2010.09.17~19
第13ステージ ~女子~
ステージテーマ:「収穫に汗を流し、達成の喜びを感じよう!」
共同生活の目標:「今までの目標の中から個人で1つ決める」
 今回のステージでは、第2ステージで種を播(ま)いたゴボウをいよいよ収穫しました。掘りあげるのは楽な作業ではありませんが、途中で投げ出すことなく力を振り絞り、また丁寧に掘って立派な収穫物を手にして達成の喜びを感じて欲しいことから、このテーマでステージにのぞんでもらいました。
 共同生活の目標は、今までの6つの目標、「あいさつをする」、「人の話を聴く」、「時間を守る」、「ルールを守る」、「整理整頓清掃清潔を心がける」、「何ごとも心を込めてきちんと丁寧に作業する」の中から、自分が一番出来ていないと考えているものを目標としてもらい、特に意識して過ごしてもらいました。
■ 09月17日(金) 夜の集い
 ステージを始めるに当たって、枝村塾頭からお話がありました。
 先日、この辺りでは大雨が降り、自然塾の畑も被害にあいました。自然はありがたいものですが、時には恐ろしいものでもあります。自然とうまく付き合いながら過ごすことを考える事は大事です。

 自然塾の活動も2/3が終わり、残り6ステージになりました。いろいろなことを経験し、基本的なことを学んだと思います。しかしまだ、身についていない人がいます。「身につく」というのは体で覚え、自然にできるようになることです。身についたという事は当たり前のことを自然にできる様に努力し、継続した結果です。今までの期間を振り返って、出来ていないことを出来るよう努力してください。
 これからは日が短くなり、気を抜いていると野菜が立派に育ちません。心を込めてしっかり作業してください。
 今回は市村自然塾九州から2名のスタッフが見えられました。鈴木さんと久保さんです。

 日本全国をバイクで旅行して市村自然塾関東を訪ねた久保さんからは、「青森の山の中でバイクが壊(こわ)れ直らずに困っているところに、軽トラックでおじいさんが通りかかって声をかけてくれ、家まで戻って修理の出来る人に連絡を取ってくれたおかげで旅を続けることが出来ました。おじいさんの優しい気持ちがどんな景色やおいしいものよりうれしく思いました。」というエピソードを話していただきました。
■ 09月18日(土) スタンド・アップ・テイク・アクション
 ミレニアム開発目標とは、2000年に世界の国のリーダーが集り、「2015年までに世界の貧困を半減すること」約束したものです。
 しかしながら、現在のままでは目標の到達は非常に難しい状況にあります。

 9月17日から9月19日まで世界中で行われるスタンド・アップ・テイク・アクションでは、一人ひとりが立ち上がって(STAND UP)貧困をなくしたいという意志を示し、各国の代表者たちに約束の実現を求めます。

 市村自然塾関東でも、世界の貧困をなくそうという意志を、全員で立ち上がって示しました。
 
■ 09月18日(土) 共同農園作業 ~ゴボウの収穫~
 ゴボウを掘りあげるのは大変な作業です。収穫物を手にするには目いっぱい汗をかき、力を振り絞ることが必要です。ゴボウは塾生たちがしっかり世話をしたことのみならず、自然の力によって小さな種が大きく育ちました。そのような自然への感謝の気持ちも込めて、傷つけないよう丁寧に作業をしました。
 
 この日は今までの猛暑から一転してゴボウ掘りには最適な涼しい日になりましたが、塾生たちは期待半分、不安半分で作業に取りかかりました。
 この二人の塾生は、自分たちがすっぽり入ってしまうような穴にもぐるようにして作業をしていました。わき目も振らず、真剣な雰囲気が伝わってきました。
 ゴボウの根が見えてくると、傷めないように方向を確認しながら、慎重に掘り進んでいきました。
 作業開始から1時間を過ぎた頃から、塾生たちが次々とゴボウを堀り上げました。汗だく、泥まみれですが、どの塾生もやりとげた達成感で表情が晴れ晴れとしていました。
 1本目を掘り上げた塾生たちは、うれしさからか、2本3本と次々に堀り上げました。
 ゴボウを掘り上げた達成感は、塾生ひとりひとりの心の中にずっと残ると思います。塾生は自分が掘り上げたゴボウのうちから一番気に入ったものを1本おみやげとして持ち帰りました。きっと家でも土産話と共においしくいただけたと思います。
■ 09月18日(土) 来客のお話 
 この日は首都大学東京の学長原島先生ご夫妻、市村自然塾の理事である若澤さん親子がいらっしゃいました。

 原島先生からは、皆さんには色々なことを体験して欲しいです。勉強だけでなく、自然体験、農作業、音楽、スポーツなどを行うことを通して、初めて何が自分に合っているかわかります。ここの活動もその一つとしての貴重な体験だと思います。というお話をいただきました。
■ 09月18日(土) 共同農園作業 ~秋野菜・大根・葉ものの世話~
 前回のステージで植えた秋野菜は、猛暑と乾燥を何とか乗り切り、しっかり根付いてひとまわり大きくなりました。
 種を播いた大根や葉ものも生長しました
 さらに大きく育て、収穫につなげるために、草取り、追肥、土寄せをしてもらいました。

