2010.07.30~08.01
第10ステージ ~女子~
ステージテーマ:「親子大会で今までの成果を発表しよう」
共同生活の目標:「ルールを守る(2回目)」
いよいよ親子大会本番を迎えました。親子大会は保護者や家族の方に塾生が自然塾でどのような活動を行っているかや、これまでの活動で農作業や共同生活を通して学び、成長した姿を見ていただく場です。第6ステージから準備をしてきた“塾生企画”や自分達のチーム農園を紹介する“チーム農園発表”があります。自分達の100%の力を出し切って発表や農作業を行い、保護者の方に喜んでいただけるように、このテーマを掲げて活動に取り組みました。
共同生活目標は「ルールを守る」の2回目でした。共同生活において、安全に快適に過ごすためにはルールを守ることがとても大切です。今回は、自然塾での基本的なルールについて全員で確認し、「自然塾での基本的なルールについて、自分たちで意識・判断し守ることができたか」「チームの決まりごとは守れたか」をポイントとして過ごしてもらいました。また、今回は親子大会というイベントで普段の活動とは違い忙しかったり、気がゆるんだりしやすく怪我をしやすくなります。いつもと違う環境の時こそルールをしっかり守って行動することも意識してもらいました。。
■ 07月30日(金) 夜の集い
活動を始めるにあたって、塾頭からお話しがありました。
「いよいよ親子大会です。親子大会は自然塾の活動を見てもらうためのもので、親と一緒に楽しむ遊びではありません。みなさんが一生懸命作業している姿を見せてください。塾生企画ではグループで協力し、どうすれば参加者の人に楽しんでもらえるか考えながら行ってください。チーム農園発表では、何に苦労したのか、何を工夫したのかなど大きな声で発表するようにしてください。今までの9ステージで学んできたことを行動や態度で示して欲しいと思います。
また、明日はRICOHからお客さんが来ます。その中にはRICOHの会長で自然塾関東と自然塾九州の総合塾長である桜井塾長もいらっしゃいます。大きな声であいさつをしましょう。
この後は明日に向けて、色々と準備がありますがテキパキと行動してください。」
■ 07月30日(金) 就寝準備
親子大会の間は塾生はテントで寝泊りします。塾生室に戻った後は、チーム担当からシュラフ(寝袋)の使い方やたたみ方の説明をうけ、実際にたたむ練習をしました。
シュラフになれるため、金曜日の夜は布団ではなくシュラフで寝ました。
■ 07月31日(土) チーム農園作業
自然塾では親子大会のステージでは「夏時間」といって、通常とは違うスケジュールで活動します。「夏時間」のステージには朝は1時間早く起きて農作業をし、昼間は川遊びや室内での活動、就寝時間は30分早くなります。農家さんの真夏に一番暑い時間帯を避けて農作業をする工夫を自然塾でも取り入れて行っています。
土曜日の朝は6時からチーム農園作業を行いました。
どのチームもチーム農園発表ではきれいな畑を見てもらいたいと、草取りに精を出していました。天気が良い日が続き雑草があっという間に大きくなってしまうので一苦労です。プラミに入らないくらいたくさんの草がとれ、運ぶのも大変そうです。
チーム農園発表に向けて,看板を立てているチームもありました。看板が立つと畑が華やかになりますね。
おいしそうなスイカとメロン。これはチーム農園の収穫物です。みんなで協力して育て、立派なものができましたね。
■ 07月31日(土) 開会式
いよいよ親子大会を始めるにあたって開会式が開かれ、桜井総合塾長からお話しをいただきました。
「みなさんこんにちは。今日はRICOHの会長として来ました。会長というのは、会社の中で1番えらいのは社長さんで、そして社長さんをを支援する、サポートするのが会長です。みなさんもぜひ、大きくなったら社長や会長になれるような人になって欲しいと思います。しかし、社長になりたい、会長になりたいという気持ちを持ったらダメです。そういう人は目標を達成してしまうと何もしまくなってしまいます。しっかりと黙々(もくもく)と仕事をして、あるいはいろんな活動をして実績を積み上げてなって欲しいと思います。
この自然塾は非常に楽しいところだし、つらいところでもあると思います。だけど、『つらいなと思うことをどうすればつらくなくなるか』というところを学ぶのが自然塾です。『つらいことは楽しいもんだ』と変える努力を自然塾で学んで欲しいと思います。
