回は女子塾生全員で1つの目標を決めてもらいました。様々な意見が出る中、「整理整頓清掃清潔」「何事も心を込めてきちんと丁寧に作業する」の2つで意見が分かれましたが、今回は整理整頓清掃清潔に重点を置いて塾生活をすごしてもらいました。
■ 11月12日(土) 朝の清掃
 金曜日とうって変わって澄み渡る青空が広がりました。しかし、気温は10℃。寒い中の掃除ですが、もうすっかり手馴れたものです。どの掃除場所も塾生が率先して行いました。 
■ 11月12日(土) 収穫祭 ~味噌の開封~
 枝村塾頭から開会のあいさつがあり、収穫祭が始まりました。
「11月23日、今は勤労感謝の日ですが、昔は収穫の喜びを「新嘗祭(にいなめさい)」という祭りで行いました。その年の一番最初のお米を神様にささげました。今日も多くのボランティアの方々に来ていただきました。多くの人に支えられたこと、自然の恵みに対して感謝の気持ちを持って今日1日過ごしてください。」
 まずは味噌の開封式です。味噌作りの先生箕輪さんからお話をしてもらいました。
「味噌を作った時のことを覚えていますか?味噌は野菜のうまみを引き出す話を覚えていますか?皆さんはチームメイトの良さを引き出すことが出来ていますか?仲良くやっているということは出来ている証拠ですね。あれから5ヶ月経ってみんな成長しましたが味噌も成長しました。仕込みの時の味と今日の味噌の味を比べてみてどれだけ成長したか感じてください。」
 蓋を開けると塾生の歓声と共に、土間中に味噌の良い香りが広がります。樽の中をのぞいてみるとチームによって様々。カビが少なくきれいな樽から、カビが生えているものまでありました。仕込みの時の丁寧さが差として現れたようですね。
 カビを取って味噌を味見…。
「おいしい~!」とあちこちから声が聞こえます。チームごとで味比べをしたりして、味の違いを楽しんでいました。「うちのチームのはちょっとしょっぱい」とか、微妙な出来具合の違いがあったようです。
 今日のごった煮で使う分の味噌を取り分けたら、再びラップで封印をしました。来年の塾生たちのために再び塾頭室の床下へしまっておきます。さらにおいしくなるよう思いを込めて封印しました。
 終わりに箕輪さんから総評をもらいました。「おいしかったね。もう少し時間がたつと塩の角が取れてまろやかな味わいになります。みんなも熟成されて角が取れるかな?
材料をつくってくれた人たちのおかげさまと、みんなが一所懸命込めた愛情で、味噌になりました。これから味噌は自分の力でよりおいしくなろうと熟成していきます。みんなも愛情込めた味噌のことを思い出して、これからは自分自身で成長するよう頑張ってください。」
■ 11月12日(土) 収穫祭 ~野菜の収穫~
 各チームごとに役割分担し、共同農園で野菜を収穫してもらいました。カブ、コマツナ、キャベツ、ハクサイ、ネギ、ゴボウ…。たくさんの野菜を手に塾舎へ戻ってくる塾生の顔は笑顔があふれていました。
 塾生たちが、きれいに洗った野菜を玄関横の机に奉納しました。
 ステージ担当が、この野菜は大地、自然のおかげで出来たこと、それから、自然は時に厳しく、人間が太刀打ちできない力を持つこと、昔の人は畏怖の念(いふのねん)を抱いて敬意を払っていたことを話しました。

 そして、それらが1ステージの間でみんなの食事として使われる話をすると驚きの表情をしていました。
 いつも調理をしていただいている、調理師さんへ塾生の代表がお礼の言葉を述べ、収穫した野菜を手渡しました。そして、全員で「ありがとうございます、これからもよろしくお願いします。」とあいさつをしました。
 いよいよチームごとに分かれて調理開始。調理を行う人、火を起こす人、おにぎりを握る人、おやつの焼き芋の準備をする人と別れて作業を行いました。塾生活の食事当番で培った技術を活かし、それぞれが自分の与えられた役割をしっかりとこなしていました。
 火の加減を見ながら、鍋で煮た後、自分達が作った味噌を溶かして、おいしそうなごった煮汁の完成!
