2010.11.05~07
第17ステージ ~男子~
ステージテーマ:「自然の恵みに感謝し、野外調理で各チームの味を楽しもう!」
共同生活の目標:「今までの目標の中から塾生全体で一つを選ぶ」
 活動も残すところ2ステージとなりました。第17ステージでは今までの活動の総集編として、収穫祭を行いました。共同農園で育ててきた野菜を自らの手で収穫し、それを食事当番で培った技術で処理し、ご飯炊きで経験した火起こしを駆使して煮込み、ごった煮汁を作りました。塾生たちが育てている作物も、塾の食事に出てくる野菜も全て土や太陽、雨などの自然がなくては育ちません。私たちにたくさんの恵みを与えてくれる自然の恵みに改めて感謝してほしいということで掲題のテーマに取り組んでもらいました。また、野外調理では日ごろからお世話になっているボランティアのみなさんに感謝の気持ちを込めて、自分たちの手料理をふるまってもらいました。その他の農作業としては、来年の塾生のためにコムギの種蒔きも行いました。
 共同生活の目標は、今回から塾生全体で決めてもらったのですが、活発な議論の結果『何事も心を込めてきちんと丁寧に作業する』に決まりました。
■ 11月05日(金) 夜の集い
ステージの最初に、枝村塾頭からお話がありました。「今回のステージでは、収穫の喜び・豊作への感謝を込めて収穫祭を行います。皆は色々なものに支えられています。この塾を支援してくれている人たち、大地・自然、両親への有り難さを感じ、お蔭様の気持ちを持ちましょう。明日は奉納相撲もします。勝ち負けは関係ありません。精一杯やることが大切です。塾では”3つの心と2つの力”を大事にしていますが、これからも大切にしてください。」
■ 11月06日(土) 収穫祭 ~味噌の開封~
まず収穫祭を始めるに当たって、枝村塾頭から開会宣言があり、その後いよいよ待ちに待った味噌樽(たる)の開封となりました。チームごとに味噌の入った樽の周りを囲んでフタを一斉に開けると味噌の香りが土間中に広がり、次々と塾生たちの歓声が聞こえてきました。樽の中の様子は、ほとんどカビが生えずにキレイだったり、モッサリと白いカビが生えてしまっていたりと、チームによってマチマチでした。仕込みの丁寧さが結果として出たようです。
次に、表面に生えてしまったカビを余分な味噌をけずらないように丁寧に取り除きました。そこから今回の調理で使う分の味噌をお皿にとってから、味見をしました。同じ材料を使っていてもチームによって味が異なり、塾生たちは各チームの味を食べ比べていました。そして、樽の内側を殺菌し、味噌にカビが生えないように、丁寧にラップで再びフタをして大切に保管しました。来年の塾活動で使うためです。
最後に、味噌作りの指導に来ていただいたボランティアの方から総評を述べていただきました。「味噌を仕込んでから6ヶ月間経ちました。あの時にミンチした味噌の元は塩味が強かったのを覚えていますか?あれから味噌は熟成しておいしくなっているでしょう。みんなは成長しましたか?味噌で言うとみんなが『大豆』。塾周辺の環境や塾のスタッフ、ボランティアの方々が『麹(こうじ)』や『塩』のようなものです。合わさって美味しい味になるのです。また、味噌は具の味を引き出すという話をしたのを覚えていますか?この6ヶ月間でみんなも味噌のような人になれたでしょうか?」
■ 11月06日(土) 収穫祭 ~野菜の収穫・洗浄・奉納~
各チームに分かれて、今回野外調理でつくる『ごった煮汁』の材料を各畑で収穫してもらいました。
収穫した野菜は塾に持ち帰り、それぞれキレイに洗い、玄関前で奉納台に供えました。
ダイコン、ハクサイ、ネギ、キャベツ、サツマイモなど、さまざまな作物が玄関前に並べられ、スタッフから「山の神」に関する話がありました。
各チームで『ごった煮汁』に使う野菜を取り分けた後、いつも美味しい料理をつくってくださる調理師さんに、塾生の代表4名がお礼の言葉を述べ、収穫してきた野菜を渡しました。
■ 11月06日(土) 収穫祭 ~野外調理~
