2010.10.29~31
第16ステージ ~女子~
ステージテーマ:「コンニャク作りを体験し、先人の知恵を学ぼう!」
共同生活の目標:「今までの目標の中から各チームで一つ選ぶ」
 今ではあたりまえの食材として使っているコンニャクですが、そのもととなるコンニャクイモはとてもあくが強く、そのままでは、煮ても焼いても食べられません。また、昔はコンニャクイモの収穫できる秋にしか食べられない貴重なものでした。私たちが、いつでもおいしいコンニャクを食べられるようになったのは、どうすれば食べられるか先人たちがいろいろと試し、苦労して見つけ出してくれたおかげです。今回のステージでは、このコンニャク作りを実際に体験して、先人の知恵を学ぶことをステージテーマに掲げました。
 共同生活の目標は、今までの6つの目標の中から、チームとして一番出来ていないものを選んでチームの目標とし、活動に取り組んでもらいました。
■ 10月29日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたって塾頭からお話がありました。
「いよいよ第16ステージになりました。春にはダイズから味噌を作りましたが、今回はコンニャクイモからコンニャクを作ります。ダイズは煮れば食べることが出来ますが、コンニャクの原料のコンニャクイモは煮ただけでは食べられず、アク抜きをしないと食べられません。昔の人がいろいろ苦労しながらあみ出し、食べられるようになりました。
先人の知恵が詰まった加工の仕方なので、明日はどうすればコンニャクが食べられるようになるか、体験しながら学んでほしいと思います。
ここで、あらためて食について話をします。みんなよく食べるようになりました。嫌いなものも食べられるようになって感心しています。ここだけではなく、家や学校でも実践してください。好きなものも嫌いなものもまんべんなく、よく噛んで食べて下さい。作ってくれたひとが一番喜ぶのは、残さず食べることです。
最近慣れてきて、すぐに食べ終わってしまう人が多く見られますが、姿勢を良くして、落ち着いた気持ちで、良くかんで食べましょう。
最後に、食事は私たち人間が他の動物や植物の命を絶っていただいています。『いただきます』、『ごちそうさま』の言葉には命をいただいているという意味が含まれています。残すということは命を粗末にするということです。命をいただいているということを忘れないでください。
今回のステージを含め、残り3ステージしかありません。悔いがないように、何事も一生懸命にやってください。そして、メリハリをつけて過ごしてほしいと思います。」
その後、今回のステージの共同生活の目標をチームごとに話し合って決めました。
話し合いの結果A、C、Dチームは「何事も心を込めてきちんと丁寧に作業する」、Bチームは「時間を守る」に決まりました。
■ 10月30日(土) 塾活動 ~コンニャクづくり~
土曜日の最初の活動はコンニャクづくりです。畑でコンニャクイモを収穫してからコンニャクづくりを行う予定でしたが、あいにくの天気でコンニャクづくりのみ行いました。
まず、ステージ担当よりコンニャクのつくり方や作業の分担・流れについて説明を受けました。その後、2チームごとにコンニャクを作るチームと、食品加工についての講義を受けるチームとで分かれて作業しました。
コンニャクイモを触るとかゆくなるので手袋をして作業開始です。まずは、洗う作業です。コンニャクイモの皮を金だわしでゴシゴシとこすり、汚れや皮を取り除きました。
続いて、洗ったイモを2~3cm角に切りました。そして水と切ったコンニャクイモをミキサーにかけてどろどろにしました。
どろどろになったコンニャクイモを鍋に移して煮詰めました。気を抜くと鍋にこびりついて固まってしまうので、根気強くかき混ぜまぜていました。
煮詰める作業をしている間、コンニャクを固めるための凝固液(ぎょうこえき)を作りました。これを煮詰まった液に混ぜて固めますが、すばやくかき回さないとコンニャクにムラができ食感が悪くなってしまいます。自分たちのチームのコンニャクの出来ばえを左右する大事な行程ですので、どのチームの塾生も真剣でした。
凝固液を混ぜ合わせたら、素早くをパッドに入れ、平らにならしました。どのチームも丁寧に作業していました。
各チームのコンニャクが出来上がりました。この後に冷やしてかため、最後にあく抜きをしてから、やっと食べることのできるコンニャクになります。
食品加工についての講義では、コンニャクイモはどのような作物か、コンニャクの歴史、食品加工の目的・種類、自然塾で作っている加工食品の紹介などの話がありました。
塾生はメモを取りながら真剣に聞いていました。
