2011.05.13~15
第05ステージ ~男子~
ステージテーマ:「作物の植え付けと世話を思いやりを持って行おう!」
共同生活の目標:「ルールを守る」
今回のステージではお茶作りを行う予定でした。しかし、近隣地域のお茶から原発事故の影響と思われる暫定基準値(ざんていきじゅんち)を超えた放射性物質が検出されたことから、塾生の安全を第一に考え、お茶作りは行わないことにしました。(なお検査の結果、自然塾のある寄地区の放射性物質は基準値以下で問題のないことがわかりました。)
一方この時期には、たくさんの作物の植え付けや種まきをしなければなりません。すでに植えつけた作物の世話や勢いを増した雑草の対策も必要です。そこで今回は作物に対する思いやりの心を持ってしっかりと農作業をしてもらうことをテーマにして活動しました。
また、前回は「時間を守る」ことを共同生活の目標にして活動しましたが、塾生活を安全に快適に過ごすためには時間以外にも守らなければならないルールがたくさんあります。そこで農作業のとき、入浴のとき、食事のとき、洗濯をするときなどのルールを意識して行動してもらいました。
■ 05月13日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたって枝村塾頭からお話がありました。
「昨日までと違って今日は晴れて暑くなりましたね。この土日も晴れて暑くなりそうです。みんなにとって農作業は大変かもしれませんが自分に負けずに頑張ってください。
ゴールデンウイーク中5月3日、4日、5日の3日間、福島のサッカーチームの人たちが泊まりにきました。家を流されて避難所生活をしている人も多く、放射能の心配もあるので外で遊ぶこともできません。そこで湘南ベルマーレが被災地の子供たちに思い切り外でサッカーを楽しんでもらおうと招待しました。大変な生活をしているにもかかわらず、子供たちは元気に挨拶をしてくれ、逆に元気をもらいました。
この夏は暑くなりそうです。電力が足りなくなるかもしれません。節電をすることなら私たちにもできますから行っていきましょう。
明日はリコーを支援してくれている株主さんたちが、自然塾で活動している皆さんの姿を見に来ます。大きな声で挨拶して元気で活動している姿を見せましょう。今回の共同生活の目標は「ルールを守る」です。前回の目標、「時間を守る」も大切ですがルールを守ることもとても大切です。さまざまなルールがありますが、仲間同士で決めたルールも守らないと信用をなくして友達も減ってしまいます。お互いに決めたことは責任を持って実行しましょう。ルールではありませんが、マナーも守ってお互いの信頼関係を大切にしていきましょう。」
■ 05月14日(土) 共同農園作業 ~落花生の種まき~
落花生は土の中に実をつける興味深い作物です。今日の農作業は落花生の種まきから始めました。
落花生を植えるための畝を立てました。第5ステージともなると、力強く作業をしている塾生の姿が目立ちます。
畝が立ったら種まきです。種の向きを揃えて播くことで落花生も楽に芽を出すことが出来ます。塾生たちは落花生の種とにらめっこしながら、向きを揃えて播いていました。
最後に畝の上に金網を敷きました。このあたりはハクビシンという獣の被害が多く、特に落花生はハクビシンの大好物なので、食べられないように対策が必要です。金網を敷くのは落花生の実が食べられないようにする工夫です。
自然塾ではこの方法で落花生を守ってきましたが、隙間があるとそこからマメを食べてしまいます。油断は出来ません。
■ 05月14日(土) 共同農園作業 ~サツマイモの植付け~
落花生に続いてサツマイモを植えつけました。植えつける前にサツマイモについての話がありました。
サツマイモはいろいろな料理に使え、60℃で長時間加熱すると甘くなるのでスィートポテトと言われます。同じ広さの畑だと、米が2人養えるところをサツマイモだと4人養え、荒地でも育つことから飢饉(ききん)のとき大活躍し、昔から人々がお世話になってきた作物です。
