2010.10.01~03
第14ステージ ~女子~
ステージテーマ:「ハイキングを通して自然と人間について考えよう!」
共同生活の目標:「今までの目標の中から個人で1つ選ぶ」
 今ステージのメインイベントはシダンゴ山ハイキングでした。山林に分け入って自然を観察し、この地域の自然を知ることが目的となっています。また、ハイキングを通して自分の体力や気力の限界を知るという目的もあります。さらに、自分たち人間と自然との関係について考えてもらう機会でもありました。そこで、上記のテーマを掲げました。
 共同生活の目標は、前回と同様に各個人が最も苦手とする項目を改善すべく目標として設定してもらいました。
■ 10月01日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたり、枝村塾頭からお話をいただきました。
「明日はシダンゴ山へハイキングに行きます。これには幾つか目的がありますが2つ紹介します。①自然の素晴らしさ、大切さを学んでほしい。塾の基本的な考え方の3つの心と2つの力の1つに「自然を慈しむ心」があるが、どんなことか考えてほしい。②自分の体力や気力を試してほしい。今まで辛い農作業を頑張ってきた。その証として最後まで自分の力で登りきってほしい。この14ステージまで無事に来れたのは自分を支えてくれる人々のおかげ。おかげさまの気持ちを感じるステージにしてほしい。」
続いてステージ担当から改めて明日のシダンゴ山ハイキングの目的が説明されました。
1. 「自然を知る」=山林に分け入って自然や生きもの(植物、昆虫、野鳥など)を観察し、この地域の自然を知る。
2. 「自分を知る」=自分の体力や気力の限界を知る。
3. 「自然の中の自分を知る」=雑木林や里山など自然と人との関わりの変化について知る。
■ 10月02日(土) シダンゴ山ハイキング ~出発~
出発前に荷物や装備の準備を念入りにして、準備体操をすると早速出発しました。ハイキング中に歩く順番は自由なので体力に自信のある塾生から先頭を奪い合うように歩き出しました。
登山道の入り口までは写真のようにコンクリートで整備された自動車も走れる道を歩くことになります。涼しいこともあって、つい歩みが速くなりがちでした。
■ 10月02日(土) シダンゴ山ハイキング ~登山道入口~
登山道の入り口で最初の小休止をとりました。はじめに宮地山という小さな山を登頂してから奥にあるシダンゴ山を登り、帰りは直接シダンゴ山から塾舎のある田代集落に向かう林道を下りるというルートを確認しました。
また、「3つの感謝」についても話をしました。すなわち、①住民でもない人間が本来の住民である自然の動植物の間に入っていくのを許してくれる自然に対して感謝しなければならないこと、②登山道を歩く時は、多くの献身的な労力によって切り開かれ、また維持するためにも大変な労力が注ぎ込まれている事に感謝して歩かなければならないこと、③登山に送り出してくれた家族の理解、塾スタッフや周囲の人々、健康な体など、多くの条件が満たされて山に登れる自分があるという事に感謝しなければならないこと、です。
説明の後、宮地山の頂上を目指して出発しました。
■ 10月02日(土) シダンゴ山ハイキング ~登山~
コンクリート舗装されていない道は一昨日までの雨で地面が濡れて滑りやすく、道も徐々に急な坂になってきました。林も濃く暗くなって涼しさが感じられ、人里と離れた自然界に足を踏み入れた印象が強くなりました。
■ 10月02日(土) 自然体験プログラム ~ネイチャービンゴ~
宮地山の頂上に到着して小休止をとると、最初の自然体験プログラム「ネイチャービンゴ」を行いました。これは、ビンゴシートに書かれた森の宝物を探す遊びによって塾生達のやる気を刺激して意識を自然界に向けて集中させる狙いで行ないました。五官を駆使することで自然の楽しみ方が立体的に広がり、その後のハイキングでより深い気づきを得るキッカケとなりました。
■ 10月02日(土) シダンゴ山ハイキング ~登山~
再出発すると、登ったり下ったりを繰り返した後、林道との合流地点を過ぎ、いよいよ上り坂の勾配が急になってきました。木々の間から時どき見える景色が明るくなってきて標高が高くなってきたことを実感しました。道は幅が細く、ゴツゴツとしてきました。焦る気持ちを抑えながら足元に注意してシダンゴ山の頂上を目指しました。
最後の小休止地点から山頂までの心臓破りの急な階段は、毎年恒例の先導スタッフを追い越してもOKの下克上(げこくじょう)レースです。頂上1番乗りを狙う塾生たちは、「用意、ドン!」の合図で一斉にスタートしました。
■ 10月02日(土) シダンゴ山ハイキング ~頂上~
写真の塾生たちが1位&2位でした。おめでとう!!彼女たちは晴れやかな表情で余裕の笑みを浮かべていますが、同行したスタッフは肉体の力は尽きて精神の力のみで歩みを止めず必死に登ってきたので息も絶え絶えでした。本当に大したものです。
全員が山頂に到着すると早速「いただきます」をして皆で弁当を広げました。ただ、いつもと違って激しい運動をしたために胃腸の調子がおかしくなってしまったのか、おやつを食べ過ぎてしまったのか、あまり食が進まない塾生が多かったことが不思議でした。
良い表情だったので、もう一枚。ちなみに、山頂には小さな祠(ほこら...神を祭った神社のようなもの)があり、その横の石碑にはシダンゴの由来が書かれています。内容は...自分の目で確かめた人だけの秘密にしておきます。
持ってきた双眼鏡で山頂からの景色を眺める塾生も居ました。天気が良ければ富士山や遠く房総まで見ることが出来るのですが、この日は薄くモヤがかかっていて遠くまでは見えませんでした。残念!!
■ 10月02日(土) シダンゴ山ハイキング ~記念撮影~

