2010.05.14~16
第05ステージ ~男子~
ステージテーマ:「味噌作りに挑戦し、先人の知恵を学ぼう!」
共同生活の目標:「整理、整頓、清掃、清潔を心掛ける」
今ステージでは、塾活動での食事でも毎回登場している昔ながらの味「味噌」を作り、その過程を通して先人(せんじん=昔の人)の知恵を学んでもらいたいとの思いからステージテーマを設定しました。
また、「整理、整頓、清掃、清潔」のことをそれぞれの頭文字をとって4Sと呼びます。「整理」と「整頓」は似た意味で使われていますが、それぞれ「整理」は「乱れたものを秩序正しくすること、不必要なものを取り除くこと」、「整頓」は「よく整った状態にすること、きちんと片付けること」という意味があります。規則正しく、きれいに整えて置くことで、自分の荷物を自分で管理できるようになってほしいと願っています。
■ 05月14日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたって、枝村塾頭よりお話がありました。
「前回までに清掃場所もひと通り分担し、農作業も種まきや植付けなど経験しました。今までは、スタッフから教わってから行動することが多かったけれど、今ステージからは自主的に行動するようにしましょう。
自分から進んで(=自主)、自分で考えて行動し(=自立)、自分の身勝手な心をおさえて(=自律)行動することで充実した共同生活を送ることができるでしょう。
また、メンバーはリーダーやサブリーダーに文句を言ったりするのでなく、意見を出し合ってよく話を聴き、みなで決めたことを守るようにしましょう。」
■ 05月15日(土) 共同農園作業 ~ラッカセイの種まき~
種まきの前に、まずは畝を立てました。今までのステージで、共同農園・チーム農園で何度も畝を立てているので、もう大分慣れてきたようです。
畝を立てた後、種を1箇所に2粒ずつまく点まきを行いました。根が出てくる部分が上を向いてしまうとうまく根付かないため、根が下を向きやすいよう種を横向きにしてまいていきました。
■ 05月15日(土) 共同農園作業 ~サツマイモの植付け~
続いて、サツマイモの苗を植えるため、畝を立てました。サツマイモは、日当たりと水はけの良い場所を好むため、かまぼこ型の高い畝を立てました。
畝を立てる時も、その作物に合った形にすることで成長の仕方が違いますよ。
サツマイモは、切苗(きりなえ)と言う、種芋から出てきた芽を切り取ったものを植えるのが一般的です。
葉のつけねから「不定根(ふていこん)」というイモになる根が出てくるので、葉のつけねが土の中にしっかり埋まるように植えていきました。
不定根が土から出てしまうことが多く、なかなか苦労しているようでした。
■ 05月15日(土) 昼食後 休憩時間
昼食後の休憩時間には、塾生たちが元気良く遊んでいる姿が見られます。
中には、チーム農園の様子を観察して水遣りをおこなっているチームもありました。
■ 05月15日(土) 塾活動 ~味噌作り~
味噌作りでは、市村自然塾関東・初代塾頭の箕輪さんご夫妻を先生としてお迎えしました。そこで、まずは箕輪さんより味噌の歴史や作り方などのお話をいただきました。
「みなさん、お味噌汁は好きですか?
実はこの味噌の『噌』という漢字は、他の言葉には使われていない独特の文字なんです。また、味噌は日本独特の調味料として1000年以上も前から親しまれてきました。
さらに、味噌は美味しいだけでなく一緒に調理した野菜のうまみを引き出すことができる素晴らしい魅力を持っています。
みなさんには、色々な人と触れ合う中で、味噌のように「相手の良さを認め、引き出してあげられる人」になってほしいと思います。
また、今日仕込んだ味噌は半年かけて熟成して美味しくなります。是非みなさんもこの半年の間に大きく成長してください。
今日は感謝の気持ちを持って、材料をこぼさず無駄にしないように取り組みましょう。」
材料の大豆を発酵(はっこう)してくれる微生物・麹菌(こうじきん)が入った麹に、大豆のゆで汁を混ぜて麹を柔らかくします。この麹は、発酵が進みすぎないように塩をまぜる「塩きり」がしてあります。
その後、一晩水に浸した後にゆで、柔らかくなった大豆をまぜ合わせました。
材料がまざったら、ミンチ機を使って材料をつぶしていきました。次々に材料をミンチ機にかけようとして、こぼしてしまう姿も何度か見られました。
次に、ミンチ機でつぶれた材料をおむすびのようににぎって材料の中の空気を抜いていきました。
材料と材料の間に空気が残っているとカビがはえる原因となってしまいます。
空気を抜いた材料を次々とたるに詰めていきましたが、遊び半分で投げ込んでいる姿も見られたのは残念でした。
樽(たる)の中に材料をつめ終わってから、空気が触れないようにラップをかけ、刻んだトウガラシを散りばめました。トウガラシの成分でカビを防ぐことができるのです。