■ 10月30日(土) 塾活動 ~卒塾アルバム チームページづくり~
いよいよ卒塾が近くなってきました。自分たちが自然塾でどのような活動をしてきたか、何年経っても振り返られるように卒塾アルバムを作ります。塾生たちはチームのページ作りを担当します。
塾生室で下書きをしてもらいました。金曜日の夜にチームごとに写真を選んでもらっていたので、この時間はレイアウトを考えたり、下書きをしたりしました。どのようなページが出来るか楽しみですね。
■ 10月30日(土) 塾活動 ~「ハヤブサのDVD鑑賞」~
台風が近づき、外で作業ができないため、午後の前半は室内でDVDの鑑賞を行いました。今回鑑賞したのは、今年地球に帰還した『小惑星探査機(しょうわくせいたんさき)ハヤブサ』のDVDです。男子塾生は、星の観察会の時に鑑賞しましたが、女子塾生はまだ見ておらず、良い機会なのでみんなで鑑賞しました。
ハヤブサの目的、なぜ小惑星を調べるのか、ハヤブサにどんな技術が隠されているか、いくつものトラブルをどうやって乗り越えて来たかなどがわかりやすく描かれていました。
DVDを見る前に、ハヤブサを知っている塾生は全体の半分くらいでしたが、始まるとおしゃべりもせず、全員集中して見ていました。
塾生たちには、より宇宙を身近に感じられ、あきらめずにチャレンジする大切さを感じてもらえたのではないでしょうか。
■ 10月30日(土) おやつ
3時のおやつは、カボチャパイでした。Cチームの塾生がリクエストし、おやつづくりを手伝ってくれました。みんなでおいしくいただきました。
■ 10月30日(土) 塾活動 ~卒塾アルバム チームページづくり続き~
後半はチームページづくりの続きを行いました。切り抜いた写真を貼り付け、思い思いに書き込みました。チームメンバーの紹介でそれぞれの性格や特徴を記入したり、チーム活動の様子を載せたりと、思い出がいっぱい詰まったページに出来るよう、各チーム知恵をしぼって工夫をしていました。
■ 10月30日(土) 夜の塾活動 ~卒塾アルバム チームページづくり仕上げ~
次回のステージは忙しく、休み時間しかアルバムを仕上げる時間が取れないので、夜の活動ではチームページの仕上げを行いました.
野菜の絵をたくさん描いたり、チームのキャラクターを登場させたりと、どのチームも協力して工夫し、きれいなページができあがりました。
アルバムが出来上がるのが楽しみです。
■ 10月30日(土) 塾活動 ~コンニャクづくりの続き(あく抜き作業)~
チームページづくりの合間に、昼間に作ったコンニャクを湯がいてあくを抜く作業を行いました。ぐつぐつ煮立つ鍋の表面に浮いてくるあくをとる作業ですが、初めて行った塾生がほとんどで、うまくあくだけ取れる塾生もいれば、沢山のお湯ごとすくってしまう塾生もいました。
この後、一晩水につけておいておき、やっとコンニャクの完成です。普段口にしているコンニャクがこれだけの手間がかかるものなんだとびっくりした塾生も多いことでしょう。
■ 10月30日(土) 塾活動 ~共同生活目標の振り返り~
金曜日にたてた目標に対してどれくらい達成できたのか、チームごとに振り返りました。「コンニャクづくりやアルバム作りは丁寧にできたが、食事当番でできないところがあった。」「メリハリがつけられないときがあった」「人との接し方で思いやりが持てなかった」などチームごとにしっかりと振り返りができていました。また、明日完璧にするには、どのようにすればいいかもチームごとに考えました。
■ 10月31日(日) 共同農園作業 ~サツマイモの収穫~
日曜日には台風が通り過ぎ、やっと外で作業することができました。第5ステージに植え付けをしたサツマイモが大きくなったのでみんなで収穫しました。
まずは、ツルを片付けました。ツル同士がからみあって運ぶのもひと苦労でしたが、みんなで協力して片付けました。
ツルの片付けが終わったら、畝全体に広がり、探し掘りをしました。掘り残しのないように、イモを傷つけないように、丁寧に作業しました。
こんな大きなイモが!塾生の顔より大きなイモがいくつもでてきました。
今回収穫したサツマイモの品種はベニアズマとアンノウイモの2種類です。
収穫が終わったら、畑から道路にある軽トラックまで、みんなで協力してサツマイモの入ったコンテナを運びました。
「せーの。」
重いコンテナを4人がかりで荷台にのせていました。
塾舎に帰って、今回収穫できたサツマイモの重さを量りました。
結果を発表する前に,塾生たちに重さはどれくらいか予想してもらいました。「30キロ」、「60キロ」などいろんな予想がでてきました。