食後に登頂者全員で記念写真を撮影しました。
■ 10月02日(土) シダンゴ山ハイキング ~下山開始~
食事や休憩などを含め1時間ほど過ごした後、シダンゴ山の頂上から下山を開始しました。その頃になって白かった空が青く晴れ渡ってきました。
■ 10月02日(土) 自然体験プログラム ~森の芸術家~
 下山途中のスギ林の中で、チーム単位で自然体験活動を行いました。内容は、そこにある自然物を使って『山』『森林』『秋』『自然』など好きなテーマを表現するというものです。最後に完成したアート作品をチームごとに発表し合いました。

Aチーム

Bチーム

Cチーム

Dチーム
 各チームで相談し合いながら、限られた材料を使って自分たちのアイデアを形にしていきました。みんな限られた時間の中で思い思いの作品を作ることができましたね。
■ 10月02日(土) シダンゴ山ハイキング ~下山~
再び下山を開始すると、途中に小休止を挟みながらも、例年にない速いスピードで歩いていきました。放置された雑木林と人工林とを何度も通り過ぎながら、雑木林と人工林の豊かさの違いを五感で感じていきました。
■ 10月02日(土) 自然体験プログラム ~雑木林と里山の話~
 いよいよ最後の自然体験プログラムとして「雑木林と里山の話」を聴く機会となりました。これは、ハイキングの締めくくりとして実施される大切な話なのですが、疲れ果てた塾生たちの眠気を吹き飛ばすことは難しかったようです。
「皆さんは『森』と『林』の違いが分かりますか?『森』は人手があまり加わらず自然が豊かなところを、『林』は色々な人手が加わっているところを表しています。次に、皆さんは『雑木林』という言葉を知っていますか?『雑木』は木材にならない木のことです。しかし、江戸時代の開拓地「三富新田」について調べてみると、雑木林は当時の生活に欠かせないものだったことが分かります。現在は、生活様式が変わり、雑木林は使われなくなってしまいました。人が手を入れなくなった雑木林は、笹などの日陰に強い植物に覆われて、動物たちの餌が減り、限られた生き物しか棲(す)めない環境になってしまいます。それで動物が山から里へ下りてきて田畑を荒らすのです。でも最近になって森林の持つ地球環境の保全機能が見直されてきています。」
■ 10月02日(土) シダンゴ山ハイキング ~自然塾到着~
再び登山道の入り口を通過して民家の横を足早に塾舎へと向かいました。そして全員が無事に塾舎に帰ってくることができました。
整理体操の後、玄関でハイキングを終えての第一印象を簡単に述べてもらいましたが、塾生たちの表情からは疲れよりもむしろ活き活きとした印象の何かが感じられました。
■ 10月03日(日) 自由時間
塾活動としてのハイキングが終了すると自由時間となりました。チームによっては、チーム農園の収穫作業をしたり、夏~秋の作物を植付けたりしていました。前回休んだ塾生たちは土産用のゴボウを掘上げていました。少ない時間でしたが有効に使ってくれたようです。
■ 10月02日(土) 夜の塾活動 ~俳句発表会~
夜の塾活動では、ハイキング中に書き溜めておくように促した俳句の中から1句を選んで短冊に清書してもらいました。
短冊への清書が済むと、みんなの前で自分のつくった俳句を詠み、そこに込めた思いを発表してもらいました。
自分と似たようなことを感じた人、全く別の視点を持った人など様々。これだけの人数がいると本当にたくさんの感情が集まるので、共感や発見がたくさんありましたね。