ふたを閉めてから、風通しの良い場所に移動させました。
■ 05月15日(土) 共同農園作業 ~キャベツ・レタスの追肥・土寄せ~
今までのステージでは、種まきや植付けなどの作業がメインでした。しかし、種をまいたり苗を植え付けたりしただけではうまく成長しません。
その他の世話として、成長するために必要な栄養分を肥料としてあげる、追肥(ついひ)を行いました。
栄養分を吸収する根の先端は土の中にあるので見えませんが、目安として、地上にある茎や葉が広がっている先端あたりにまきました。
続いて、まいた肥料が、分解して作物の栄養分になりやすくするため、肥料の上に土を被(かぶ)せました。
肥料・土ともにキャベツやレタスの葉に付くと腐ってしまう原因となるため、葉に付かないよう慎重(しんちょう)に作業を行いました。
鍬(くわ)を使って慎重に作業を行うことに苦労している様子が見られました。
■ 05月15日(土) 共同農園作業 ~コンニャクイモ植付け~
続いて、コンニャクイモの植付けを行いました。コンニャクイモは、少し大きくなったイモを収穫して次の年に植え、また少し大きくなったイモを収穫し・・・と、何年もかけて大きなイモに成長していきます。
地上の葉や茎が枯れてからイモを収穫するため、どこに植わっていたか分かるように目印の竹を立ててそのそばに植えていきました。
コンニャクイモを初めて目にした塾生も多く、不思議な形に驚いていました。
■ 05月15日(土) 夜の塾活動 ~通塾の話し合い~ 
今回第5ステージを迎え、通塾の仕方も少しずつなれてきましたね。徐々に通塾に付き添うスタッフが少なくなっていく予定ですが、その中で「乗る予定の電車に誰もいない場合」「気分が悪くなり途中で電車を降りる場合」など、もしもの時に自分たちの力で安全に自然塾まで通うための方法をグループごとに考えてもらいました。
あわてずに状況を把握(はあく)すること、そして自然塾に連絡をすることが基本です。
普段から安全とマナーに気をつけて、自分たちで通っていると意識して行動するようにしましょう。
■ 05月16日(日) チーム農園作業
今回、植付けや種まきの作業、そしてそれ以外に必要な作業も多くありました。そこで、チーム農園作業の時間を長く設定し計画を立てて取り組んでもらいました。
前ステージの共同農園作業で行ったことを思い出し、植付け・元肥・支柱・敷きわらなどの作業を行っていました。
中でも、作物が倒れないように支柱に結びつける誘引の作業は、きつくなりすぎないよう注意しながら慎重に行っていましたね。
このチームは、サツマイモの植付けを行っていました。
今まで扱ってきた苗とは、形も植え方も違いますが、コツをつかんだようでした。
ラッカセイの種まきを行っているチームもありました。
その後、鳥よけのテープを張ったり、ハクビシンよけに金網で畝を覆(おお)ったりと、作物を守る方法を考えていました。
また、メロンを守る方法を考え、自分たちで持ってきた空き缶を使って、音の鳴る装置を設置しているチームもありました。
ねらわれやすい作物を調べ、ねらっている鳥や獣、虫などが光や音、どんなことに弱いのかをよく調べてみるといいですね。
このチームは、前ステージで植付けたメロンに追肥を行っていました。敷きわらがあったため、丁寧にわらをめくって肥料をまいていました。
ほんの少しの工夫が、作物の成長につながりそうですね。
早くも収穫しているチームもありました。自分たちで種まきをしたものが収穫できた喜びを味わっているようでした。
■ 05月16日(日) ステージのまとめ・振り返り
ステージのまとめとして枝村塾頭よりお話がありました。
「みなさん、今ステージでは自主的に行動できたでしょうか?
畝立てを例にとってもそうですが、出来ないことや嫌だと思うことも進んで取り組み実際に行うことで、知恵が働き上手になることができますね。
楽することと楽しく生きることは別です。なまけるのでなく、苦労して汗水たらして作業した時に感じられる達成感・満足感を味わってください。
また、整理整頓ができるようになると、身の回りだけでなく頭の中もすっきりさせることができ、勉強や仕事もできるようになります。これからも心掛けていくようにしましょう。」
■ 編集後記
今ステージの目標は「整理、整頓、清掃、清潔を心掛ける」でしたが、意識して行動できたでしょうか?
塾生室の様子を見ると、チームごとに随分(ずいぶん)差が出ていたように思います。周りの人もあまり意識していなかったからといって、自分に甘えてしまった人も多いのではないでしょうか?
人まかせにしたり、楽な方ばかり選んでいたりすると、自分では何も出来ない大人になってしまいます。少しずつ、できることから意識していくようにしましょう。
Y.S.