2011.11.04~06
第17ステージ ~男子~
ステージテーマ:「自然の恵みに感謝し、野外調理で各チームの味を楽しもう!」
共同生活の目標:「今までの目標の中から塾生全体で一つを選ぶ」
活動も残すところ2ステージとなりました。第17ステージでは今までの活動の総まとめとして、収穫祭を行いました。収穫祭では共同農園で育ててきた野菜を自らの手で収穫し、それを食事当番で身につけた技術や今まで培った(つちかった)チームワークを駆使(くし)して一つの鍋料理をつくってほしい。私たちにたくさんの恵みを与えてくれる自然の恵みに改めて感謝してほしいということで掲題のテーマに取り組んでもらいました。また、日ごろからお世話になっているボランティアのみなさん、調理師さんに感謝の気持ちを込めて、自分たちの手料理をふるまってもらいました。
 共同生活の目標は、今回から塾生全体で決めました。話し合いの結果『人の話を聴く』に決まり、特にできていない「1.今していることをやめる」、「2.姿勢を正し、相手の方に体を向ける」、「3.最後まで聴く」を重点的に意識するポイントとし活動に取り組みました。
■ 11月05日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたり塾頭からお話がありました。
「いよいよ大詰めの17ステージです。今週は収穫祭を行います。みんなで共同農園で育てた野菜を収穫して、それを調理し、食べます。今まで元気に生きてこられたことへの感謝、収穫に対しての喜び、そして豊作への感謝の気持ちをもって収穫祭へのぞんでもらいたいと思います。
普段、何気なく生きていますが、本当はいろいろな人に支えられています。この自然塾で、楽しく今までのステージを終えることができたのはいろんな人の支えがあったからです。
自分一人だけでは楽しい塾活動に成り得ませんでした。今ステージはもう一度感謝の気持ちを持ってのぞんでほしいと思います。
収穫祭では第4ステージに仕込んだ味噌の開封式も行います。どういうふうにできているか楽しみですね。丁寧に心をこめて作業したチームはおいしい味噌ができているのではないかと思います。
あと残り2ステージです。今までを振り返ってどうでしたか?入塾式に述べた抱負を振り返ってみてください。我々自然塾も体験を通していろんなことを学んでほしいと思っていますが、その代表的なものが「3つのこころと2つの力」です。これをずっと心の中に残して大事にしていって欲しいと思います。こうして自分が元気でいられるのは「3つの心と2つの力」をもっている多くの人に支えられているのだと思います。だから自分もそれができるようになって、多くの人を支えられるようになって欲しいと思います。」
■ 11月04日(金) 夜の集い~歌の練習~
卒塾まで残すところ2ステージとなりました。卒塾式では、全員で歌を歌います。歌うのは「故郷(ふるさと)」と「今日の日はさようなら」の2曲です。そこで、卒塾式に向けて歌の練習をしました。「故郷」の歌詞には、今では少なくなった日本の原風景がうたわれています。せっかく自然に囲まれた市村自然塾で皆と8ヶ月間過ごしたのですから、ここを第二の故郷と思って、自然塾での思い出や周りの景色などを思い浮かべながら歌って欲しいと思います。卒塾式には塾生活最後の思い出として精一杯歌いましょう。
■ 11月05日(土) 収穫祭 ~味噌の開封~
枝村塾頭から開会宣言があり収穫祭が始まりました。まず最初に、待ちに待った味噌の樽(たる)を開封しました。
開封にあたり、味噌づくりの指導をしてくださった初代塾頭よりお話しがありました。
「この味噌を作ったのは4月30日でした。これはちょうど5ヶ月なので熟成はまだ半(なか)ばです。でも、今日使う味噌をとった後にまたきれいに整えて寝かしておくと、味噌がだんだんと育っていきます。みなさんもここで育ったように味噌も育っています。2年ものの味噌も持参したので、4月に作ったときの味、今の味、2年経ったものの味を食べ比べて、熟成の具合によってどのように変わってくるのか見てもらえればいいと思います。」
