2011.06.03~05
第06ステージ ~女子~
ステージテーマ:「作物の生育状態を観察し、適切な世話をしよう!」
共同生活の目標:「整理・整頓・清掃・清潔を心がける」
春の作付けがひと段落したこの時期は、気温が暖かくなり、これから畑の作物がぐんと生長する大事な時期になります。そのため作物の状態をよく観察し、その作物の状態や特徴にあった世話をすることがとても大切です。今回のステージでは、今まで苗を植えたり、種をまいたりした作物の様子を観察し、それぞれの作物に今必要な世話を行いました。
共同生活の目標は「整理・整頓・清掃・清潔を心がける」を掲げました。この4つの言葉は「整理・整頓」のように普段一緒に使われることが多いため意味が混同しがちですが、『整理』は必要なものとそうでないものを分け、いらないものは処分すること。『整頓』は必要なものをすぐに取り出せるように配置・保管すること。『清掃』はその場をチリ・ホコリ1つない状態にすること。『清潔』は「整理」「整頓」「清掃」された状態を保つことです。この4つの言葉の意味を再確認し、今回のステージでは特に「衣装ケース・塾生室・地下倉庫を整理・整頓すること」「塾生室・共同場所を一所懸命に清掃すること」を意識して活動に取り組みました。
■ 06月03日(金) 夜の集い
毎回、ステージのはじめに塾頭よりお話がありますが、今回は塾頭が自然塾九州の活動に参加し不在のため、事務局長よりお話がありました。
「今日から第6ステージ。回数では5回目のステージです。食事当番、共同場所清掃などそれぞれの役割も一巡しました。農作業においても畝たてをしたり、種をまいたりといろんな作業をしましたが、世話人が指示をしてやることが多かったと思います。ひとまわりしたので、これからのステージは人に頼らず、自分たちの力で行動してください。リーダー、サブリーダーを中心に集合、農作業、共同場所清掃などを自分たちで進んでやって欲しいと思います。この塾では『自主・自立・自律』を大切にしています。『自主』は自分から進んでやること。『自立』は自分で考え、自分で行動すること。『自律』は自分を律すると書きますが、自分の悪い心をおさえて正しい行動を行うということです。集団生活において『自律』はたいへん大切なことです。自分の勝手な気持ちをおさえて、相手の気持ちを思いやることが大切です。ぜひ実践してもらいたいと思います。
今回の共同生活の目標は『整理・整頓・清掃・清潔を心がける』です。押し入れの布団は種類ごとにきちっと整えられていますか、使った道具をきちんとあった場所に戻していますか、塾生室の荷物、そして自分の衣装ケースの中はきちっと整理されていますか。意識して行動して欲しいと思います。そしてこのステージでは、なぜこの『整理・整頓・清掃・清潔』が大切なのかということも考えながら行動して欲しいと思います。
最後に男子の5ステージに残念ながらケガが2件発生してしまいました。この2件に共通していえるのが、集中してそこに目を向けて作業していなかったということがあげられます。みなさんもケガをしないように、作業する時は目を作業するところへ向けて集中して作業するということを心がけてください。」
■ 06月04日(土) 共同農園作業~夏野菜の世話~
第4ステージに夏野菜の苗を植え付けましたが、トマト・ナス・ピーマンが元気に育ち、おいしい実をつけるために欠かせない“大切な世話”があります。これからおいしい野菜がたくさん収穫できるよう、土曜日の午前中は夏野菜の世話をしました。
ジャイモン畑に到着すると、まず目に入ったのはひとまわり大きくなった夏野菜たち。小さな実をつけているものもあり、塾生からは「もう実がなってるよ!」と喜びの声が聞こえてきました。
最初にトマトとナスの“芽欠き”をしました。トマトやナスは生長と同時に茎(くき)と葉の間からわき芽が出ますが、そのわき芽を放っておくと、わき芽の生長に養分を取られ実が大きくならなかったり、葉が密集して風通しが悪くなり病気になりやすくなったりしてよくありません。必要のないわき芽を摘みとる世話を“芽欠き”といいます。
塾生たちは、はじめのうちは「これ、わき芽でいいのかな」と心配そうにスタッフに確認しながら作業していましたが、しばらくすると見分けるコツをつかんだようで、「これもこれもわき芽だ。」と次々に摘み取っていきました。
“芽欠き”を終えナスとトマトがすっきりとした後は、“誘引(ゆういん)”をしました。誘引は植え付けの時にも行った作業ですが、作物が重さや風で倒れるのを防ぐために、支柱にひもで結びつけてあげます。まだ結び方が覚えきれずに苦戦している塾生もいましたが、ひとつひとつ丁寧に作業していました。
夏野菜の畝には小さい草がびっしりと生えていました。このまま追肥をしても、まわりの草が栄養を吸い取ってしまって、作物へ十分な栄養がいきわたりません。そこで、後半は畝の草取りを行いました。決まった範囲の中を1人ずつ責任もって作業しました。細かい作業のため「なんでこんなに草が多いの?」と言いながら作業をしていた塾生もいましたが、自分の所が終わったら率先して大変な人の所を手伝ってあげた人、弱音をはかず黙々と最後まで自分の範囲をやりきった人など、頑張っている塾生も多く見られました。
作業が終わり、自分たちで使った道具を手分けして運びました。塾生たちの表情には、疲れた中にもどこか晴れ晴れとしたものがありました。
■06月04日(土) 昼休み
食堂に集まって塾生たちが楽しそうに何かをまわしています。これは石臼(いしうす)ですね。何をしているのでしょうか?
