2011.07.01~03
第08ステージ ~女子~
ステージテーマ:「土をこねて世界で一つだけの作品を作ろう!」
共同生活の目標:「あいさつをする」
塾生たちは、普段農作業を通じて土に触れ合っていますが、今回のステージでは、いつもとは違った土の利用法として、「粘土」を使って「陶芸(とうげい)」に挑戦してもらいました。いろいろな工夫をしながら、他にはない自分だけのお皿を作りました。
共同生活の目標はどれも塾生に身につけてもらいたい6つのことをあげていますが、前回のステージですべて一巡しました。そこで今回のステージから、今までの共同生活の目標をもう一巡し、さらに深めて意識し行動できるよう努めてもらいます。今回は第2ステージと同様の「あいさつをする」を掲げ、「自分から」「相手を見て」「元気良く」「気持ちを込めて」の4つのポイントを意識してもらい、ただあいさつをするのではなく、相手との関係を深めるあいさつを心がけました。
■ 07月01日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたって塾頭よりお話がありました。
「今日から7月。本格的な夏のスタートです。今年は世の中がいつのと違う夏になります。“節電サマー”。電力不足で15パーセントの節電をしないといけない夏になります。サマータイム制といって1時間早く出社して、1時間早く退社するという工夫をしている会社もあります。ここを支えてくれているリコーも今日からサマータイムになりました。みなさんも節電を意識して過ごして欲しいと思います。
これまで、6回のステージを行ってきましたが、その中で共同生活の目標を設定し、目標に向かってステージを進んでもらいました。共同生活の目標は6つありますが、1周しました。今回から2周目に入ります。また違った視点で目標を達成するように努力して欲しいと思います。
人間は生きていくうえで目標を持つことが大切です。目標を自分で決めて努力するようにしてください。人生は一度しかないのでダラダラ生きたら張り合いがありません。
目標は大きく分けて2つあります。「長期的な目標」と「短期的な目標」です。その両方を持ちましょう。そして、長期的な目標はできるだけ大きなものを、短期的な目標は身の丈にあったものを立てるようにしましょう。目標を立てるときに大切なポイントは、具体的な数値に表してたてることです。
共同生活の目標も同じです。なかなか守れないものは原因があります。メモをとったり、なぜできないのか分析をして達成するようにしてください。一度しかない人生目標に向かって頑張って欲しいと思います。」
■ 07月02日(土) 共同農園作業~オカボの草取り~
気温があがり、適度な雨が降るこの時期は、どの畑でも雑草がおいしげり、草取りで忙しくなります。コイコン畑でも雑草が生長し、特にオカボのまわりは作物を隠(かく)してしまうほど雑草が大きくなってしまいました。そこで、全員で協力して草取りをしました。
草取りをする前に全員で畑を見渡して、今のオカボの状態やどんな世話が必要か確認をしました。ステージ担当より「今のオカボを見て、元気か元気ではないかわかりますか?どんな世話が必要ですか?」と問いかけがあると、塾生からは「元気がない。」「栄養が足りない。」「追肥が必要。」などの意見が出て、作物のカラーメッセージをよく読み取れていました。その後ステージ担当より、「急いで肥料をあげたいが、このまま肥料をあげても雑草に栄養をとられてしまいあまり意味がないこと」や、草取りをするときの注意点などの説明があり、草取りを始めました。
通路は鎌で、オカボの間は手で、丁寧に草取りをしました。根を残してしまうとそこからまた芽が生えてきてしまうので、塾生たちは根が残らないように気を付けながら作業していました。途中、天気が好転し暑くなりました。今までだったら弱音があちらこちらから聞こえてきたのですが、今回は集中して作業できている塾生が多く、少したくましくなったように見受けられました。40分ほど作業をして、一面草だらけだった場所がとてもきれいになりました。
塾生が引き上げ、片付けをしている間にスタッフが追肥をしました。元気を取り戻し、立派に実ってくれることを願いましょう。
■ 07月02日(土) おやつ
10時のおやつは、自然塾で採れたキュウリとミニトマトでした。農作業をして汗をかいた後だったので、冷えたキュウリと味噌の塩気、ミニトマトの甘さがたまらなくおいしかったです。この時期ならではのおやつですね。
■ 07月02日(土) 塾活動~塾生企画の準備~
親子大会まで準備ができるのもあと2回。当日どんな役割を担当するのか話し合ったり、下見に行ったり、道具の準備を始めたりと、各企画グループで工夫して過ごしていました。また、休み時間を使って準備を進めるグループもありました。どんな企画が出来上がるか楽しみです。