■ 10月03日(日) チーム農園作業
 日付が変わって日曜日は、時間が遅くなればなるほど雨の確率が高まる予報でしたので、雨天でも決行できるラッカセイの収穫よりも、作物の植付けなど大事な作業のあるチーム農園作業を優先して、前半をチーム農園作業の時間としました。
どのチームも間引き収穫をしたり、新たに作付ける野菜の種まきをしたりしていました。春~夏にかけて野菜を育てた時の反省を踏まえて、夏~秋の作物が上手く育つように丁寧に世話をしましょう。ただ単に種まきをしたり苗を植えれば良い訳ではありません。肥料をあげたり、ネットを張ったり、草を取ったりと必要な世話を考えて実行することが大切です。
■ 10月03日(日) 共同農園作業 ~ラッカセイの収穫~
 おやつ休憩を挟んで後半は、今が旬のラッカセイ収穫を今ステージ唯一の共同農園作業として行いました。
皆さんはラッカセイの実は地下にできることを知っていますか?まずは地上部を引き抜き、一緒に抜けてしまったラッカセイの実を落としました。続いて、ハクビシン除けの金網ネットを巻き取ってから、地下に埋もれているラッカセイの実を探し掘りしました。丁寧に作業したつもりでも結構残っているものです。長い時間を掛けて折角(せっかく)実ったものですから、大切に拾いましょう。
回収した実は計量・分配・包装して自宅への土産にしてもらいました。家に着いても直ぐに調理しない場合は、よく乾燥してカビが生えないようにして欲しかったのですが、みんな直ぐに調理して美味しく食べてくれたかな?
■ 10月03日(日) ステージのまとめ ~塾頭の話~
ステージを終えるにあたり、枝村塾頭からお話をいただきました。
「天気に恵まれ、無事にハイキングに行くことが出来て良かった。感想を聞いたが『苦しかった』『達成感があった』『辛かったがこの経験を次に活かしたい』というような良い意見があり良かった。自分の力で成し得たものなので自信を持っていいが、3つの感謝の話にもあったように『お蔭様』の心を忘れないで欲しいと思う。プログラムで里山の話があったが、山と海は川でつながっている。山を大事にしないと美味しい魚も食べられない。川を守り山を守るということはとても大切なこと。これからもハイキングに行くときは自然を大切にして欲しい。」
■ 編集後記
 今回のステージはシダンゴ山ハイキングに出かけました。道中、自然体験プログラムを行い、ただ漫然と登るだけではなく、自然と親しみ、人間と自然との共生について考えてもらいました。ですが、最後のプログラムを予期したとおりに伝えることが出来ませんでした。しかし、生き物の観察を通して地域の自然を知ったり、自分の体力や気力の限界を知るという意味では目的を達成できたのではないかと思います。
 さて、9期生の塾での活動も残り4ステージとなりました。自ら目標を設定して達成に向けて努力できる塾生と、何ら目的意識を持たず「楽しければ良い」というような態度の塾生とにハッキリ分かれてきているのが残念です。学び成長するためには、時には歯を食いしばって頑張ることも必要です。今回のハイキングで最後の急な階段を苦労して登ったからこそ達成感を感じることができたということが何よりの証拠です。楽をしたり自分に甘いままでは、いつまで経っても今のままです。自分を成長させるためには努力するより他に方法はありません。残りのステージを悔いのないように頑張りましょう。

H.T.