各チーム内で、火起こし・ダッチオーブン担当、仕込み・調理担当、おにぎり担当、焼き芋担当の4つの役割に分かれて調理に取り掛かりました。
仕込み・調理担当の塾生は、ダイコン・ゴボウ・ネギなどの材料を刻み、空のダッチオーブンに入れていきました。イチョウ切り、ゴボウの笹がきなど、どの野菜にも均等に火が通るように切りました。今まで食事当番の時に包丁使いを学んで練習していることもあり、テキパキと作業することができました。
焼き芋を準備する塾生は、サツマイモを洗い、濡れた新聞紙で包み、その上からアルミホイルで包みました。芋がはみ出さないように丁寧に作業しました。
火起こし・ダッチオーブン担当の塾生は、三脚のセットや火起こしをしました。食事当番の釜ご飯炊きの経験から火起こしは上手いものです。新聞紙や牛乳パックなど燃えやすい物を下に、その上にゴマの殻や竹と、火が燃え移りやすいように組み、火をつけました。鍋(なべ)の準備ができたチームからダッチオーブンを火にかけました。火や鍋の様子を見ながら竹をくべ、しっかりと煮込んでから、最後に自分たちの仕込んだ味噌で味付けをして『ごった煮汁』の完成です。
とても上手に出来ました!各チームのテーブルに、いつもお世話になっているスタッフを招いて昼食にしました。自分のチームの味だけでなく、他のチームの味を楽しむ塾生も数多くいました。それぞれに良さがあり、どのチームも美味しい『ごった煮汁』をつくることができました。やはり自分たちで作った料理は格別なのでしょう。「うちのチームが一番おいしいよ!」と、どこのチームも自慢していました。鍋いっぱいにあった『ごった煮汁』も、「ご馳走様」をする頃には、各チームとも完食!すべての鍋が空になってしまうほど、みんなよく食べていました。
■ 11月06日(土) 収穫祭 ~奉納相撲~
昼食の片付けの後、収穫祭も大詰め、ムギワラボウシ畑に出来た土俵で、学年ごとにトーナメント形式の相撲大会が行われました。どの塾生も全力を出して頑張っていました。両者の力が互角(ごかく)でなかなか決着がつかず取り直す組もありました。戦う人も応援する人も真剣に取り組めた、とても良い相撲大会になりました。優勝者の決まった後には、自分が力比べをしたい塾生を指名して、熱い戦いが繰り広げられました。
各学年の優勝者には、賞品として1人1玉のキャベツが贈られました。その上さらに総合優勝者には、サトイモ1株がプレゼントされました。もちろん収穫は各自の手で行なってもらいました。
よほど嬉しかったのでしょう。みんな良い顔してますね。
■ 11月06日(土) おやつ
この日のおやつは野外調理の時のかまどで焼いたサツマイモでした。お腹いっぱい昼食を食べたはずなのに、美味しくて皆ぺロりと平らげてしまいました。
■ 11月06日(土) 共同農園作業 ~コムギの種まき~
市村自然塾では、前年度の塾生から次年度の塾生へとバトンをつなぐ「リレー作物」として、毎年コムギの種をまいてもらっています。現9期の塾生たちも前8期生が種まきをしたコムギを収穫して、うどん等の食事やかりんとう等のおやつとしていただきました。今度は自分達が来年の10期生のために種をまきます。みんな1粒1粒、心を込めて丁寧にまいていました。きっと来年も豊作でしょう。
■ 11月06日(土) 夜の塾活動 ~歌の練習・作文~
卒塾まで残すところ2ステージです。卒塾式では、全員で歌を歌います。歌うのは「故郷(ふるさと)」と「今日の日はさようなら」の2曲です。そこで、この日の夜の塾活動前半は、卒塾式に向けて歌の練習をしました。「故郷」の歌詞には、今では少なくなった日本の原風景がうたわれています。せっかく自然に囲まれた市村自然塾で皆と8ヶ月間過ごしたのですから、ここを第二の故郷と思って、自然塾での思い出や周りの景色などを思い浮かべながら歌って欲しいと思います。卒塾式には塾生活最後の思い出として精一杯歌いましょう。
