2010.10.22~24
第16ステージ ~男子~
ステージテーマ:「コンニャク作りを体験し、先人の知恵を学ぼう!」
共同生活の目標:「今までの目標の中から各チームで一つ選ぶ」
 今ではあたりまえの食材として使ってるコンニャクですが、そのもととなるコンニャクイモはとてもあくが強く、動物も虫も食べません。このイモをコンニャクに加工して食べられるようにしたのは、先人たちの数々の試行錯誤のおかげです。今回のステージでは、このコンニャク作りを実際に体験して、先人の知恵を学ぶことをステージテーマに掲げました。
 共同生活の目標は、今までの6つの目標の中から、チームとして一番出来ていないものを選んでチームの目標とし、活動に臨んでもらいました。
■ 10月22日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたって塾頭からお話がありました。 
 「春にはダイズから味噌を作りました。今回はコンニャクイモからコンニャクを作ります。ダイズは煮れば食べることが出来ますが、コンニャクイモは煮ただけでは食べられません。お腹をこわします。昔の人はどうすれば食べられるかいろいろ試した結果、あくを抜いて食べられるようにしました。先人の知恵が詰まった加工の仕方なので、明日はよく学んでください。
 あらためて食について話をします。みんなよく食べるようになりました。嫌いなものも食べられるようになって感心しています。ここだけではなく、家や学校でも実践してください。好きなものも嫌いなものもまんべんなく、よく噛んで食べて下さい。
 最近はごちそうさまを元気に言うことが出来るようになりましたが、私たちの食事は他の命を絶っていただいているものです。それを残してしまったら、命を絶ったものに申し訳ありません。そのことを思い出しながら、正しい姿勢でよく噛んで食べてください。
 残りの3ステージ、悔いを残さないように、楽しいときは楽しく、しめるときはしめ、活動にメリハリをつけて生活してください。」
 塾頭の話の後、今ステージの共同生活の目標をチームごとに話し合って決めました。
 一番出来ていないものを選んでもらった結果、「あいさつをする」、「時間を守る」、「何ごとも心を込めてきちんと丁寧に作業する」といったチームの目標が決まりました。
■ 10月23日(土) 食事当番 
 今回の食事当番はDチームでした。食事当番は第1ステージからA→B→C→Dチームと順番に行い、今回でDチームの自然塾での食事当番は終わりです。
 Dチームのメンバーは最後の食事当番に名残(なごり)惜しそうにしていましたが、ここで学んだことを家でも実践して欲しいものです。
■ 10月23日(土) 共同農園作業 ~コンニャクイモの収穫~ 
 朝、まずコンニャクイモを収穫しました。
中でも生子(きご、コンニャクイモの子芋)を上下左右に細長く伸ばした奇妙な形のイモは、塾生の興味をひいていました。
■ 10月23日(土) 共同農園作業 ~夏野菜の片付け~
 トマト・ナス・ピーマンは、気温も下がり大きな実をつけなくなりました。そこで、今回これらの夏野菜の片付けを行いました。
 片付けるにあたって、株についている小さな実をすべて収穫しました。小さな実も大切な命です。無駄にしないようにすべて収穫しました。
 小さな実をとった後は、株を抜き、残渣(ざんさ)を片付けました。
 トマト・ナス・ピーマンなどナス科の作物は、連作障害を起こすので、残渣は畑の外に運んで処分し、畑をきれいにしました。
■ 10月23日(土) 塾活動 ~コンニャク作り~
 コンニャク作りを始めるにあたって、作業の流れと自分が担当する仕事を理解するため、スタッフから作り方の説明を受けました。
 コンニャクイモを触ると痒(かゆ)くなるので手袋をして作業開始です。
 まずはイモを洗ってきざみ、ミキサーがけをしてイモをどろどろにします。
 次にどろどろになったコンニャクイモを鍋に移して煮詰めました。気を抜くと鍋にこびりついて固まってしまうので、根気強くかき混ぜまぜていました。
 煮詰める作業をしている間、コンニャクを固めるための凝固液(ぎょうこえき)を作りました。これを煮詰まった液に混ぜて固めますが、すばやくかき回さないとコンニャクにかたまりができてしまいます。かなり熱いのですが、自分たちのチームのコンニャクの出来ばえを左右する大事な行程ですので、どのチームの塾生も真剣でした。
