2010.04.16~18
第03ステージ ~男子~
ステージテーマ:「思いやりを持って丁寧に野菜や人に接しよう」
共同生活の目標:「時間を守る」
 第1ステージから1ヶ月が過ぎました。自然塾周りの山々は芽吹きで日に日に鮮やかさを増しています。今年は例年に比べて平均気温が低いためか、作物の生長が遅い気がします。しかし、少しずつですが確実に大きくなってきています。
 今ステージではキャベツ、レタス苗の植え付けを行います。苗は温室という管理された中で育てられてきましたが、これからは自然の厳しい環境の中で育って行かなければなりません。塾生たちには、その旅立ちの世話を丁寧に行ってもらいます。そして、チーム農園では今回どのチームも実際に畑に出て作業を始めます。また、夜の塾活動ではマナー講座を実施し、共同生活や社会の中でのマナー=思いやりについて考えてもらいます。そこで、今ステージのテーマを「思いやりを持って作物や人に接しよう!」と掲げました。
 また30人近くの塾生が3日間一緒に生活をする自然塾では、たとえ1人でも時間に遅れると、みんなに迷惑がかかってしまいます。一人ひとりが時間を守ることは、みんなが自主的で自由な生活をするための、果たすべき最低限の約束だと考えて、共同生活の目標を「時間を守る」とし、時間を意識して生活してもらいました。
■ 04月16日(金) 夜の集い
 ステージのはじめに枝村塾頭から話がありました。
「今までの目標、『あいさつをする』、『人の話を聴く』ことは、家や学校でも実践できていますか?どちらも相手の目を見て姿勢よくすることが大切です。このステージでも心がけてください。
 ステージテーマ『思いやりを持って野菜や人に接しよう』、人にも野菜にも丁寧に接してください。野菜は正直で、愛情持って手をかけて育てると、大きくて甘いものが出来、手を抜くとおいしいものは出来ません。人に対しても同じです。思いやり、愛情を持って行動しましょう。
 今回の目標は『時間を守る』です。今までは、塾活動に慣れていなくて遅れてしまうこともありましたが、これからは遅れないように。遅れると次の作業に移る事が出来ません。自分が終わったら他のメンバーを手伝いましょう。チームで時間を守るようにしましょう。手伝うと感謝されます。友達がたくさんできます。そして、時間を守ることによって信用、信頼を得ることができます。」
■ 04月17日(土) チーム活動 ~チーム農園の看板作り~
 雨は土曜日の朝方まで残りました。この日はキャベツレタスの植え付けを予定していましたが、畑の土が湿っており塾生たちが畑で作業をすると、畑の土がガチガチに固まってしまいます。この日は畑に入らないチーム農園の看板を作成をしました。
 道具の使い方を聞き作業に取り掛かりました。まずは、ノコギリで板を看板の大きさに切り分けます。手馴れた塾生もいましたが、どこか不安な切り方をする塾生もいました。しかし、同じチームの塾生がアドバイスして、上達していきました。
 看板に、チーム名、作物名など書きました。文字だけでなく、作物のイラストだったり、その作物から連想する独自のキャラクターを書いていました。各チームごとにさまざまな看板が出来上がっていきます。
 看板を杭に打ち付けます。カナヅチを使い釘を打ち付けていきます。真剣なまなざしで、集中してまっすぐ打ち込みました。
 

Aチーム

Bチーム

Cチーム

Dチーム
完成! 各チームともに、いい看板が出来ました。
これで作物を育てる準備は万端ですね。
■ 04月17日(土) チーム農園看板立て
 完成後、時間に余裕があるチームは畑へ看板を立てに行きました。自分達が作った看板を畑に立てることで、チーム農園に愛着がわいてきたのではないでしょうか?
■ 04月17日(土) 昼食時 ~旅のお話~
 昼食時にボランティアスタッフがガーナへ行った時のお話しをしてもらいました。
「ガーナはどこにあるでしょうか?日本とのつながりは何があるでしょうか?」世界地図などを見せながら説明を進めました。「日本に輸入されるカカオのうち8割がガーナ産です。そして、野口英世がガーナで黄熱病の研究を進めていました。ガーナはとても貧しい国だけれども、みんなとても優しいです。物が壊れたら自分で直すけれども、見ず知らずの人、みんなが心配して声をかけてくれたりする。とても心豊かな国だと思いました。」
 塾生たちは興味深く聞き入っていました。
■ 04月17日(土) チーム農園作付け計画再検討
 第2ステージで行ったチーム農園計画の発表の時を思い出してもらい、その時に明らかになった検討すべき点やアドバイスを組み込んだ、より具体的な計画を立てました。各チーム共に再度、野菜の本などを開き話し合いを進めていました。
 そして翌日の実際に行う作業計画を立ててもらいました。
■ 04月17日(土) あしおとツアー
 市村自然塾関東では作物の様子を観察する事を「あしおとツアー」と呼びます。この名前の由来は、『足音(あしおと)を聞かせれば聞かせるほど作物はよく育つ。』と言われます。これは、畑に足を運んで作物の様子を観察して、作物が必要としている世話をしてあげることを指します。
 今回は塾生がこれまでに植えつけたジャガイモとゴボウとダイコンに足音を聞かせました。
 前のステージに種まきをした、ダイコンが芽を出ていました。1~2cmくらいの芽ですが地下には10cm近く根を伸ばしているのです。塾生たちはその長さに驚きの表情を見せていました。
 ゴボウの芽も双葉が出ていました。特にゴボウの小さい芽は「ネキリムシ」という害虫の好物です。食べられないように株元に卵の殻をまきます。こうすることによって、株元にネキリムシが近づかなくなるといわれていて、自然塾では効果が出ています。
■ 04月17日(土) 夜の塾活動 ~マナー講座~
 ボランティアスタッフの百瀬さんから、マナーについて考える時間を設けてもらいました。
 「どうぞのいす」という絵本の読み聞かせをして、塾生たちは、登場人物がどんな気持ちだったか考えました。優しい心、思いやり、親切。自分がどんなことをすると、周りの人たちがいい気持ち、悪い気持ちになるのかを考えてもらいました。
 今度は、チームごとに実際に塾での食事、入浴、通塾の場面で、どのようにしたらみんなが気持ちよくすごせるかを考えてもらい、発表てもらいました。「静かにする」、「散らかさない」などと、さまざまな行動が上がりました。