歌の練習後、後半は、「市村自然塾で色々なことを体験して、どのように感じ、どんなことを学んだか。それを将来の夢にどう活かすのか。」というテーマで、作文を書いてもらいました。全18ステージを半分終えた第9ステージにも作文を書いてもらいましたが、今回は自分の夢や、将来どんな人になりたいかも踏まえて考えてもらいました。家で下書きをしてきた塾生、その場で塾生手帳を見返しながら一所懸命書いている塾生と様々でした。殆どの塾生が時間一杯使って書き上げ、それぞれの思いが文章に詰まっていました。作文は全員の分をまとめて、卒塾式にてお渡しします。
■ 11月07日(日) チーム農園作業
チーム農園も最終ステージまで今回を入れて残り2回です。しかし各チーム共に第18ステージ1回では持ち帰れないくらい作物が出来ています。そこで今回のステージから畑にある作物をどんどん片付けて持ち帰らなくてはいけない!というチームが多くありました。まさに収穫ラッシュです。どのチームも美味しそうな土産野菜が沢山で包むのに苦労していましたが、短い時間を計画的に使って作業できていました。帰る時には持ちきれないほど沢山の土産を抱え、嬉しい悲鳴が聞こえてきました。ここでも自然の恵みに感謝!ですね。
■ 11月07日(日) 卒塾アルバム作り
卒塾記念アルバムのチーム紹介ページを作成する時間は次のステージには有りません。ですから今回のステージのうちに完成させないといけないのですが、全てのチームで未だ完成していませんでした。そこで、チーム農園作業を早めに切り上げてもらい11時から昼食までの時間を卒塾アルバム作りの時間としました。
今までの活動の写真から選んだものを切り貼りして、チームそれぞれの思い出に残るページを工夫してもらいました。手を抜かずに後で自然塾の思い出がよみがえるようなページに仕上げてくださいね。
■ 11月07日(日) まとめ ~塾頭の話・目標の振り返り~
枝村塾頭からステージのまとめのお話をしてもらいました。
「天候もよく収穫祭が無事に出来てよかったです。味噌も美味しかったし、ごった煮汁も良く出来ました。味噌のボランティアの箕輪さんが『味噌のような人になって欲しい』と話していましたが、とても良い言葉ですね。人間には良いところも悪いところもあります。人の良いところを引き出せるように自分も努力する。
みんなで助け合って良いところを引き出し合うことが大切です。お互いに相手の良いところを引き出してあげれば、お互い成長できます。また箕輪さんは『6ヶ月間で皆さんは成長しましたか?』と聞かれました。皆さん自身はどう思いますか。私は成長したと思います。嫌いな野菜を食べることができるようになった人もいれば、チーム活動で協力できるようになった人もいます。現代は、社会が発展して、お金さえあれば何でも手に入るような、物が豊富な時代ですが、感謝の気持ちを忘れないでください。
私たちは色んな人に支えられて生きています。自分を支えてくれる人たち、大地自然に感謝の気持ちを忘れずに、これからの人生、常にお蔭様の気持ちを持ち、自然に『ありがとう』と感謝の気持ちを声に出して言えるようになってください。」
最後に共同生活の目標の振り返りを行いました。部分的にできないところはあったが土曜日よりできたということで、話し合いの結果、目標の達成度は8点に決まりました。塾生たちは、積極的に堂々と意見を述べる人と押し黙ったままの塾生とに分かれてしまっていたのが残念でした。
■ 編集後記
 第17ステージが終わりました。収穫祭については今回のテーマ通り充分に楽しんだ様子が伺えました。各チームの「ごった煮汁」の味を楽しみましたし、奉納相撲では塾生同士が真剣に力比べをしている姿が見られました。また、チーム農園でも自分たちが世話をしてきた作物が大きくなり、収穫できることの喜びが子ども達の表情から伺えました。自分たちの力と大地自然の力が合わさった産物の味を自宅で堪能(たんのう)してくれたことでしょう。
 苦楽を共にしてきたチームのメンバーと生活するのも残り1ステージで最後となります。塾生たちには、自然塾での体験を通して「命の大切さ」「自然を慈(いつく)しむ心」「感謝の気持ち」など様々なことを肌で感じ取り、身に付け、これから先の人生において活用してもらえたなら幸いです。
H.T.