2010.04.23~25
第03ステージ ~女子~
ステージテーマ:「思いやりを持って丁寧に野菜や人に接しよう!」
共同生活の目標:「時間を守る」
 第1ステージから1ヶ月が過ぎました。4月も終わりというのに肌寒い日がたびたびおとずれ、せっかくの新芽が寒さでやられてしまったものも見られます。
しかしながら、晴れ間がのぞくたびに山々は萌黄色(もえぎいろ)へと移ろい、ウグイスもきれいな鳴き声を響かせ、春の息吹を感じられるようになりました。

 今ステージのテーマは「思いやりを持って作物や人に接しよう!」です。
このステージは、思いやりの心を意識してもらう活動が詰まっています。今回は始めての苗の植え付け、キャベツ・レタスの定植をします。苗はとてもデリケートなものです。思いやりを持って丁寧な作業をしないと、立派に育ちません。
「あしおとツアー」では畑の作物の様子を見てまわり、作物に必要な世話をします。ここでも思いやりを持って丁寧に野菜に接することを学びます。
また、マナー講座では、共同生活や社会の中でのマナー=思いやりについて考えてもらいます。

 このステージの共同生活の目標は「時間を守る」です。時間は誰にでも平等に与えられているものであり、なおかつ、有限なものです。一人一人がその時間を大切にし、仲間の時間も大切にすることは、共同生活の基本といえます。そのため、今回は時間を意識して生活してもらいました。
■ 04月23日(金) 夜のつどい
 ステージのはじめに枝村塾頭から話がありました。
「第1ステージ、第2ステージの目標、『あいさつをする』、『人の話を聴く』を、家や学校でも行っていますか?今日はみんなが塾へ来たときあいさつをしてくれました。とても元気がでました。あいさつは相手の目を見て笑顔で大きな声ですること、人の話は姿勢を正して相手の方を見て最後まで聴くことが大事です。

 今ステージでは、キャベツ・レタスの植え付けをします。野菜は正直です。思いやりを持って世話をすると大きくおいしい野菜ができます。人に対しても同じです。愛情を持って接すると相手からも同じようにしてもらえます。
 いろいろな作業を基本にのっとって正しく行ってください。道具は正しく持って正しく使いましょう。そうすると早く、きれいにできます。
 共同生活の目標は時間を守るです。時間を守ることは共同生活にとってとても重要です。今までは少し遅れてしまったこともありましたが、これからは時間を気にしながら行動してください。1人の遅れは28人(倍)の遅れになります。時間が守れる人から信用されます。
ステージ中、時間を守ること、丁寧に作業することを心掛けて活動してください。」
■ 04月24日(土) チーム活動 ~チーム農園の看板作り~
 男子ステージに引き続き、この日もまたも前夜まで雨が降り、日中も雨が降ったりやんだりの天気となりました。
予定では、キャベツレタスの植え付けを予定していましたが、作業を行うと畑の土をかためてしまい、あとあと作物が育つのに悪影響を与えてしまいます。雨のあとむやみに畑に入らないのも、作物への思いやりのひとつでしょう。

そこで、畑作業のかわりに、チーム農園の看板作成を行いました。
 看板の杭を作るため、角材を長さを測っています。差し金を使い、真剣な表情です。
 こちらはチーム名を書いた看板を作っているところです。各チームとも個性的な名前を付けていますが、チームの看板にもいっぱい工夫を凝(こ)らしていました。
 最後に看板を杭に打ち付けます。まっすぐ打たないとクギは曲がってしまいます。油断するとカナヅチで自分の指もたたいてしまいます。集中して打っています。看板作りも集中して行わないといけません。
 

