2011.06.24~26
第08ステージ ~男子~
ステージテーマ:「土をこねて世界で一つだけの作品を作ろう!」
共同生活の目標:「あいさつをする②」
 今回のステージは雨の予報でしたが、当日の天気は塾生たちの味方になってくれました。 土曜日は朝から青空が広がり、前回のステージで行えなかったジャガイモ・コムギの収穫を行うことができました。
 また、ホタルの観察と、ステージテーマのプログラムである陶芸も、予定通り行うことが出来ました。農作業、自然観察、ものづくり体験と、盛り沢山の内容のステージでした。
 共同生活の目標は、「あいさつをする」を再び掲げました。第2ステージで初めて実践した時は、場面ごとにあいさつを使い分けることを意識してもらいましたが、今回はさらに一歩踏み込んで、周りの人との関係を深めるあいさつの方法を、意識して取り組んでもらいました。
■ 06月24日(金) 夜の集い「塾頭さんのお話」
 ステージを始めるにあたって、枝村塾頭からお話がありました。
 「今週に入って急に暑くなってきました。暑い日は農作業が辛くなるかもしれませんが、野菜はどんどん生長しています。農作業を止めるわけにはいきません。みんな弱音を吐かずに頑張りましょう。
 共同生活の目標がこれから2周目に入ります。ぜひとも1回目に実践した時のことを思い出して下さい。どうすれば守ることができるのか、自分で考えて行動してください。
 目標を持つことはとても大切なことです。大人になって会社で勤めだしたら、目標を持つように言われます。今のうちから、目標を持つようにして欲しいと思います。
 目標には2種類あり、長期のものと、短期のものとがあります。長期のものは、ずっと先に達成したいことで、例えば将来の夢などです。短期のものは、半年とか1ヶ月とか、短い期間に達成したいことです。1ヶ月後までで、あまり大きすぎる目標を決めても、達成できません。短期ならば、身の丈より少し大きいぐらいの目標を設定してみてください。設定する時には、いつまでに、どのぐらい達成するのか、具体的な数字を決めるといいでしょう。
 短期の目標を少しずつ達成していくと、長期の目標に近づくことが出来ます。少しずつ達成できるように日々努力すると、やりがいが生まれます。毎日を充実して過ごすためにも、目標を持って行動しましょう。」
■ 06月24日(金) 夜の集い「共同生活の目標を一周終えて」
 今まで実践してきた、共同生活の目標を振り返ってもらいました。塾生たちは、各ステージごとに実践してきた目標をよく覚えていて、「こんな目標があった!」と積極的に発言していました。
 自然塾では、「あいさつをする」「時間を守る」「人の話を聴く」「ルールを守る」「整理・整頓・清掃・清潔を心がける」「心をこめて丁寧に作業する」の6つを、守るべき基本的なこととして、共同生活の目標に掲げています。
今までのステージで、6つの目標は全て実践しました。しかし、基本は継続(けいぞく)して守らなければならず、継続することが難しいのです。
 塾生たちには、共同生活の目標を、継続して実践することを心がけてもらいました。
■ 06月25日(土) 共同農園作業「ジャガイモの収穫」
 この日は朝から晴天に恵まれて、みんなでジャガイモを掘ることが出来ました。日差しが照りつけて、真夏のような暑さとなりましたが、塾生たちは汗だくになりながら一所懸命に取り組んでいました。
 まずは、みんなで地上部(土の上の茎や葉)を取り除きました。
 掘り上げたジャガイモが地上部に触れてしまうと、病気の原因菌がうつって痛みやすくなってしまいます。ジャガイモを堀り上げた時に邪魔にならないように、全て取り除きました。
 塾生が地上部を引き抜くと、ジャガイモがたくさんついてきました。
 「ジャガイモが出てきたー!」
 嬉しそうな声が上がっていました。
 ジャガイモは土の中にたくさん埋まっています。
 地上部を全て取り除いたら、次はみんなでジャガイモを堀り上げました。土の中のジャガイモの皮は、傷つきやすくデリケートなので、軍手をはめて手探りで掘っていきました。
 場所によっては土が固く、掘り出すのに苦戦する塾生もいました。
 全て掘り終えて、みんなで畑の上までジャガイモを運び、重さを量りました。
 収穫したジャガイモの量は、全部で133キログラムもありました!世話人が結果を発表すると、塾生たちからは大きな歓声が上がっていました。
 
 このジャガイモは、寒冷紗(かんれいしゃ)という黒いネットをかけて日差しを遮り(さえぎり)、風通しの良い場所で保存します。1年間、塾での食材として大切に使われます。
■ 06月25日(土) 共同農園作業「コムギの収穫」
 市村自然塾ではリレー作物として、コムギを育てています。昨年度の塾生たちは、今年度の塾生のためにコムギの種をまいてくれました。
 そのコムギが、ようやく収穫時期を迎えました。塾生たちには、先輩たちが残してくれた実りに感謝して、一粒も無駄にしないように刈り取ってもらいました。
 塾生たちは、のこぎり鎌(カマ)を使ってザクザク刈り取っていきました。刈り取ったコムギは、根元で束ねてヒモできつく結びました。
 この結び方がゆるいと、干している間にコムギの穂が落ちてしまいます。
 刈り取ったあとには、コムギの穂がたくさん落ちています。塾生たちは、一粒も畑に残さないように落穂(おちぼ)を拾っていきました。全て束ねたら袋に入れて、道路に停めてある軽トラックまで運んでいきました。
 ジャガイモを堀り上げた後、続けて作業したので、最後の方にはみんなヘトヘトになっていました。しかし中には、暑さと疲れに負けず、粘り強くコムギを刈り続ける塾生もいました。
■ 06月25日(土) 塾活動「陶芸」
 午後からは講師の中島さんをお迎えして、陶芸を行いました。まずは中島さんから、成形する時に注意する点をお話していただき、次に作り方の流れを、実際に見本のお皿をを作りながら説明していただきました。
 粘土のかたまりから、あっという間にお皿の形が出来上がっていき、塾生たちは食い入るように見つめていました。
 いよいよ制作開始です。
 塾生たちは一人ひとり粘土を受け取ると、空気が入らないように平らに伸ばしていきました。外側を持ち上げてお皿の形に整えたら、葉っぱで型を押したり、ビー玉を乗せたりと、自由にデザインしました。

