2010.05.28~30
第06ステージ ~男子~
ステージテーマ:「作物の生育状態を観察し、適切な世話をしよう!」
共同生活の目標:「何ごとも心を込めてきちんと丁寧に作業する」
第2ステージに農作業を始めるにあたって、作物の状態をよく観察することが大事だという話がありました。今ステージでは、今まで苗を植えたり、種をまいたりした作物の様子ををしっかり観察し、大きく生長しおいしく収穫できるよう、生育状態にあった世話をしてもらいました。
また、物事に集中し、、目をそこに向け、丁寧に行うことは、作物の世話でも、塾活動や共同生活の中でもさまざまな利点をもたらします。そうすれば無駄が省け、安全にもつながります。そのため、今回は共同生活の目標を「何ごとも心を込めてきちんと丁寧に作業する」とし、意識して活動してもらいました。
■ 05月28日(金) 夜の集い
ステージも3分の1が終わろうとしています。
今まで皆さんは塾でいろいろなことを学びました。あいさつをすること、ルールを守ること、時間を守ること、人の話を聴くことなど。それらは人間として生きるために基本的なことで、集団生活の中ではとても大切です。
山の中や孤島で一人で暮らすには必要が無いかもしれませんが、皆で楽しく暮らすためにはとても大事な事です。
今までのステージを振り返ってみて、出来たこと、出来なかったことをみつめ直し、自分には何が足りないかを反省して、出来ないことは出来るように、出来る人は更に出来るようにしましょう。
例えば時間を守ることが出来ない人は守れるように努力し、守れる人は5分前集合を心がける、といったこと具合です。
基本的なことが出来ると、人から信頼されるようになります。
今回の共同生活の目標は「何ごとも心を込めてきちんと丁寧に作業する」です。作業する方向に目を向けて、集中して丁寧に作業するようにして下さい。
■ 05月29日(土) 作物の特徴と育て方の話
今まで、共同農園作業、チーム農園作業などで、作物に関する知識を学んできましたが、今回あらためて作物の特徴について、いろいろな切り口から学びました。
その作物が何科なのか、どこを食べるのか、育ちやすい環境はどのような環境か、肥料をやるタイミング、病害虫・鳥獣害などの話があり、塾生たちは真剣にメモを取っていました。
■ 05月29日(土) 親子大会塾生企画の準備
自然塾では、保護者に塾のことをよく知ってもらい、塾生たちが成長したところを見てもらうために親子大会という行事を行います。
親子大会塾生企画では、複数のチームの塾生が協力し、スタッフの力を借りずに企画・、アピール・運営をして保護者の方々に楽しんでもらいます。
塾生たちから、川遊び、肝試し、クイズやゲームといった案が出て、グループに分かれて企画の内容を考えました。
■ 05月29日(土) 夏野菜の世話
第4ステージでトマト・ナス・ピーマンなどの夏野菜を植えつけました。今回それらの作物がたくさん収穫できるように必要な世話をしました。この日は午前中まで雨が降っていたため、土を固めないように最低限の世話を行いました。
 ~トマトの芽かき・誘引(ゆういん)~
トマトを育てるのには、芽かきという作業がとても大切です。
トマトは、生長と同時に茎と葉っぱの付け根からわき芽が出てきますが、そのままにしておくと養分がいきわたらず、風通しも悪くなって病気になりやすくなります。そのため、わき芽は摘(つ)んで、1本立ちにしてあげます。
芽かきでは、わき芽をしっかり見分け、乱暴に扱って葉や茎に傷をつけないことが大事です。
見分けがつきにくいわき芽もあって、スタッフに教えてもらう場面もありましたが、塾生たちは集中して作業を行っていました。
 ~ナス・ピーマンの追肥~
ナスとピーマンには追肥・土寄せをする予定でしたが追肥だけ行いました。
土寄せを行うと肥料がよく効き、土がやわらかくなり、雑草対策にもなるのですが、土が雨でぬれていて逆に土を固めてしまうので、今回は行いませんでした。それでも塾生たちは丁寧に畝の肩に肥料をまいていました。
■ 05月29日(土) キャベツの虫取り・防除液まき
自然塾では化学合成農薬は使わないことにし、自然にある材料から作った自然農薬を使っています。

ニンニクとトウガラシを焼酎につけた液・木酢液(もくさくえき:木を燃やしたときに出るエキス)・酢、を混ぜ合わせて自然農薬を作ります。
いずれもかなり強烈な臭い(におい)のあるもので、塾生はその臭い(におい)に驚いていました(中には、苦手な食べ物の臭い(におい)を思い浮かべる塾生もいました)。
キャベツには害虫よけのネットがかけてありますが、いつの間にかイモムシの仲間が入り込んで葉っぱを食べています。 先ほど作った臭い(におい)の強い自然農薬を、葉っぱの裏表にかけて、虫たちが近寄らないようにしました。
雑に作業をすると、大切な葉っぱを折ってしまうので、慎重に自然農薬をかけました。
■ 05月29日(土) ダイコンの世話 ~草取り・間引き・追肥~
ダイコンの畝に雑草が目立ち始めました。一つ一つはまだ大きくはないですが、そのままにしておくとダイコンが負けてしまいます。
全員で協力してダイコンのまわりの雑草取りを行いました。
ダイコンはまだ2本立ちで、葉っぱと葉っぱが重なって窮屈(きゅうくつ)そうでした。残りを1本立ちにして大きく育てるため、間引きをしました。