■ 07月02日(土) 休み時間~梅干の準備~
“梅仕事”という言葉を知っていますか。梅雨には梅が収穫時期を迎え、梅干しを漬け込んだり、梅シロップを漬け込んだりします。この梅を加工する作業のことを日本では昔から“梅仕事”と呼び、梅雨の大切な仕事でした。その“梅仕事”を塾生にも体験してもらおうと、休み時間に有志(ゆうし)をつのり、梅干を漬ける準備をしました。
梅干に詳しい看護士さんに教えてもらいながら、黄色く熟した梅を洗い、爪楊枝(つまようじ)を使いヘタをとり除きました。細かい作業ですが、この作業を怠る(おこたる)とカビが生える原因になってしまいます。ひとつひとつ丁寧に作業していました。
少ない人数でしたが、協力して3カゴ分の梅を仕上げてくれました。ザルにあげて水気を切っておいておき、残りの作業は次の休み時間に行いました。
■ 07月02日(土) 休み時間~七夕飾り~
7月7日は七夕です。毎年自然塾でもこの時期になると玄関前に竹を立て、そこにつるした七夕飾りと、塾生たちの願いのこもった短冊が風にゆれてとてもきれいです。七夕に笹や竹を立てて、願い事を書いた短冊をつるすようになったのは、まっすぐ伸びることと、葉のすれるサヤサヤという音が神様を招くと言われているからだそうです。
塾生たちは休み時間に「おいしい野菜ができますように」「みんなと仲良く過ごせますように」など思い思いに願い事を書いてつるしました。願いが届くとよいですね。
■ 07月02日(土) 塾活動~陶芸~
午後の塾活動は陶芸でした。ボランティアの先生に教えていただきながら、お皿を作りました。
まず最初に、先生から注意点の説明と、実際に見本を作りながら、お皿を作るポイントを教えていただきました。説明を聴く間、塾生たちは先生の手元をじっと見つめ、真剣そのものでした。
製作開始。お皿の完成形をイメージしながら、丸や四角などに伸ばしていきます。全体が同じ厚さになるように伸ばし、最後にヘラで好きな形に切り取ります。最初のうちは道具の使い方になれておらず、うまく伸ばせずにいる塾生もいましたが、慣れると楽しそうに作業していました。
お皿の形が整ったら、模様をつけました。塾周辺で集めた葉っぱを押し付けて型を取ったり、手型をつけたり、好きなキャラクターの顔をつくったり、ヘラで模様を描いたりとそれぞれ良く工夫をしていました。
作品が出来上がったら、仕上げの作業です。出来上がったものをそのまま焼いても、水が漏れたり、汚れが落ちなくなってしまいます。そこで草木を灰にしたものからつくった釉薬(ゆうやく)というものを仕上げに塗ります。釉薬はお皿の表面にガラス質の膜をつくり、水漏れや汚れを防ぐ役割があります。最後の仕上げも丁寧に作業していました。
素敵な作品ができあがりました。
このあとは1週間乾燥させて、地下倉庫にある陶芸窯で焼き上げます。
 そして次回のステージで、焼きあがった自分のお皿に塾野菜の天ぷらを盛り付けて食べる予定です。焼き上がりが楽しみですね。
最後に会場の片付けや、使った道具の片付けを行いました。みなテキパキと作業できていました。「自分たちが使ったものはきれいにし、もとあった状態に戻す」ということが習慣になってきたようです。
■ 07月02日(土) 休み時間~梅干の漬け込み~
昼休みに洗ってヘタを取った梅を樽(たる)に仕込む作業をしました。梅と塩、焼酎を入れて良くかき混ぜます。重い樽を持ち上げて混ぜるのは大変そうでしたが頑張っていました。おいしい梅干ができると良いですね。
■ 07月02日(土) 塾活動~ホタルの観察~
自然塾から徒歩15分ほどの寄自然休養村周辺では、6月中旬から7月上旬にかけてホタルが舞うのを見ることができます。私たちが一般に目にするホタルの光は成虫が放つものです。その成虫になったホタルが飛び交えるのは1年間の生涯のうちわずか1週間だけです。
そのはかない命の営みを静かに観察しました。
出発する前に、ステージ担当からホタルの生態についての話や、観察の注意点などの説明を受けました。
塾舎に帰り、一人一人にホタルをみた感想を書いてもらい、代表者に発表してもらいました。「ホタルはずっと光っているのかと思ったが、光ったり消えたりするということを初めて知った」「同じ色の光だと思っていたが、光り始めと終わりだと色が違った」というような、観察して気付いたことや「もっと見ていたかった」という率直な感想、「きれいな川にしかいないということを始めて知った」というホタルの生態について学んだことなど様々な感想を聴くことができました。
■ 07月02日(土) チーム会議
いつもはリーダー会議ですが、今回はチーム会議を設けました。7ステージまでの活動を振り返り、チームの中の問題点や改善したいことなどを話し合いました。「まとまって行動できてない」「時間が守れていない」「こしょこしょ話をする」などの意見が出てきました。
