2010.06.18~20
第07ステージ ~女子~
ステージテーマ:「人と自然に感謝して、コムギ一粒一粒を大切に収穫しよう!」
共同生活の目標:「あいさつをする②(ハイ、オアシス)」
昨年度の塾生が秋に種をまいたコムギが黄金色になり、収穫の時を迎えました。そこで、今ステージでは、今までコムギの世話をしてきた人や自然の恵みに感謝してコムギ一粒一粒を大切に収穫しました。
また、第1ステージで初めて植付けをしたジャガイモも収穫時期を迎えたため、ジャガイモを収穫し、収穫したばかりのジャガイモを使ってコロッケつくりを行いました。

前回のステージで塾活動の3分の1を終えたことから、今ステージからは今までの共同生活の目標をさらに深めて意識し行動できるよう第1ステージと同じ「あいさつをする」を目標に掲げました。特に「ハイ、オアシス」をキーワードとして基本のあいさつを再確認し、4つのポイント(①いつでもどこでも誰にでも②明るく大きな声で③目を合わせて心を込めて④自分から進んで)を意識して行動してもらいました。
※ハイ、オアシス…「はい・いいえ(返事)」「おはようございます(朝晩の挨拶)」「ありがとうございます(感謝の言葉)」「しつれいします(部屋等に入る時の言葉)」「すみません(謝りの言葉)」
■ 06月18日(金) 夜の集い
ステージの始めるにあたって、枝村塾頭よりお話がありました。
「前回までで3分の1のステージが終わりました。早かったと感じる人も多いでしょうか?
是非この節目に初心(しょしん)に帰ってほしいと思います。遊ぶために自然塾に来ていると勘違いしている人もいるかもしれないですが、『生きる力を大地から学ぶ』という本来の目的を思い出し、農作業を通して強い心と体を養っていきましょう。
また、ジャガイモを植付けてから3ヶ月、どのように成長しているのかをよく見てお天道様や雨など自然の恵みの素晴らしさと収穫の喜びを味わってください。
食事についてもう一度確認をしますが、出されたものは、好き嫌いを言わずによく噛(か)んで残さず食べましょう。よく噛(か)むと消化にいいだけでなく、脳が活性化したり引き締まった顔になります。また、落ち着いて食べることで心も落ち着くし、少量で満腹感を得られるのでスリムな体になります。まんべんなくよく噛んで食べるようにしましょう。」
■ 06月19日(土) 共同農園作業 ~ジャガイモの収穫~
梅雨に入り、小雨が降ったり止んだりする中でジャガイモの収穫作業を行いました。今回収穫したジャガイモの品種は、男爵・メークイン・キタアカリです。大きく成長している品種、およびコロッケ作りに適した品種を中心に収穫を行いました。
地上部に出ている茎や葉を見ると、疫病(えきびょう)という病気にかかって黒くなっていました。この病気の部分を触った手でイモをさわると、病気が伝染してイモが腐りやすくなってしまいます。そこで、まず地上部を取り除いて集めました。
また、地上部を落としたままにしておくと畑に病原菌(びょうげんきん)が残ってしまうので、残さず回収しました。
葉や茎をすべて取り除いた後、きれいな手袋に取替えてイモを掘り上げました。
掘りたてのイモは皮が柔らかく表面に傷が付きやすいので、傷を付けないよう注意して作業を行いました。また、大きくなったイモを土の中に残して無駄にしないよう、じっくり探していました。
2~3時間天日(てんぴ)で乾かしてから持ち帰るとイモに傷が付きにくく長持ちしやすいのですが、小雨が降っていたため早めに使用する分のジャガイモだけを掘り上げて塾舎へ持ち帰りました。
畑に残ったジャガイモは、後日スタッフが収穫しました。
回収した地上部は、他の畑に影響が出ないよう畑から離れた塾庭の残渣(ざんさ)置き場へ廃棄しました。
病気が発生している畑で作業した後は、使用した手袋や長靴をいつも以上に丁寧に洗い、他の畑に病原菌を持ち込まないよう気をつけましょう。
■ 06月19日(土) 市村アイデア賞 紹介・考案
おやつの後は、「市村アイデア賞」という生活の中でのアイデアを募集するコンクールの紹介と、実際にアイデアを考える時間を設けました。
具体的にアイデアを考えるため、
①困っていることやもっと便利になればいいなと思うことはないか?②どんな風に困っているのか?③どうすれば解決できそうか?
と順を追って考えていきました。
「家で家族が困っていることはないか?」と他の人のためになることを考えたり、「チーム農園作業で高い位置にビニルの屋根を設置する時に、もっとやりやすい方法はないか?」など自然塾ならではの具体的な場面を思い出してアイデアを考えていました。
日常生活の何気ない場面で良いアイデアが隠れているかもしれません。考えてみて忘れないようメモをしておくようにしましょう。
■ 06月19日(土) 共同農園作業 ~ジャガイモの包装~
昼食後、お土産として持ち帰ってもらうジャガイモを計り、新聞紙で包む作業を行いました。これからの季節、チーム農園でも色々な野菜が収穫できることでしょう。仲良く分け、自分たちで包んで持って帰ってもらうので包み方をよく覚えておいてくださいね。
■ 06月19日(土) チーム農園作業
今ステージでも、短い時間をうまく利用してチーム農園作業を行いました。
色々な作物の収穫時期を迎える前に、作物を鹿から守る鹿よけネットを設置しているチームがありました。
まずはネットを支えるための柱を設置しました。第4ステージで習った「巻き結び」を使って、木の杭と竹の柱をしっかり結び付けます。覚えているでしょうか?
