2011.04.22~24
第03ステージ ~女子~
ステージテーマ:「初めての農作業に挑戦しよう!」
共同生活の目標:「人の話を聴く」
女子塾生は前回のステージに雨が降ってしまい、残念ながら農作業ができませんでした。今回行う農作業が塾生たちにとって初めての農作業でしたので、「初めての農作業に挑戦しよう!」というステージテーマをかかげて活動に取り組んでもらいました。土曜日は1日中雨が降り続きましたが、日曜日にはカラッと晴れ、前回のステージにはできなかった「ゴボウの穴掘り」をすることができました。
また、いつもと違う環境の自然塾で安全に作業・生活するためには注意深く「人の話を聴く」ことが重要です。共同生活の目標として掲げ、
1.今していることをやめる。2.相手の顔を見る。3.最後まで聴く。4.返事をする。5.うなずく。の5つのポイントを意識して行動しました。
■ 04月22日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたって塾頭からお話がありました。
「今日から第3ステージです。先回は最初のステージでしたが雨で畑作業ができず残念でしたね。今回も天気が悪そうで残念ですが、農業は自然を相手にする仕事です。我々は自然に生かされています。自然に逆らうことはできません。じっと待つことも大切です。そういうことも学んでいってほしいと思います。
『晴耕雨読(せいこううどく)』という言葉を知っていますか?雨の時は家の中で読書をして自分をみがくという意味です。まさにその時期ですね。
前回の共同生活の目標は「あいさつをする」でしたが、頭のすみにおいて意識してできていましたか?今まで以上にあいさつをするのは照れくさい部分があると思いますが、少しずつ声を出して言うようにしてください。そうすればだんだん言えるようになり、習慣になってきます。あいさつは人の心を表します。はっきり・しっかりあいさつができる人は信頼されます。相手をみて、笑顔で大きな声でするようにしましょう。
今回のステージテーマは「人の話を聴く」です。これは簡単なようで難しいことです。人の話を最後まで聴くことは安全にもつながります。「1.姿勢を正しく」「2.相手を見る」「3.最後まで聴く」の3原則を守って、人の話を聴ける人になってください。そして、まわりの人からたくさんのことを学んでください。
今回からリーダー会議があります。この活動を「楽しく・安全に・快適に」するにはどうしたらよいかリーダーと共に話し合いながら解決していきたいと思います。
みなさんだいぶ慣れてきた様子ですが、慣れてくると悪ふざけによるケガが発生しやすくなります。遊ぶときは遊ぶ、しめるところはしめるといったようにメリハリをつけて生活するようにしてください。
では明日からの作業を、心を込めて丁寧に作業するようにしてください。」
■ 04月23日(土) 食事当番
土曜日の朝食、土曜日の夕夜、日曜日の朝食は塾生も準備を手伝います。
チームごとに4ステージに1回、食事当番が回ってきます。食事当番の塾生はお釜でご飯を炊いたり、味噌汁を作ったり、細かく野菜をきざみコンポストの準備をしたりします。ここで言うコンポストとは野菜の皮や葉などの料理で使えない部分を、捨てずに細かくきざみ、微生物に分解してもらったもののことです。自然塾では半年ほど畑で熟成(じゅくせい)させたコンポストを肥料として畑にまき、次の作物の栄養にしています。
片付けも食事当番の仕事のひとつです。みんなで使った食器を洗ったり、左の写真のようにお釜を洗ったりします。ススで真っ黒になったお釜をピカピカになるまで洗うのは大変ですが達成感があります。
■ 04月23日(土) チーム農園の計画発表
前回のステージに話し合ってもらったチーム農園計画を発表しました。
発表の前にチームごとに準備をしました。
紙に畑の図面を画いたり、誰がどこを発表するか決めたり、リハーサルをしたりとチームごとに有意義(ゆういぎ)に使っていました。
いよいよ発表です。今回発表した内容は「チーム名とその由来」「リーダー・サブリーダー・メンバーの紹介」「育てる作物とその理由・目標」「畑のどこに何を植えるか」です。
「チームにオクラが嫌いな子がいるので、オクラを育ててオクラ嫌いを治したい」「スイカを育てて、夏に育てたスイカで種飛ばしをしたい」「地震の影響で国産のホウレンソウをあまり見なくなったので自分たちで育てたい。お店で売っているものよりおいしく育てたい。」と言うような意見がでました。塾生は少し緊張している様子でしたが、どのチームも良く検討したことがうかがえました。
また、発表の内容について他のチームやスタッフから「どんな病気にかかるかしらべましたか?」「どんな種類をそだてますか?」などの質問もありました。発表後の時間を使って、質問をもとに検討が必要なところを調べたり、話し合ったりしました。
