2010.04.02〜04
第02ステージ 〜男子〜
ステージテーマ:「安全(危険)について考えよう!」
共同生活の目標:「人の話を聴く」
 今回のステージでは避難訓練や危険予知訓練を行いました。これからの塾での共同生活や農作業の最中に危険な場面に出くわす可能性があります。ひとつ間違えれば大きな怪我につながりかねないため、塾生には早いうちに自分で危険を察知する力を身につけて欲しいと考え、今回はテーマを「安全(危険)を知る」に設定しました。また、安全に作業・生活するためには注意深く「人の話を聴く」ことが重要だということで共同生活の目標として掲げました。
■ 04月02日(金):夜の集い  

第2ステージを始めるにあたり、枝村塾頭から話がありました。「前回の活動では、『あいさつをする』ことを目標に共同生活を送ったが、学校でも恥ずかしがらずに大きな声で笑顔で挨拶して欲しい。今回の目標は『人の話を聴く』だが、これはテーマである危険や安全にも関わる事なのでスタッフの話をよく聴くように。話を聴くときは話している人の方を向いて姿勢を正して聴いて下さい。また(塾生活に)慣れてくると悪ふざけが増えてケガをしやすくなるので、その点も注意するように!」

■ 04月03日(土):避難訓練  
午前は、災害時の避難経路を知り、安全に速やかに避難できるようになるために、避難訓練を行いました。塾生が2階の塾生室にいる時に大きな地震が発生し、厨房から火災が発生したという想定で、訓練を実施しました。
塾生たちは直ぐにガラス窓から離れ、柱の多い塾生室入口付近に集まりました。その後、スタッフの指示に従い、スモークマシンの煙が充満した塾舎内から脱出しました。
速やかに塾庭に避難すると、枝村塾頭からは「本当の火災では煙や炎が凄いので、あっという間に燃え広がる。また、学校で避難する時に習っている『お・か・し・も』に注意して欲しい。もしもの時に落ち着いた行動がとれるように持ち物の整理整頓をして欲しい」との総評をいただきました。
■ 04月03日(土):危険予知訓練  

避難訓練の後は塾生活や活動中の危険を察知するために危険予知訓練を行いました。
まずはイラストを見て危険だと思う人物や場所・状況を探してもらいました。ワークシートを使わず暗い室内でホワイトボードにスライドを映して危険箇所を探したため、一部の塾生は眠気を感じていたようでした。
次に実際に塾舎内外を巡り歩いて、危険だと思われるところを探し出してもらいました。そして、その危険箇所がなぜ危険なのかを考えてもらい、その危険を避けるためにどうすれば良いのか対策も考えてもらいました。

■ 04月03日(土):農作業を始めるにあたっての心構え  
午後の農作業に入る前に、農業指導ボランティアの農業高校の先生から「農作業を始めるにあたっての心構え」を話していただきました。 「植物は色と葉の角度で健康状態を示しています。作物の状態を良く見てメッセージを読み取れるようになってください。また、イギリスには『グリーンフィンガー』という運動があり、一人一人が『緑の指』を持つことでその国が緑豊かになるという考えがあります。1本目の指は『土を作り耕す』ことができる、2本目の指は『種をまく』ことができる、3本目の指は『芽を出させて葉を形成する』ことができる(初級)、4本目の指は『花を咲かせる』ことができる(中級)、5本目の指は『実を収穫する』ことができる(上級)ということを示しています。18ステージまでに5本のグリーンフィンガーを持てるようになって欲しいと思います。」
■ 04月03日(土):共同農園作業 〜ゴボウの種まき〜  

形の良いゴボウを育てるためには、畑を深く柔らかく耕さなければなりません・・・というわけで、この日の午後、塾生たちは塾舎からスコップを持って畑に出かけ、ゴボウの種まきの下準備として穴掘りをしました。目標は1m!土を柔らかくすることで、ゴボウは真っすぐに育ちます。農業指導の先生に掘り方の見本を見せてもらってから作業を開始しました。みんな勢いよく掘り始めましたが、しばらくすると思いのほか大変な作業に弱音を吐く塾生も出始めました。それでも予定時間をオーバーすることなく、休憩をとれました。

おやつ休憩の後は、ゴボウの種を播くために穴(溝)を埋め戻す作業です。「せっかく掘ったのに...」と言う声も聞こえましたが、この苦労が収穫する際に結果として出てくるのです。長くて立派なゴボウになることを祈って柔らかく土を埋め戻しました。
続いては、スコップを鍬(くわ)に持ち替えて、種をまくためのベッド=畝(うね)を作りました。深かった穴もすっかり元通りになり、きれいな平らな畝が出来上がりました。
長かった下準備も終わり、ようやくゴボウの種まきです。このために頑張って深い穴を掘ったのだからと、塾生たちは一粒一粒丁寧に種をまきました。大変な作業でしたが最後まで仕事をやりきったという自信と誇りに、心なしか塾生たちが輝いて見えました!!
■ 04月03日(土):夜の塾活動 〜チーム農園の計画発表〜  