 粘土が余った塾生は、お皿に加えて箸置き(はしおき)や置き物も作っていました。
 形が出来上がったばかりのお皿に、釉薬(ゆうやく)を塗っていきました。
 釉薬を付けて焼くと、表面にガラス質の膜(まく)ができて、水や汚れが染み込まなくなり、汚れが落ちやすくなります。

 これで、今回の作業は終了です。みんなのお皿は、地下倉庫の奥にある窯で焼かれます。次回のステージで、最後の仕上げをすれば完成です。
後片付けと掃除も、塾生たちで行いました。

 最初の頃に比べると、自発的に取り組む塾生が増えたように感じました。
■ 06月25日(土) 夜の塾活動「ホタルの観察」
 夜は近くにある寄(やどりき)の休養村へ、ホタルの観察に出かけました。チームごとに車に乗り込み、交代で見に行きました。
 近くを流れる川が見えないくらいに真っ暗な中、塾生たちはホタルを見つけて興奮していました。
 他のチームがホタルの観察に出かけている間、順番を待つ塾生たちは、塾舎でホタルの一生についての話を聞きました。
 ホタルが生息できる場所が減ってきているという話では、塾生たちは真剣な表情で耳を傾けていました。
■ 06月26日(日) 塾活動「親子大会塾生企画の準備」
 今回で3回目となった、親子大会塾生企画の準備。
 これまで欠席していた塾生も企画に加わり、企画とメンバーがほぼ決定しました。塾生たちは各企画のグループに分かれて、詳細まで計画を練ったり、練習に取り組んだりして準備を進めました。
■ 06月26日(日) チーム農園作業・再検討
 小雨が降っていたため、チーム農園での作業は収穫のみ行いました。
 しかし、前回に引き続いて、色んなトラブルが出てきているようでした。
 塾生たちは、自分たちの畑を観察して回りました。そして、次回に向けてどんな世話が必要なのか、各チームでよく話し合いました。
 チーム農園の夏野菜が採れ始めていました。このチームはキュウリを収穫していました。
「このキュウリ、イボイボがたくさんある。」
「こんな形のキュウリは、スーパーには絶対売ってないよね。」
 塾生たちは、自分たちで育てた野菜の出来にびっくりしていましたが、笑顔で収穫物を塾舎に持ち帰っていました。
■ 06月26日(日) お土産ジャガイモ・ダイコンの包装
 塾生たちがお土産に持ち帰っている野菜は、塾生自身が包んだものです。
 土曜日に掘ったジャガイモと、塾頭さんが朝に収穫してくださったダイコンを、みんなで包装しました。
 チーム農園で採れた野菜も包みました。
 「どうしたら美味しく食べられるかな?」
 調理師さんから、収穫した野菜の美味しい調理方法を教わっている塾生もいました。
■ 06月26日(日) 活動の振り返り
活動を終えるにあたって、枝村塾頭よりお話をいただきました。
 「土曜日は暑い中、畑仕事をよく頑張りました。今年のジャガイモはスタッフが植えたものですが、みんなで収穫することができました。とても良い出来です。わずか3ヶ月の間に10倍の量に生長しました。自然の素晴らしさを感じられたと思います。みなさんも、そんな素晴らしい自然を守るようにしてください。
 金曜日に、目標を持って人生を歩んで欲しい、という話をしました。目標を持つと良いことがあります。達成するために両親や周りの人がサポートしてくれたり、同じ志を持った友達や仲間ができたりします。
目標を達成するまでに、失敗は必ずあると思います。そんな時、何が悪かったのか考え、失敗を素直に認めることが大切です。一番いけないのは、失敗を素直に認めないことです。これこそ一番の失敗です。何で失敗したのか記録しておくと、それが後から成功するための財産になります。失敗はいい財産です。ただ、同じ失敗を2度繰り返さないことも大切です。自分の失敗は謙虚(けんきょ)に認め、それを成功へとつなげていってください。目標を達成するために、やり遂げるんだという強い気持ちを持って欲しいと思います。」
■ 編集後記
 太陽と青空に、これほど感謝した経験は無かったように思います。今回のステージは、結局日曜日に小雨が降っただけだったので、ジャガイモ・コムギの収穫とホタルの観察を予定通りに行うことが出来ました。塾生たちにとって、自分たちの手で収穫出来た喜びと、ホタルを見ることが出来た感動は大きかったように思います。私にとっても、想像を超えて自然の素晴らしさを感じたステージとなりました。
 ホタルの話では、ホタルの生息地が減っている例を取り上げて、塾生たちに環境問題について考えてもらいました。ホタルだけではなく、畑の作物も、地球温暖化による異常気象などの、環境問題の影響を直に受けます。塾生たちには、塾での活動を通して、自然環境を守ることを考えられる人間になってほしいと思います。
 本格的な夏はもうすぐです。これから塾生たちは、猛暑の畑の中で農作業をするという、未体験の暑さを味わうことになります。暑さに負けないように、よく寝て、よく食べて、次回も元気に自然塾に来て下さい。
K.K.