2010.04.30~05.02
第04ステージ ~男子~
ステージテーマ:「お茶作りに挑戦し、新茶の味を楽しもう!」
共同生活の目標:「ルールを守る」
自然塾のある足柄上郡は「足柄茶」の産地です。今回のステージでは、自分達で茶摘みを経験し、その茶葉を使って煎茶づくりに挑戦してもらいました。
自然塾へ入塾してから1ヶ月が経ち、塾生たちはだいぶ自然塾での生活に慣れてきました。慣れた頃は、気が緩み、ケガをしやすくなります。そこで自然塾でのルールを再確認してもらい、みんなが気持ちよく、安全に生活するためにはどうしたらよいか考えてもらおうと「ルールを守る」を共同生活の目標としてかかげ、意識して生活してもらいました。
■ 04月30日(金) 夜の集い
ステージを始めるにあたり塾頭よりお話しがありました。
「ようやく暖かくなり、過ごしやすくなってきました。みんなが植え付けをしたジャガイモや、種まきをしたダイコンは天候の影響でなかなか大きくなりませんでしたが、ここ数日の暖かさでやっと大きくなってきました。
今週は夏野菜の植え付けをします。心をこめて丁寧に作業してください。
ステージが4回目ということで、役割もひとまわりします。だいぶ塾の生活にも慣れたと思います。
今週の共同生活の目標は『ルールを守る』です。ルールとは守るべき約束ごとのことです。ルールには交通ルールや校則などいろんなものがありますが、ルールを守らないと、事故が起こったり、ケガをしたりします。ルールを守ると信頼され、友達がたくさんできます。みんなで決めた約束ごとも守るようにしてください。
明日は岩下さんというマナーの先生が来てくださって食事の作法について教えてくださいます。」
■ 05月01日(土) 茶摘み (ちゃつみ)
土曜日の最初の作業は茶摘みです。スタッフから八十八夜についての説明やつみ方の説明を受けた後、チームに分かれてお茶の葉を摘みました。
1チーム200グラムつみました。はじめのうちは、ひとつひとつスタッフに確認しながら摘んでいましたが、慣れてくると、集中してもくもくと摘んでいました。
■ 05月01日(土) 共同農園作業「夏野菜(トマト・ナス・ピーマン)の植え付け」
夏野菜の代表的なトマト、ナス、ピーマンの植え付けを行いました。夏野菜は長い期間収穫でき、いろんな料理に使えるので自然塾の食事にもたくさん登場しますよ。
まずは、畝立て(うねたて)をしました。どの作物も平畝(ひらうね)という平らな畝を立てましたが、トマトは雨が少ない地域の原産で、ジメジメした日本の梅雨や夏の季節は苦手なため、水はけが良くなるよう少し高めの畝を立てました。今まで共同農園、チーム農園で何回も畝たてを経験していることもあり、だいぶクワ使いが上達しました。
次は、植え付けです。苗を傷つけないようにやさしく丁寧に作業しました。夏野菜は浅植えにしたほうが早く根付くため、少し浅めに植えつけました。
ナスとピーマンには元肥(もとひ)をあげました。この肥料はこれから大きく成長するための大切な栄養です。しかし、根や茎に近すぎるとそこから傷んでしまうことがあるため気をつけなくてはいけません。こちらも丁寧に作業しました。
植え付けが終わったら、支柱(しちゅう)をたてて、誘引(ゆういん)をしました。トマト・ナス・ピーマンのように実をつける野菜は風で倒れて折れやすいため支柱をたてて、ひもで結び付けてあげます。8の字のように結ぶ誘引の仕方は慣れるまでは難しいようで苦戦している塾生も多くいました。
最後に、株元にワラをしきました。これは、敷きワラといって夏野菜を育てるうえで大切な作業になります。敷きワラには土の水分を保ったり、雨による土のはね返りを防ぐことで病気の予防になったり、雑草が生えてくるのを防いだりする効果があります。風でワラが飛んでしまわないように、重なり合うように敷きつめました。
■ 05月01日(土) マナーのお話
現代礼法研究所の岩下先生よりマナーについてのお話しをして頂きました。
「マナーと聞くとこうしなければならないというかたくるしいものだと思う人が多いのですが、マナーは愛。そして相手への思いやりの気持ちが表れたものです。『love』という言葉が日本に入ってきた時は『御大切』という言葉に訳されました。相手を大切に思う気持ちです。その気持ちを行動として表現したものがマナーなのです。相手の気持ちや立場を思いやれる人になってください。そして、どうしたら自分もみんなも気持ちよく過ごせるかなと考えてください。」

この他にも、笑顔や思いやりの心は脳を活性化させるというお話し、思いやりの心が様々なキセキを起こしたお話しを話していただきました。また、食事の仕方や、和室への入り方、あいさつの仕方など様々なことを教えていただきました。

