2010.04.29~05.01
第04ステージ ~男子~
ステージテーマ:「味噌つくりに挑戦し、先人の知恵を学ぼう」
共同生活の目標:「時間を守る」
 今回のステージでは、味噌つくりに挑戦してもらいました。普段、何気なく食べている味噌は古代中国の醤(ひしお)を根源とし、日本で工夫を重ねて編み出した独自の製法によって造られるようになりました。先人の知恵がたくさん詰まった調味料なのです。そして、作ってすぐには食べることが出来ずに、半年もの間熟成させて、ようやく食べられるようになるのです。よい味噌を作るために豆1粒・麹(こうじ)1粒も無駄にしないように心を込めて丁寧に作業してもらいました。
 また、活動が始まってから約1ヶ月が経過しました。だいぶ塾の生活に慣れて気持ちが緩む時でもあります。特に時間は、共同生活を送る上で1人1人が守らなければ他のみんなに迷惑がかかってしまいます。今回は起床、消灯時間、集合時間など、行動を起こす前の時間について意識してもらいました。
■ 04月29日(金) 夜の集い
 ステージを始めるにあたって枝村塾頭からお話がありました。
  「だいぶ暖かくなりました。もうすぐ八十八夜です。立春から数えて88日目にあたる日で、今年は5月2日です。新茶の摘み取りの季節でもあるのですが、今年の春は寒い日が続いたので生長が遅れています。しかしここ最近の暖かい日差しを受けて、先週に植え付けたキャベツ、レタスはすくすくと育っています。これからの季節、作物が生長してきますが、それと同時に雑草も生長します。野菜は手を抜くとどうしても雑草に負けてしまいます。思いやりを持って野菜を育ててください。思いやりを持つというのは、人に対しても同じです。相手のことを考えながら行動するのが大切です。相手の身になって行動すると相手からも同じようにされて、信頼関係が生まれます。
 これまでの目標は覚えていますか?「あいさつをする」「人の話を聴く」でした。塾だけでなく学校や家でも実践してもらいたいと思います。今回の目標は「時間を守る」です。共同生活では時間を守ることが大切です。今までは慣れないことで遅れてしまうこともあったと思いますが、塾生活にもだいぶ慣れてきたことと思います。これからは時間を意識して行動をするようにしてください。自分が遅れてしまうと仲間も遅れてしまいます。また、早く終わったら遅れている人を手伝って下さい。役割分担したとしても、作業量にはばらつきがあったり、得意不得意もあったります。手伝うと相手にも感謝されるし、いいことをしたことになります。そして、時間を守ることは相手から信頼されます。時間を守れるようになると他のことも良くでき、なんでもできるようなります。このステージではすべての作業を時間を意識してきちんと丁寧に作業してもらいたいと思います。」
■ 04月30日(土) 共同農園作業 ~夏野菜の植え付け~
 この日は天気もよく絶好の農作業日よりでした。今回は夏野菜の植付けとしてナス、トマト、ピーマン、キュウリの植付けを行いました。夏にこれらの野菜を食べられることをイメージしながら植えつけました。最初の作業が肝心です。心を込めて丁寧に作業するように心がけてもらいました。
 今回も畝を立てるところからはじめました。前ステージを思い出しながら作業を進めました。クワの使い方もだいぶなれてスムーズに作業が進みました。
 仕上げに手で畝の上を平らにします。よく根が張るように土を固めずに、隣同士高さをそろえて、きれいな畝の出来上がりです。
 畝の上に等間隔にまっすぐ苗を並べていきます。苗を傷つけないように丁寧に扱いました。きれいに整列した苗は、心を込めて作業した現れです。
 全部の苗が並べおわり、植え付けです。前回同様、葉1枚傷つけないように注意を払いながら植え付けました。前回の植え付けを覚えていて苗を傷つけることなくスムーズに植えつけることが出来ました。
■ 04月30日(土) おやつ
 作業がひと段落して、おやつ休憩です。
暖かな日差しを浴びて、ちょっと高い場所にみんなで座って、気持ちよく休憩。
■ 04月30日(土) 共同農園作業 ~夏野菜の植え付け続き~
  おやつ後、作業再会です。
 苗が生長するために必要な肥料を株元にまきました。苗にとって当面のお弁当のようなものです。苗に肥料も土もかからないように注意をしながら作業を進めました。
 夏野菜は背が高くなるので倒れないように、1株1株に支柱を立てました。苗に近すぎると根を傷めてしまい、逆に遠すぎると支えとして役割を果たしません。ちょうど良い距離に支柱を立てて、苗と支柱とをヒモで結ぶ誘引(ゆういん)という作業をしました。ここでも丁寧な作業が必要で、苗が大きくなることを見越して苗側はゆるく輪を作り、支柱からはずれないようにしっかりと結び付けなければなりません。その力加減に塾生たちは苦労していました。また、蝶結びにも苦労をした塾生もいました。
