2011.05.27~29
第06ステージ ~男子~
ステージテーマ:「作物の世話や道具の使い方について、もう一度学ぼう!」
共同生活の目標:「整理・整頓・清掃・清潔を心がける」
今ステージ開始日の5月27日、気象庁より関東甲信地方の梅雨入りが発表されました。例年よりも12日早い入梅(にゅうばい)に台風の接近も重なって、今ステージ中の天気は2日間ずっと雨。まさしく「梅雨空(つゆぞら)」となりました。
また、週末に運動会などの学校行事を控えた塾生が多く、出席者が普段の半分しかいませんでした。「○○君は来ないの?」といった参加塾生の残念そうな声が、あちこちから聞こえていました。
今回は「作物の世話や道具の使い方について、もう一度学ぼう!」というテーマのもとに、塾生たちは作物に適した世話の方法を知るために野菜の特徴を学んだり、自分たちが普段使っている農機具の安全な使い方について確認し直したりしました。
共同生活の目標には「整理・整頓・清掃・清潔を心がける」を掲げました。その中でも特に、普段使用している「衣装ケース」と「塾生室」、農機具を収めている「地下倉庫」を整理整頓し、「塾生室や共同場所の清掃を一所懸命行う」ことを意識して過ごしてもらいました。
■ 05月27日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたって枝村塾頭からお話がありました。
「今回で第5回目の活動になります。清掃や食事当番の役割が一周しました。農作業も一通り覚えたと思います。今後は世話人から『これをやりなさい』と言われる前に、自分の力で考えて、自分から取り組んでみてください。
『自主・自立・自律』という言葉があります。
『自主』とは、自ら進んで行うことです。『自立』とは、自分で考え、自分で行動して、何でも自分で出来るようになることです。『自律』とは規律を守り、自分を律するということです。自分の中の悪い考え・わがままを抑えて、相手を思いやり、良い行動をすることです。
これらは、集団生活においてはとても大切なことです。
今回の共同生活の目標は、『整理・整頓・清掃・清潔を心がける』です。4つの言葉の頭文字をとって『4S』とも言います。この言葉は、大人になっても会社でよく使われています。
避難訓練の際にも、『整理整頓』することが大切だと伝えました。『整理整頓』とは、要らない物を片づけて、必要な物をいつでも取り出せるようにしておくことです。
なぜ、整理整頓が大切なのでしょうか。理由の一つは安全のためです。片付け方が雑だったり、散らかっていたりすると、上から物が落ちてきたり、足元の物を踏みつけてしまったりして、ケガをする恐れがあります。
他にも、整理整頓をすると良いことがあります。それをこのステージ中は考えて欲しいと思います。自分たちの使う塾生室、農機具、そして特に衣装ケースの中。どうすればキレイになるのか、考えて取り組んでみてください。」
■ 05月27日(金) 共同生活目標について
「整理」と「整頓」はどう違うのか。「清掃」と「清潔」はどう違うのか。
塾生たちは、一つ一つの違いがよくわからない様子でした。

そこでまずは、ステージ担当が「4S」のそれぞれの意味と、目標を心がけるための具体的なポイントについて、改めて説明をしました。

<4つのSの意味>
「整理」とは、必要な物といらない物とに分けて、いらない物は処分すること。
「整頓」とは、必要な物を、いつでも取り出せて使いやすいように配置・保管すること。
「清掃」とは、その場を掃除して、ゴミやホコリが一つもない状態にすること。
「清潔」とは、「整理」「整頓」「清掃」されたキレイな状態を保つこと。
■ 05月28日(土) 塾活動「作物の特徴とそれにあった育て方」
土曜日の朝食後は、各作物のルーツや特徴に応じた育て方についての話がありました。
例えば、種には太陽の光を好むものと嫌うものがあることや、トマトの原産地は南米アンデスで、乾燥に強いが湿気に弱いなど、盛りだくさんの内容でした。

少しでも書き留めて今後の農作業に活かそうと、塾生たちは熱心に聴いていました。
■ 05月28日(土) 休憩中
おやつを食べ終わった塾生たちが、興味津々(きょうみしんしん)に何かをのぞきこんでいました。彼らの視線の先には、石臼を挽く調理師さんの姿がありました。