今の社会で悪いことは、いろいろ問題があると他人のせいにしてしまうことです。安易(あんい)に国の責任にする人や企業が増えてます。このままにしておくと、日本は良い国にならないし、破綻(はたん)してしまいます。そうならないために頑張らなくてはいけません。これは大人の責任です。責任を果たすために一番大切なことは国の借金(しゃっきん)や社会保障制度(しゃかいほしょうせいど)の問題を解決することです。子供たちの社会になった時に付けをまわさないことが大人の最大の任務だと思います。そして、付けがまわらなくなって、しっかりと子供達が活躍(かつやく)できる社会になった時に何が必要かというのが自然塾でやりたいことです。一言でいうと『たくましい若者を育てる』ということです。自然塾の創始者である浜田前会長がこんなことを言っていました。
1つ目は『昔の子供たちは不便であったが色々と工夫をして遊んでいた、世の中が便利になりすぎてしまって現代の子供は工夫をしなくなってしまった』
2つ目は『コンピューターやゲームが広がりバーチャルの世界と現実の世界の境目がなくなってしまっている。もっと現実の世界を体験する必要がある』
3つ目は私が強く感じていることですが、『相談相手がいない子供たちが増えている。相談相手がいない子供は追い詰められてしまって、いろんな事件起こすようになってしまった』
私は下町生まれで近所づきあいが良いところで育ちました。地域のみんなが親代わりのようなもので、みんなが相談にのってくれたり、しかってくれたりしました。それが現代にはない。そういうことが問題なんですね。
ここ市村自然塾では農業を通してや、自然とのふれあいを通して、あるいは不便な生活をするという実習をして、不便な生活を乗り越えるにはどうしたらいいかみんなで考えていくという生活をしようということです。畑のことで困った時や問題が出たときにみんなで話し合うと、結果、実りの多い収穫物を手にし、喜びを感じます。この過程が非常に大切で一言で言うと“不便さからの出発”といい、その“不便さからの出発”で
『自然を愛そう』
『他人を愛そう』
そして
『自分が社会の一員としてルールを守るということを学ぼう』
『自分がやるべきことを自分でやる』
という心をもち、そういう行動をとれるようになって欲しいと思います。

残りの活動で
『自分のことはじぶんで』『人のことを思いやる』『自然を思いやったり、自然の良さを利用する』『友達や両親を困らせたり、傷つけたりしないよう危険なことを感じ取る』
そんな生活をして欲しいと思います。
最後に一言、不便なことを人のせいにしないで、むしろ不便なことを楽しいものに便利なものに変えるように工夫していくということが大事です。そういう力がみなさんが社会にでた時に大変力になりますので頑張ってください。
保護者の方は、今日1日どんなことをやっているか見ていただいて、戻ってからぜひ学び取ったことを実施できるように、そして悩んでいることがあったら相談相手になって欲しいと思います。」
■ 07月31日(土) テント設営
開会式の後、テントの設営をしました。
5つに分かれ、自分たちの寝泊りするテントを協力して張りました。
■ 07月31日(土) 塾生企画発表
「魚&水鉄砲」「つちのこ肝試し」「市村クエストⅤ」「リーフ&フラワー自然塾」の4つの企画があります。いつ、どこで、どんな企画をするのか、どんな持ち物が必要かなどを発表し、保護者の方に参加を促しました。
少し緊張していたようですが、しっかりと発表できていました。
■ 07月31日(土) チーム農園発表
続いて、チームごとに保護者のみなさんに自分達の畑を紹介し、苦労したこと、工夫したことなどを発表しました。
クイズをだしたり、実際に収穫したものを食べてもらってアピールしているチームもありました。
このチームは朝のチーム農園作業で収穫したパプリカやキュウリ、トマトなどを食べてもらっていました。
保護者の方は「おいしい!」とうれしそうにほうばり、感心していました。
■ 07月31日(土) 塾生企画「魚&水鉄砲」
昼食後は中津川へ行き、塾生企画の「魚&水鉄砲」が行われました。塾生と保護者で組を作り、マスを捕まえたり、相手の陣地(じんち)のペットボトルを、竹でできた水鉄砲で倒したりして、合計の点数で競う遊びです。途中、水鉄砲が壊れてしまうというハプニングがありましたが、担当の塾生はルールの説明をしたり、判定をしたりと頑張っていました。マスは夕食にホイル焼きとして提供されました。
■ 07月31日(土) 川遊び
塾生企画の順番が回ってくるまではみんなで川遊びをしました。少し川の水は冷たかったのですが、そんなことはへっちゃらで川遊びを満喫していました。スタッフと塾生、塾生同士、兄弟などで水を掛け合って遊んでいました。
■ 07月31日(土) キャンプファイヤー
夜には、塾頭とリーダーが火をともし、その火をみんなで囲み歌を歌ったり、ゲームをしたりしました。塾生も保護者の方も楽しそうに参加していました。
■ 07月31日(土) 塾生企画「つちのこ肝試し」
キャンプファイヤーの後は塾生企画の「つちのこ肝試し」を行いました。
暗い中、塾舎の周りを歩いてつちのこを見つけ、そこに書いてある文字を組み合わせてある言葉を作るというものでした。