荒地でも育ち、狭い土地でも育つことから宇宙で育てる研究もされているそうです。
人々にとってとても大切な作物なのですね。
サツマイモの苗はツルに葉がついただけのように見えます。今までキャベツ・レタスや夏野菜の苗を見てきた塾生たちは驚いた様子でした。サツマイモには水や肥料を吸収する吸収根、イモがなる肥大根があります。イモをたくさん収穫するには水平植えや船底植えといった方法で植えつけるのが一番ですが、乾燥すると枯れやすいので今回は斜め植えという方法で植えつけました。葉は光合成をするので土に埋めないように、葉の付け根はイモをつける肥大根を伸ばすために土に埋めるようにしなければならないので、苦労しながら植えつけていました。
苗の植え付けが終わった後、たっぷりと水をあげました。サツマイモは荒地でも育つ作物ですが、根もほとんどない状態の苗を植えつけるので根付くまでに雨が降らないと枯れてしまいます。暑くて土も乾いているので気をつけなければなりません。
■ 05月14日(土) 株主の皆様の訪問 
リコーの株主の皆様が見えられ、塾生の活動を見学されました。昼食後には塾生たちがジャガイモの世話する様子を見ていかれました。株主の皆様、市村自然塾まで足を運んでいただきありがとうございます。
■ 05月14日(土) 共同農園作業 ~ジャガイモの草取り・芽かき・追肥・土寄せ~
第4ステージではジャガイモの芽かき、追肥、土寄せを行う予定でしたが雨が降ってきて中止となってしまいました。それから1ステージたちジャガイモ畑は一面雑草に覆われていました。最初のうちはほぼ全員が草取りに夢中になり、草が大収穫できたぞ、などと言いながら意気込んでいましたが、とってもとっても減らない雑草に一部の塾生の集中力は途切れてしまったようでした。一方で、最後まで一生懸命雑草とりに取り組んでいた塾生もいて頼もしさを感じました。
雑草取りがようやく終わり、芽かき作業に移りました。前回のステージから2週間たっているので、わき芽はかなり大きくなっていましたが、第4ステージで教わった芽かきの方法を思い出しながら丁寧に芽かきを行っていました。
最後に追肥、土寄せを行いました。土寄せ作業は肥料の利きをよくしたり、株が倒れるのを防いだりするために行いますが、ジャガイモの場合はさらにイモを地上に出さないためにも必要な作業です。肥料が直接株にかかったり、土寄せを行った際にくぼみが出来たりすると病気が起こる原因となるので、慎重に作業を行っていました。
■ 05月14日(土) 共同農園作業 ~コンニャクイモの植付け~
コンニャクイモは一年ごとに一回り大きくなっていきます。小さいイモは植えても1年ではコンニャクの材料には出来ません。今回植えたコンニャクイモの大きさは大小さまざまでしたが、秋に大きくなったイモが収穫できるよう思いを込めながら植えつけました。
各チームの代表にコンニャクイモを植える溝を切ってもらいました。上級生が揃い、クワ使いも様になっていました。 溝の中にコンニャクイモを植えていきます。イモの上側はくぼんでいるので、水がたまって病気にならないよう斜めにして植えるのです。
■ 05月14日(土) 共同農園作業 ~ゴボウの草取り~
この日の最後の農作業はゴボウの畝の草取りでした。ゴボウの芽は大きくなっていて本葉を2-3枚つけていましたが、畝は細かい草に覆われていました。塾生が丹念に草取りを行った結果、ゴボウの畝は草一つないきれいな畝となりました。このあと追肥・土寄せをおこなう予定でしたが、作業時間がなく草取りで終了しました。これで畝はきれいになりましたが、立派なゴボウを育てるために、これからも心を込めて世話をしていきましょう。
■ 05月14日(土) 塾活動 ~通塾の話し合い~
この時間には、塾生だけで通塾しなければならない場合どのように行動したらよいかを考えてもらいました。