チームごとに、味噌の入った樽の周りを囲んで集まりました。ふたを一斉に開けると味噌の香りが土間中に広がり、次々と塾生たちの歓声が聞こえてきました。樽の中の様子は、ほとんどカビが生えずにキレイだったり、モッサリと白いカビが生えてしまっていたりと、チームによってマチマチでした。仕込みの丁寧さが結果として出たようです。
次に、表面に生えてしまったカビを余分な味噌をけずらないように丁寧に取り除きました。そこから今回の調理で使う分の味噌をお皿にとってから、味見をしました。同じ材料を使っていてもチームによって味が異なり、塾生たちは各チームの味を食べ比べていました。
自分のチームの樽にカビがたくさん生えてしまってがっかりしていた塾生も、味見をした瞬間「うまい!」と元気をとりもどしていたのが印象的でした。
そして、味噌の表面を平らに整え、樽の内側を殺菌し、味噌にカビが生えないように丁寧にラップで再びフタをして大切に保管しました。来年の塾活動で使うためです。
最後に、初代塾頭ご夫妻より総評を述べていただきました。「みんながきれいに整えた味噌はみんなの後輩が食べることになります。今年はカビのはえ方には差がありましたが、良かったと思います。丁寧にやると結果もきっちりと出てきます。
材料をつくってくれた人たちのおかげさまと、みんなが一所懸命込めた愛情でやっと今、味噌になってきました。これから味噌は自分の力でよりおいしくなろうと熟成していきます。みんなも愛情込めた味噌のことを思い出して、これからは自分で成長することを考えて頑張ってください。味噌に負けないでくださいね。」
■ 11月05日(土) 収穫祭 ~野菜の収穫・洗浄・奉納~
各チームに分かれて、今回野外調理でつくる『ごった煮汁』の材料である、ハクサイ、ネギ・ゴボウ、カブ、コマツナを各畑で収穫してもらいました。
収穫した野菜は塾に持ち帰り、それぞれキレイに洗い、玄関前で奉納台に供えました。
根を切る人、洗う人とうまく役割分担をしているチームもありました。また、奉納台に供える際、きれいに見えるように各チーム工夫して並べていました。
ダイコン、ハクサイ、ネギ、キャベツ、サツマイモなど、玄関前に並べられた作物を見て、全員で収穫の喜びを分かちました。また、スタッフから「奉納」についてや「日本人と八百万(やおよろず)の神様との関わり」に関する話がありました。
各チームで『ごった煮汁』に使う野菜を取り分けた後、いつも美味しい料理をつくってくださる調理師さんに、塾生の代表4名がお礼の言葉を述べ、収穫してきた野菜を渡しました。
また、全員で感謝の気持ちを込め
「ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。」
とあいさつをしました。
■ 11月05日(土) 収穫祭 ~野外調理~
各チーム内で、「火起こし・ダッチオーブン担当」「仕込み・調理担当」「おにぎり担当」「焼き芋担当」の4つの役割に分かれて調理に取り掛かりました。
仕込み・調理担当の塾生は、ダイコン・ゴボウ・ネギなどの材料を刻み、空のダッチオーブンに入れていきました。イチョウ切り、ゴボウの笹がきなど、どの野菜にも均等に火が通るように切りました。ゴボウの笹がきは初めての塾生がほとんどで苦戦していたようですが、その他の作業は食事当番の経験が活かされ、テキパキと作業していました。
焼き芋を準備する塾生は、サツマイモを洗い、ぬれた新聞紙で包み、その上からアルミホイルで包みました。芋がはみ出さないように丁寧に作業しました。
火起こし・ダッチオーブン担当の塾生は、重いブロックを運び、三脚のセットや火起こしをしました。食事当番の釜ご飯炊きの経験を思い出しながら新聞紙や薪(まき)を準備し、火をつけました。うまく火を起こせたチームもあれば、残念ながら消えてしまい、他のチームの火をもらってつけたチームもありました。
おにぎり担当の塾生は厨房でおにぎりをつくった後、塾庭で盛り付けをし、各チームに配りました。スタッフに指示されなくてもテキパキと協力して作業していました。