隣り合う畑を使うチームは、一度に囲える大きなネットを設置していましたね。
畑のすぐ横に水がたまってしまい、排水させる溝をつくっているチームもありました。
追肥など、直接作物に必要な世話はもちろんのこと、畑の様子を見て色々な工夫をすることが必要だと感じているようでした。
■ 06月19日(土) 塾活動 ~コロッケ作り~
まずは、チームごとにコロッケ作りに使うジャガイモを選び、量りとって一口サイズに切りました。
ジャガイモは、ホクホクした品種やしっとりした品種など、料理に合った品種を選ぶことでよりいっそう美味しく仕上げることが出来ます。
チームごとに使う品種と混ぜる割合を考えて選んでいました。
ジャガイモを厨房で蒸かしている間、ひき肉とみじん切りにしたタマネギを良く炒めて塩コショウで味をととのえました。いい香りに誘われて、つまみ食いしている塾生もいたようです。
もちろんタマネギのみじん切りも自分たちで行います。食事当番での経験が生かされているようでした。
ジャガイモが蒸かし終わったら、ジャガイモが冷めないうちに皮をむいてイモをつぶします。
冷めてしまうと皮がむけにくくなってしまうので、熱さと戦いながら一生懸命皮をむいていました。
つぶしたジャガイモと炒めたタマネギ・ひき肉を混ぜ合わせ、最後にもう一度塩コショウで味をととのえました。
材料を均等に分けて小判型に形を整えてから、衣を付けていきました。
小麦粉→溶いた小麦粉→パン粉の順にすき間がないようしっかりつけるのがポイントです。付いていない部分があると破裂してしまうので気をつけましょう。
調理師さんにコロッケを揚げてもらっている間、サラダやスパゲティなど他のメニューをお皿に盛り付けました。
「そっちのお皿レタス少ないよ~」など声を掛け合って、均等にバランスよく分けていました。
コロッケが揚がり、全体を通して調理師さんより一言いただきました。
「みなさん安全に気をつけ丁寧に作業することができました。自分たちで作ったコロッケをよく味わって食べてください。」
その後みんな揃ってコロッケをいただきました。
サクッという良い音とともにみんなの満面の笑みがこぼれていましたね。
■ 06月19日(土) 塾活動 ~親子大会塾生企画の準備~
夜の塾活動では、親子大会で参加者に楽しんでもらうための塾生企画の話し合いを行いました。
塾活動のチームを越えて、「魚&水鉄砲」「きもだめし」「市村クエストⅤ」「野草エキス」の4つのグループに分かれて話し合い・準備を進めました。
人数が少なかったグループは自分たちの企画の魅力を他の塾生にアピールし、メンバーを増やすことに成功していました。
■ 06月20日(日) 共同農園作業 ~コムギの収穫・乾燥~
8期生が昨年の11月に種をまいてから約7ヶ月、黄金色に色付き収穫時期を迎えたコムギの収穫を行いました。刈る人と束ねる人に分かれて作業を進めました。
まずは無理なくにぎれる量のコムギをにぎり、のこぎり鎌のギザギザした刃を使って刈り取りました。この時、コムギを押さえる手の親指を下に向けると束が安定してより安全に刈り取ることが出来ます。慣れない作業ですが、集中し安全にも気をつけながら作業していました。
刈り取ったコムギは、次の人が束ねやすいように切り口をそろえて渡しました。次の人への思いやり「どうぞの束」ですね。
収穫した後1ヶ月ほど干して乾燥させるため、干しやすいように2つの束を交差させてしばります。
途中でコムギが抜け落ちて無駄にならないようきつくしばるのにひと苦労していました。
畑のコムギが刈り終わると、束ねた穂を大袋にまとめて軽トラックまで運びました。
落ちていた穂は残さずしっかり拾って帰りました。
続いて、塾舎まで運んできたコムギの束をベランダに干しました。干したコムギは、乾燥させ、脱穀(だっこく:穂から粒を取り外す)・風選(ふうせん:風で殻や軽い実を飛ばして取り除く)などをして製粉してからやっと食材として使うことが出来ます。収穫してから口に入るまで長い時間と手間がかかっているんですね。自然塾ではうどんや素麺(そうめん)、おやつの材料として使われる予定です。
最後に、穂が落ちていないかもう一度確認し片づけをして終了しました。
■ 06月20日(日) ステージの振返り
ステージの終りに枝村塾頭よりお話がありました。
「今回、コムギの収穫作業を行いました。昔は『米つぶを残すと目がつぶれる』とも言われたように、米やコムギなどの穀物(こくもつ)は保存がきいて長持ちする大切な食べ物ですね。一粒一粒大切に収穫できたでしょうか?
また、ジャガイモを収穫しましたが、種イモで植えた時の8~10倍の重さのイモとして収穫し美味しいコロッケとしていただくことができました。これもお天道様や雨など自然の恵みのおかげ、また途中で世話をした人や調理してくれた人のおかげだということを感じ、理解してほしいと思います。
そして、この塾へ来ることができるのは、送り出してくれている保護者のおかげです。何事にも感謝の心を忘れないようにしましょう。」
■ 編集後記
いよいよ夏至を迎え、本格的な暑さが感じられる頃になりました。まだ寒さの残っていた第1ステージから約3ヶ月、塾生活に慣れ、掃除や片付けなど色々なことに積極的に取り組む姿が見られるようになってきました。行動すべきところで声を掛け合うことができるようになってきたのも心強いですね。塾生自身も「積極的に行動できるようになってきた」「体力がついてきた」「周りにいる虫に慣れてきた」など様々な変化を感じているようです。是非、家族のみなさんで「こんなところが変わったね」など話題にしてみてはどうでしょうか?
一方で自分のやりたくないことはやらず、他の人に任せきりにするという場面も時々見られます。是非、「嫌だな」と思うことにも目を向け取り組んでいってもらいたいと思います。
Y.S.