調理師さんは一体何を作っているのでしょうか?
■ 05月28日(土) あしおとツアー ~共同農園の夏野菜・チーム農園~
一時的に雨が弱まってきたので、雨に濡れないように合羽を着て傘を差し、みんなで作物の様子を見に行きました。
第4ステージにみんなで植え付けた夏野菜と、世話をしたジャガイモ、第5ステージに植え付けたサツマイモの様子を見ました。
どれも植え付けた頃より大きくなっています。その姿を塾生たちは、自分自身の目で確かめていました。
トマトを前にして、「芽欠き」という世話の説明をしました。どの芽を取ればよいのか、塾生たちは直接トマトを見て確認し合っていました。

雨の日はトマトが病気になりやすいので、世話はせずに引き揚げました。
塾生たちは塾舎に帰る前に、チーム農園に立ち寄っていきました。それぞれ自分たちの畑の様子をチェックしていましたが、色々と問題が起こっているようでした。
「畝と畝の間の通路が水たまりになってる!」
「これ、シカの足跡じゃない?」
「ラディッシュの葉を少しかじられちゃった!」
先ほど共同農園で、トマトの雨避けを見ていた塾生の1人が、自分たちのチーム農園で育てているトマトも雨から守ろうとして、傘を差してあげていました。
雨避けを取り付けたいのですが、この天気では作業が出来ないために、もどかしい思いをしているようでした。
一方、このチームはリーフレタスを収穫していました。今年度のチーム農園の中では、記念すべき一番最初の収穫です。

よく洗って、土を落として。
それでもまだ不安だったのか、
「これで本当に食べられるのかな!?」
と、あちこちにいるスタッフに聞いて回っていました。
しかし一口食べてみると、3人の顔には自然と笑顔が溢れていました。

自分たちにとっても初めての収穫。
喜びもひとしおです。
■ 05月28日(土) 塾活動「親子大会の塾生企画準備①」
今ステージから、8月の親子大会に向けて塾生企画の準備が始まりました。

まず、塾生企画を考える時に守ってもらうルールについて、説明をしました。

そのルールを踏まえて、塾生たちはやりたいことを考えて紙に書き、ホワイトボードに貼り出しました。
塾生全員から色んなやりたいことが出てきました。
各自、貼り出されたやりたいことの中から、一番興味を持ったものを選びました。
そして、やりたいことが同じ者と一緒に準備を進めようと、仲間を集め、違うチームのメンバー同士がグループになっていきました。

それぞれのグループでは、やりたいことを企画として形にするために、早速話し合いが始まっていました。
■ 05月28日(土) 塾活動「農機具の種類と使い方」
自然塾にある様々な農機具を「刃物」「肥料・ネット類」など4つに分類し、使い方の話をしました。

塾生たちは各チームごとに、分類された4ヶ所を順々に回って、説明を聴きました。
初めて見る農機具がたくさん登場し、みんな真剣に聞き入っていました。
農機具は、用途に応じてたくさんの種類があります。
これらは正しく使えば便利ですが、使い方を誤れば自分や他人を傷つけてしまう恐れがあります。正しい使用方法や、やってはいけない危険なことはしっかり覚えておきましょう。
■ 05月28日(土) 夜の塾活動「親子大会の準備②」
親子大会の塾生企画準備の続きを行いました。話し合いが進むにつれて、内容に納得のいかなくなった塾生は独立して、新しい企画を作って仲間を集めていました。

次回、引き続き準備を進める企画には、「川で魚を使ったイベント」「キャンプファイヤーでの出し物」「オリエンテーリング」「宝さがし」が残りました。
■ 05月29日(日) 瞑想
日曜日の朝の瞑想は、ステージを重ねるごとに少しずつ時間を延ばしていきます。今回は3分半、行いました。
長時間瞑想をしても、心を落ち着かせて動かずにいられる塾生と、すぐにフラフラしてしまう塾生との差が、少しずつ大きくなってきたように思います。
■ 05月29日(日) チーム農園看板作り
日曜日の午前中、塾生たちはチーム農園で使う看板を作りました。
板の長さを測り、のこぎりで切っていきました。大きな板にはチーム名を書き、小さな板には自分たちが育てている野菜の名前を書いていきました。杭に板を重ねて、釘で打ちつけていきました。

