2011.04.15~17
第03ステージ ~男子~
ステージテーマ:「安全(危険)について考えよう!」
共同生活の目標:「人の話を聴く」
今回のステージは大地震と火災が発生したという想定の“避難訓練”と、自分で危険に気付くための“危険予知訓練”を行いました。自然塾では農作業や共同生活など、普段の生活とは違う場面が多く、その中で危険と出くわす可能性もあります。そんな時に「危険が起こる前に防ぐ力」があれば、事故を未然に防ぎ、安全に過ごすことができます。そこで、「安全(危険)について考えよう!」というステージテーマを掲げ、どんなところ(もの)や行動が危険なのか、安全に過ごすためにはどうしたらよいか考えてもらいました。
また、安全に作業・生活するためには注意深く「人の話を聴く」ことが重要だということで、共同生活の目標として掲げました。そして
1.今していることをやめる。2.相手の顔を見る。3.最後まで聴く。4.返事をする。5.うなずく。の5つのポイントを意識して行動しました。
農作業ではキャベツ・レタスの植え付けをして苗の扱い方を覚えたり、チーム農園の作付けが始まったりと、初めての作業も多いステージでした。
■ 04月15日(金) 自然塾へ到着
塾生をのせたバスが自然塾へ到着したころには、まわりはもう真っ暗。元気いっぱいの塾生たちが坂をかけ上がってきました。その元気は塾舎の中にいても声が聞こえるほどです。いよいよ2回目のステージが始まります。
■ 04月15日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたって塾頭からお話がありました。
「今日からいよいよ第3ステージ、2回目のステージになります。今日の通塾は迷わずにこれましたか?今は地震の影響で電車の時刻が不定期なため、お父さんやお母さんと一緒に来ている人も多いと思いますが、通常に戻ったらなるべく自分の力で集合場所まで来れるようになってください。そのためには、人の後についていくのではなく、必ず自分で表示を確かめ、どこへ行く電車か確認してから乗るようにしてください。
前回のステージはゴボウの穴掘りがあり、大変でしたが良く頑張ってくれました。また、初めての共同生活でいろんなことを経験しました。今回のステージもいろんなことを経験してもらうので、一生懸命やってください。
ところで前回の共同の目標は覚えていますか?今日、こちらからあいさつをしましたがあまり返事がありませんでした。今まで以上にあいさつをするのは照れくさい部分があると思いますが、少しずつ声を出して言うようにしてください。そうすればだんだん言えるようになり、習慣になってきます。あいさつは心を相手に伝えることです。相手の方をみて、笑顔でするようにしてください。
ステージテーマは「安全(危険)を知る」ということで、今回のステージではどんなところが危険なのか、どんな行為をすると危ないのかみんなで学んでほしいなと思います。それから、共同生活の目標の「人の話を聴く」、これもなかなか難しいですが、人の話は最後まで聴くことができるようになってください。人の話を聴く時は1.姿勢を正しくして、2.相手の顔を見て、3.最後まで聴く、この3大原則をできるようにしてください。
今回からリーダー会議があります。この活動を「楽しく・安全に・快適に」するにはどうしたらよいかリーダーと共に話し合いながら解決していきたいと思います。
みなさんだいぶ慣れてきた様子ですが、慣れてくると悪ふざけによるケガが発生しやすくなります。遊ぶときは遊ぶ、しめるところはしめるといったようにメリハリをつけて生活するようにしてください。また、ここでは小学4年生から中学2年生までいて、体の大きさに差があります。力任せにしないでください。
では明日からの作業を、心を込めて丁寧に作業するようにしてください。」
■ 04月16日(土) 避難訓練
まず、災害時にどんな行動をとればよいか、どこを通って避難すればよいかを学ぶ避難訓練を行いました。塾生たちが2階の塾生室にいる時に、大きな地震が起こり、火災が発生したという想定で行いました。地震が起こったという放送を聞いた塾生たちは、窓から離れ、柱が多く安全な塾生室の入り口付近に集まり、防災頭巾をかぶりました。そして、スタッフの引率のもと、スモークマシーン(無害な煙を出す機械)の煙が充満した火災の現場に近い状況の中、塾庭まで避難しました。
