2010.05.07~09
第04ステージ ~女子~
ステージテーマ:「お茶作りに挑戦し、新茶の味を楽しもう!」
共同生活の目標:「ルールを守る」
 自然塾のある神奈川県足柄上郡は足柄茶という名茶の産地です。そこで今回の活動では、塾生たちに自らが摘み取った茶葉を使って煎茶(せんちゃ)つくりに挑戦をしてもらいました。また、入塾してから1カ月半が経ち、自然塾の生活に慣れてきた塾生たちの気が緩む時期でもあります。そこで今回は、自然塾での基本的なルールについて再確認をし、何のためにルールがあるのか考えてもらうために「ルールを守る」を目標に掲げて生活してもらいました。
■ 5月7日(金) 夜の集い ~塾頭の話~
ステージのはじめに枝村塾頭よりお話がありました。「5月4日に八十八夜を迎えました。お茶摘みの季節であり、農作業でも忙しい時期です。今回は夏野菜を植えつけますが、苗には思いやりを持って接してください。今回の目標は「ルールを守る」です。ルールとは、守るべき約束ごとであり、守らないと何事も上手くいかなくなるし、周囲の人に迷惑がかかってしまいます。代表的なものには交通ルールがあります。同じ様に自然塾にも色々なルールがあります。ここでは共同生活をしているのですから、時には勇気を持って自分がやりたいことを我慢しなければならないこともあります。皆がルールを守って楽しい塾生活を送れるように努力しましょう。」
■ 5月8日(土) 塾活動 ~お茶摘み~
土曜日の朝最初の活動はお茶摘みでした。はじめに茶葉の摘み方の説明をスタッフより聞き、各チームに分かれてお茶摘みをはじめました。チームごと約300g摘み取りました。はじめのうちは「これでいいの?」とスタッフに聞いてばかりでなかなか作業が進みませんでしたが、そのうちにやり方がわかると集中して、黙々と茶葉を摘んでいました。
途中、摘み取ったお茶の葉を味見..してみました。「にが~い!でも、なんとなく甘いかも?」と、お茶の風味を味わっていました。
■ 5月8日(土) 塾活動 ~基本的なロープの結び方~
土曜日の午前は、夏野菜の苗を植える予定でしたが、昨日まで雨が降っていたために、代替プログラムとして基本的なロープの結び方を練習しました。これからの農作業では、野菜を麻ヒモで誘引したり、動物や雨を除けるために工作物を設置する機会も増えます。そこで活躍するロープや紐(ヒモ)の結び方を身につけて欲しかったのですが、初回から色々と詰め込むのは難しいと判断し、最も基本的な3種類の結び方をスタッフから説明を受けた後に各自で練習してもらいました。最後にテストを受けて合格した順番におやつを食べて良いことにしたためか、みんな熱心に練習していました。
■ 5月9日(土) あしおとツアー ~ジャガイモの芽欠き・ダイコンの間引き~
おやつの後は、これまでに植えつけた野菜の様子を見に行って必要な世話をする「あしおとツアー」に出かけました。
第1ステージに植えつけたジャガイモは植えつけてから約1ヶ月半が経ち、ずいぶんと芽が大きくなっていました。そこで今回は芽欠きという作業を行いました。この世話をしないと立派なジャガイモが出来ない大切な作業であることを説明すると、塾生たちは真剣に取り組んでいました。
続いては、第2ステージに種をまいたダイコンの間引きを行いました。あまりに手早く作業を終わらせてしまい時間が余ってしまったので、しばらく畑の雑草を抜いてから塾舎に戻りました。ちなみに間引いたダイコンは夕飯の味噌汁に入っていました。
■ 5月8日(土) 特別講義 ~岩下先生のお話~
昼食後、現代礼法研究所の岩下先生よりマナーのお話をうかがいました。「『マナーは愛』です。マナーとは相手の立場や気持ちに対する思いやりが表に出たものです。『LOVE』という言葉が日本に伝わったとき、『愛』とは訳されずに『ご大切』と訳されました。人を大切に思いやることを心がけると脳が活性化します。相手のことを一生懸命に思いやると、相手の脳も活性化します。愛のある人になってください。」このほかにも、食事中のマナーや箸の使い方、座布団の使い方などさまざまな作法を教えていただきました。塾生たちも先生の人柄と話術に引き込まれた様子で、その後の生活で実践したり努力している姿が見られました。
■ 5月8日(土) 塾活動 ~お茶作り~
土曜日の午後の作業は、お茶作りでした。はじめにお茶の歴史に触れ、どのような種類のお茶があるのかなどの説明を受けてから、朝一番に摘み取った茶葉を使って煎茶づくりに挑戦しました。本格的に行うと時間と労力が非常にかかる作業ですが、自然塾では簡便な方法でお茶作りを体験しました。厨房で蒸したり電子レンジを使って乾燥してもらったりした茶葉を、各チーム毎に手を使って揉んでからホットプレートで煎りました。しばらくすると食堂中にお茶のいい香りが広がりました。
会場の片づけと掃除を行った後、美味しいお茶の入れ方を教わり、いよいよ出来立ての新茶の味を堪能(たんのう)しました。どのチームも「うちのチームが一番おいしい!」と大満足でした。
■ 5月8日(土) 共同農園作業 ~ナス・ピーマン・トマトの植付け~