さすが男の子というべきでしょうか。
作業中の塾生たちの表情は真剣そのものでした。ものすごい集中力で、みるみる作り上げていきました。ノコギリで木を切る音と、カナヅチで釘を打つ音が、土間によく響いていました。
■ 05月29日(日) おやつ
塾生たちが看板作りをしていた頃、玄関では調理師さんたちが炭で何か焼いていました。
調理師さんたちが焼いていた物の正体は、米粉みたらし団子でした。

土曜日に塾生たちが見ていた、石臼で挽いていたものはお米だったのです。米を石臼で挽いて粉にしたものを、練って串に刺して焼いたものです。

この時間のおやつは、これにみたらしのタレをつけていただきました。
「うまーい!」
と、塾生たちは笑顔でかぶりついていました。
普通の団子とは一味違う、香ばしくモッチリした食感を楽しんでいました。
■ 05月29日(日) チーム農園看板完成!
途中おやつをはさんで、チーム農園の看板が完成しました。
どのチームも良い出来栄えでした。
■ 05月29日(日) 活動のまとめ
ステージのまとめとして枝村塾頭からお話をいただきました。
「今ステージは雨で農作業ができませんでしたが、農業の基本と道具の使い方を学びました。次回からそれを活かして、立派な野菜を作ってほしいと思います。
自分の力で実際にやってみて、初めて分かることがあります。最初から上手くは出来ません。それでもあきらめずに挑戦すると、どうすれば上手くいくかを考え、知恵がつきます。
親が全部やってくれるからと何もしないでいると、大人になっても出来ないままで、周りは誰も助けてくれなくなります。今のうちに色んなことに挑戦して、出来るようになりましょう。
『楽をすること』と『楽しいこと』は違います。たとえサボったり手を抜いて楽になったとしても、楽しいとは限りません。本当の『楽しい』とは、努力を重ねて達成感を得ることです。
今回の共同生活目標の整理整頓をすると、作業効率が上がって勉強や仕事が出来るようになります。必要な物を探す時間が減るので、特に『スピードが命』の仕事においては重要です。
整理整頓のコツは『置き場所を決める』ことです。大きい物も小さい物も置き場所を決めておきましょう。そうすれば探す必要はありません。
何より、整理整頓をすると気持ちが良いですね。物を整理することは、『心の整理』でもあります。皆さんの家のお部屋はどうでしょうか?帰ったら意識して『4S』を実践してみてください。
次回は天気が良くなることを期待しています。また2週間後、元気に自然塾に来て下さい。」
■ 編集後記
とことん農作業に取り組んだ前回から一転、今回は雨天に加えて参加塾生が少なく、普段よりも寂しい塾生活になるかと思われました。しかしそんな心配をよそに、塾生たちはどんよりした天気を吹き飛ばさんばかりに元気に過ごしていました。また、学校行事が終わってから途中参加した塾生もいて、少しでも自然塾に来たいという気持ちが伝わってきたことは私たちにとっても嬉しいことです。
農作業がほとんどできなかったことは残念ですが、逆に塾生たちが農作業に慣れてきた今こそ、一旦立ち止まってもう一度考えを深める良い機会になったのではと思います。畑を耕すのと同じく、頭もよく耕していけば自分の可能性が育ちます。
一方で早々に集中力を切らして、真面目に取り組むべき場面で悪ふざけをする塾生がしばしば目立ちました。遊ぶときは遊び、真剣に取り組む場面では真剣に取り組むことを意識して、メリハリをつけていきましょう。塾生企画のアイデアも、よく練っておいてください。
梅雨の時期はカビや食中毒が心配な時期でもあります。健康を保つために日々の手洗い・うがいに加え、今回の共同生活目標だった「4S」を家庭や学校でも実践してみてください。

K.K.