2010.05.06~05.08
第04ステージ ~女子~
ステージテーマ:「味噌つくりに挑戦し、先人の知恵を学ぼう」
共同生活の目標:「時間を守る」
 今回のステージもまた、雨に悩まされました。しかし、土曜日の午後からは天候も回復し、夏野菜の植え付け、チーム農園作業も出来て、ようやく自然塾らしい活動を行えました。
 塾活動では味噌つくりを行いました。塾の食事で使われている味噌は、昨年の塾生が作ってくれた自家製味噌です。今年の塾生にも味噌つくりを通して、ダイズの加工食品や、先人の知恵について学んでもらいました。
 また、活動が始まってから約1ヶ月が経過しました。今までは慣れない塾生活を送る事で手一杯でしたが、塾生活の流れも一通りわかり、余裕が出てきたと思います。そこで共同生活を送るときに「時間を守る」ことを目標にすごしました。今回は起床、消灯時間、集合時間など、行動を起こす前の時間について意識してもらいました。
■ 05月06日(金) 夜の集い
 ステージを始めるにあたって枝村塾頭からお話がありました。
 「暖かくなって良い季節になりました。今、自然塾から眺める山は淡い緑が美しいですね。素晴らしい若葉から力あふれる自然を感じられると思います。
 連休にみんなはどこかに行きましたか?この塾では昨日まで福島県いわき市から被災した人たちが来ていました。実は平塚市を本拠地にしているサッカーJリーグ「湘南ベルマーレ」が被災地の人たちを神奈川県に招待して、塾はその宿泊場所として塾舎を提供したのです。塾には泊まりに来ただけですが、少年サッカーチームのメンバー、家族合わせて28名いらっしゃいました。ほとんどの人が避難所生活をしています。小学校3、4年生が多かったのですが、毎日避難所生活をしていて、本当に大変な思いをしているということでした。やはり疲れた感じはありましたが、みんな笑顔で大きな声であいさつをしてくれました。みんなそういう苦難に立ち向かって頑張っているとすごく感じました。我々スタッフはその人たちから反対に元気をもらった、そんな想いがしました。そういう人たちを見ていると人間逆境に対して本当にすごい力を発揮するんだと感じました。
 前回がんばって耕運をした畑のゴボウも立派に芽を出しました。今回は夏野菜を植え付けます。この時期の五月晴れで作物はぐんぐんと生長しますが、雑草も生長していきます。作物を育てるためには草刈りしたり、水やりしたり、思いやりを持って世話してあげないと生長しません。よく野菜は正直だと言います。愛情を持って世話をしてあげると、それだけ大きく立派に育ちます。ひとつひとつの作業をきちんと丁寧に心をこめてしてほしいと思います。農作業だけでなく共同生活も基本通りに丁寧に行ってもらいたいです。
  前回までの共同生活の目標は覚えていますか?すぐに答えられるということは、意識して学校とかでも実践しているのだと思います。今週は「時間を守る」です。集団生活ではとても大切なことです。今までは塾生活に慣れず、多少遅れていたかもしれませんが、これからは塾の生活にもだいぶ慣れてきたので、時間を気にしながら行動してもらいたいと思います。ひとりが遅れてしまうとみんなが待たなければいけません。  
みんなが待たないように時間を守ることは集団生活で大切な事です。だから、ぜひとも時間を守るようにしてほしいと思います。みんなで役割分担して作業をすると思いますが、作業はきっちり均等に割れません。体の大きさも、作業するスピードも人によって異なります。だから、遅れる人もいると思います。早く終わった人は遅れている人を手伝ってください。手伝うことで、感謝されるし、いいことをしたことにもなります。時間が守れると他のこともできるようになると思います。時間を守るように行動してください。」 
■ 05月07日(土) 塾活動 ~味噌作り~
 この日の午前中は小雨がぱらつく天気でした。室内の作業として味噌つくりに挑戦しました。
 作り方の説明をする前に麹(こうじ)とダイズの煮汁を混ぜ合わせました。これは麹がダイズの煮汁を吸ってやわらかくなるまで時間がかかるからです。
 素手で煮汁と麹を混ぜると何人かの塾生から「しみる!」と大騒ぎ。麹の中には塩が大量に入っているのでそれがしみる塾生がいたのでしょう。全体がやわらかくなるようにムラ無く混ぜました。
 麹とダイズの煮汁を混ぜた後、ボランティアでいらして下さいました味噌作りの先生、箕輪さんからお話を受けました。
「みなさん、今日は味噌汁は食べましたか?味噌汁が嫌いな人は今日の話を聴いて、また自分たちが作った味噌を味わって好きになってください。