集合場所に遅れてしまうことがわかった場合、集合場所に誰もいない場合、集合場所にスタッフだけがいない場合、塾生だけで電車に乗る場合、途中乗車してくるはずの塾生が乗ってこない場合、塾生だけで乗車しているときに他の塾生がトイレや電車酔いで途中下車する場合について話し合いました。
まず塾に連絡して確認をすること、指示に従って行動すること、あわてず情報を集めること、上級生や年長者、携帯電話を持っている塾生が積極的に連絡係を行うこと、などが確認されました。
■ 05月15日(日) チーム農園作業
このチームでは育てているヒョウタンのために支柱を立ててあげました。しかし、支柱を立てる場所の土がとても固くて苦労していました。
このチームはキュウリの苗を植えつけました。共同農園でも行っている作業なので、テキパキと作業を行っていました。
このチームはトマトのまわりにネットを張っていました。テントウムシから苗を守るための工夫です。湿気に弱いトマトが病気にならないよう、風通しのよいネットで囲うことにしたそうです。
このチームの植えたリーフレタスはかなり大きくなってきました。株の様子を見ながら肥料をやっていました。
次のステージには食べられそうですね。
■ 05月15日(日) 活動のまとめ
枝村塾頭が不在だったため、並木事務局長から活動のまとめのお話をしてもらいました。
「今回は真夏のような暑さで大変だったと思いますがどうでしたか?頑張れた人は手を挙げてください。お百姓さんは日の出から日の入りまで働いています。その仕事振りには本当に頭が下がります。暑いですが、だれることなく仕事をこなして欲しいと思います。だれると危険なことがあります。作業も遅れてみんなにも迷惑がかかります。暑いからこそ頑張ろうと自分を奮い立たせてください。そのためには健康であることが必要です。健康であるためには食事・運動・睡眠の3つが大切です。食事は栄養面だけでなく、命をいただくことで私たちが生きていけるという感謝の気持ちを持って残さずに食べてください。睡眠不足は事故や怪我のもとになります。おしゃべりもいいですが、夜10時以降はしっかりと眠ってください。
今年は南足柄市のお茶から放射性セシウムが検出されお茶作りが出来ませんでした。松田町では問題がないことがわかり、農家の方々は昨日今日とお茶刈りを行っていました。しかし、一旦足柄茶という名前が出てしまうとなかなか買ってもらえません。農家の方はとても大変だと思います。
今年は寒さでお茶の生長が遅れて味噌づくりとお茶作りを入れ替えました。また昨日今日はとても暑くなりました。こうしたことからも自然の厳しさを感じたと思います。これからさらに暑くなります。健康のために必要な3つのことがらを家に帰ってからも気をつけて2週間後元気な姿を見せてください。」
■ 05月15日(日) バス乗車前に
帰宅準備が早くできた塾生は塾庭で野球を楽しんでいました。ちょっとした時間に外でのびのびと遊ぶ塾生を見ると本当に塾生活を楽しんでいることがわかります。
■ 編集後記
今回残念ながらお茶作りは出来ませんでしたが、塾生たちにはこの時期にやらなければならない農作業にとことん取り組んでもらいました。今農家の方は朝早くから夕方日が沈むまで働いています。天気にも恵まれ、塾生たちも朝から夕方まで農作業を行いました。中には途中で集中力を切らせてしまった塾生もいましたが、自然も農業も甘くはありません。つらくとも踏ん張って、作業をやり遂げ、体力もつけていってください。
塾生たちは、共同生活の目標「ルールを守る」ことを意識して行動していました。農作業中や入浴の時などにも、お互い声をかけあっている場面が見られました。それでもときどき無意識にルールを守らず行動してしまう場面も見られました。塾生全員がルールを守ることを完全には身につけていないようです。共同生活の目標に掲げたからルールを守るのではなく、塾生活を安全に快適に過ごすためにも、常日頃からルールを守れるようになってください。

T.K.