2010.09.24~26
第14ステージ ~男子~
ステージテーマ:「ハイキングを通して自然と人間について考えよう!」
共同生活の目標:「今までの目標の中から個人で1つ選ぶ(2回目)」
今ステージのメインイベントは、自然塾の近くにあるシダンゴ山へ登る『シダンゴ山ハイキング』でした。ハイキングには3つの目的をもって取り組んでもらいました。まず1つ目は、山林の中を歩きながら自然を観察し「地域の自然を知る」こと。2つめは最後まで自分の力で登りきり「自分の体力を知る」こと。3つ目はハイキングのプログラムを通して「里山の環境の変化や人間との関わりについて学び、考える」ことです。ハイキングを通して自然と人間について考えてもらいたいと、上記のステージテーマを掲げ、活動に取り組んでもらいました。
共同生活の目標は、前ステージに引き続き、今までの目標の中から個人で1つ選んでもらいました。
■ 09月24日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたり、塾頭からお話しをいただきました。
「今日はとっても寒かったのですが、みなさんの元気に圧倒(あっとう)されました。反対におとといはとても暑く、このような季節の変わり目は体調を崩しやすくなるので気をつけてください。
明日はシダンゴ山へハイキングに行きますが、このハイキングには目的があります。まず『自然のすばらしさ、大切さを学ぶ』ということです。自然塾で身につけてほしい3つの心と2つの力の1つに『自然を慈しむ(いつくしむ)心』がありますが、今回どのようなことか考えてほしいと思います。
明日は自然を観察しながら歩いてもらいますが、木は二酸化炭素(にさんかたんそ)をすって酸素(さんそ)をつくりだしてくれます。また、森では植物と動物が共存しています。人間は自然とどう関わるべきか考えてください。
もう1つの目的は『自分自身の体力と気力を試してほしい』ということです。今までつらい農作業を頑張ったあかしとして最後まで登りきって欲しいと思います。
こうやって山に登れるのも、いろんな人がみなさんを支えてくれているおかげです。感謝をして、そしてスタッフの注意をしっかり聞いて登りましょう。」

 このあと、ステージ担当から改めてハイキングの目的が説明されました。
大きく分け3つの目的があります。
①山林の中を歩きながら自然を観察し「地域の自然を知る」こと。
②山登りを通し、自分自身と向き合う。そして最後まで自分の力で登りきり「自分の体力を知る」こと。
③ハイキングのプログラムを通して「里山の環境の変化や人間との関わりについて学び、考える(自然の中の自分を知る)」ことです。
■ 09月25日(土) シダンゴ山ハイキング~出発~
服装・荷物の準備を整え土間に集合しました。おやつとお弁当を受け取り、ケガをしないようにしっかりと準備体操をしました。
また、これからハイキングを安全に楽しむための注意事項の説明を受け、出発しました。
■ 09月25日(土) 登山道入り口~宮地山
ルートの確認をするために登山道の入り口で最初の小休止をとりました。はじめに小さな宮地山という山を登頂してから、そのまま奥にあるシダンゴ山へ登ります。
ここでは3つの感謝の気持ちをもって登ってほしいという話がありました。
①『迎え入れてくれる自然に感謝』…これから登る山は本来そこに住む動植物のものであり、人間の都合で分け入るのを許してくれる自然に感謝の気持ちをもってほしい。
②『登山道をつくり、維持・管理をしている人々に感謝』…これから登る登山道は昔の人が大変な苦労をして道を切り開いたもの。また、登山者が安全に登れるように管理してくれている人々がいる。これから自分達がシダンゴ山に登れるのはその人たちのおかげ。
③『自分を支えてくれる人々に感謝』…今自分達が元気に山登りができるのは自分を健康に育て、自然塾に送り出してくれた家族や、自然塾のスタッフなどさまざまな人の支えがあってこそ。感謝の気持ちを持って登ってほしい。
ハイキングコースに入ると今までの道とは違い、細く傾斜がきつくなります。1列に並んで歩きますが、塾生同士の間も少しづつひらいていきました。出発の時は元気だったのに、もう息があがってしまっている塾生もいました。
■ 09月25日(土) プログラム1 ~ネイチャービンゴ~
宮地山頂でネイチャービンゴというゲームを行いました。
9つのマスの中に「どんぐり」、「生き物の鳴き声・音」など自然の中にあるものや音の書かれたカードを配り、探してもらうゲームです。チームごとに見つけたものに丸をつけて3マス連続して塗りつぶせるとビンゴ!。制限時間内にいくつビンゴにできるか競ってもらいました。惜しくも1マスだけ見つからず、それ以外は全部見つけたというチームもいました。
時間になったら、全員で見つけたものを発表し合いました。右の写真は、塾生が見つけてくれた人の顔に見える木です。みなさんは顔がわかりますか?