Aチーム

Bチーム

Cチーム
 Dチームは、すべての看板が完成しなかったので、チームの写真はおあずけになりました。
 次の機会に作り上げてください。楽しみにしています。
■ 04月24日(土) ガーナの体験談
 塾へボランティアに来ていただいているスタッフが、昨年12月から今年3月までアフリカのガーナでボランティア活動をしてきました。昼食の時間にそのときの体験談を聞かせていただきました。
「日本に輸入されるカカオのうち8割がガーナ産です。そして、野口英世がガーナで黄熱病の研究を進めていました。」
「ガーナはとても貧しい国です。食べるものも少なく、学校へ行けない子供もたくさんいます。」「それでも、みんなとても優しいです。物が壊れたらみんな自分たちで直します。見ず知らずの人、みんなが声をかけてくれます。みんなとても心豊かな人々です。」
 ガーナという国を知っている塾生もいましたが、直接の体験談を興味深く聴いていました。
■ 04月24日(土) チーム農園の作付け計画の検討と再計画
 第2ステージではチーム農園計画を発表しました。そのとき、さまざまな指摘やアドバイスを受けました。この時間ではそれらのことを考えながら、改めてチーム農園計画を検討しました。各チームとも野菜の本を調べなおしたり、それでも不明なところはスタッフのアドバイスを受けたりしながら、再計画を行いました。
 翌日のチーム農園作業では時間が取れないこともあり、明日のチーム農園作業計画もしっかりと立ててもらいました。
■ 04月24日(土) あしおとツアー
 市村自然塾関東では畑をまわって作物の様子を観察し、必要な世話をすることを「あしおとツアー」と呼んでいます。この名前の由来は、『足音(あしおと)を聞かせれば聞かせるほど作物はよく育つ。』というお百姓さんの言葉から来ています。
 つまり、何度も何度も畑に足を運んで作物の様子を見て、何が必要なのかを考えて世話をすること、作物に対する思いやりの心(愛情)が良い結果を生む、ということを表しています。
 今回、今までの活動で塾生が植えたり種をまいたりした、ジャガイモ・ゴボウ・ダイコンの様子を観察にいきました。
 第2ステージで種を播いたダイコンの畝(うね)には、3つずつ芽が出ていました(中には1つ2つだったり、関係ないところから出ていたものもありました)。
 ダイコンの芽の観察をすると同時に、ダイコンの根、葉、茎などの特徴の話があり、塾生たちは熱心にメモをとっていました。
 ゴボウの芽も双葉が出ていました。ゴボウの小さい芽は「ネキリムシ」という害虫の好物で、土の中から明け方に這い出し、芽や苗の根元をかみ切って倒してしまいます。その対策として、株元に卵の殻(から)をまきました。「ネキリムシ」は卵の殻(から)がチクチクするのを嫌がるといわれています。
 「ネキリムシ」が株元に入り込まないようにしっかりと芽のまわりにまきます。なおかつ、芽を傷(いた)めたり、日の光をさえぎったりしないように、葉っぱにかからないよう丁寧にまきました。
■ 04月24日(土) 夜の塾活動  ~マナー講座~
 このマナー講座は、塾生たちにマナーについて考えてもらおうという目的で、ボランティアスタッフに行っていただきました。
 まず最初に、「どうぞのいす」という絵本の読み聞かせをしてもらいました。
 そのあと、絵本に出てくる動物たちの気持ちを考えて答えました。
 思いやりの心、自分以外の人を大切にする気持ちがマナーだということ、ルールとマナーの違い、身近なマナーのない一例について話がありました。
 
 そのあと、塾での食事、入浴、通塾の場面で、どのようにしたらみんなが気持ちよくすごせるかをチームごとに考えてもらいました。
チームごとに考えた後、その内容を発表してもらいました。

 食事の時は、あまり立ち歩かない、残さず食べるなど、
 入浴時には、ふざけない、体を拭(ふ)いてからあがるなど、
 通塾時のマナーでは、静かにする、お年寄りなどに席をゆずる、などのほか、風邪をひいたらマスクをする、地面に座らない、などなるほどと思うものも出ていました。

 最後に、「考えたマナーをぜひ実践(じっせん)してください。そうすることで、みんなが暮らしやすくなりますね。」と、念を押してまとめとしました。
■ 04月25日(日) 準備体操
 久しぶりに気持ちよい晴れ間が広がりました。今日の農作業に備えて、塾庭でしっかりと体をほぐしました。
■ 04月25日(日) キャベツ・レタスの植え付け
 畑の土も農作業には良い状態になっていました。