間引き菜はさっそく塾の食卓にのぼりました。
■ 05月29日(土) ゴボウの草取り・追肥
次に、ゴボウの畝の草取りを行い、追肥を行いました。ここでも土が雨で湿っていたため、土寄せは行いませんでした。
第2ステージに深い穴を掘って種をまいたゴボウです。大きく育つよう、気持ちを集中して肥料をまいていました。
■ 05月29日(土) 畑の草刈り
ダイコンとゴボウの世話をしたあと、草刈りガマを使って畑の草刈りを行いました。
草刈りガマを使うのは、これが初めてで、使い方の説明を受けたあと、安全に気をつけて、集中して作業を行いました。
これからの季節は畑の中にもまわりにも、雑草がどんどん生えてきます。草刈りガマなどの道具も安全に使いながら、しっかり草取り・草刈りをして作物が雑草に負けないように世話をしましょう。
■ 05月29日(土) 草刈りガマの手入れ
使ったものを後片付けするのはとても大切です。ものを大切にするということは、次に使う人のことを考えることでです。
畑の草刈りで使った鎌(かま)についた泥を落とし、水を拭(ふ)き取ってから、刃の部分に油をひきます。
刃物はひとつ間違えれば怪我をするので、とりわけ真剣に手入れをしていました。
■ 05月29日(土) 親子大会塾生企画の準備
午前中に行った親子大会塾生企画準備の時間に引き続き、塾生企画準備を行いました。
運動会などで夕方から参加した塾生も多く、彼らを交えてさらに内容を考えました。
■ 05月30日(日) (お土産)レタスの収穫
今回、第3ステージで植えたレタスを収穫しました。自分たちで植えた作物では、初めての収穫です。
お土産として家に持ち帰って、家族と一緒に味わうのが楽しみですね。
■ 05月30日(日) チーム農園作業
このチームは、メロンを育てていますが、メロンは雨に弱いので、雨よけのため苗をビニールトンネルで覆(おお)うことにしました。
ビニールトンネルの作り方は女子が行っているものも参考にしました。
このチームは、第1ステージに種をまいたラディッシュが大きく育ったので、収穫し遅れないよう、おいしいうちに収穫し、メンバーで分けてお土産にしました。
自然塾の周辺には鹿がたびたび現れ、農作物に被害を与えることも珍しくありません。
Cチーム、Dチームのまわりには鹿よけのネットも柵もありません。そのため、それぞれのチームから代表が出て、鹿からチーム農園に植えてある作物を守るためにネット張りを行いました。
チーム農園でも草が増えだしました。
地道な作業ですが、このチームではリーダーが草取りにももくもくと打ち込んでいました。これからも大変ですが、自分たちのチーム農園を素晴らしいものにするため頑張ってください。
このチームでは、植えつけたトマトに、昨日習った芽かきと誘引(ゆういん)を早速行いました。トマトを見る目は真剣そのもので、丁寧に作業を行っていました。
チーム農園もかなり畑らしくなってきました。それとともに塾生たちの思い入れも深くなっているように感じました。
■ 05月30日(日) ステージのまとめ・振り返り
今回、皆さんが植えた作物の中で、初めてレタスが収穫できました。お土産として持ってかえって、家族の方とおいしく味わってください。
天気は良くなかったですが、「何ごとも心を込めてきちんと丁寧に作業する」という目標は比較的よく出来ていました。しかしこれからは暑くなりますので、暑くなっても畑作業が頑張れるよう、体力もつけてください。
今回の共同生活の目標は、市村自然塾の創業者である、浜田さんがとても大事にしていた言葉です。
何かを行うときには、そちらの方向に目を向け、集中して行うことが大事で、そうすれば作業の出来ばえが良くなり、短時間で出来るようになります。やり直しがなくなって結果的に短い時間で終わります。
掃除もいいかげんにやっていると結果に表れます。心は見えないけど形に表れます。
いいかげんな心を持っているといいかげんな人間になってしまいますが、丁寧にやる心を持つとみんなから信頼を受けます。
今回は刃物を使いましたが、心を込めて丁寧に行うことは安全にもつながります。ものを大切にすることも大切で、人を大切にすることにもつながります。
すべてのことは自分から進んでやるように、しかも、丁寧にやるようにしましょう。それが出来るようになったら、次はすばやく出来るようにしてください。
■ 編集後記
今ステージは、天候に恵まれず、雨や畑の様子を見ながらの作業・活動となりました。
そのため、予定していた農作業をすべて行うことは出来ませんでした。しかし、トマトの芽かき、キャベツの自然農薬まき、草刈りガマを使った作業や手入れなど、初めて行う作業に興味深々で熱心に取り組んでいました。「作物の生育状態を観察し、適切な世話をしよう!」というステージテーマに沿って活動が出来たのではないかと思います。
共同生活の目標は「何ごとも心を込めてきちんと丁寧に作業する」でしたが、塾生たちはその目標を意識して行動できたのではないかと思います。常にこの目標を意識して行動すれば、一つ一つの作業が確実に、出来上がりも良く、安全に、時間も短縮出来るはずです。真剣に行うということが本人にとって良いことであるばかりでなく、周辺の人々にも良い影響を与えると思います。
これからも、一つ一つのことに真剣に向き合って心を込めて、丁寧に作業をしていくよう、心掛けていって欲しいと思います。
T.K.