こうして遊びながら色んなところに目を向けてみると、自然の中から面白いものがたくさん見つかるようになります。

■ 09月25日(土) シダンゴ山ハイキング~宮地山→シダンゴ山~
プログラムが終わると、再びシダンゴ山の頂上に向けて出発です。途中足もとに落ちているものを拾って観察したり、周りの植物を観察したりとそれぞれ山道を楽しみながら登りました。
きつい上り坂になると口数も減り、自分自身と向き合って、打ち勝とうとしている場面も見られました。また、苦しそうな塾生がいると声を掛け、励まし合いながら登っている姿も見られました。
■ 09月25日(土) シダンゴ山山頂
頂上へ続く最後の上り坂はひときわ急な傾斜で階段が続くため、自然塾では『心臓破りの坂』と呼んでいます。最後の休憩から頂上まではいっせいにスタートし、一気に駆け上がります。今年の1番に山頂に到達したのはCチームのリーダーでした。さすが中学生。笑顔を見せる余裕もありますね。登頂した塾生たちの顔は疲れているけれども、達成感に満ちあふれたものでした。また、頂上に着いた塾生たちを待っていたかのように富士山が出迎えてくれました。
そしておまちかねの昼食です。調理師さんたちが朝早くから準備してくれた手作りのお弁当を感謝していただきました。運動した後に山頂で食べるお弁当は格別ですね。みんなおいしそうに食べていました。
食べ終わった人から景色を楽しみました。出発した時には、雨がふったりやんだりの不安定な天気でしたが、塾生たちの思いが届いたのか、頂上に着く頃にはきれいな青空が広がっていました。おかげですばらしい景色を眺めることができました。台風が通過した後ということもあり、大島や江ノ島そして千葉の方までくっきりと見ることができました。
■ 09月25日(土) 記念撮影
下山をする前に全員で記念撮影をしました。
■ 09月25日(土) プログラム2 ~森の芸術家~
下山途中のスギ林の中で、「森の芸術家」というプログラムを行いました。内容は、その場にある自然物を使って『シダンゴ山』を表現するというものです。
チームに分かれて行いましたが、どのチームもアイディアを出し合い、その場にあるものを使って思い思いに製作していました。
完成した作品をチームごとに披露し合いました。シダンゴ山の頂上から見た景色を表現したチーム、シダンゴ山の仙人の家をイメージして作ったチームなど、同じテーマでも様々な作品やアイディアがあり各チームの工夫がみられました。
■ 09月25日(土) プログラム3 ~里山は自然の宝庫~
さらに下ったところにある雑木林の前で、里山についてステージ担当から話がありました。
「電気やガスがない時代、ご飯を炊いたり、お風呂を沸かしたりするための薪(まき)をとり、畑の堆肥にするための落ち葉を集め、里山は生活の一部として利用され、大切に守り育てられてきました。
生活が便利になるにつれ、里山は利用されなくなり、開発されてなくなってしまったり、放置されてしまう里山が増えました。里山は管理されなくなると木や枝が伸び放題になり、竹や笹がたくさん生えて他の木が枯れてしまい、荒れ果ててしまいます。
結果生き物のえさやすみかがなくなってしまったり、木がなくなり土砂崩れや水害などがおきやすくなります。里山にある森林は『二酸化炭素を吸収し酸素を与えてくれる』『水をはぐくみ、川や海の生き物をはぐくむ』『野生動物のすみか』『安らぎを与えてくれる』など多くの役割を果たしてくれています。
人間の身勝手で開発し、壊してしまう自然もありますが、人間が手入れをしてあげないとバランスが崩れてしまう自然もあります。これから、自然とどのように関わっていけばよいか、1人1人に考えてほしいと思います。」
■ 09月25日(土) 自然塾到着・感想
全員が無事、元気に帰ってくることができました。感動や達成感を忘れないうちに1人ずつ感想を述べてもらいました。「大変だったけれど、頂上に着いた時は嬉しかった。」「大変だったけれど、途中からは大変なことも忘れるくらい楽しかった」など様々な感想を聞くことができました。みな晴れ晴れとした顔をして発表をしてくれました。
■ 09月25日(土) チーム農園作業
次の日のチーム農園作業の時間があまり取れないため、夕食までの時間はチーム農園の計画や作業をする時間としました。
他のチームは疲れて塾舎で休憩したり、計画を立てている中、このチームは全員外にでて追肥や試し掘りなど、できる作業を率先して進めていました。
■ 09月25日(土) 夜の塾活動 プログラム4~森の句会~
今回のハイキングの中で感動したことや発見したこと、思いついたフレーズなどを自由に俳句に表現し書き溜めておいてもらいました。夜の塾活動ではその中から気に入った俳句を1人1句清書し、発表してもらいました。