■06月04日(土) 農業のお話
午後最初の活動は、室内でステージ担当から農業についてのお話がありました。女子塾生は第4ステージに「作物の特徴の話」についての講義があったので、今回は雨天でできなかった“土づくり”についての話や、自然塾でなぜ農薬を使わないのか、自然塾で行っている有機農法とはどんなものかといった話を聴きました。
塾生たちは真剣にメモをとっていました。
■ 06月04日(土) 親子大会塾生企画の準備
自然塾では、夏に“親子大会”という行事を行います。親子大会は塾生の家族の方に、塾生が自然塾でどんな活動をしてるのかや、今まで行ってきた成果を見てもらう場です。その中に普段活動しているチームとは違うメンバーでグループをつくり、自分たちで企画・準備・運営を行い参加者の方に楽しんでもらう“塾生企画”があります。
まずステージ担当より、
 ・使える時間や場所、
 ・親子で楽しめるもの
 ・危険でないもの
 ・自然塾ならではのもの
など、企画を行ううえでの条件について説明がありました。そして、それらをふまえ、やりたい企画の内容やその企画の自然塾らしいポイントをひとりひとり紙に書き出しました。
家で考えてきてくれたのか、2個・3個とアイディアを出した塾生もいました。
続いて、出てきた意見を前に張り出し、同じ意見や、希望する場所ごとに仲間わけをし全体に見えるようにしました。ここでは「肝試し」「スイカ割り」「しゃてき」「泥遊び」「川の生き物探し」など楽しそうな意見がたくさんでてきました。塾生の中には「この企画とこの企画どっちも面白そう!」と自分では思いつかなかった企画の内容を読んで、どの企画にしようか迷っている姿も見られました。
アイディアを出し切り、やりたい企画ごとに塾生が集まってグループを作りはじめたところで1回目の準備の時間は終わりました。
■ 06月04日(土) 共同農園作業~夏野菜の追肥・土寄せ~
午前中全員で協力して草とりをした夏野菜に追肥・土寄せを行いました。
2人1組になり、作物にかからないように気をつけながら肥料をまきました。そして、肥料が分解されやすいように、クワを使って肥料に土をかぶせました。追肥・土寄せは前回のステージで行ったキャベツ・レタスの世話でも経験しているということもあり、スムーズに作業ができました
■ 06月04日(土) 共同農園作業~オカボの草取り~
気温が上がり、これから夏にかけて畑の作物は大きく生長します。しかし、それを上回るスピードで雑草も大きくなります。雑草は小さいうちにこまめにとることが大切です。午後の後半は男子チーム農園下にあるオカボ畑の草取りをしました。
オカボは漢字では「陸稲」と書き、畑で育てるお米のことです。自然塾ではもち米を育てて、収穫したもち米は18ステージの餅つきでお餅にして食べます。
通路にはオカボくらいの雑草がびっしり。中には地下茎(ちかけい)で増える手強い雑草もあります。ひとつひとつ丁寧に、協力して抜きました。塾生の中には根をきれいにとるために、竹の棒などの道具をうまく使って工夫している塾生もいました。
約1時間後。あれだけびっしり生えていた草がこんなにきれいになりました。(この場所は左上の写真に写っている場所と同じ場所です。)
オカボにはスタッフが後日、追肥・土寄せを行いました。おいしいもち米が収穫できるよう、今後もしっかりお世話をしましょう。
■ 06月04日(土) 親子大会塾生企画の準備
午後の塾生企画準備の時間に引き続き、夜の時間も塾生企画準備を行いました。最終的に「葉っぱ舟とバケツリレー」「川の生き物探し」「肝試し」「野菜ビンゴ」「竹クラフト」の5つの企画ができました。どんなルールにしたらおもしろくなるのか話し合ったり、どんなものを作れるか調べてみたり、どんな風におどかしたら怖くなるか実際にやってみたり、各グループで活発に意見交換が行われていました。どんな企画ができあがるか楽しみです。
■ 06月05日(日) (お土産)レタスの収穫
前回のステージで、草取りと追肥・土寄せをしたコイコン畑のレタスが収穫時期をむかえました。自分たちで世話をした作物では、初めての収穫です。
のこぎり鎌(がま)という刃がギザギザの鎌を使って収穫しました。のこぎり鎌を使うのは初めてだったので、ステージ担当から使い方のと注意点についての説明を受けてから収穫しました。
自分で収穫したものをお土産として持ち帰るので、「どれがおいしそうかな」と吟味(ぎんみ)して選んでいました。おいしそうなレタスを手にして自然と笑みがこぼれていました。家族で採れたてレタスをよく味わってくださいね。
塾舎へ戻り、新聞紙でレタスを包みました。自然塾では野菜を持ち帰る時には新聞紙を使っています。野菜は収穫後も呼吸をしています。新聞紙は空気を通すので呼吸もできるし、新聞紙が余分な水分を吸収してくれて、適度な水分を保ち乾燥するのを防いでもくれ、野菜を新鮮に保てるからです。