 早速、畝(うね)たてをしました。最初は、私のところは長い、などと泣き言をいう塾生もいましたが、この後は大切なチーム農園作業も待っています。すぐにみんなテキパキと畝たてをしていました。
 畝(うね)は苗にとって大切なベッドです。
苗が居心地良く生長できるよう、表面をきれいにならしました。
 畝(うね)が出来たら、まずキャベツ・レタスにとって適している間隔に苗を並べました。
 苗を並べたら、いよいよ苗の植えつけです。。葉っぱを折ったり、埋めたりするとキャベツ・レタスの生長に悪影響を与えます。畝(うね)の上に植え穴を掘り、慎重に苗を植え、さらに、苗にとってのお弁当ともいえる肥料をまわりに与えてあげました。

 思いやりをもって丁寧に植えてあげたので、きっと立派に育つと思います。
■ 04月25日(日) チーム農園作業
 チーム農園作業を始めるにあたって、まず行うことを確認しています。持ち時間は1時間ちょっとです。
 次回第4ステージも忙しく、チーム農園作業の時間が少ないので、今回畝(うね)たてをすべてしてしまおう、という作戦のようです。
 このチームは今回メロンの苗を植えつけました。
 まずは区画割をして、畝(うね)たてをしなければなりません。
 メジャーを使い、真剣な表情で位置を測(はか)っていました。
 このチームはエダマメを育てますが、最初はポットで苗を育てて、その苗を畑に植える計画です。
 畑に直接播いてもよいですが、こうすると鳥に狙(ねら)われることもなく、確実に苗を育てられますね。
 早速(さっそく)、ポットに土を入れ、種を播いていました。
 このチームは植えつける作物がたくさんあります。
 今回、スイカとサトイモを植えました。
 土が湿っぽいところにサトイモを植える計画は良かったのですが、想像以上にぬかるんでいて、悪戦苦闘(あくせんくとう)していました。
■ 04月25日(日) ステージのまとめ・振り返り
 活動の終わりにあたって、枝村塾頭から話がありました。
「今は二十四節気の1つの穀雨(こくう)といって雨が多い時期です。しかしこの時期に種まきや植え付けをすると、て五月晴れ(さつきばれ)の季節に作物はすくすく伸びることができます。お百姓さんは大変ですが、自然の仕組みは良く出来ています。
 今回、活動にあたって、皆さんは思いやりを持ってやさしくやってくれたと思います。野菜は正直なので、大きく甘い野菜になるでしょう。
 マナーは思いやりの心です。ぜひ学校でもやってください。
 今回時間に対してきびしくしていましたが、時間は守れましたか?まだ慣(な)れないことがあって遅れていたかもしれません。
時間を守ると人から信頼され、信用されます。たくさんの友達ができます。時には、遊んでいるのを止めることも必要です。朝眠くても起きなければいけないかも知れません。勇気がいることです。自分に対して強くなることでもあります。」
■ 編集後記
 今回のステージは雨の影響を受け、土曜日はほとんど畑作業が出来ませんでした。そのため、予定していたキャベツ・レタスの植え付けを日曜日にあわただしく行い、かつ、必要な作業をすべては出来ませんでした。しかし、その中で、塾生たちは意欲的に作業に取り掛かっていたように思います。今年は特に雨が多く感じますが、二十四節気でいうと今は穀雨(こくう)にあたり、作物にとっては大切な雨です。人間は自然と付き合っていかざるを得ないということを思い出させてくれます。
 今回のステージテーマにある、思いやり、丁寧な行動は野菜に対してはおおむね出来ていたように思います。これからも愛情を持って育てていって欲しいと思います。
 マナー講座では人に対する思いやりを考えました。考えるばかりではなく、実践(じっせん)できてこそマナーです。塾の中ばかりでなく、学校や家でもぜひ実践(じっせん)して欲しいと思います。
 共同生活の目標の「時間を守る」については、まだ不慣れな点があり、集合時間や食事時間など遅れてしまう塾生がいました。しかし、大半の塾生が「時間」を意識して行動していました。特に今回日曜日は農作業が詰まっており、時間を有効に使う意識が強かったと思います。共同生活では、一人が遅れると残りの人を待たせてしまい、待たせた人の時間を無駄にすることになります。自分のためにも、仲間のためにも、時間を大切にする意識を持って行動していって欲しいと思います。
T.K.