■ 05月01日(土) お茶づくり
午後の最初の作業は、お茶づくりです。午前中に摘んだ茶葉をつかって煎茶を作りました。本来は4時間以上かかる工程を、塾生でも簡単にできるようアレンジした方法でつくりました。
まず、お茶の歴史や種類、効能、お茶ができるまでの工程について説明がありました。真剣にメモをとっている塾生もいました。
その後、チームに分かれて実際にお茶をつくりました。まずはもむ作業です。お茶の葉を蒸したものを、手のひらを使ってもみました。もむことでお茶の葉の水分をだしやすくします。お茶作りはどの塾生も初めての経験のようで、楽しんで作業していました。
その後ホットプレートに入れて、乾燥させました。最初は少し高めの温度で水分を飛ばし、葉の表面が乾いてきたら温度を下げ、じっくりと均一になるまで乾燥させました。混ぜる人と、手でもむ人に分かれ、こがさないように、協力して作業していました。
おやつの時間は自分達でつくったお茶を入れて、よもぎ餅を食べました。茶葉をたっぷり使う、70~80℃のお湯を使う、よく蒸らす、濃さが均一になるように入れるなどの「おいしいお茶を入れるためのコツ」を守って入れていました。自分達のつくったお茶ということで、良く味わいながら飲んでいました。みんな新茶の味を堪能(たんのう)できたようです。
■ 05月01日(土) 共同農園作業「キュウリの植えうけ」
おやつの後はキュウリの植え付けを行いました。ウリ科の作物は寒さに弱いこと、ウリハムシという害虫に狙われやすいことから、苗をビニールですっぽりおおう、「ホットキャップ」という世話をしてあげました。しっかりしたホットキャップをつくるのは少し難しいようでしたが、チーム農園でも使うということもあり、真剣に作業していました。
■ 05月01日(土) 共同農園作業「ジャガイモの芽欠き」
第1ステージに植えつけたjジャガイモの芽が大きくなってきたので、「芽欠き」という世話をしました。芽をたくさん残したままにしておくと、芽が伸びることばかりにエネルギーを使ってしまって、小さなイモがたくさんできてしまいます。そこで2本の芽を残してそれ以外の芽を欠き取りました。力まかせに抜くと種芋ごと抜けてしまうので、片方の手で押さえながら、そっと抜いてあげました。最初のうちは、芽がちぎれてしまうことが多かったのですが、なれるとうまく抜けるようになりました。これからの成長が楽しみですね。
■ 05月01日(土) 夜の塾活動「危険生物の話」
自然塾では市街地に比べて、様々な生き物に出会う可能性が高く、その中には人に危害を加える生き物もいます。ステージ担当からどんな生き物が危険なのか、出会ってしまったらどのように行動すればよいのかなどの話しがありました。
説明の途中にクイズがありましたが、自分の知っていた対処の仕方が間違っていて驚いていた塾生もいました。
最後にまとめとして、大切なことは、不用意に近づいたり、触れたりしないことや、自分の身を守るために作業中は決められた服装(長袖・長ズボン・帽子など)をすることと話しがありました。
■ 05月02日(日) 共同農園作業「オカボの種まき」
日曜日の最初の作業はオカボの種まきです。オカボは漢字で「陸稲」と書き、字の通り畑で育てる稲です。自然塾のオカボはもち米を育てており、収穫した後は、18ステージの餅つきで使ったり、卒塾式の赤飯で使用したりします。
まずは種をまく溝を掘りました。クワと同じ幅で、浅めの溝を掘りました。
溝ができたら、種をまきました。2センチ間隔で4列になるようにまいていきます。天気が良く暑い中での細かい作業でしたので、途中で弱音をはいている塾生もいましたが、みんなで協力し全てまき終えました。
最後にやさしく土をかけてあげました。
■ 05月02日(日) チーム農園作業
今回のステージは共同農園でやらなくてはいけない作業が多く、イベントもあったため、チーム農園の時間が少ししか取れませんでした。そんな中でも、どのチームも集中して作業し、予定していた作業をこなしていました。
どのチームも、メロンやスイカなどウリ科の作物の苗を植えつけていました。やさしく、丁寧に植えつけていました。
共同農園で教わった、敷きワラやホットキャップをさっそく実践(じっせん)していました。丁寧に作業していました。
こちらのチームはトウモロコシをポットにまいていました。ポットにまくのは2回目ということで、ポットに土を入れるのも慣れた手つきで行っていました。
こちらのチームは、次に植えつける作物の畝をつくっていました。できる作業を早めにやっておくのもよい工夫ですね。
■ 05月02日(日) 昼食
日曜日の昼食は焼きそばでした。チームごとに味付けをして食べました。
そば飯も楽しみ、みんなおいしそうにほおばっていました。みんなで食べるといっそうおいしく感じられますね。
■ 05月02日(日) まとめ
ステージのまとめとして、塾頭からお話しをいただきました。
「今週は天気がよくていろんな作業ができよかったですね。
今回のステージではみんなの行動を見ていて、危険が迫っていると感じました。慣れるとケガが起こりやすくなります。基本に戻って正しいやり方で取り組んでください。これからもっと暑くなりますが、集中してテキパキ作業するようにしてください。
昨日は岩下先生からすばらしいお話を伺いましたね。マナーが好き、マナーを勉強するのが楽しいと話されていましたが、一生懸命勉強すると周りの人も助けてくれ、いろんな人と出会うことができます。
今ステージは、お茶づくりも体験しました。貴重な体験になったと思いますが、食べ物をありがたくおいしく食べることをもう一度考えて欲しいと思います。今日もおいしい食事をいただきましたが、植物の命をいただくこと、調理をしてくれた人に感謝と思いやりの心を忘れないでください。」
■ 編集後記
今回のステージはお茶作りを行いましたが、とれたての新茶の味を楽しめていました。お茶作りだけでなく、自然塾だからこそできる経験というのは他にもたくさんあります。ぜひ、イベントだけでなく普段できないことに自分からチャレンジして欲しいと思います。

共同生活の目標は「ルールを守る」でしたが、どの塾生も意識している様子がうかがえました。振り返りも今までよりもしっかりと細かいところまで振り返られていたようでした。ルールを守ることは、自然塾だけでなく、社会に出た後にも必要なことです。岩下先生のお話にあったように、お互いを思いやる気持ちを持っていれば、ルールは自然に守れるはずです。ぜひ、思いやりの心を忘れずに行動してもらいたいと思います。
K.T.