味噌は古代中国の醤(ひしお)を根源とし、日本で工夫を重ねて編み出した、独自の製法によって造られるようになったとても歴史のある日本独自の調味料です。味噌の「噌」という文字は味噌以外に使われていません。味噌の為の文字です。江戸時代には徳川家康が「五菜三根を味噌汁にすると身体に良い」と言っていました。現に家康はとても長寿だったといわれます。
それだけでなく、味噌というものは、おだしと一緒になって他の具のうまみを引き出してくれるのです。私は皆さんに「味噌のような人」になってほしいと思ってます。「味噌のような人」とは「周りの人の良さを引き出せる人」なのです。そのためには、その人のことをよく見て、良いところを見つけてあげるのです。相手に対して好感を持ってよく見ることです。チームの中で1人1人の良さが引き出されれば素晴らしいチームになると思います。
また、良いところを見つけようとする自分の想いは鏡のように相手に伝わり、相手の心に自分の気持ちも写ります。良いところを見ていれば相手を好きになれると思います。ぜひ実行してください。
 味噌の効能はさまざまありますが脳卒中や老化を防止してくれます。脳の新陳代謝良くするとも言われています。今、日本の味噌は海外でも注目されている食品で、日本で作られている味噌の半分くらいは海外に輸出されているくらい見直されている食品です。
今回味噌を作る時に、麹1つ豆1つ、絶対無駄にしないという心構えでやってください。ダイズも麹も農家さんががんばって作ってくれたのです。材料を作ってくれた人に対する感謝すること、ダイズ、麹などの命をいただいていることを忘れないで作業してください。心をこめておいしい味噌を作って下さい。」
 作り方の説明を聴いて早速作業に取り掛かりました。ダイズの煮汁に浸した麹と煮たダイズをよくかき混ぜています。一粒もこぼさないよう麹とダイズが満遍(まんべん)なく混ざるように鍋の底に手を入れて全体を混ぜました。
 ダイズと麹が満遍(まんべん)なく混ざったら、役割分担をしてミンチ機で材料をつぶしました。ミンチ機へ材料を移す時にこぼさないようにすることが難しいようで、細心の注意を払って作業に取り組んでいました。
   つぶれた材料の空気を抜きながら丸めて樽へ詰めていきます。おいしい味噌を作るためのコツです。
 はじめのうちはミンチ機につぶされた材料を見て「おもしろーい!」などと無駄なおしゃべりをしていましたが、時間がたつにつれて話し声は聞こえずに、真剣な顔つきで集中していました。
 材料の無駄が無いようにミンチ機を分解して中の材料も取り出して樽に詰めました。最後の1粒まで大切に取り除きました。
 材料をすべて樽に詰めた後、仕上げにヘラで表面を平らにして、樽の周りをアルコールで拭いて、空気が入らないようにラップをぴったりと味噌につけました。さらにその上にカビ防止のためにトウガラシをちぎって入れて蓋をしました。最後の仕上げの作業がどれだけ丁寧かで半年後の味噌の出来栄えが変わってきます。
 チーム名を書いて、塾頭室の床下に収納しました。夏でも涼しい塾頭室の床下は味噌を発酵させるのに最適な場所です。きっとおいしい味噌になるでしょう。
■ 05月07日(土) おやつ
 おやつの時におからドーナッツとは別に4種類の味噌が出てきました。去年の塾生が作った味噌、箕輪さんが持ってきてくださった3年間熟成させた味噌、自然塾九州の味噌、岡山県の味噌と4種類の味噌です。どの味噌も特徴ある味わいでした。あちこちのチームで目隠しをして味噌を味わい、どの味噌かを当てるクイズをして味の違いを楽しんでいました。
■ 05月07日(土) 塾活動
 ~作物の特徴とそれにあった育て方の話~
 午後の夏野菜の植え付けを前に、各作物の特徴を聴きました。例えばトマトは乾燥した地域が原産なので、育てるときにはその原産地の気候に合わせてあげたほうが良く育つことなど、ただ植えて、水と肥料をあげれば育つものではないことと、各作物によって世話の方法が大きく異なることに塾生たちは感心し、熱心にメモを取っていました。
■ 05月07日(土) 塾活動 ~刃物研ぎ~
 雨が時折降るので、夏野菜の植付けの前に道具の手入れとして「鎌砥ぎ」を行いました。道具はいつでも使えるよう、手入れをしておくと時間の節約にもなります。
 包丁は研いだことのある塾生はいましたが、鎌を研ぐのはみんな初めてでした。スタッフの説明を聞いて作業に取り掛かりました。
 やり方が正しいかどうか確認をする塾生、黙々と作業をする塾生とさまざまでした。
 しばらくすると、「どうですか?砥げてますか?」と見せに来る塾生もいました。約20分の時間、刃物に向き合って集中している塾生はよく砥げていて切れる鎌になっていました。素晴らしいです。中には、我慢できずに塾舎横の雑草を刈りに行って「よく切れる!」と満足気な塾生もいました。