この時間は、第1ステージに話し合いをしたチーム農園の作付け計画の発表をしてもらいました。このために各チームとも自由時間を使って準備を進めてきました。
チーム名と由来、メンバー構成、育てる作物と目的・目標を順々に発表していき、発表が終わるとスタッフや他の塾生から質問やアドバイスが次々と浴びせられます。各チームとも質問によって明らかになった検討すべき点やアドバイスを把握できたでしょうか?これからのチーム農園活動に反映してもらえることを期待しています。

■ 04月03日(土):リーダー会議  
自然塾では土曜日の夜にチーム内外の検討議案を持ち寄って話し合う「リーダー会議」が開かれます。今回は最初の会議ということで、各チームのリーダーとサブリーダーに出席してもらい、その役割と責任とを自覚するように塾頭から念押しされました。
■ 04月04日(日):朝の瞑想  
自然塾では日曜日の朝食前に心を落ち着かせて瞑想する時間を設けています。その際、二十四節気という昔の暦(こよみ)における季節の区分を紹介しています。今回は「清明(せいめい)」といって、桜など草木の花が咲き始め、万物に明るく清々しい気が溢れてくる毎年4月5日頃を指す言葉を紹介しました。併せて食卓に上ったセリやフキのとうからも季節感を感じとることができたでしょうか?
■ 04月04日(日):共同農園作業 〜ダイコンの種まき〜  

日曜日の午前中前半の作業はダイコンの種まきでした。
鍬(くわ)を使って土を削り盛って、かまぼこ型の畝(うね)を作りました。塾生たちはまだ、鍬を使うのに慣れていませんので、最後の仕上げは手で行いました。これから作業を重ねていくにつれて、これらの道具を思い通りに使えるようになるでしょう。何事も経験です。
出来上がった畝に目安の棒とコップを使って種をまく穴を等間隔に準備してからダイコンの種をまいていきました。野菜の種類によって覆土(ふくど...種を覆う土)の厚さが変わります。ゴボウは光が当たったほうが発芽しやすいので覆土は薄く、逆にダイコンは光が当たらないほうが発芽しやすいので覆土は厚くしました。芽が出るのが待ち遠しいですね。

■ 04月04日(日):チーム農園作業 〜土作り〜  
日曜日の午前中後半の作業は、チーム農園作業でした。今回は作物を育てる前の準備作業「土作り」を行いました。「土作り」とは、畑の土に空気や水を適度に含む作物が育ちやすい環境を作るために(自然塾では)牛糞堆肥と腐葉土を混ぜ込むことを指しています。
腐葉土は一昨年の冬にスタッフが山から集めた落ち葉を昨年一年間寝かせて作った自然塾産です。それをプラスチック製の箕(み...写真オレンジ色の道具)に盛って自分達の畑に運ぶのですが、結構な重さがありますので、チームのメンバーと協力して畑まで運んでいました。チームワークが大事ですね。
続いて耕運をしました。チームのメンバーが全員(または数人)で力を合わせて畑を耕す力強い姿を見せてくれました。この後、最後の仕上げに畑を平らにならしました。これは畑が平らでないと一箇所に雨水がたまったり、畑の土が外に流れ出てしまうために重要な作業なのです。
チームによっては早くも作物の種をまいているところがありました。作物の種類によっては作付け時期が3〜4月というものもあるためです。自分たちの畑のために時間の少ない中で真剣にハツカダイコンやカボチャの種をまいていました。
■ 04月04日(日):ステージのまとめ・振り返り  

第2ステージを終了するに当たり、枝村塾頭から話がありました。「昨日のゴボウの穴掘りは大変だったが、最後まで頑張る気持ちが身についたことと思う。チーム農園の作付け計画の発表もしてくれたが、目標は立てるだけでなく達成できるよう努力しよう。そのためには、よく観察して記録することが大切だ。避難訓練の「おかしも」を知っているだけではなく、実行できるようにしよう。KYTで出てきたヒヤリハット体験が起こるのは事故の直前の危険信号だから、必ず対策を考えよう。また、今回の目標であった『人の話を聴く』については以前より良くなったがまだ話を聞き終わらないうちに動き出す人がいる。人の話を聴く時は正しい姿勢でその人の方を向いて最後まで聴くように。」

■ 編集後記

 今回は2回目の活動となり、塾生同士が随分と仲が良くなった事で、油断してケガや事故が起こるのではないかと内心スタッフは冷や冷やしていました。危険予知訓練の最後にも振り返りましたが、私たちスタッフが「管理」して塾生たちを危険から遠ざけることもできますが、それでは塾生は危険を察知する能力を身につけることはできません。ケガや事故を起こさないためには、自分を戒めたり、整理整頓をする、といった普段からの心構えが重要です。また、便利な道具も使い方によっては危険になります。塾での生活に慣れて、気持ちが浮ついている今こそ、塾生各人が自らの行動を意識し、習ったこと・覚えたことをきちんと丁寧にやる事を心がけて欲しいものです。
 また、共同生活の目標である「話を聴く」ことについても、注意深く聴ける塾生と、そうではない塾生とがいました。「聴く」ことと「聞く」ことでは大きく違います。単に「聞こえている」状態から、耳を外に出して「傾聴(けいちょう)する」姿勢を身につけて欲しいと思います。

H.T.