 誘引が終わり、株元にワラを敷きました。これは、夏の暑い日差しから土表面の水分の蒸発を防ぎ畑が乾燥しないような役割を果たします。また、雨の時に泥の跳ね返りを防ぎ、病気から作物を守ります。そして、畑に雑草をはやさないようにする役割もあります。
 キュウリの苗には、周りにビニールをかけました。寒さや強風、害虫から苗を守っています。先人の知恵がここにも生きています。
 苗がしっかりと根付くようにたっぷりと水をやり、作業を終了しました。
 しかし、これだけで夏野菜を食べることは出来ません。これから約1ヵ月間、ちゃんと世話をしてはじめて夏野菜が取れ始めることでしょう。これで安心せずに、おいしい夏野菜を食べられるようにこれからも世話を続けましょう。
■ 04月30日(土) 塾活動 ~味噌作り~
ボランティアでいらして下さいました味噌作りの先生、箕輪さんからお話を受けました。
「みなさんは味噌汁が好きですか?嫌いな人は今日の話を聴いて、また自分たちが作った味噌を味わって好きになってください。味噌という名前がついてのは今から1000年くらい前の平安時代です。味噌の「噌」という文字は味噌以外に使われていません。味噌の為の文字です。是非覚えておいてください。
 味噌というものは、おだしと一緒になって他の具のうまみを引き出してくれるのです。私は皆さんに「味噌のような人」になってほしいと思ってます。味噌は一緒に入っている食材のうまみを引き出してくれます。チームの中で味噌のような役割をすると周りの人の良さが引き出されます。1人1人がそれぞれいいところを持っているのだから、それらが全部出てきたら素晴らしいチームになると思います。周りの人の良さを引き出すためにはその人のことをよく見て、良いところを認めてあげる。相手に対して好感を持ってよく見ることです。私は人間関係というものは鏡だと思っています。自分の気持ちが相手に絶対伝わり、相手の心に自分の気持ちが写る。良いところを見ていれば相手を好きになれると思います。ぜひ実行してください。
 味噌の効能はさまざまありますが脳卒中や老化を防止してくれます。脳の新陳代謝良くするとも言われています。今、日本の味噌は海外でも注目されている食品で、日本で作られている味噌の半分くらいは海外に輸出されているくらい見直されている食品です。今回味噌を作る時に、麹(こうじ)1つ豆1つ、絶対無駄にしないという心構えでやってください。ダイズも麹も農家さんががんばって作ってくれたのです。材料を作ってくれた人に対する感謝すること、ダイズ、麹などの命をいただいていることを忘れないで作業してください。心をこめておいしい味噌を作って下さい。」
 作り方の説明を聴いて早速作業に取り掛かりました。ダイズの煮汁に浸した麹(こうじ)と煮たダイズをよくかき混ぜています。材料の中にたくさんの塩が入っていて、素手でかき混ぜているとしみてくる塾生もいました。それでも、麹とダイズが満遍(まんべん)なく混ざるように鍋の底に手を入れて全体を混ぜました。
 均一に混ざったら役割分担をして、ミンチ機に材料を入れてつぶす作業です。この作業では材料をこぼさないようにすることが一番の課題でした。鍋からミンチ機へ移す時に欲張りすぎてたくさんの材料を入れる塾生がいましたが、効率が悪い上に材料をたくさんこぼしてしまいました。1度にミンチ機へ入れる量を調整して、こぼさないように丁寧に作業を進めることがポイントでした。ミンチ機につぶされた材料を空気を抜きながら丸めていきます。
 丸められた材料を樽の中に詰めていきます。樽の中にも空気が入らないように1玉づつ入れていきました。仕上げにヘラで表面を平らにしてラップで空気が入らないようにぴったりと味噌につけました。さらにその上にカビ防止のためにトウガラシをちぎって入れ、最後の仕上げとして、再度樽の一番上にラップをかけて雑菌が入らないようにして蓋をして、チーム名を書いて、塾頭室の床下に収納しました。夏でも涼しい塾頭室の床下は味噌を発酵させるのに最適な場所です。きっとおいしい味噌になるでしょう。半年後が楽しみになりました。
■ 04月30日(土) おやつ
 おやつの時におからドーナッツとは別に4種類の味噌が出てきました。去年の塾生が作った味噌、箕輪さんが持ってきてくださった3年間熟成させた味噌、自然塾九州の味噌、岡山県の味噌と4種類の味噌です。それぞれ味比べをしました。どの味噌も特徴ある味わいでした。麹の種類、熟成期間、熟成場所によって色、味が変わることに塾生たちは感心していました。
■ 04月30日(土) チーム農園作業
 今週は日曜日が雨予報のために土曜日にチーム農園作業を行いました。
各チーム共に植えつける苗がたくさんあり、短い時間でしたが集中して行いました。
 畑の計画を再度見直してどこに何を植えるのか計画と実際の畑とを見比べて、作業を進めています。
 畑の真ん中で話し合いでしょうか??