■ 05月07日(土) 共同農園作業 ~夏野菜の植え付け~
 ようやく雨も上がり、空が明るくなりました。いよいよ共同農園作業です。夏野菜のナス、トマト、ピーマン、キュウリの植付けを行いました。女子塾生にとって、初めて農作業らしい作業、苗の植えつけです。説明をよく聞き、心を込めて丁寧に作業するように心がけてもらいました。
 初めてクワを使って畝(うね)を立てることに、戸惑っていましたが、なかなか上手に土を寄せることが出来ました。これから、いろいろな世話でクワを使いますので、自分の手足のように自在に使えるようになると良いですね。
 仕上げに手で畝の上を平らにします。よく根が張るようにやさしく平らにして、きれいな畝の出来上がりです。
 畝が出来上がったら、苗を等間隔で並べていきます。説明をよく聞き、苗を傷つけず丁寧に並べていきました。
 苗は野菜の赤ちゃんと話を聴いて、塾生たちの苗の扱いはより丁寧に感じました。植える深さは、深すぎず浅すぎず、苗を傷つけないようにそっと扱っていました。
 植えつけ終わったら、肥料をあげました。この肥料は苗が育つための栄養です。根の先端が一番栄養を吸収するので、だいたいをノバ所に上げたいのですが、土の中は見えません。しかし、根の先はだいたい葉っぱの先端ぐらいに広がっているのです。地上部から土の中のことを想像しながら肥料をあげました。
 ほとんどの夏野菜は背が高くなります。そのままにしておくと、強風や自分の重さで苗が倒れてしまいます。苗の横に支柱を立てて、苗を支えてあげます。
 支柱と苗をヒモで結びました。これを誘引(ゆういん)といい、支柱から離れないよう、しっかりと支えられるように結びます。
 このときに作物の生長を考えて植物側のヒモはゆるく、支柱側のヒモはずれないように固く結びました。
 前回ロープワークで行った蝶結びは出来たでしょうか?
 誘引が終わり、株元にワラを敷きました。これは、夏の暑い日差しから土表面の水分の蒸発を防ぎ畑が乾燥しないような役割を果たします。また、雨の時に泥の跳ね返りを防ぎ、病気から作物を守ります。そして、畑に雑草をはやさないようにする役割もあります。
 キュウリの苗には、周りにビニールをかけました。寒さや強風、害虫から苗を守っています。また、強風でビニール自体が飛んでしまわないように竹の指す場所を調整してピンとビニールを張りました。
 苗がしっかりと根付くようにたっぷりと水をやり、今日の作業を終了しました。
 これから約1ヵ月間、ちゃんと世話をすれば夏野菜が取れ始めることでしょう。これで安心せずに、お天気を祈りながら世話を続けましょう。
■ 05月07日(土) マナー講座
 いつもボランティアで来ていただいている百瀬さんにマナーについてお話をしていただきました。
 「マナーって何だろう?日本語に直すと「作法」のことです。日本ではお箸を使うことがマナーですが、アメリカではナイフとフォークを使うことがマナーです。このようにマナーは国によって異なります。」
 「どうぞのいす」という絵本を題材にして、塾生たちは登場人物の気持ちを考えました。「みんなにも座って欲しかったから。」、「みんなのものだから。」 、「一人で食べてもったいないと思った。」などの意見が出ました。「大勢の人に使ってもらいたいこと」や「次の人に気持ちよく使ってもらえるように」という気持ちがマナーなのです。マナーを守るためには、マナーの心が必要なのです。マナーの心とは相手に嫌な気持ちにさせないための思いやりや心遣いで、周りの人みんながいい気持ちで生活できるようにすることです。
 次の人が気持ちよく使ってもらえるのか、絵本の中の「どうぞの○○」を使って自然塾のマナーを考えました。
布団、トイレ、クワ、机、座布団、お風呂…
さまざまな「どうぞの○○」が出てきました。
 自然塾のマナーを食事、入浴、通塾、塾生活の場面で各チームごとに考えてもらい、チームごとに発表しました。「食事は残さず食べる」「ヒジをつかない」「お風呂は出る前に身体を拭く」「電車内では静かに」など、さまざまな意見が出ました。
 最後に百瀬さんからまとめの話がありました。
「たくさん考えてくれました。ここでルールとマナーの違いについて、お話します。ルール、法律は破ると罰がありますが、マナーには罰がありません。でももし注意されて、守らなければ誰からも注意されずに「この子とは一緒に居たくない。」とずっと思われ、どんどん友達がいなくなって一人ぼっちになってしまいます。とても怖いことですね。ぜひ残りのステージ、家や学校でもマナーを守るようにしてください。自分が守って、お互いに注意しあえるといいですね。」
■ 05月07日(土) リーダー会議