問題をクリアし、無事にゴールしたグループには素敵な景品がわたされました。
企画グループの塾生は、氷水の入った袋を上からつるしたり、仮面をかぶったりといろいろと工夫をしておどかしていました。
都会とは違い、真っ暗な道を懐中電灯1つで歩くので、ビクビクしながらおそるおそる歩いている人がたくさんいました。
■ 08月01日(日) 共同農園作業
日曜日の朝は共同農園作業の「ネギの植え付け」と「秋キュウリの植え付け」を2つに分かれて行いました。
ネギはAチームとBチームが担当しました。
農業指導ボランティアの先生に指導していただいて植え付けをしました。
まずはネギを植える溝を掘りました。土の固いところに届くまで深い溝を掘りました。クワ使いがうまくなり、しっかりした溝を作ることができました。
溝を掘ったら、植え付けをしました。10cm間隔で並べていきます。丁寧に作業しました。
この後、ワラと土をかけて植え付け終了です。このネギは秋から来年の春先まで食べられる貴重な食材となります。大切に育てていきましょう。
こちらはキュウリのグループ。キュウリはCチームとDチームが担当しました。
まずは畝たてです。平畝をたてました。朝早く眠いせいか、動きが鈍い塾生もいましたが、みんなで協力してひとつの畝をたてました。
続いて植え付けです。
苗は人間で言う赤ちゃんのように弱く、大切に扱わないとすぐに折れてしまいます。
丁寧に作業しました。
植えつけた後は敷きわらをしました。
たくさん実を付けてくれると良いですね。
保護者の方には畑の草取りをしていただきました。みなさんのおかげですっかりきれいになりました。ありがとうございました。
■ 08月01日(日) 流しそうめん樋(とい)作り
朝食の後、お父様方には毎年恒例の流しそうめんの樋(とい)づくりをしていただきました。雨が降ったりやんだりと天候の悪い中作業していただきありがとうございました。みなさんのチームワークが良いおかげで、あっという間に素晴らしい樋が完成しました。
■ 08月01日(日) 塾生企画
朝食の後は「市村クエストⅤ」と「リーフ&フラワー自然塾」の2つの企画が行われました。
「市村クエストⅤ」は地図に従い各畑を回り、ミニゲームやクイズを解いてヒントをもとにゴールを目指す企画です。左の写真はその1つで箱の中に入っている野菜を手で触り、感触や形で判断して当てるクイズでした。普段あまり見かけない野菜も入っていたようで、苦戦している参加者もいました。無事にゴールできた参加者の上位には自然塾産の野菜がプレゼントされました。
「リーフ&フラワー自然塾」はニンジンの葉を使って染め物をする企画でした。まず参加者は思い思いにハンカチに輪ゴムを巻きつけます。どんな模様になるかは染めてみてのお楽しみ。企画の塾生がニンジンの葉を煮出した液につけて、すすぎ、その後色を落ちにくくするためにミョウバンを溶かした液につけました。次のステージが終わったら、参加していただいた方々のもとへ届けられる予定です。どんなハンカチになっているか楽しみにしていてください。
■ 08月01日(日) 昼食
昼食は作っていただいた樋を使って流しそうめんをいただきました。そうめんだけでなく、ミニトマトも流れてきました。子どもも大人も夢中になって楽しんでいました。
■ 08月01日(日) 活動のまとめ
ステージのまとめとして、塾頭からお話がありました。

「暑い中頑張りましたね。塾生企画が良くできたのは協力をしたおかげだと思います。お父さんたちが作ってくれた流しそうめんの樋(とい)もみんなで協力したおかげでとても早くできました。この親子大会はいろいろな方に支えられてできました。感謝の気持ちをもちましょう。
次にみなさんが塾に来るのは3週間後になります。ケガをせず、おおいに夏休みを楽しんでください。」
■ 08月01日(日) テーブルイスの片付け
活動のまとめに後は、塾生全員で食事で使ったイスとテーブルを片付け、いつものように塾生室の清掃をしました。これで本当に親子大会が終わりました。おつかれさまでした。
■ 編集後記
親子大会にご参加いただいた保護者、およびご家族のみなさんありがとうございました。楽しんでいただけたでしょうか?慌ただしいスケジュールの中ではございますが、塾生たちの農作業や塾生企画に一生懸命に取り組む姿をご覧いただけたと思います。塾生たちにとってもこの親子大会は良い経験になったと思います。
さて、今回の共同生活の目標は「ルールを守る」でしたが、親子大会といういつもとは違う環境やスケジュールで、守ることはなかなか難しかったと思います。塾生たちにはどんな時でも「基本的なことをきちんとやる」ことができるようになってほしいと思います。
8月に入り夏休み本番です、ぜひご家族で楽しい思い出をつくってください。
K.T.