 凝固剤を混ぜたら、すばやくバットに流し込み、平らにならしました。  各チームのコンニャクが出来上がりました。この後しばらく置いて冷ましてから、湯がいてあくを抜きます。
■ 10月23日(土) 共同農園作業 ~サツマイモの収穫~
 今回、第5ステージに植えたサツマイモを収穫しました。土を掘ると大きなイモがごろごろと姿を現しました。
 サツマイモはやせた土地でもよく育つので、救荒作物(きゅうこうさくもつ)と言われます。飢饉(ききん)のときにもたくさんの収穫をもたらし、人々の命を救ってきたというのも納得できました。
■ 10月23日(土) 塾活動 ~卒塾アルバムのチームページ作成~
 いよいよ卒塾が近くなってきました。自分たちが自然塾でどのような活動をしてきたか、何年経っても振り返られるように卒塾アルバムを作ります。塾生たちはチームのページ作りを担当します。思い出がいっぱい詰まったページに出来るよう、各チーム知恵をしぼって工夫をしていました。どのようなページが出来るか楽しみですね。
■ 10月23日(土) 塾活動 ~コンニャク作りの続き(あく抜き作業)~
 昼間に作ったコンニャクを湯がいてあく抜きを行いました。ぐつぐつ煮立つ鍋の表面に浮いてくるあくをとる作業ですが、初めて行った塾生がほとんどで、うまくあくだけ取れる塾生もいれば、沢山のお湯ごとすくってしまう塾生もいました。
■ 10 月24日(日) 共同農園作業 ~大根の世話~
 共同農園には、女子が種を播いた青首大根、男子が種を播いた漬物用大根が育っています。育ち方に大小はありますが、どちらももう一回り大きく育てないといけません。そのため、まず草をとり、追肥土寄せを行いました。収穫が楽しみです。
■ 10 月24日(日) 世話をした作物のシール張り
 自然塾の土間の作付け表に、今回世話をしたり、収穫や片づけをした作物のシールを貼り、作業を行った記録として残しました。
■ 10 月24日(日) チーム農園作業
 各チーム最後の収穫に向けて、必要な作業を行いました。チームによっては、収穫を行ったチームもありました。
 このチームでは、スイスチャードをもうひとまわり大きく育てるため、肥料をやって土寄せを行いました。
 このチームのサンチュはすっかり伸びてとう立ちしていました。畑に置いていても育たず花をつけてしまうので、すべて収穫し、お土産として持ち帰りました。 
 このチームのハクサイは一部虫に食べられていました。あまり虫に食べられないうちに、いくつか収穫してお土産にしました。
■ 10 月24日(日) ステージの振り返り~
 チーム農園の野菜はみんなが一生懸命面倒をみたので立派な野菜が収穫できそうですね。
 今では、味噌、梅干し、梅ジュース、梅ジャム、コンニャクなどが普通に手に入りますが、これらは偶然に出来たわけではありません。先人たちが苦労していろいろ試しながら作ったものです。
 ただ与えられたものを使ったり、人に全部やってもらうだけでは何も生まれません。自ら考えることが必要です。頭で考えるだけでなく、体を使って経験するから、新しいものが生み出せるのです。
 今年も2人の日本人がノーベル賞を受賞しました。ノーベル賞を受けた人たちは、先人たちの成果の積み重ねの上に立ち、それに新しい考えをつぎ込んで新しい発見をしました。
 何ごとも先輩たち、先人のおかげです。おかげさまの心を忘れないようにしましょう。
■ 編集後記
 コンニャクはその独特の食感や健康に良いことから、食材として私たちは使っています。しかし、それを作る過程は簡単ではありません。およそ食べられそうもないイモから価値のあるものを作り出した先人の知恵を、今回コンニャク作りを通して学び、そしておいしくいただきました。あたりまえのものでも、さまざまな過程を経てやっと出来上がることを、塾生たちは身を持って知ったのではないでしょうか?
 共同生活の目標は、前回に引き続きチームごとで決めてもらいました。第1ステージで目標とした、「あいさつをする」をチーム目標としたチームもあり、それぞれのチームは自分たちの足りない部分を認識しているようでした。土曜日中はなかなか目標を達成できなかったチームもありましたが、ほとんどのチームがその後努力して改善できました。チームとしての活動は将来さまざまな場面で出会うはずです。自然塾の活動中のみならず、他の場面でもチームワークで問題を解決していくよう、期待したいと思います。
T.K.