解散後塾生室にもどった後も、熱心にチーム農園の計画の続きをしていました。スタッフにいつ手配ができるのか聞きに行ったり、次に必要な苗や種の数を確認したりしていました。今回のステージは残念ながらチーム農園作業はできませんでしたが、代わりに次回のステージに行うチーム農園作業の計画をまとめました。
■ 04月23日(土) チーム活動~チーム農園看板づくり~
午後も雨はやまず、外で作業ができないため室内でできる作業をしました。前半は、チームごとにチーム名と作物名の看板を作りました。
まず、全体でスタッフから道具の使い方、注意点などの説明をうけてから作業しました。全員真剣に話を聴くことができていました。
そしてチームごとに木材を測り、決まった長さに切りました。最初は慣れない道具や作業に苦戦している様子でしたが、そのうちに「そっちをおさえてくれる?」「いいよ。」などと声かけも聞こえてきて、協力して作業できていました。
板が切れたら絵や文字を描き、杭(くい)にくぎで打ちうけました。チームごとに思い思いに工夫をしてデザインし、楽しみがら作っていました。
いったん3時のおやつで休憩。
この時のおやつは自然塾産のゴボウのたっぷり入ったゴボウケーキでした。塾生は「ほんとにこれゴボウ入っているの?」とびっくりした様子でしたがおいしそうにほおばっていました。
おやつの後は記念撮影と片付けをしました。どのチームも素敵な看板が完成しました。
チームの写真の下に新しく決まったチーム名とその由来を紹介します。
Aチーム:「RVN」
由来:7人だから「レインボー」、野菜の「ベジタブル」、育てるという意味の「ナーチャー」のそれぞれの英語の頭文字をとってRVNという名前にしました。
Bチーム:「こんにちはチーム」
由来:これからもあいさつをして、みんなと仲良く笑顔で過ごしたいからこの名前にしました。
Cチーム:「KMC」
由来:KかMのどちらかがCチームの塾生の名前に入っているのでKM、そしてCチームのCを合わせてKMCという名前にしました。
Dチーム:「D(ディ)ロウラベンダー」
由来:DチームのDと、チーム農園のあるモロコシジロウ畑のジロウを合わせて「Dロウ」、ラベンダーを育てて虫から野菜を守り、おいしい野菜を育てたいから「ラベンダー」をつけDロウラベンダーという名前にしました
■ 04月23日(土) ロープワーク
これから作物が生長し大きくなると、作物の世話でひもを結んだり、支柱をロープで固定したりということが多くなります。そのときに正しい結び方が身についていれば、丈夫に素早く結ぶことができます。そこで、後半はロープやひもの基本的な結び方を全員で練習しました。
自然塾では今回のように雨で室内作業をするときがありますが、その時間は後の農作業にいかすことができることを学んだり、チームワークを高めるゲームをしたりしています。
今回は自然塾で良く使う「ちょう結び」「巻き結び」「角しばり」の3つの結び方を覚えました。「巻き結び」は引っ張られると余計にしまり、ゆるみにくいしばり方、「角しばり」は2本の棒や支柱を十字に固定したい時に使うしばりかたです。
早く結べるようになった塾生はより短い時間で結べるように練習し、まだ不安な塾生は近くにいるスタッフに確認をしながら覚えました。
ここで覚えたしばり方を忘れずに、チーム農園で活かしてくださいね。
■ 04月23日(土) 夜の塾活動~危険生物の話~
夜の時間は自然塾周辺で出会う可能性のある危険な生物についての話がありました。危険生物はもともとは人間がその土地に住む前から、その場所にいた生き物です。その生き物が自分の身を守るために毒や角(つの)やきばなどをもっていますが人間の都合で危険生物と決めたものです。気をつけなくてはいけませんが、むやみに捕まえたり・殺したりしてはいけません。危険生物とどのように付き合っていけばよいか考えました。
まずは、「危険生物」ときいて思いつくものをあげました。塾生たちはハチ・クマ・ブユなど積極的に意見を出していました。
続いて、プロジェクターで写真を見ながら、どんな特徴があるか、危険な生物の危険度や遭遇(そうぐう)率、出会ってしまったときにどんな行動をとればよいかなどの話がありました。写真によっては苦手な虫が出てきて、顔をしかめている塾生もいましたが、大切なことを塾生手帳にしっかりとメモをとったり、わからないことは質問したりしていました。
最後に、服装は自分の身を守ることにもつながることや自然塾の農作業着が決まっている理由などについて話がありました。
■ 04月24日(日) 朝の瞑想(めいそう) 
毎ステージ日曜日の朝は、窓を開け、電気を消し、瞑想をしています。