 塾庭へ避難後、塾頭から総評がありました。
「みんな速やかに避難できました。避難する時に大切な『お・か・し・も』を知っていますか?避難する時には『押さない・かけない・しゃべらない・戻らない』この4つを守るようにしてください。今回の訓練では『し』ができていない人がいました。学校などの人数が多いところでは、ひとりひとりの声が小さくても、話している人が大勢いるとうるさくなってしまい、指示が聞こえなくなりとても危険です。しゃべらず静かに避難しましょう。
また、東北で起きた大震災時には、多くの方々が家に戻った時に被害にあいました。『災害が起きた時には戻らない』ということを必ず守るようにしてください。そして、もしもの時には大切なものがすぐに持ち出せるように整理・整頓をしておきましょう。」
総評のあとは塾舎に戻り、自然塾ではどこから火災が発生する可能性があるかや、火が出た場所により避難経路が違うことなどの説明があり、全員で確認をしました。
■ 04月16日(土) 危険予知訓練
避難訓練の後は、いろいろなところにひそむ危険を見つけ、どうすれば良いか対策を考える危険予知訓練を行いました。
前半は食堂で通塾の場面や農作業をしている場面のイラストを見て、どのような危険が考えられるか意見を出し合いました。そして、その危険は「行動」「服装・物・場所」「心の状態」の3つのうち何が原因でおきたのか分類しました。
チームで意見を出し合いましたが、どのチームも真剣に危険箇所(きけんかしょ)を探し、活発に意見を言い合っていました。
後半はチームごとに塾舎や塾舎周辺の危険箇所を探し、どうしたらよいか対策を考えました。その後、チームごとに見つけた危険箇所と対策について発表し、全員で確認しました。
農機具置き場の危険を見つけた塾生は実際に農機具を使って再現しながら説明してくれました。
最後に、危険予知訓練をした感想をききました。「思ったよりも自然塾には危険な箇所が多かった」というような意見がでました。
■ 04月16日(土) チーム活動~チーム農園の計画発表~
午後の初めは、第2ステージで話し合った「チーム名とその由来」「リーダー・サブリーダー・メンバーの紹介」「育てる作物と育てたい理由・目標」「畑のどこに何を植えるか」を発表しました。
ヒョウタンを育てて、収穫したヒョウタンで水筒を作りたい。(震災を意識したアイディアでした)夏は暑いのでみずみずしいキュウリを育てて水分補給したい。直径25cmのスイカをつくるなど、各チーム作物や目標を良く検討して発表していました。
チーム名はAチーム「ポポポポーン」、Bチーム「笑う大収穫チーム」、Cチーム「トウモロコCー(シー)チーム」、Dチーム「株式会社ドラゴンベジタブル」に決まりました。(それぞれの由来についてはチームページ参照)
■ 04月16日(土) 共同農園作業~キャベツ・レタスの植え付け~
午後の後半はコイコン畑でキャベツ・レタスの植え付けを行いました。午前中はどんよりとした空模様でしたが、午後はからっと晴れ、暑いくらいでした。そのせいか、ダレてしまった塾生もいましたが、初めての畝(うね)たてや、苗の植え付けを頑張りました。
まず、苗を植え付けるための畝をつくります。土を盛り上げてつくる作物を育てるための場所のことを畝といいます。畝には通路と分けることで土が固まるのを防ぎ根がしっかり伸びるようにする働きや、水はけをよくする働き、作物に光が当たるようにする働きなどがあります。そして畝を作ることを農業の言葉で「畝たて」といいます。今回塾生たちは初めての畝たてでした。まだぎこちないクワ使いでしたが丁寧に作業していました。
土が盛れたら、畝の表面をならしました。すべてを同じ高さにするのは大変なようでしたが、みんなで協力して畝を仕上げました。
畝たてが終わったら、いったん休憩して、水分補給とおやつを食べました。午後のおやつは自然塾でとれたコマツナを使ったクッキーでした。みんなおいしそうにほおばっていました。