自分のつくった句と、その句にこめた思いを発表してもらいました。頂上から見えた景色を詠(よ)んだ句、お弁当のおいしさを詠んだ句、林の中で感じたことを詠んだ句など様々なものがありました。同じコースを通っても人それぞれ感じ方が違うことや、同じ情景を詠んだものでも人によって視点や表現の仕方がかわると全く違うものになることなどたくさんの驚きや発見、共感があったと思います。
また、俳句という五・七・五という限られた文字数で表現するため、ただ感想を述べるだけではでてこないような表現もでてきましたね。
■ 09月26日(日) 共同農園作業 ~ラッカセイの収穫~
日曜日最初の作業はラッカセイの収穫をしました。自然塾では実のつきかたが特徴的ということと、隣の秦野市の名産という2つの理由でラッカセイを育てています。もう一度、実のなり方を確認してから収穫の作業を行いました。
まず、地上部を引き抜きます。一緒に抜けてしまった実は、後でいっせいに集めるためその場に落とします。注意して見ないと、実がついたまま地上部を捨ててしまうことになります。やはり、ついたまま袋に入れられているものもあり、気付いた塾生が「まだついてるのあるぞ」と声を掛け合いながら作業していました。
続いて、ハクビシン除けの金網をはずし、地下に埋もれているラッカセイの実を探し掘りしました。掘り残しのないように何回も確認しながら掘りました。
塾舎に到着し、ゴミや傷んだ実を取り除きました。今回の収穫で4kgのラッカセイが収穫できました。収穫した実は分配し、お土産として持ち帰りました。
■ 09月26日(日) チーム農園作業
おやつをはさんで後半はチーム農園作業です。(ちなみにおやつは塾でとれたラッカセイを塩茹でにしたものをいただきました。)短い時間でしたが、収穫をしたり、新たに種をまいたりと協力して作業していました。
こちらのチームは前回まいた葉ものが、たくさん芽を出したので間引きを行いました。細かい作業ですが集中して行っていました。とれた間引き菜はお土産としてもって帰っていました。
こちらのチームは新しくコマツナとダイコンの種をまいていました。石灰をまいて混ぜ込むなど工夫をしていました。また、人数が少ない中協力して作業していました。
こちらのチームはサツマイモを収穫しました。こんなにたくさんのサツマイモが収穫できました。おいしかったでしょうか?
こちらのチームは前回植えつけた、ブロッコリーやハクサイなどに追肥をしていました。順調に育っているようです。大切に育て、おいしい野菜を収穫しましょう。
■ 09月26日(日) まとめ
ステージのまとめとして塾頭からお話しをいただきました。
「昨日のハイキングは予想に反していい天気に恵まれ、シダンゴ山に登ることができました。すばらしい景色を見ることができてよかったですね。『達成感があった』『お弁当がおいしかった』などいろいろな感想をききましたが、それぞれ思い出に残ったと思います。みなさんが自分の力で最後まで登りきれてよかったです。自身をもってください。
また、良かったなと思ったら3つの感謝を忘れないでください。
里山の話でもあったように、山と海はつながっています。私は釣りをしますが、本当によく感じることです。山に木がなくなると川も海もだめになり、魚も住めなくなってしまいます。
他にも、木がなくなると温暖化の原因になったり、土砂が崩れたりしてしまいます。山や自然環境を大切に守っていきましょう。」
■ 編集後記
今回のハイキングの目的のひとつに「地域の自然を知る」がありましたが、ネイチャービンゴをはじめ、登山道の途中でも多くの塾生が自然観察を楽しんでくれていました。では、ハイキングから帰ってきて、塾舎の近くにきれいなヒガンバナが咲いていたことに気付いた塾生はどれくらいいるでしょうか?せっかく寄(やどりき)という自然に恵まれた地域へ通っているのですから、ハイキングの時だけでなく、残りのステージ、畑へ向かう途中や塾舎の周辺などでも季節を感じてもらいたいと思います。塾生にはぜひ、自分のアンテナを張り巡らせ、ひとつでも多くの発見や感動、思い出を増やしていってほしいなと思っています。
また、チームによってはまだ14ステージになってもみんなで協力できていないというチームがありました。残り4ステージですが、お互いを信頼して、協力できるチームになるにはひとりひとりがもっと思いやりや責任感をもたなくては実現しません。全チームが卒塾式には笑顔で別れを惜しみながら、『いいチームだったな』と感じられるように成長してもらいたいと思います。
K.T.