準備ができたチームからダッチオーブンを火にかけました。火や鍋の様子を見ながら竹をくべ、しっかりと煮込んでから、最後に自分たちの仕込んだ味噌で味付けをし、『ごった煮汁』の完成です。
各チームのテーブルに、いつもお世話になっているスタッフを招いて昼食にしました。
それぞれに良さがあり、どのチームも美味しい『ごった煮汁』をつくることができました。自分のチームの味だけでなく、他のチームの味を楽しむ塾生も多く、
「○○チームのみなさんいただきます。」
「僕も少しもらってもいい?」
とおかわりをする声があちらこちらから聞こえてきました。スタッフがおかわりをもらいにいくと、「うちのチームが一番おいしいよ!」と、どこのチームも自慢していました。やはり自分たちで作った料理は格別なのでしょう。鍋いっぱいにあった『ごった煮汁』も、すべての鍋が空になってしまうほど、みんなよく食べていました。
■ 11月05日(土) 収穫祭 ~奉納相撲~
昼食の片付けの後、モロコシタロウ畑で自分たちが健康に過ごせることに感謝し、奉納相撲を行いました。スタッフの手作りの土俵を使い、学年ごとにトーナメント形式で戦いました。どの塾生も全力を出して頑張っていました。戦う人も応援する人も真剣に取り組め、みんなが一体となって盛り上がることのできた、とても良い相撲大会になりました。
チームメイトの普段とは違う勇敢な姿を見て、見直したという塾生も多かったのではないでしょうか。
各学年の優勝者には、賞品として1人1玉のキャベツを収穫する権利が贈られました。みんなから温かい拍手が贈られていました。
■ 11月05日(土) おやつ
この日のおやつは野外調理の時のかまどで焼いたサツマイモでした。今回使ったサツマイモは安納芋(あんのういも)という焼き芋に適した品種です。甘くて美味しい焼き芋に塾生たち塾生たちはもう夢中。お腹いっぱい昼食を食べたはずなのに、皆ぺロりと平らげてしまいました。
■ 11月05日(土) 共同農園作業 ~コムギの種まき~
市村自然塾では、前年度の塾生から次年度の塾生へとバトンをつなぐ「リレー作物」として、毎年コムギの種をまいています。10期の塾生たちも9期生が種まきをしたコムギを収穫し、うどんやパンなどの食事や、かりんとうなどのおやつとしていただきました。今度は自分たちが来年の11期生のために種をまく番です。1粒1粒、心を込めて丁寧にまきました。
コムギたちが無事に育ち、来年もたくさん収穫できることを願いましょう。
■ 11月05日(土) 夜の塾活動 ~作文~
夜の塾活動は「市村自然塾で色々なことを体験して、どのように感じ、どんなことを学んだか。それを将来の夢にどう活かすのか。」というテーマで、作文を書いてもらいました。第9ステージにも作文を書いてもらいましたが、今回は自分の夢や、将来どんな人になりたいかも踏まえて考えてもらいました。何があったか塾生手帳を見ながら、真剣に取り組んでいまいた。作文は全員の分をまとめて、卒塾式にてお渡しします。
作文の後に共同生活の振り返りをしました。
良かった点として「お互い注意しあえた」、悪かった点として、「全員で聴く体勢になっていなかった」「意識がたりない」「農作業の説明を聴く態度が悪かった」などの意見があがりました。
全体で聴くことができていた割合を話し合い、土曜日の振り返りの点数は6点に決まりました。
■ 11月06日(日) 共同農園作業~サツマイモの収穫~
日曜日の前半は、16ステージに雨でできなかったサツマイモを収穫しました。いつ雨が降るかわからない天気だったため、合羽を着てジャイモン畑へ向かいました。
スタッフから掘り方(ほりかた)の説明を受けたあと、皮を傷つけないように気をつけながら、サツマイモを掘りました。いろんな大きさ、いろんな形の芋が次々とでてきて、塾生たちは大喜び。収穫の喜びをかみしめていました。
収穫が終わったら、サツマイモのたくさん入った重いコンテナを、畑から畑の上の道路まで協力して運びました。
この日の収穫はなんと63.4kg!!