お茶作りの後は、前夜の雨の名残りで午前中に作業ができなかった夏野菜の植付けを行いました。時間が短くなったために畝たてと苗を均等に並べるところまではスタッフが代行しましたが、肝心の植付け作業からは塾生たちが行いました。前回の第3ステージでレタスとキャベツを植えつけた塾生にとって共同農園で苗を扱うのは2度目でしたので手馴れた様子でテキパキと(少々雑に)植付けていました。苗は野菜の赤ちゃんなので、優しく扱ってくださいね。
植付けた苗に肥料をやった後、支柱を立てました。夏野菜は背が高くなるので、支えてあげなければ倒れてしまいます。支柱を立てる方向は作物が影にならないように北側に立てました。1つ1つ細かいことですが、美味しい野菜を収穫するためには大切なことなのです。
支柱を立て終わると麻ヒモで誘引をしました。この作業は特に丁寧に行わなければ植付けたばかりの苗を傷つけてしまい、成長の妨げになります。作物の生長を左右する大切な世話の1つなので、傷をつけないよう十分に注意して作業を行いました。
■ 5月8日(土) 共同農園作業 ~オカボの種まき~
自然塾には田んぼが無く畑しかありません。ですから、畑で育つお米「オカボ」の種まきを行いました。オカボとは漢字で「陸稲」と書き、畑で育てられる品種なのです。今回まいたオカボは最終18ステージに餅つきをする際に利用する「もち米」をまきました。
まずは溝切りです。ジャガイモを植付けた時と同じ要領で溝を作りました。ジャガイモの時と比べてクワの使い方が随分と上手くなりました。溝の底が平らになるようキチンと丁寧に作業を進めることができたでしょうか。
溝が出来たら、種をまきます。種と種の間隔は約2cm。根気が必要な作業です。すぐに根負けしてしまい適当な間隔で種をまいている塾生もいれば、じっくりと何もしゃべらず黙々と種まきに没頭している塾生もいました。コツコツと作業を出来るかどうかで各塾生の持つ根気強さ・粘り強さを測ることができました。
種まきが終わったら、上から土をかけて終了です。土はだいたい種の大きさの3倍かけます。塾生たちは土を細かく砕きながら種の上に土をかけていました。うまく芽が出てくれると良いですね。
■ 5月8日(土) 塾活動 ~危険生物の話~
自然塾周辺には、たくさんの生き物がいます。中には人に害を及ぼす生き物もありますので、事故にあわないためにも、どのような動物や植物が危険なのか、遭遇した際はどんな行動をとるべきなのかを知っておく必要があります。そこで、塾周辺で出会う可能性のある危険な生物について学習しました。塾生達は自分の知識を披露(ひろう)したりと騒がしくなってしまう時もありましたが、大きな興味と関心を寄せて聴いてくれました。最後に、塾で定められた正しい服装で作業することと、むやみやたらに草むらに入ったり知らないものを触ったりしないことを強調してまとめとしました。
■ 5月9日(日) 共同農園作業 ~キュウリの植付け~
前日の夏野菜3種(トマト・ナス・ピーマン)の植付けに続いて、この日の朝は同じく夏野菜であるキュウリの植付けを行いました。ウリ科の作物は寒さに弱く、ウリハムシという害虫に狙われやすいことから、植付けた株の周りにホットキャップというビニル製の簡易トンネルを被せました。チーム農園でウリ科の野菜を植付ける塾生たちは特に真剣に作業していました。
■ 5月9日(日) チーム農園作業
日曜日の残りの時間はチーム農園作業のための時間となりました。今回のステージでは各チーム共にやるべき作業がたくさんあり、大変な様子でした。さっそく、共同農園作業で学んだことを生かして苗を植えています。
こちらのチームは今回植付けた苗に敷き藁(しきわら)をしています。隙間なく藁を敷くことによって、土からの病原菌が作物に入らなくなると同時に、温度や水分も保ってくれて、雑草の繁殖(はんしょく)も抑えてくれます。
■ 5月9日(日) ふりかえり ~塾頭の話~
ステージのまとめとして、枝村塾頭よりお話がありました。「岩下先生のお話の中で、『マナーは愛』ということをうかがいましたね。塾活動だけでなく集団生活においては相手に対する思いやりの心が大切です。食事の時も調理師さんが作ってくれて、いつも美味しい料理が食べられることにも感謝しないといけません。そして食べ物になった生き物の命をいただいていることへの感謝も忘れずに、苦手な物でも残さずに食べてください。」
■ 編集後記
 今回のステージ中、特に日曜日のチーム農園作業中は真夏を思わせるような暑さでした。しかし塾生たちは計画を立てた通りにチーム農園作業を頑張っていました。夏に近づくにつれ、これからもっと暑くなりますが、弱音を吐かずに頑張っていきましょう。自然塾では農作業を通して我慢する心を養っているのです。
 また、岩下先生のお話によると、人間の表情筋は30以上あるものの、普通の人が意識して動かせるものは、目・口・舌の3種類しかなくて、その他の表情筋は心(感情)で動くのだそうです。つまり、いつも「いやらしい」ことを考えている人は「いやらしい」顔つきになるし、「意地悪」なことを考えている人は「意地悪」な顔つきになるそうです。塾生活を通して塾生達には是非、大らかな「優しい」顔つきになってもらいたいものです。
H.T.