 残り火で焼き芋をじっくり焼きました。この焼き芋は3時のおやつ分です。焼き始めた直後から塾生に「何時食べるの?」としきりに聞かれました。待ちきれない様子でした。
 スタッフやボランティアに感謝の意をこめてチームごとに招待して昼食が始まりました。「おいしい!」みんな満足な笑顔を見せています。自分たちで収穫から調理までした料理の味は格別においしかったことでしょう。また、他のチームへ行き各チームのごった煮汁を楽しんでいました。
■ 11月12日(土) 収穫祭 ~奉納相撲
 昼食後に片づけをして、奉納相撲を行いました。日ごろ健康に過ごせることを全力で相撲を取ることで表現してもらいました。学年ごとにトーナメント戦で行いました。
 相撲などやったことがないという女子塾生にとって、始めの取り組みは恥ずかしいのか、なんとなくお互いに遠慮がありましたが、試合を進めるにつれ、白熱する勝負が増えてきました。
 塾生同士が相撲を行った後、塾生多数対スタッフという取り組みも行われました。塾頭との取り組みにはたくさんの塾生が力の限りぶつかって行きました。中には女性スタッフに1対1を申し込む塾生もいました。
 各学年の優勝者です。健闘をたたえ、1人に1玉キャベツを収穫する権利としてノコギリ鎌が手渡されました。みんなからも温かい拍手が贈られました。
■ 11月12日(土) おやつ
 野外調理の時にかまどに入れておいたサツマイモがちょうどよい具合に焼きあがりました。じっくりと低温で焼いた焼き芋の味はおいしいこと。お昼におなかいっぱい食べたはずなのに、大きな焼き芋をペロリと完食。
■ 11月12日(土) 共同農園作業 ~コムギの種まき~
 市村自然塾では、前年度の塾生から次年度の塾生へとバトンをつなぐ「リレー作物」として、コムギの種まきをしています。
 クワの使い方も手慣れたものです。手早く作業が進み、きれいなまき溝が出来上がりました。
1粒1粒丁寧に心をこめてまきました。10期生が収穫したコムギは9期生が種まきをしてくれたものです。みんながおいしくうどんやパンが食べられたのも9期生のおかげです。先輩から譲り受けたおかげさまを、今度は11期生の為に贈ります。
 コムギの種まきをして、塾舎に引き上げてきたらもうこんなに真っ暗。暗い中、冷たい水で農機具をきれいに洗いました。少し前までは17時まで、十分に農作業ができたのですが、冬が近づいている証拠ですね。
■ 11月12日(土) 塾活動 ~作文~
 「市村自然塾で色々なことを体験して、どのように感じ、どんなことを学んだか。それを将来の夢にどう活かすのか。」というテーマで、作文を書いてもらいました。第9ステージにも作文を書いてもらいましたが、今回は自分の夢や、将来どんな人になりたいかも踏まえて考えてもらいました。
 塾生手帳を見ながら、活動を振り返り作文を進めています。いろいろな事を思い出していることでしょう。中には下書きをしてきた塾生もいました。
■ 11月12日(土) 共同生活の振り返り
 塾活動の終わりに共同生活の振り返りをおこないました。自分たちが立てた目標の「整理整頓清掃清潔」について、良かった点、悪かった点を挙げ、全員で評価しました。「衣装ケース内の整頓ができた」「野外調理の片づけがちゃんとできた」「塾生室が汚い」など様々な意見が出ました。出来なかった点に対しては、「出来ていないところを注意する」「声を掛け合う」など対策も話し合われました。
■ 11月13日(日) 朝食前の瞑想
 第2ステージから続けられてきた、日曜朝の瞑想。良く出来るようになりました。5分間、全員が集中している様子がうかがえました。
■ 11月13日(日) 塾活動 ~チームのページ完成~
 卒塾アルバムに乗せるチームのページの作成です。各チームごと思い出がいっぱい詰まったチームのページが出来上がりました。
■ 11月13日(日) チーム農園作業
 どのチームもたくさんの野菜を収穫しました。チーム農園作業も残り1回。最後まで気を抜かずに入念に世話を行いました。次回には全ての作物を片付け、最初の何もない状態に戻すため、チームで相談し計画的に進めました。
■ 11月13日(日) 賞品キャベツの収穫
 チーム農園作業中に、奉納相撲の優勝者が畑にキャベツを取りに行きました。大きなキャベツを抱え笑顔で塾舎へ戻ってきました。
■ 11月13日(日) ステージのまとめ
 ステージのまとめとして塾頭より話がありました。
「味噌の開封をしました。仕込みの時に初代塾頭さんが『味噌のような人になってください』といった事を覚えていますか?この言葉は何回聞いてもいい言葉だと思います。人には良いところ、悪いところがあります。悪いところばかり見ていると暗い気持ちになってしまいます。でも、その人の良いところを見つけて、良いことろをひきたててあげると相手も気持ちがいいし、自分にも返ってきます。よく「会社は1人+1人=2人ではなく、1人+1人=3人でないといけない」といいます。お互いに良いところを引き出しあい、より良い環境を作り出していくのです。
今の世の中すごく豊かになって、あまり苦労せずに何でも手に入るようなってきました。してもらうことが当たり前のようになって、感謝の気持ちがちょっと薄れてきていると思います。この塾ではおかげさまの気持ちと感謝の気持ち大事にしてもらっています。今生きているのは誰のおかげで、なんで生きているのか、ぜひとも考えてもらいたいです。大地、自然、両親のおかげで生きていること、支えられていることを忘れないようにしてください。 3つの心と2つの力、自然と感謝の気持ちこれからもずっと大切にしてください。
おかげさまと感謝の気持ちが自分の心の中にできると自然に「ありがとう」という言葉が出ます。当たり前に生きているのではないことを感じてもらいたいと思います。」
■ 11月13日(日) 共同生活の振り返り
 活動の終わりに共同生活の振り返りを行いました。昨日と同様に様々な意見が出ました。「スリッパが揃えられた」「お風呂がきれいに使えた」など。その反面「塾生室が汚い」など直すことのできないところもありました。しかし、昨日よりも声を掛け合い、意識が高まっていたことなど自分たちもまた、スタッフから見ても改善されていたことでした。
■ 11月13日(日) おまけ
 帰り際にあるチームがスタッフに駆け寄りました。なんと手にはラベンダーの挿し木が。このチームはチーム農園でラベンダーを育てていました。お世話になった塾のスタッフへのプレゼントとしてポットにラベンダーを挿してくれました。うれしいプレゼントです。
■ 編集後記
 今回は収穫祭を行い、塾生たちがチームのメンバーと協力し、大いに楽しんでいた様子がうかがえました。奉納相撲では最初の取り組みを見た時は、どうなる事かと思いましたが次第に盛り上がり、あるチームは自由時間に塾生室でも相撲を取っていました。いよいよ残り1ステージになりました。3つの心と2つの力を忘れずに、おかげさまの気持ちを大切に、自然と「ありがとう」と言える気持ちを持ち続けてもらいたいと思います。
K.M.