今回は4期生の卒塾生が手伝いに来てくれました。共同農園作業でも率先してスタッフの手伝いをしてくれました。テキパキと働く卒塾生の姿は、塾生たちにも良い刺激になったのではないでしょうか。
おやつで水分と元気を補給した後は、苗の植え付けをしました。
まず、目安棒という長さの基準の棒を使いながら、苗を同じ間隔(かんかく)に並べました。苗が並び終わったら、スタッフから苗の扱い方についての説明を受けてから、苗を植え付けました。苗の葉っぱを1枚も傷つけないように気を付けながら、丁寧に植え付けをしました。
そして、苗が大きくなるための肥料を根元にまきました。また、キャベツには「ネキリムシ」という根元をかじって枯らしてしまう虫から守るため、卵の殻もまきました。
最後にみんなで協力して水やりをしました。水がたくさん入ったジョーロを持つのが大変そうな塾生もいましたが、心をこめて水やりをしました。
■ 04月16日(土) 夜の塾活動~危険生物の話~
夜の時間は自然塾周辺で出会う可能性のある危険な生物についての話がありました。ヘビやハチ、ブユなどの生き物の危険度と遭遇率(そうぐうりつ)や、出会った時の対処の仕方などの説明がありました。塾生は知っている生き物が出てくると意見を言ったり、大切なことを塾生手帳にメモしたりと積極的に参加していました。
■ 04月16日(土) リーダー会議
毎ステージ土曜日の夜はリーダーが集まり「リーダー会議」を行います。今回は初めてのリーダー会議でしたので、各チームのリーダー・サブリーダーが集まり、塾頭よりリーダーの役割やリーダーの役割を通して身につけてもらいたいことについてのお話がありました。
■ 04月17日(日) あしおとツアー
日曜日はまず、全員であしおとツアーに向かいました。昔から「作物をうまく作るには、作物に足音を聞かせること」と言われてきました。この言葉は、自分の畑に足しげく通い作物の様子をみて、それに合った世話をすることがよい作物を作ることにつながるという意味です。自然塾ではその“あしおと”をとって、以前植え付けをした作物の様子を見に行き、それに合った世話を考えることをあしおとツアーと呼んでいます。今回はムギワラ畑のゴボウとジャイモン畑のジャガイモの様子を観察しました。
第2ステージに大きな穴を掘って種をまいたゴボウが芽を出していました。塾生手帳にゴボウの芽の絵や、芽を見た感想を書いてもらいました。ゴボウの芽がが思っていたより小さく驚いている塾生や、真剣にゴボウの芽を描き写している塾生がいました。ここでは観察だけでなく、キャベツの時と同様にネキリムシ対策の卵の殻もまきました。芽が小さいので慎重(しんちょう)に丁寧にまきました。
つづいてジャイモン畑のジャガイモの芽を観察しました。ジャガイモの植え付けは第1ステージに予定していたのですが、第1ステージが中止になり残念ながらスタッフが植え付けを行いました。ゴボウは種から芽がでますが、ジャガイモはイモそのものを植え付け、イモから芽が出ます。同じ芽でもゴボウとは全く違う形の芽です。ここでも塾生は熱心に観察していました。
■ 04月17日(日) チーム農園作業
後半はいよいよチーム農園作業です。第2ステージでは土づくりを行いましたが、今回のステージでは作物を植え付け始めるチームや、次回のために畝たてをするチームなどチームごとに工夫して時間を使っていました。
今回植え付ける作物がないチームは、計画した図面を参考に畑の長さを測り、畝を立てる予定のところへ目印の竹をさしました。チームで協力して作業しました。
次回のステージにはたくさん植え付ける作物があるチームは、時間短縮のために今回畝を立てていました。畝たてが進むごとにクワ使いも少しずつうまくなっていました。
このチームは、スイカの用地にただの畝だけではなく、何か所か土を盛りあげたところをつくっていました。この土を盛り上げたところは“くらつき”といいます。スイカは水はけのよいところを好む作物でこれは水はけをよくする工夫です。よく調べて作業できていますね。
このチームはリーフレタスの植え付けを行いました。共同農園作業で覚えたことを思い出しながらテキパキと作業できていました。
■ 04月17日(日) 活動のまとめ