自然の恵みに感謝です。
■ 11月06日(日) 賞品のキャベツ収穫
他の塾生が移動・片付けをしている時間を使って、相撲の各学年の優勝者はキャベツを収穫にいきました。立派なキャベツが収穫でき、嬉しそうですね。
■ 11月06日(日) チーム農園作業
チーム農園作業もあと2回。次回18ステージには全ての作物を片付け、最初の何もない状態に戻すため、チームで相談し計画的に進めなくてはいけません。前日の雨で追肥・土寄せなどの世話は十分にはできませんでしたが、どのチームもたくさんの収穫がありました。
これだけ収穫が多いと、各チーム包装も一苦労。帰る時には持ちきれないほど沢山の土産を抱え、嬉しい悲鳴が聞こえてきました。ここでも自然の恵みに感謝!ですね
収穫物とは別に、苗を持ち帰るチームもありました。このチームは、ミニハクサイの種をポットにまいたけれども、なかなか大きくならず、残念ながら持ち帰り家で育てることになりました。大切に育ててくださいね。
■ 11月06日(日) まとめ ~塾頭の話・目標の振り返り~
塾頭よりステージのまとめの話がありました。
「昨日の収穫祭は採りたての野菜とみんなでつくったお味噌で調理をし、おいしくいただきました。奉納相撲もみんなが一生懸命にやってくれたのでとても盛り上がって良かったと思います。味噌の開封をしましたが、みんなの味噌はとってもよくできていましたね。5ヶ月前の味噌づくりの時に初代塾頭さんが良いことを言ってくれたのですが、覚えていますか。
『味噌のような人になってください』
この言葉は何回聞いてもいい言葉だと思います。人それぞれ特徴がありますが、悪いところばっかり見ていると憂鬱になってしまいます。でも、その人の良いところを見つけて、良いことろをひきたててあげると相手も気持ちがいいし、自分にも返ってきます。会社はその典型です。
よく「会社は1人+1人=2人ではなく、1人+1人=3人でないといけない」といいます。その人たちが持っているいいところを引き出して、会社を大きくしていくのです。
市村自然塾ではおかげさまの心を大切にしていますが、ぜひともおかげさまの心を持って、感謝の気持ちを忘れないで欲しいと思います。そういうことがわかっている人は、心から『ありがとう』という言葉が自然と出てきます。いつでもそういう気持ちを持っているということは自分の成長にもつながると思います。
残り1回。最後のステージ悔いの残らないように一所懸命にやって欲しいと思います。」


最後に、共同生活の振り返りをしました。
土曜日より良かった意見が増え「最後まで聴けた」「お互い声をかけ、素直に直すことができた」「落書きしている人が減った」などがでました。悪かった点は、「今の話し合い中にもできていない人がいる」という意見がでました。
話し合いの結果、日曜日の点数は8点に決まりました。金曜日、土曜日より意見を言う人が増えたり、客観的に見ることができている意見がでたりと回数を重ねるごとに話し合いも良くなりました。次回の話し合いはもっと活発な意見交換ができるとよいですね。
■ 編集後記
今回のメインイベントは収穫祭でしたが、塾生たちが野外調理や奉納相撲に真剣に取り組み、楽しめていたのでよかったと思います。また、今回のステージは共同農園で食材やサツマイモの収穫をし、チーム農園でもたくさんの収穫がありと、“自然の恵み”を実感したステージとも言えると思います。「感動」「感謝の気持ち」というのは日々過ごすうちに薄れていってしまうものです。10期生の活動は残り1回となりましたが、塾生たちにはここで感じた「大地・自然のすばらしさ、大切にする気持ち」「感謝の心」「達成感」などいつまでも大切に、忘れないでいて欲しいと願っています。
K.T.