 残り15ステージ、みんなが気持ちよくすごせるように是非ひとりひとりがお互いに注意してすごしてください。
■ 04月18日(日) 共同農園作業 ~キャベツ、レタスの植え付け~
 前日、天候が良かったため、畑の土の状態もよくなりました。苗の植え付けには最適です。

 早速、苗を植えるために畝(うね)たてをしました。まだ、なれないクワ使いでしたが、みんな一所懸命畝を立てていました。
 土が盛ることが出来たら、次は苗を植えるために畝を平らにします。きれいに平らになっているところは、きっと心がこもっている場所だとおもいます。
 畝が平らになって、苗を植えつける準備ができました。まずはじめに、それぞれの苗を並べました。畑を有効に使うために出来るだけ等間隔で並べました。
 並べた苗を植えつけます。苗はいわば野菜の赤ちゃんです。葉や茎は折れやすく、畑に植えるのに根を切らないように気をつけなければなりません。また、植える深さも浅すぎず、深すぎないように、丁寧に慎重に作業しました。
 塾生たちにはここまでの作業でしたが、時間切れとなってしまいました。本当はこのあと苗の周りに、しばらくの分の肥料とゴボウと同様に「ネキリムシ」に切り倒されないように、卵の殻を細かくしてキャベツ苗の周りに敷き詰める予定でした。残りの作業はスタッフが行いました。
■ 04月18日(日) チーム農園作業
 各チーム共に本格的な畑作業です。
このチームは早速、畝を立てハツカダイコンの種をまきました。細かい作業でしたが、溝の中に均等に種が並んでいました。
 このチームは、第1ステージに種まきをしたハツカダイコンが芽を出していたので、込み合っているところの芽を間引きをしていました。このあとに作物が大きく育つことを考えながら、どのくらい間隔をあければよいのか想像しながら間引きをしていました。
 そして、間引きをした小さな芽を「早速お土産が出来た!」と喜び、みんなで少しずつ分け合って持ち帰りました。
 このチームはメロンを植えつける場所にメロンではないものを植えつけています。どうやら、芽が出たタマネギのようです。
 これは、土曜日、農業指導の先生にメロンの世話のやり方を聞いた時、「タマネギの葉はメロンの害虫「ウリハムシ」が嫌がるにおいを出す」と聞いたそうです。しかし、タマネギの収穫は6月で、それまでタマネギの葉が手に入らないので、昨年収穫して保存したあるタマネギから、芽が出ていることに着目して植えつけていました。
 工夫ですね。
■ 04月18日(日) ステージのまとめ・振り返り
 「今日の農作業を見ていると、思いやりを持って苗を植えつけることが出来ていました。これからの活動も、すべてに愛情を持って作業を進めてください。マナー講座で思いやりを持つことを学びました。目標の時間を守ることは本当に大切なことです。時間を守ると信頼を得られる。そうすると友達も増える。でも難しい。夢中になっている遊びを中断していかなければならない時もあるでしょう。時には勇気がいることかもしれません。自分自身に強くなってください。家でも学校でも時間を守るように5分前行動が身につくとよいですね。
 大人になってからも時間を守ることが大切です。小さい時から時間を守ると大人になっても出来るようになります。身につけましょう。」
■ 編集後記
 この時期の雨は、畑に播いた種が芽を出すための雨で、お百姓さんにとってとても重要です。農作業が進まずにじれったい時もありますが、お百姓さんはうまく晴れ間を見つけて、作業を進めるのです。しかし、自然塾では塾生たちが来る時間が決められています。そのため、今回のステージでは、予定していたキャベツ、レタス植え付けが最後の作業まで出来ませんでした。これも自然の摂理です。しかし、基本的な世話や、野菜の苗を扱うこと、そして、活動中の夜のマナー講座を通じて塾生たちは「思いやりを持つ」ことに気づくことが出来たでしょう。マナー講座の時には「思いやりのある行動はこういうこと」と具体的な意見が塾生たちからたくさん出ました。みんなが思っていることを、知ることが出来ました。そして、今後は気づくだけでなく、実際の態度、行動として現れることを期待しています。
 共同生活の目標の「時間を守る」については、まだ不慣れな点があり、集合時間や食事時間など遅れてしまう塾生がいました。しかし、大半の塾生が「時間」を意識して行動していました。特に塾では共同生活をしています。一人が遅れると残りの人を待たせてしまうこと、待たせたことに申し訳ない、ありがとう、という気持ちを持ってもらいたいと思います。
K.M.