そして結果発表。なんと約70キロのサツマイモが収穫できました。大収穫です。
収穫したサツマイモの一部をお土産として持ち帰ってもらいました。
■ 10月31日(日) チーム農園作業
いままで、チームで協力していろんな作物を育ててきたチーム農園ですが、18ステージにはきれいな状態で畑を返さないといけません。最後の収穫に向けて世話をしたり、早めに収穫を終わらせ片付けをしたり、どのチームも計画的に作業していました。
このチームはチーム農園でもサツマイモを収穫しました。イノシシに食べられることもなく、立派なサツマイモができ、良かったですね。このサツマイモでサツマイモドーナツを作る予定だそうです。楽しみです。
このチームは、次の収穫に向けて、みんなで協力して草取りや追肥・土寄せを行っていました。ミニハクサイやダイコンがだいぶ大きくなりましたね。収穫がたのしみです。
このチームはサトイモを収穫していました。収穫する前にサトイモの茎を切るのですが、「わぁ。水がたくさん出てきた!」と、初めて収穫する作物に驚いた様子も見られました。5キロもの収穫があり、みんなでわけてお土産にしていました。
このチームはミニニンジンやミズナの間引きをしていました。細かい作業ですが、丁寧に作業していました。次のステージにはまたひとまわり大きくなっているでしょう。
■ 10月31日(日) まとめ
ステージのまとめとして、塾頭からお話をいただきました。
「チーム農園の野菜はみんなが一生懸命面倒をみたので立派な野菜が収穫できそうですね。昨日は貴重な体験である、コンニャクづくりをしました。自然塾では他にも味噌、梅干し、梅ジュース、梅ジャムなどの加工食品をつくっていますが、それらは偶然に出来たわけではありません。
先人たちが苦労していろいろ試しながら作った汗の結晶です。先人の知恵の積み重ねがあって、今の私たちの生活は成り立っています。感謝しましょう。
また、毎日ただ過ごしているだけでは何も生まれません。自ら考えることが必要です。いろんなことを考えながら生活すると、メリハリや生きがいが生まれます。これからも、日々考え、工夫しながら生活してほしいと思います。
今年2人の日本人がノーベル賞を受賞しました。ノーベル賞を受けた人たちは、先人たちの成果の積み重ねの上に立ち、それに新しい考えをつぎ込んで新しい発見をしました。
先人たちの引き継いでくれた工夫や技術に感謝して欲しいと思います。
最後にみんなに応募してもらった『市村アイデア賞』の結果を発表します。女子塾生から1人佳作に入賞することができました。みんなとてもいいアイディアを出してくれました。今年自然塾の中で多かったのは、夏の暑さ対策に関するアイディアでした。自分で苦労するからこそアイディアは生まれるのだと思います。」
最後に、自然塾九州からいらっしゃった、朝重(ともしげ)さんよりお話しをいただきました。
「3日間ありがとうございました。僕は佐賀県出身で初めて1人で東京まででてきたので、関東の塾生はどんな子たちかなぁと不安に感じていました。しかし、九州も関東も変わらず、純粋で素直な子どもたちで楽しく過ごすことができました。九州では“日の出登山”といって、朝早くに山に登り、みんなで日の出を見て、太陽が昇って私たちに恵みを与えてくれることや、自分を支えてくれるたくさんの人に感謝するという行事があります。みなさんがここにこれるのはたくさんの人の支えがあるおかげです。感謝をしてください。そのおかげでこうしてみんなと出会うことができました。
残りわずかですが、残りのステージでたくさんのものを得てください。」
■ 編集後記
台風の影響で一時は、土曜日に全員が早退することも検討されましたが、無事に日曜日まで活動することができホッとしています。
今回のステージのメインイベントはコンニャクづくりでした。塾生たちは普段何気なく口にしているものが、どのように作られ、どれだけの手間がかかっているのかということを身を持って感じたことと思います。今はスーパーに行けば、いつでも新鮮な食材が手に入る世の中になりましたが、昔はお肉や魚は漁や狩りがうまく行ったとき、野菜や果物は収穫の時期だけしか食べることができませんでした。そんな中で、人々が食べ物がとれないときにでも栄養をとれるように工夫した、生きるための知恵が食品加工の始まりです。普段の生活では、なかなか昔の人の苦労や工夫を感じることは難しいと思います。自然塾では日本の昔からの暮らしや文化を大切にしています。その自然塾に通う塾生のみなさんにはぜひ、活動や共同生活を通して体験しながら、昔の人の苦労や工夫を感じ、感謝の気持ちを持ってもらいたいと思います。そして、卒塾した後もいつまでも忘れずにいてほしいと思います。
K.T.