瞑想の時間には自分の弱い心に勝ち、強い精神力をやしなうことや、自然を五感で感じてもらうなどいくつかの目的があります。
今回は1分半の間瞑想しましたが、かゆみに負けて手を動かしてしまったり、ふらふらしてしまったりする塾生がいました。少しずつ時間を長くしていきますが、最後まで姿勢をくずさぬよう集中力をつけていきましょう。
■ 04月24日(日) 共同農園作業~ゴボウの穴掘り・埋め戻し~
土曜日に1日降り続いた雨は日曜日にはあがり、とてもよい天気になりました。塾生たちは前回できなかった「ゴボウの種をまく場所に穴を掘り、埋め戻す」作業をしました。なぜ、こんなに大変な思いをして穴を掘り、埋め戻すかというと、ゴボウは固い土や石にあたってしまうとまっすぐ育たず、曲がってしまったり、2股(また)・3股になってしまいます。おいしくて、立派なゴボウを育てるためには深くまでやわらかい土を用意する必要があります。長いものは1メートル近くになるものもあるため、みんなで深くまで穴を掘って、埋め戻し、ふかふかのベッドをつくりました。
1列に同じ間隔に並び作業開始。
スコップは使い慣れていない様子でしたが、この時点ではまだまだ元気です。
少しずつ、深くなっていきました。掘り進めていくにしたがって、汗がにじみ、塾生の口数も減っていきました。
せっかく積んだ土がくずれてしまったり、固い層にあたってなかなか掘り進めなかったりと苦戦している様子でしたが、弱音をはかずに黙々(もくもく)作業していました。
後半は隣同士で交代で作業したり、力がある人が小柄(こがら)な人の場所を手伝ったりと協力して作業を進めていました。
穴掘り完了!
黄色いロープが張ってあるところがもともとの地面の高さです。
スコップが埋まってしまいそうなくらい深い穴を掘ることができました。
穴が掘りあがった後は埋め戻しの作業です。山になった土をふみ固めないように注意しながら穴に戻しました。
大量の土を戻すのは大変で、予定より時間がかかってしまいましたが、卒塾生の助っ人も入りみんなで協力して埋め戻しました。
これでふかふかのゴボウのベッドが完成しました。立派なゴボウが育つと良いですね。
■ 04月24日(日) 卒塾生からメッセージ
8期生のOGがゴボウの作業の手伝いに来てくれました。昼食の時に1人ずつ塾生へのメッセージをもらいました。
「わからないことは聞いてください」「長いようであっという間に過ぎてしまうので、自然塾の時間を大切に過ごしてください」など自分の言葉でまとめてくれました。
■ 04月24日(日) 活動のまとめ
ステージの終わりに塾頭より活動のまとめの話をしていただきました
「今日は天気も良く初めての農作業ができてよかったですね。ゴボウの穴掘りをしてもらいましたが、初めての農作業にしては大変だったのですがみんな一生懸命やってくれたと思います。最後まで頑張るという心が表れたので良かったです。一生懸命頑張ってくれたので立派なゴボウができると思います。ゴボウは作物の中でも収穫までの間がとても長い作物です。その間いろんな世話をしなくてはいけません。
世話を通していろんなことを学んで欲しいと思います。
共同生活の目標の「人の話を聴く」ですが、金曜日に比べ良くできるようになりました。人間というのは会話を通して相手を知ります。相手をしっかり理解するためにも、相手の方をちゃんと見て、何を言おうとしているのか理解するように心がけ、最後まで聴くようにしてください。昔の人は良く、人の話を聴くときは正座をして聴きました。それぐらい聴く人の方へ心を向けないといけないということです。
チーム農園発表をしてもらいましたが、良くまとまっていたと思います。みんなで協力してやるということがとても大切です。今後は、チーム農園の様子を良く観察し、記録をとってください。そして結果を見て、次に何をすればいいのか考えながら世話をしてほしいと思います。みんなで協力して素晴らしい野菜をつくって、目標を達成してください。」
■ 編集後記
今回のステージも雨が降り、予定していた3つの農作業のうち1つしか体験することができませんでした。塾生たちにとっては“残念な雨”でしたが、作物にとっては“恵みの雨”です。毎ステージ瞑想の前に季節の話をしています。そのなかで二十四節気を紹介していますが、この時期は「穀雨(こくう)」といい、この時期に降る雨は作物の生長を助ける大切な雨となります。この雨と暖かな日が交互にくるこの時期には畑の作物もぐんと大きくなります。数日の間に見違えるほどに青々とした山や畑の作物を見ると「やっぱり自然の力ってすごいなぁ」と感じます。
塾生たちには、農作業の大変さももちろんですが、自然の中で季節の変化や、自然の偉大さなども体で感じていってもらいたいと思っています。
K.T.