ステージの終わりに塾頭より活動のまとめの話をしていただきました
「今回は当初雨の予報でしたが晴れて、いろんな活動ができよかったですね。昨日はキャベツとレタスの植え付けを行いました。一生懸命世話をして、生長したところを収穫し、食べたいと思います。今日は第2ステージに種まきをしたゴボウの芽を見ました。苦労しただけにその芽を見てとても感動したのではないかと思います。ゴボウは生長するまでに長い時間がかかり、その間にいろんな世話が必要です。一生懸命世話をしてほしいと思いますし、その世話の中からいろんなことを学んでほしいなと思います。
それから昨日はチーム農園計画の発表がありましたが、良くまとまっていて、いい発表ができたと思います。ただ発表する態度がふらふらしている人がいたので残念でした。発表するときはしっかり前を向いて、自分たちのたてた計画はこんなに素晴らしいんだということを表現してほしいと思います。そのためには、字をきれいに書くこと、発表の時は姿勢を良くすることが大切です。みんなに感動を与えられるような発表をしてほしいと思います。今後は、チーム農園の様子を良く観察し、記録をとってください。そして結果を見て、次に何をすればいいのか考えながら世話をしてほしいと思います。みんなで協力して素晴らしい野菜をつくって、目標を達成してください。
避難訓練と危険予知訓練をしました。最近余震もが多いですが、『お・か・し・も』を意識していつ来るかわからない災害にそなえて欲しいと思います。それから、危険予知訓練では、どんなところに危険がひそんでいるか考えてもらいました。私たちのまわりにはたくさんの危険があります。どういうふうにすれば危険を察知できるか自分自身で考えることが大切です。また、私たちが安全に共同生活をするには、今回の共同生活の目標である『人の話しを聴く』や『ルールを守る』『時間を守る』ことが大切です。それらを守って快適に生活できるよう協力をお願いします。
『人の話を聴く』に関してはまだ話の途中で行動したり、よそ見をしていたりする様子が見受けられたので残りの15ステージでできるようになってください。人間は会話を通して相手を理解します。相手が何を言おうとしているのか正しく理解するには、相手をみて、最後まで聴くことが大事になります。耳と目と心を使って聴くようにしてほしいと思います。昔は人の話を聴くときは正座をして聴きました。『心は行動に表れる』といいますが、聴くことができるということはちゃんとした姿勢ができているということになります。ぜひとも、ちゃんと聴くことができるようになってほしいと思います。
次回のステージも風邪などひかずに元気に通塾してきてください。」
■ 編集後記
今回は2回目のステージでしたが、自然塾の生活にもだいぶ慣れ、友達とも仲良くなり、休み時間に元気に遊んでいる姿が良く見られました。慣れることは良いことですが、慣れて気がゆるむと危険にあいやすくなります。今回のステージで危険についていろいろと学んだり考えたりしましたが、この後の活動や生活に活かせなければ意味がありません。特に休み時間遊びに夢中になっているときや、農作業中に説明を聞かなかったり、ルールを守らなかったりしたときにケガをしやすくなります。ひとりひとりが意識して行動することで自然塾全体の意識も変わります。スタッフの説明を良く聴き、これからも安全な塾活動が送れるようにしましよう。また。共同生活の目標の「人の話を聴く」ですが、今回のステージが始まったばかりのころは、おしゃべりに夢中になってスタッフの声が聞こえないくらい騒がしいということもありました。ステージが進むにつれ意識する塾生も増え、できていない塾生に声かけている塾生もいました。しかし、人が話をしている時に何かをしていたり、下を向いていたりしている塾生もまだおり、全員ができているという状態ではありません。「人の話を聴く」ことは安全だけでなく、人とのコミュニケーションをとるうえでもとても大切になります。しっかりとした態度で人の話を聴くことができる人は、人から信頼されます。次ステージでは違う共同生活の目標になりますが、引き続き“聴く”ことを意識して活動に取り組んでください。
K.T.