 今まで何度も行ってきた作業です。作業も手早く行っていました。
■ 09月18日(土) 共同農園作業 ~夏野菜の世話~
 夏は過ぎましたが、ナスやピーマンなどの夏野菜はもうしばらく収穫をもたらしてくれます。最後までしっかり収穫できるよう、草取り、追肥、土寄せを行いました。
■ 09月18日(土) お月見

 旧暦の8月15日のことを中秋の名月と呼び、ススキや萩の花などと共に、月見団子をお供えして、月見を楽しむ習慣があります。
 今年は9月22日が中秋にあたり、自然塾でもお供え物をしました。
 月見団子は人に見つからないように食べないといけない、という風習もありますが、堂々と食べていますね。
 楽しみながら、日本の伝統を引き継いでいって欲しいものです。
■ 09月18日(土) 夜の活動 ~自然災害時の危険について~
 台風や暴風雨、大雨や洪水、土砂災害や地震などの自然災害はいつ起こるかわかりません。災害の恐ろしさを知ってもらい、どのように対処したら良いかを考えてもらいました。
 普段から避難訓練を行ったり、しっかり心構えを持っておくことが大切です。
■ 09月19日(日) チーム農園作業
 メンバーと声をかけ合って作業をしていました。チームワークも板についてきました。
 このチームはまだ鹿よけネットを張っておらず、作物の一部が被害を受けていました。
 これ以上チーム農園の作物が鹿に食べられないように鹿よけネットを張りました。
 市村自然塾九州のスタッフにもアドバイスをいただきながら、真剣にネット張りを行っていました。
 今回はすべてのチームが種まき作業を行っていました。
 共同農園作業で行ったこともあり、どのチームも手際よく行っていました。
 チームによっては、ホウレンソウの種まきのために石灰を沢山まいたり、すじまきでなく点まきにしたり、いろいろ工夫もしていました。
■ 09月19日(日) ステージのまとめ
 ステージの終わりにあたって、枝村塾頭のお話がありました。

 今回、良い天気で作業が進み、畑もきれいになりました。収穫が楽しみです。

 昨日はゴボウの収穫をしました。最初は気持ちが入っていないようでしたが、だんだんと一生懸命になってきました。
 自然塾では、ゴボウ掘りのようにみんなに苦労してもらうことをあえてしてもらっています。それには意義があります。
 人はえてして面倒だったり、嫌なことは避けて通りたがりますが、世の中ではそのようなことがたくさんあります。大人になるとますます多くなり、助けも借りにくくなります。そのようなことを経験する事で、精神力、忍耐力、勇気が身についてきます。
 また、大変なことをすることで、工夫が生まれることも学んでください。
 物が簡単に手に入らないこともわかったのではないでしょうか?苦労すれば苦労するほど良いものが手に入ると思います。そのようにして手にいれると、ものを大事にする心が自然に出てきます。

 ゴボウの種はとても小さな種でしたがあのように大きな野菜に育ちました。自然は素晴らしいものです。ぜひ自然を大切にする心も大切にしていってください。
 


 最後に市村自然塾九州からいらっしゃった2名のスタッフからお話をいただきました。

 事務局長をなされている鈴木さんからは、皆さんが一生懸命努力している姿を見て嬉しかった、という感想に加え、自然塾九州でのエピソードを紹介し、応援のメッセージを送ってくれました。

 何年か前、一人一人の個性が強くなかなかまとまらないチームがありました。何回チームで話し合ってもまとまりませんでした。特に個性の強い塾生がいて、仕事は一生懸命するのですが、他の塾生となじめないでいました。
 一年間の活動も終わりに近づいてきたとき、その塾生が学級閉鎖で塾に来られなくなってしまいました。他のメンバーは「やっぱり彼女がいないとさみしいね」、と口々に言い、チーム農園の収穫物を自宅へ届けようという話になりました。実は彼女はこっそりとお昼だけ塾に顔を出すことにしていたのですが、みんなが出会ったとき、彼女以外のメンバーは、「チーム農園の収穫物のお土産を持っていって」、と言ったのに対し、彼女は「自分は休んでいたから持って帰れない」と言ったそうです。しかし「この畑でみんなで育てたものだから、持って帰って」と言われて感激し、初めてチームが1つになることが出来ました。
 皆さんも、自分の役割をしっかり果たし、自分のチームが一番いいと思って下さい。残り少ないステージ、悔いのない様頑張ってください。
■ 編集後記
 今回行った「ゴボウの収穫」は市村自然塾の活動の中でも、我々が一番重視している農作業です。地中長く伸びたゴボウを掘るのは楽な作業ではありませんが、厳しい作業を行うからこそ素晴らしいものを得ることを学べます。
 塾生たちは集中してゴボウ掘りに取り組み、堀上げたゴボウを掲げて自慢げでした。お土産に持ち帰って、各家庭でもおいしくいただけたのではないかと思います。
 今回の共同生活目標は、各自一番出来ていないと考えているものを、目標として掲げてもらいました。人の話を聴く、整理整頓清掃清潔を心がける、何ごとも心を込めてきちんと丁寧に作業する、の3つを各自の目標に掲げた塾生が多くいました。それぞれ意識をして行動していたとは思いますが、本当に自分に厳しく目標に向き合っていた塾生は少なかったように思います。
 他の人から言われなくとも自分にしっかりと向き合い、自分を律しつつ、基本的なことを自然に行えるよう、残りわずかなステージも頑張ってもらいたいと思います。

T.K.