今回がはじめてのお土産だったので、スタッフから包み方の説明を聴いてから包みました。初めてでちょっと難しいようでしたが、この包み方は他の作物を持ち帰る時にも使いますので覚えておきましょう。
■06月05日(日) おやつ
日曜日のおやつは炭火で焼いた米粉みたらし団子でした。昨日塾生が石臼でひいていたのは、このお団子の材料のお米だったのですね。
塾生たちは焼きたてのお団子をおいしそうにほおばっていました。そして、みんながタレがたれないようにクルクルとお団子を回転させているのが面白い光景でした。
■ 06月05日(日) チーム農園作業
どのチームも春の作付けはひと段落しましたが、それぞれの世話をしたり、ポットにまいたものを畑へ植えつけたりと忙しそうにしていました。あまり時間がない中、しっかり役割分担をして取り組んでいました。病気や害虫の被害をうけて、対策をしているチームもありました。
Aチームは共同農園の夏野菜の世話で行った事を活かし、トマトの芽欠き・誘引をしていました。予想以上にわき芽が大きく育っていて大変そうでした。また、スイカがウドン粉病という病気にかかっていて、これ以上ひどくならないようにお酢を薄めたものを霧吹き(きりふき)で吹きかけて対策をしていました。
Bチームは新しくキュウリの苗を植えつけていました。また、ポットにまいたエダマメが大きくなったので畑に植えつけていました。苗の扱い方も上手になりました。
Cチームは前回害虫対策を忘れてしまったために、スイカの苗がウリハムシに食べられて穴だらけになってしまいました。今回のステージはスイカの防虫ネット張りと、作物へ追肥・土寄せを行っていました。協力して、一番早く作業を終えていました。
Dチームはポットにまいた、そうめんカボチャとトウモロコシを植えつけていました。またメロンがウドン粉病にかかっていたので、Aチーム同様薄めたお酢を吹きかけていました。各チームいろいろと調べて工夫していますね。
■ 06月05日(日) 卒塾生
日曜日に9期生の卒塾生3人が自然塾を訪れ、タマネギの収穫・保管の作業を手伝ってくれました。また、昼食の時には1人1人自己紹介と10期生へのメッセージを贈ってくれました。自然塾での出会った仲間の大切さは言葉だけでなく、3人の今の姿からも伝わってきました。
■ 06月05日(日) ステージのまとめ・振り返り
ステージのまとめとして事務局長からお話がありました。
「今回のステージは天気が良く、気温もそれほど暑くならず良かったですね。昔から、農業に携わる人は農繁期(のうはんき)は大変で『朝は朝星、夜は夜星』(朝暗いうちから、夜星が出る頃まで働く程忙しい)という言葉があるほどこれから大変な仕事です。みんなは自分たちで農作業をやってみて、大変さがわかったと思います。本当に農家さんには頭が下がります。
今回、暑さでだれてしまっている人もいましたが、ケガをする可能性があり危険です。金曜日に『自主・自立・自律』の話をしましたが、暑い時には『暑いなあ・嫌だなあ』と思う自分の弱い心を律して欲しいと思います。今回の活動中に『自主・自立・自律』は実践(じっせん)できましたか?お家に帰っても実践してください。
今回の第6ステージが終わり、全18ステージの3分の1が終わりました。まだ「食」について気になる塾生がいます。好き嫌いなく食べられるように努力してください。
今回の共同生活の目標はちゃんと意識して行動できましたか?整理・整頓ができる人は勉強ができることが多いです。それは、使いたいものがすぐに取り出せるだけでなく、頭の中の引き出しも使いたい時にすぐに取り出せるようになっているからです。整理・整頓・清掃・清潔をまとめて4Sと言いますが、これからも4Sを実践してください。」
■ 編集後記
今回のステージは貴重な梅雨の晴れ間を使い農作業に取り組むことができました。特に女子塾生は最初の頃は雨が続き、ほとんど農作業をすることができなかったので、今回たっぷりと農作業をすることができてホッと一安心しました。
しかし、今まで農作業が少なかったせいか、辛抱強さや集中力が足りないなと思う場面があり、今回のステージの中でも何回かありました。これから少しずつでもいいので、自分の弱い心に打ち勝つ努力をしましょう。今はつらいかもしれませんが、きっと後になってからあの時に頑張って良かったと思うはずです。
また、共同生活の目標の「整理・整頓・清掃・清潔を心がける」ですが、当たり前のことだけど難しいことですね。日曜日の振り返りでも7点や8点が多く、10点満点の人は1人もいませんでした。ぜひ、これで終わりにするのではなく、学校のロッカー、自分の部屋、ランドセルの中身など、できるところから意識をして、次回の「4Sを心がける」のときまでに自分の中で10点満点をとれるよう、習慣づけていきましょう。
K.T.