 今回から司会進行を交代でリーダーに勤めてもらいました。各チームから困っていることがあれば議題に出してみんなで相談します。
今回は、言葉使いが悪い人がいること、夜眠れないことが話題となりました。
 言葉使いについては、マナー講座で相手への思いやりを学んでもらったことを例に挙げて、優しく教えてあげるように
夜、眠れないことは仕方のないことだけれども、他の塾生の睡眠の邪魔になるようであれば注意をする必要があるよね
と塾頭さんからアドバイスをいただきました。
■ 05月08日(日) チーム農園作業
 この日は朝から天気もよく、絶好のチーム農園日よりでした。各チーム共に植えつける作物がたくさんある中、メンバー全員で協力して作業に取り組んでいました。 
 畑まで苗を運びます。天気もよく、作業が出来ることがうれしそうです。
 畑のどの場所に何を植えつけるのかを目安の竹を立てました。計画図とにらめっこして計画通りのはずが、どうしても50cmくらい合いませんでした。何回か確認をしてようやくどこに植えるのかはっきりしました。
 どのチームも大忙し。植える作物が多いチームで4種類にもなります。特に苗はこの日に植え付けなければ枯れてしまいます。
 ここではトウモロコシやカボチャの種をポットに植え付けました。畑の準備が間に合わないことや、もし畑で芽を出さなかったときのことを考えてポットで育てて、ある程度大きくなったら畑に植える計画です。なかなか考えられています。
 トマトの植付けでは支柱立て、敷き藁(わら)などをしました。共同農園でやったことを思い出しながら作業を進めていました。
■ 05月08日(日) 活動のまとめ
活動のまとめを枝村塾頭からしてもらいました。
 「久しぶりによい天気で、初めて本格的に農作業ができたと思います。今日は本当に暑かったのですが、みんな一所懸命畑仕事をしてくれたと思います。これからもっともっと暑くなりますが、そういう時にこそ自分に与えられた仕事をさっと終わらせる。それがみんなに対しての協力につながります。
 金曜日に野菜の話をしました。夏野菜を植え付けるときや、チーム農園で苗を植え付けたときに思いやりを持って、丁寧にできたと思います。中には少し雑な人もいましたが大半の人が心をこめていたと思います。活動が始まる前に野菜は正直だという話をしました。愛情を持って世話をしてあげると大きく育ちます。ペットを可愛がっている人はペットによく声をかけて接していると思います。野菜にも同じように声をかけて水やりをしたり、肥料をあげたりしてみてください。そういう気持ちを持って育てると立派な野菜ができると思います。これからも思いやりを持って接してください。
 昨日は初めての体験で味噌作りをしました。箕輪さんの話の中で「味噌のような人になってほしい」と言っていました。本当に良い言葉だと思います。味噌が材料の味を引き立てるのと同じように、みんなにも人の良いところを引き出してもらいたいと思います。
 マナーの話の中で「マナーは思いやり」とありました。これも素晴らしい言葉です。話の中に出てきた「どうぞの○○」という気持ちでいろんなものに接して相手のことを思いやってほしいと思います。
 共同生活の目標「時間を守る」ことはどうでしたか?時間を守ることは人から信頼を受けます。その結果として友達がたくさん増えます。ただ、時間を守ることは簡単な事ですが、なかなか出来ません。時には今やってることをやめる、朝眠い中目をこすりながらやる必要があります。そういう意味では勇気がいります。自分に強くならなければ時間を守れません。時間を守ることは誰のせいでもなく、自分自身のせいです。時間を守れる人は他のこともちゃんとできる人だと思います。塾だけでなく家の人や友達との時間を守れるようになってもらいたい。この活動を機会にそういう人になってもらいたいです。」
■ 編集後記
 ようやく、自然塾らしい農作業が出来ました。何をするのも初めての塾生たちはスタッフの説明をよく聴き、率先して作業を楽しんでいるように感じました。今後もたくさんの農作業を体験してもらいたいと思います。
 今回の塾活動で味噌作り、マナー講座とたくさんのことを学びました。それぞれ塾生たちにはどのようなことが心に残ったのでしょうか?自分で思っているだけでなく行動にあらわして欲しいと思います。
 また、共同生活の目標では、土曜日夜の振り返りの時点で大半の塾生が5~7点と自己評価していました。翌日の改善点として「5分前行動をする」「自由時間、遊ぶ前に次の準備をする」などの意見が上がりそれらを実効する事で、日曜日には時間が守ることが出来ていました。今後の活動でも継続してもらいたいと思います。
K.M.