いえいえ違います。みんなでキュウリの苗を植えつけています。
 共同農園で実践した敷き藁を早速チーム農園でも活かしています。立派なメロンが育つと良いですね。
■ 04月30日(土) マナー講座
 いつもボランティアで来ていただいている百瀬さんにマナーについてお話をしていただきました。はじめに、マナーとは何か話していただきました。
 「マナーって何だろう?ルールとの違いってなんだろう?ルールには罰則があり、マナーには罰則がありません。その代わりマナーを守らないと友達がいなくなってします。みんなから嫌われてしまうのです。そんなことになってしまうと普段の生活が面白くなくなってしまいます。そうならないようにマナーを学んで実践してください。」
 「どうぞのいす」という絵本を題材に登場人物の気持ちを考えました。「みんなにも座って欲しかったから。」、「他の人に使ってもらおうと思ったから。」 、「自分だけでなく、あとの人のために」、「相手のことを考えた」などの意見が出ました。マナーとはまさしく相手の気持ちになって、相手に嫌な気持ちにさせないための思いやりで、決して自分勝手なものではありません。
 お話の後、自然塾でのマナーについて「入浴時」「食事時」「通塾時」の3つの場面でどのようなマナーに気をつければよいか、各チームごとに話し合い発表してもらいました。
「大声でしゃべらない」「身体を洗ってから入る。」「お年寄りに席を譲る」などさまざまな意見が塾生から出てきました。ぜひ実践してもらいたいものです。
■ 04月30日(土) リーダー会議
 今回から、各チームリーダーが司会進行を順番に行いました。話を進めていく中、特に各チーム共に議題が無かったので、塾頭さんから「夜ちゃんと寝ているか?」、「チーム農園作業はどうか?」と二つの議題で話が進みました。
 各チームの様子や悩みをみんなで聴き、工夫した点、改善点などを自分達のチームに活かせるよう活発な意見交換が出来るようになると良いですね。
■ 05月01日(日) 塾活動 ~ロープワーク~
 日曜日は小雨がぱらつく天気になってしまいました。天気の回復を待っている間に農作業で使う基本的な結び方、蝶結び、巻き結びの練習をしました。
 中には結ぶことが苦手な塾生もいて、蝶結びに苦労していました。結びは覚えるまで何回も練習をしなければいけませんが一回覚えてしまうと、見なくても結ぶことが出来ます。ぜひ自分のものにしてもらいたいと思います。
■ 05月01日(日) あしおとツアー ~ジャガイモの芽欠き~
 おやつ後に雨のわずかな隙を縫って、共同農園で育てているジャガイモの世話に向かいました。今回の世話は芽欠きといい、ジャガイモを育てる上で大切な世話です。たくさんの芽が大きくなってしまうと、作物同士が栄養や光を取り合ってしまい、食べる部分の生長が悪くなったり、風通しが悪く病害虫の被害が出たりしてしまいます。どの芽を欠いていいのか悩みながら真剣な表情で作業を進めていました。
 第1ステージが中止だったために塾生たちがジャガイモに触れるのは初めてです。これからの世話も塾生たちにがんばってもらいたいと思います。
■ 05月01日(日) 活動のまとめ
 日曜日の昼食後に枝村塾頭から活動のまとめをしてもらいました。
「昨日は夏野菜の植えつけてもらいました。思いやりを持って出来ましたか?中には苗の扱い方が雑な人もいたようでした。金曜日に野菜は正直だと話しました。思いやりを持って接すると大きく立派に生長します。野菜にも声をかけて育てるくらいの気持ちが大切なのです。そして野菜だけでなく、人に対しても思いやりを持って接してください。昨日のマナー講座で「マナーは思いやり」ということを教えてもらいました。相手のことを考えることが大切です。
 味噌つくりの時に箕輪さんから「味噌のような人になってください」という言葉をいただきました。味噌が野菜の味を引き立ててくれる事と同様に、周りの人のよいところを引き出せる人になって欲しいです。
 今回の目標「時間を守る」ことは、他の人から信頼を得られることです。時間を守ることは簡単なようでなかなか出来ません。時には自分が今やっていることをやめなければならない時があります。自分自身に強くなる力がひつようにです。また、何か始める前に事前に準備をすることも時間を守るコツです。人との信頼関係を築くためにぜひとも時間を守ることを実践してください。
■ 編集後記
 今回塾生たちには味噌つくりに挑戦してもらいました。普段何気なく食べている味噌がどのような作業を経て出来上がっているかを体験できたと思います。また、味噌は昔の人の工夫で今食べている味噌として作られるようになりました。昨日今日に発見されたものではなく長年変わらないで受け継がれてきた製法です。今回仕込んだ味噌がどのようになっているか開封する時が楽しみになったのではないでしょうか?
 共同生活の目標の時間を守ることはなかなか難しいことです。今回も集合時間に間に合わない塾生がいました。1人が1分間遅れて他の30人を待たせたとするならば、待たせている1人1人の時間を合計するとやく30分もの時間が無駄になってしまったとも考えられます。たかが1分と思うかもしれませんが、その1分を守るために自分自身に厳しくなってもらいたいと思います。
K.M.