意見をもとに、どうしたら守れるか、チーム全員が気持ちよく過ごせるかなどの解決策を話し合い決めました。自分たちで決めた約束事を守り、チームをさらに良くしていきましょう。
■ 07月03日(日) 共同農園作業~お土産キャベツの収穫~
コイコン畑のキャベツが立派に生長したので1人1つ収穫し、お土産として持って帰りました。収穫したキャベツを持ってパシャリ!今年のキャベツは出来が良く、ぎっしりと中身が詰まっているので、収穫したキャベツを持ち「うわー!重たい。」と、キャベツの重さにびっくりしている塾生もいました。また、畑から帰るときに「お母さんがロールキャベツを作ってくれるんだって」とキャベツを抱えながらうれしそうに話している塾生もいました。自分で収穫したキャベツは特別においしかったことでしょう。
■ 07月03日(日) チーム農園作業
後半はチーム農園作業でした。どのチーム農園も草におおわれて、草取りにずいぶんと時間がかかっていました。
ステージの最初のうちは、何をすればいいかわからず、スタッフに聞いて作業していた塾生たちも、今では自分で考えて動き、まわりにも声をかけるようになってきました。
このチームは育てていたキャベツがムシに食べられて、収穫ができないので片付けをしていました。自然相手の農業ではこのようなことも多々あります。とても残念ですが、塾生たちは自然の厳しさを感じられたのではないでしょうか。
今回2チームが、赤オクラの種をポットにまいたものが大きくなったので、畑に植え付けていました。植え付けの作業も今までのステージで何回もやっていることもあり、手際よく作業できていました。どんなオクラができるか楽しみですね。
このチームは、「春京赤長水」というダイコンと「ハツカダイコン」が収穫時期をむかえ、収穫したものをお土産用に包んでいました。
鮮やかな、立派なダイコンができました。きっと食卓でも彩をそえたことでしょう。
このチームはトウモロコシの世話をしていました。草がたくさんはえていたので、草取り・追肥・土寄せをしました。トウモロコシがずいぶん大きくなりました。このまま順調に育つと良いですね。
■ 07月03日(日) チーム農園の収穫物
チーム農園で初めて収穫したキュウリをチームのみんなで味わいました。自分たちの育てたキュウリは格別だったようです。
「おいしい!」「やっぱり夏はキュウリだね。」と話していました。
■ 07月03日(日) 活動のまとめ
活動を終えるにあたって塾頭よりお話しがありました。
「今週は梅雨空のなか運良く作業することができました。昨日はとても暑い中、オカボの草取りをしてくれましたが、とてもきれいになりました。オカボは18ステージに餅つきをするのに使います。楽しみにしていてください。そのほかにも今回のステージでは陶芸やホタル観察など貴重な体験をすることができました。ここで様々な体験ができるのは、ボランティアの方がきてくださったり、両親がみんなを送り出してくれるからです。おかげ様の感謝の気持ちをもってください。
金曜日に目標を持つことの大切さを話しましたが、目標を持つと良いことが他にもあります。目標を達成するために周りの人が支えてくれます。また、目標が同じ友人ができ一緒に頑張ることもできます。ただ目標を達成する上で失敗することもあります。その時は素直に認めることが大切です。会社でもいろんな物を作り出していく中で失敗することが多いですが、失敗を反省し、改善していくと成功につながります。失敗は財産になります。だから、恐れずに挑戦してほしいと思います。
これからますます暑くなりますが、自然塾できたえた体力と強い心で夏を乗り切ってください。」
■ 編集後記
今回のステージは「陶芸」「ホタル観察」など貴重な体験をすることができました。特にホタルの観察は、初めてホタルを見るという塾生も多かったようで、感動した、もっと見たかったという意見も多くでました。今回ホタルを見られたのも、この地域に豊かな自然が残っているおかげ、その自然を守っている地域の方々のおかげ、自分たちを育ててくれた両親のおかげなど、様々な人やものの支えがあったおかげです。ここでの活動を当たり前だと思わずに、ひとつひとつ感謝の気持ちを持って取り組んで欲しいと思います。そして、ここで感じたことを忘れずに、今度は自分ができることは何か考えてもらえると良いと思います。
共同生活の目標は「あいさつをする」の2回目でしたが、活動の間、元気なあいさつを目にすることが多く、良く意識してできていたと思います。「あいさつは一生の宝」といいますが、気持ちよいあいさつができることはこれから社会に出る上で、よい人間関係をつくる手助けとなってくれます。自然に「自分から」「相手を見て」「元気良く」「気持ちを込めて」あいさつできるようなりましょう。
K.T.